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犯罪被害者等への理解を深めるために
最終更新日 2020年8月13日
1 犯罪被害にあうということ
多くの人は、犯罪被害について、「自分には無関係」、「自分に起こるはずはない」などと考えているのではないでしょうか。
でも、ある日突然、犯罪や事故に巻き込まれ、命を奪われたり、負傷してしまうことが、誰にでも起こりうるのです。
犯罪被害にあうと、犯罪等による被害そのものだけではなく、被害にあったことにより様々な問題(二次被害)に直面します。また被害からの回復にも長い時間がかかります。
犯罪被害にあうということについて、私たちの問題として、一度じっくり考えてみてください。
被害者とその家族、遺族等(以下「被害者等」といいます。)が抱える問題や心情への理解が進み、少しずつ支援の輪が広がるよう、横浜市でも取組んでいます。
2 犯罪被害者やその家族に生じるさまざまな問題
(1)心身の不調
あまりに突然で予期できないことについては、人間は上手く対処できません。そのため、体も心も動かないような状況になります。
その結果、周りの人からは、ぼうっとして見えたり、逆に冷淡で落ち着いて見えたりすることがあります。また、記憶があいまいになったり、話が理解できなくなるなどの状態になる場合があります。
これらの心身の不調は、犯罪被害にあった多くの人が経験しています。
被害直後のショックが落ち着いた後も、精神的な不調や身体的な不調が続く人もいます。長く続く場合は、精神科等の医療機関に相談することも検討する必要があります。
(2)生活上の問題
- 仕事や学校等の困難
精神的・身体的被害のために、仕事や勉強で小さなミスが増えたり、能率が落ちたり、職場の同僚や学校の友人との関係がうまくいかなくなるなどの問題を抱えることがあります。
- 不本意な転居等や住居の問題
自宅が事件現場になった場合や近隣の噂による耐えがたい精神的苦痛がある場合、再被害の恐れがある場合などのために、転居をしたり、自宅以外に居住場所が必要になることがあります。
- 経済的な問題
犯罪被害により生計維持者を失う場合や、犯罪被害による受傷・精神的ショックのため生計維持者の就業が困難になる場合など、収入が途絶え、経済的に困窮することがあります。
被害直後には、警察や病院などに急行するためのタクシー代、亡くなった場合の葬祭費など当面の出費、治療のための費用などが発生します。さらに長期療養や介護が必要な場合には、将来にわたって経済的に負担かかかることもあります。
また、訴訟のための費用(交通費や訴訟記録の写し、弁護士費用等)の出費も大きな負担となります。
たとえ損害賠償請求に係る民事裁判で勝訴しても、加害者に支払能力がない場合には、損害賠償金を受け取ることはできず、何の補償も受けることができない場合もあります。
- 家族関係の変化
犯罪被害を受けた本人ばかりでなく、家族もショックを受けて、お互いを支え合うという精神的な余裕を失いがちです。
また、家族各人のストレスの感じ方や、被害についての受け止め方や考え方はそれぞれで、感情の表し方や対処方法も異なるため家族の中でいさかいが生じたり、家庭内の危機に直面することも少なくありません。
犯罪被害者が子どもで、きょうだいがいる場合には、親がきょうだいに十分な愛情を注ぐ余裕がなくなり、後にきょうだいへの影響が出てくる可能性もあります。
(3)周囲の人の言動による傷つき
周囲の人たちからの中傷や興味本位の質問をされたり、事実とは異なる噂や、被害者側に何か落ち度があったのではないかと言われたりすると、とても傷つきます。
決して金銭だけを求めて起こす民事裁判ではないのに、「お金が欲しいのでは」などといった誤った見方をされることで、被害者等はさらに傷つけられてしまいます。
(4)加害者からのさらなる被害
「加害者からの謝罪が全くない」、「加害者に反省の態度が見られない」、「裁判で加害者が責任逃れを主張する」などの事態に接すると、被害者等の苦痛は更に大きくなります。
また、多くの被害者等は、加害者からの報復などの危害が加えられるのではないかという不安や恐怖を抱え生活しています。
(5)捜査・裁判に伴うさまざまな問題(負担)
捜査や裁判にあたり、事件について何度も説明せざるを得ないため、その度に、事件のことを思い出し辛い気持ちになったりします。
さらに、警察や検察における捜査、裁判の傍聴、証言、陳述などのために時間的、身体的に負担を強いられるほか、刑事裁判では慣れない法廷の場に身を置き、時には加害者の弁護人から、「被害者の方に問題がある」といった主張を聞かされるなどの精神的負担を強いられることもあります。
損害賠償請求に係る民事裁判においても、訴訟費用、労力、時間の負担など、多くの困難に直面することが少なくありません。
【参考】内閣府犯罪被害者等施策推進室作成「犯罪被害者支援ハンドブック・モデル案」
3 犯罪被害者をさらに傷付けないために~二次被害を与えない関わりを~
二次被害の中でも、周囲の人からの事件、事故に対する好奇の目や詮索は、もっとも被害者等を傷つけます。
ここでは、犯罪被害にあった方々の心情や配慮について、具体的な会話例をもとに一緒に考えてみましょう。
説明 | 会話例 |
---|---|
不適切な例 | 「あなた一人が、苦しいのではありませんよ。」 |
解説 | 他の被害者と被害内容を比較されることは、とても辛いことです。被害者等をそのまま受け止めることが必要です。 |
不適切な例 | 「辛いことは、早く忘れましょう。」 |
解説 | 回復には時間がかかります。しかし、「早く忘れて。」と言われると、被害者等が自分の気持ちを素直に出せなくなり、孤立感を抱いたり、問題を一人で抱え込んでしまうことにつながります。 |
不適切な例 | 「起きてしまったことを後悔しても仕方ない。」 |
解説 | ただでさえ、被害者等はどうすることもできなかった無力感や自責の念を抱いてしまいます。「後悔しても仕方ない。」と言われると、無力感や自責感を助長し、ますます被害者等を追い込んでしまうことにもなります。 |
不適切な例 | 「命が助かっただけ良かったと思わないと。」 |
解説 | 命が助かったから、被害が軽いということではありません。 被害者以外の人が、被害者が体験したことについて、その程度などを決めつけることはできません。被害者自身が体験した、怖さや辛さなどに思いをはせてみることも大切です。 |
不適切な例 | 「あなたにも悪いところがあったのではないですか。」 |
解説 | どんな状況であろうと、殺されたり、傷つけられたり、騙されたり、性的自由を奪われていい人などいません。ですから、非難されるべきは加害者です。 被害者等は、もともと自分を責めてしまう傾向があります。被害者の落ち度を指摘したり、責任を問い詰めたりすることは、被害者をますます追い込んでしまうことになります。 |
◆被害者の立場を思いやり、言葉が見つからないときは、静かにそばに寄り添い、見守ってください。◆
4 被害者の助けになること
被害者等が置かれた状況は、一人ひとり異なります。被害からの回復は簡単なことではありません。被害にあった人は、心が弱っているので、とても傷つきやすく、周りの人もどうしていいか分からないことも多いと思います。当事者でなければ理解できないこともあるかも知れません。
けれども、あなたにも何かできるかもしれません。
被害者を孤立させ、一人で苦しまなくていいように、被害者等が抱える問題を受け止め、被害者の心情を理解しようとすることも助けにつながります。
そして、実際に困っていることが分かったら、あなたができること、少しでも助けになることをしてください。日常生活の何気ないことでも、助けになることはたくさんあります。
ただし、あなたがしてあげたい気持ちと、被害者が望んでいることは、違うかもしれません。その時は、自分の気持ちを押し付けないで、相手の気持ちを尊重してください。
5 犯罪被害者等支援に関する国等の動き
元号 | 年 | 内容 |
---|---|---|
昭和 | 55年(1980年) | 犯罪被害者等給付金支給法制定 |
平成 | 8年(1996年) | 警視庁において犯罪被害者要綱を策定 庁内に「犯罪被害者対策室を設置」 |
平成 | 10年(1998年) | 全国被害者支援ネットワーク設立 |
平成 | 11年(1999年) | 検察庁における被害者等通知制度の実施 政府に犯罪被害者支援委員会を設置 |
平成 | 12年(2000年) | 犯罪被害者保護二法制定 (刑事訴訟法等改正法・犯罪被害者保護法) 改正少年法、ストーカー規制法制定 |
平成 | 13年(2001年) | 配偶者暴力防止法制定 |
平成 | 16年(2004年) | 犯罪被害者等基本法制定 |
平成 | 17年(2005年) | 内閣府犯罪被害者等施策推進室設置 第1次犯罪被害者等基本計画策定 |
平成 | 21年(2009年) | 神奈川県犯罪被害者等総合相談窓口を開設 (かながわ犯罪被害者サポートステーション) |
平成 | 23年(2011年) | 第2次犯罪被害者等基本計画策定 |
平成 | 24年(2012年) | 横浜市犯罪被害者相談室開設 |
平成 | 25年(2013年) | ストーカー規制法一部改正 |
平成 | 28年(2016年) | 犯罪被害者等施策が内閣府から国家公安委員会(警察庁)に移管 |
平成 | 29年(2017年) | 刑法一部改正(強制性交等罪の創設等) |
平成 | 30年(2018年) | 犯罪被害者等給付金制度の改正 |
6 犯罪被害者週間について
毎年11月25日から12月1日までを犯罪被害者週間としています。
犯罪被害者週間は、当該期間における集中的な啓発事業等の実施を通じて、犯罪被害者等が置かれている状況や犯罪被害者等の名誉又は生活の平穏への配慮の重要性等について、国民の理解を深めることを目的としています。
横浜市でも、犯罪被害者週間にあわせて広報活動を行っているほか、講演会等をとおして、広く市民の皆さまへの啓発も行っています。
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