ここから本文です。

感染症発生動向調査とは

最終更新日 2024年1月15日

1.横浜市感染症発生動向調査事業

感染症発生動向調査とは

感染症発生動向調査とは、日本における感染症のサーベイランスシステムの1つであり、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下感染症法)」の施行に伴い、1999年4月から法令に位置づけられました。

感染症法の大きな柱として、感染症対策の基本となるものです。感染症の発生情報を正確に把握・分析し、その結果を的確に提供・公開することとなっています。

実施主体は、国、都道府県及び保健所を設置する市(特別区を含む)と定められています。情報を収集する感染症は感染症法により一類から五類に分類されています。

医師は、感染症法第12条に基づき、一類~四類及び五類の一部(全数把握対象の感染症)に該当する患者を診断したときは、最寄りの保健所に届出なくてはなりません。

都道府県及び保健所を設置する市(特別区を含む)は、感染症法第14条に基づき、「指定届出機関(定点医療機関)」をあらかじめ指定します。定点医療機関は、五類感染症のうち厚生省令で定められた感染症(定点把握対象の感染症)の発生状況を届出ることとなっています。

感染症法について

近年の感染症を取り巻く状況をみると、1969年のラッサ熱、1976年にエボラ出血熱、1983年にAIDS、1997年に高病原性鳥インフルエンザ、2002~2003年にかけて東アジアを中心にまん延したSARSなどの新興感染症の出現や、既に克服されたと考えられていた結核、マラリアなどの再興感染症が問題となっています。

国際交流の活発な現在においては、感染症の流行は局地的なものにとどまらず、急速に広範囲で流行する恐れがあり、これらの感染症の流行に備えた適切な対策を確立する必要があります。また、近年においては公衆衛生水準の向上、人権や健康意識の高揚、医学・医療の進歩等、感染症対策を取り巻く環境が大きく変化しています。

以上を踏まえ、1999年(平成11年)、1897年(明治30年)以降、100年以上にわたって感染症対策の法的根拠であった伝染病予防法を全面的に改め、個別に対策法が設けられていた性病予防法とエイズ予防法を統合し、感染症の予防と患者の医療に関する施策を推進する基本法として「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下感染症法)」が施行されました。なお、感染症法には5年ごとに見直しを行うことが明記されています。

感染症法の分類に関する改正
改正年改正点
2023新型インフルエンザ等感染症の新型コロナウイルス感染症が五類感染症(定点)に変更。四類感染症のサル痘がエムポックスに名称変更。五類感染症のカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症がカルバペネム耐性腸内細菌目細菌感染症に名称変更
2021指定感染症の新型コロナウイルス感染症が新型インフルエンザ等感染症に変更
2020指定感染症に新型コロナウイルス感染症を追加
2018五類感染症(定点)の百日咳が五類感染症(全数)に変更。五類感染症(全数)に急性弛緩性麻痺を追加
2016四類感染症にジカウイルスを追加
2015指定感染症の中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H7N9)が二類感染症に変更
2014指定感染症に中東呼吸器症候群(MERS)を追加。五類感染症(全数)にカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症、播種性クリプトコックス症、水痘(患者が入院を要すると認められるものに限る。)を追加。五類感染症(基幹定点)の薬剤耐性アシネトバクター感染症が五類感染症(全数)に変更
2013四類感染症に重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を追加。髄膜炎菌性髄膜炎が侵襲性髄膜炎菌感染症に名称変更。五類感染症(全数)に侵襲性インフルエンザ菌感染症、侵襲性肺炎球菌感染症を追加。指定感染症に鳥インフルエンザ(H7N9)を追加。五類感染症(基幹定点)に感染性胃腸炎(病原体がロタウイルスであるものに限る。)を追加
2011四類感染症にチクングニア熱を追加。五類感染症(基幹定点)に薬剤耐性アシネトバクター感染症を追加
2008五類定点疾患であった麻しん及び風しんと五類基幹定点疾患であった成人麻しんが、五類感染症(全数)に統合。指定感染症の鳥インフルエンザ(H5N1)が二類感染症に変更。分類として「新型インフルエンザ等感染症」を追加
2007

結核予防法との統合に伴い結核が二類感染症に追加され、細菌性赤痢、コレラ、腸チフスなどが三類感染症になるなど感染症の類型の見直しと、四類感染症に新たに疾患を追加

2003感染症法対象疾患および感染症の類型の見直し

〔基本理念〕

感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を目的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、これらを目的とする施策に関する国際的動向を踏まえつつ、保健医療を取り巻く環境の変化、国際交流の進展等に即応し、新感染症その他の感染症に迅速かつ適確に対応することができるよう、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権を尊重しつつ、総合的かつ計画的に推進されること

〔基本指針〕

  1. 感染症の予防の推進の基本的な方向
  2. 感染症の発生の予防のための施策に関する事項
  3. 感染症のまん延の防止のための施策に関する事項
  4. 感染症に係る医療を提供する体制の確保に関する事項
  5. 感染症に関する調査及び研究に関する事項
  6. 感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項
  7. 感染症の病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項
  8. 感染症の予防に関する人材の養成に関する事項
  9. 感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権の配慮に関する事項
  10. 緊急時における国と地方公共団体及び地方公共団体相互間の連絡体制に関する事項
  11. その他感染症の予防の推進に関する重要事項

横浜市感染症発生動向調査システムの概要

感染症法のもとでは、国内の感染症の発生動向を知るために、全国の感染症の発生状況を国立感染症研究所感染症情報センター(以下中央感染症情報センター)に集めて分析することになっています。各地方の感染症の発生状況は、地方感染症情報センターが収集して中央感染症情報センターに送ることになります。

横浜市では、衛生研究所感染症・疫学情報課内に横浜市感染症情報センターを設置しており、横浜市内における患者情報及び病原体情報を収集・分析し、中央感染症情報センターに報告するとともに、全国情報と併せて、これらを速やかに医師会等の関係機関に提供・公開することとなっています。

横浜市内において収集された患者情報及び病原体情報については、医療局健康安全課及び衛生研究所感染症・疫学情報課が事務局となり、感染症発生動向調査委員会(感染症委員会)を月1回(最終木曜日)開催し、横浜市の感染症の発生状況として分析しています。感染症委員会は、疫学等の専門家、医師会の代表、福祉保健センター及び衛生研究所の代表等をもって構成されています。感染症委員会の分析結果や感染症委員会報告等の発行物は、衛生研究所感染症・疫学情報課が中心となってまとめ、定点医療機関、医師会、関係医療機関、福祉保健センター(保健所)等に配布しています。また、市民や医療機関を対象に、横浜市衛生研究所のホームページ等を通じて情報提供をしています。

患者情報については、感染症・疫学情報課(横浜市感染症情報センター)が、横浜市全体のデータをとりまとめて国の中央感染症情報センターへ報告しています。

横浜市病原体調査

感染症発生動向調査事業の一環として、病原体定点で採取された検体を用いて、衛生研究所で病原体の検索を行っています。市内の病原体定点は、小児科定点:8か所、インフルエンザ(内科)定点:4か所、眼科定点:1か所、基幹(病院)定点:4か所、の計17か所を設定しています。

小児科定点は8か所を4~5か所の2グループに分け、毎週1グループの検体を採取しています。インフルエンザ定点は特に冬季のインフルエンザ流行時に検体を採取しています。眼科と基幹定点は、対象疾患の患者から検体採取ができた時に随時実施しています。

病原体定点からの検査検体およびその他の病原体情報については、衛生研究所検査研究課微生物部門が回収し、国の中央感染症情報センターに報告しています。また、病原体定点からの検体の検査結果については、病原体定点に直接通知しています。

感染症発生動向調査における情報の流れ

対象感染症を診断した医師は、オンライン又は所定の様式を用いて、医療機関を管轄する福祉保健センターに届出を行います。

届出受理センターは、内容を確認し、医療局健康安全課と衛生研究所感染症・疫学情報課へ届出様式を送付します。

感染症・疫学情報課(横浜市感染症情報センター)が、国の中央感染症情報センターへ報告します。

収集された情報は、横浜市感染症発生動向調査委員会などで分析し、衛生研究所ホームページ等を通じて速やかに関係機関等に提供・公開されます。

感染症発生動向調査における情報の流れ


区別定点医療機関


対象感染症を診断した医師は、オンライン又は所定の様式を用いて、医療機関を管轄する福祉保健センターに届出を行います。

届出受理センターは、内容を確認し、医療局健康安全課と衛生研究所感染症・疫学情報課へ届出様式を送付します。

感染症・疫学情報課(横浜市感染症情報センター)が、国の中央感染症情報センターへ報告します。

収集された情報は、横浜市感染症発生動向調査委員会などで分析し、衛生研究所ホームページ等を通じて速やかに関係機関等に提供・公開されます。

患者定点は、小児科定点:94か所、内科定点:59か所、眼科定点:22か所、性感染症定点:29か所(産婦人科系11、泌尿器科・皮膚科系18)、基幹(病院)定点:4か所の計208か所です。基幹定点は、内科と小児科を持つ300床以上の病院です。なお、小児科定点は、インフルエンザ及びCOVID-19と小児の10種類の感染症を報告し、内科定点はインフルエンザ及びCOVID-19を報告します。

病原体定点は、小児科定点:8か所、インフルエンザ(内科)定点:4か所、眼科定点:1か所、基幹(病院)定点:4か所、の計17か所を設定しています。

区別の分布は表(区別定点医療機関数)のとおりです。

PDF形式のファイルを開くには、別途PDFリーダーが必要な場合があります。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Get Adobe Acrobat Reader DCAdobe Acrobat Reader DCのダウンロードへ

このページへのお問合せ

医療局衛生研究所感染症・疫学情報課

電話:045-370-9237

電話:045-370-9237

ファクス:045-370-8462

メールアドレス:ir-eiken@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:350-943-432

  • LINE
  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • YouTube
  • SmartNews