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第57回 横浜市公立大学法人評価委員会 会議録

最終更新日 2019年1月10日

【日時】平成26年7月30日(水曜日)14時30分~16時30分
【会議室】関内中央ビル10階大会議室
【出席者】川村委員長、蟻川委員、岡本委員、山上委員
【欠席者】桐野委員
【開催形態】公開(傍聴者0名)
【議題】
1.第56回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
2.平成25年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について
3.平成25事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について
4.その他
【配布資料】
資料1.第56回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)(PDF:291KB)
資料2.平成25年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画に対する各委員評価一覧(PDF:302KB)
資料3.各委員評価のまとめに向けた総合調整項目(PDF:126KB)
・財務諸表及び利益処分の承認についての意見書(案)(PDF:95KB)

議題1:第56回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について

・事務局から、資料1「第56回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)」について説明し、承認を得た。

議題2:平成25年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について

・事務局より、「資料2、3」の説明をした。
【川村委員長】資料3により法人評価委員会としての評価を皆さんのご意見で決めていきたい。最初に「1大学の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するための取組」は、法人の自己評価も皆さんの評価もBで一致している。「1-1教育に関する取組」は、法人の自己評価Bに対して、1人Cという評価を付けた委員がいて残りはBという評価になっている。これをどうするか。次の「1-2研究の推進に関する取組」は、逆に法人の自己評価はBで委員の評価はAが3人Bが2人。それから「1-3教育研究の実施体制に関する取組」は、法人の自己評価Bに対して、Aが2人Bが3人、このようになっている。まず、「1-1教育に関する取組」でCという評価があるが、これは私だ。なぜCにしたのかというと、資料2のコメント欄を見ていただきたい。ここは2つの要素があり、医学部の学内試験の組織的な不正行為があったということ、もう一つは、留学生の問題。海外からの留学生の受け入れ数が毎年減っていることは、相当に問題ではないかというのが私の感想だ。この二つの要素を勘案すると、他の部分は本当によくやっておられるのだが、これはいかがなものかということで、あえてCという評価をつけたということだ。皆様いかがか。事務局に聞くが、配布されているのはいつの新聞記事か。事件自体は古い話だが。
【事務局】読売新聞が7月18日、他紙が7月19日。
【川村委員長】読売が出したから、いっせいに他紙も出したということか。新聞がどう書くかは別にして、ここはどういう評価をするかというので、この部分だけについて言えば、法人の評価もCではないか。
【法人】評価いただく前に参考として、この件に関してお伝えすることがある。この件は、重く受け止めていくべき問題である。管理の問題を含めて、医師となる学生のモラルやそういったものを助長するような背景にどういうものがあったのかということを、この先徹底的に洗い出すチャンスであると捉えているところだ。いろいろなところで不正行為というのはありうるわけだが、医学部におけるカンニングの問題は、医学部におけるある種の特殊事情のようなものも背景にあるだろうと思っている。具体的に言うと、医学部は、以前、教養課程2年で、その後専門課程に移行していたが、その後多くの医学部では、非常に膨大に膨らんだ医学的な知識を教えるには教養課程を2年では不足であるということで、1年にしているところがほとんど。全国の医学部で、医師としての教養教育をどうするのかという事が問題になっている。例えば東京大学は教養課程2年で駒場という場があるが、多くの大学では、この教養をどうするかということが問題になっている。それを、顕著に反映しているところは医学部という場所ではないか。医師にとっては、教養課程は非常に重要で、医師としての倫理やモラルは、実際には医療の現場で、医師としての規範、モラルというのが作られているということが事実である。学生の時に意識が低くても、臨床の現場に出ると、態度が急変するという事もまま経験する。ただ問題としては、最初の1年目に、医師たるものはどういうものかというメッセージを我々は出し切れていなかった。最初の時期にいい加減な時期を過ごすと、当然この調子でいけるという誤った考え方を引きずるということにもなりかねない。この件では、教養課程に基本的配慮や考え方をどうやって植え付けていくかという事を、徹底的に考えていく必要がある。それから、専門教育、卒業してからの医師としてのモラルの意味は、実際に患者さんを見るという現場にあるのだから、その段階で強く学生に、あるいは医師に植えつけられる機会があるわけだが、それをどのように学部から卒後教育、生涯学習につなげていくか、体系的にやっていくかということを深く考えなければならない。
【山上委員】この不正行為というのはゆゆしきことで、大問題だと思うのだが、そのことによって、その他の計画に沿って行われた実績をすべて否定し、Cにしてしまうというのはいかがか。学生の停学処分は当然の処置だが、もう一方で大学側に管理の甘さがあったのではないか。学生としては何としてもそこをクリアしなければいけないという思いが強いわけで、こういう不正行為を誘発してしまったというか、隙があったというか、毎年同じような形態で同じような場所でやっておられるのかわからないが、そういうような噂が学生の中で広がって、こうした事態を引き起こしたように思う。大学側にも多少責任があるのではないか。ガードがしっかりしていて、そういう隙が無ければこういう事件は起こらなかったわけで、その意味でもこのことをもってCにしてしまうのは、少し酷かなと思った。もう一点、留学生の数が、事実かなり減っているというのは問題だと思うのだが、中身を見ると中国、韓国の減少が大きく、現下の政治情況が、少なからず影響をしているのではないか。今の状況からすると若干やむを得ない環境になっている。そこは、少し加味して数字を読んであげなくてはいけないのかなと思った。市大が今国際化に力を入れているのは、どちらかというと留学生の数を云々という意識より、留学生を増やしていけるようなさまざまな仕組みをつくり、提携する大学を増やしていく、そういう努力をされているのだと思うので、私は留学生の数が減ったという事については、特に数字を大きく問題として考えなかった。私はCという評価はどうかと思ったので、Bにした。一番悩んだのは不正行為。そのことをどの程度重く考えるか、あってはならないと思うが、この評価作業全体の項目の中での一つ一つの実績を見ると、それぞれに努力されているということが伺われるので、私はBでよろしいのではないかと思った。不正行為については、重大な指摘事項として別途指摘をし、評価までは変えなくても良いのではないかという考え方だ。
【川村委員長】山上委員が言われたとおり、私も全体としてはB評価でも良いと思うのだが、留学生のことが非常に気になっていて、ちなみに横浜国大はどうなっているのかと見たら、国大は留学生の比率が全学生に対して8%くらいだ。本学で8%といえば300人位いなければいけないがデータ集では111人、たまたま今日配布されている資料を見ると、数字の取り方が若干違うのかもしれないとは思うが26年度はさらに減って88人となっている。三桁を割って二桁になってしまっている。留学生が希望してこないからやむをえないのかと思っていたのだが、留学生を受け入れるための仕組みがどうなっているのか。国大では国際教育センターというのを作って、日本語の不十分な学生に対して、日本語日本事情等の科目で言語、文化をきちんと教えるという姿勢が基本にある。ところが本学の場合は、外へ出す学生に対するプログラムは一生懸命やっておられるが、受け入れる方については、そういう留学生対応のための国際教育センター的なもの、あるいはそのためのプログラムが必ずしも十分用意されていないのではないか。もちろん留学生宿舎もない。言葉ができないからというのであれば、できるようにしてやれば良い。英語が不十分だったら、在学中にPEで英語の不得意な留学生の為に英語の補習教育をしてやれば良い。そのためのプログラムを組めば良いのではないか。なんとかして留学生を受け入れよう、歓迎しようという姿勢がよく見えない。両大学のホームページを比べて、仮に私が留学希望者だったら国大の方に手を挙げたくなる。つまり大学として、留学生が来たくなるような、留学生を積極的に受け入れようという姿勢があまり見えていないし、実際にそういう仕組みになっていないように思われる。私も最初は、国大は工学部があるから留学生が多いのだろうと思ったが、そうでもない。人間教育科学部、経済、経営の各学部ごとに40人づつくらい入っている。工学部もそんなには入っていない。大学院には多い。というようなことで、大学全体としての体制を、つまり国際都市横浜の大学となれば、本腰を入れて取り掛かっていただいた方が良いのではないかという感じがした。今までそのことについて、我々もそんなにここで申し上げてきたわけではないから、いきなりそんなことを言われても困ると。それは3期の計画でと言われれば、それは3期の話でも良い。
【法人】英語に関しては、PEセンターでしっかりと教育をやったが、ある程度入学時の基本的なところが無いと留年してしまうということがあって、入学要件を引き上げた。サバイバル英語とか日本の歴史を作るカリキュラムを昨年度作り上げた。まだ少ないが、ジャパンスタディという一括りのカリキュラムを作り上げて、留学生が来た時には対応できるようにした。その中の日本語教育がしっかりできるかというと、まだできないところがある。やはり留学生寮が一番問題で、日本人の方の学生寮もないという状況で、本来ならばしっかりとしたものを作って行ければ良いというのがあるのだが、それは横浜市に意見していただけるとありがたい。COCの並木拠点の中で、並木の団地に空きが出てきており、URの方でも空き家があって困るというので、大学に貸していただいて、そこに学生をペアないしシェアして入るような仕組みを今やろうとしている。それが留学生にも普及してシステムになっていけば広がってくるかなという気がするのだが、それを今COCの中で試験的に始めようというところである。資金のない横浜市の中で、留学生会館に変わること、かつ団地の過疎化とかそういうものに対応して、留学生が市民生活に、逆に言うと市民の方から日本の生活を教わって生活していくというような、うまいモデルができればと考えて、それを動かそうとしているところである。
【川村委員長】数値目標を示すことは、その大学の取り組みの姿勢そのものだと思う。次の中期計画にでも留学生受け入れ数についてそれを出していただきたい。山上委員がおっしゃったように、中国韓国は減っているが、そのほかの国は増えているので、日本全体だと留学生の数はほとんど減っていない。むしろこれからは受け入れる留学生の数を倍増ということで、政府が旗を振っている。政府の旗振りはともかくとして、私は、国際都市横浜、横浜市大として留学生の受け入れについて、もっと強烈なメッセージを発せられるようにしていただきたいと思う。
【法人】建物等は横浜市所有で建てていただくような話になるので、ぜひやっていただければ、それは大学としては非常にありがたい。
【法人】国際化の問題もいろいろな方向性や手段があると思うのだが、ひとつは横浜国立大学とはいろいろな面で、例えば医工連携の取組で一緒にやっている関係で、国立大学と本学との違いをはっきりすることが多々あるのだが、国立大の場合は国費留学生の額とかは公立大学と比べると潤沢にある。公立大学協議会のプレゼンスがもう少し高くないと、その枠を広くできない等いろいろ背景があるのではないか。もう少しそういった面で、公大協がまとまって文科省に働きかけるとかそういった方向性の論議も必要なのではないか。事前入学試験とかそういう制度は、国立大学はかなり整っているが、公立大学ではそういうことを受け入れているのは数多くある公立大学の中でもただ一校しかないという状況も、やはり公立大学全体として取り組まなければならない共通の課題としてあるのではないかと思う。
【川村委員長】「1-1教育に関する取組」はこの委員会としての評価はBということでよいか。それでは次に、「1-2研究の推進に関する取組」。ここはAが3人Bが2人と分かれているが、いかがか。私はAをつけたのだが、外部資金の獲得の状況、文科省のCOC事業に採択された、これは純粋な研究事業なのかどうかはよくわからないが、一応そういう分類になっているから、このCOCは非常に激烈な競争を昨年初めてやって、それに地域連携のいろいろな可能性を秘めた実践的なプログラムを出して採択されたというのは非常に大きなことで、5年間かなり多額の国の補助金が出る。これはAとして、よろしいのではないかと思った。
【蟻川委員】私はBを付けた。外部研究費を増やすための支援、ここ何年間かやってこられたことであり、過去最高額の獲得額だということは評価できるし、もちろん先生方の研究実績があってのことだが、研究がどういうふうに進んでいるのか、研究の実績がわかるような記述があまりなかった。ただ研究費を獲得すればそれで良いのかというふうにも感じ、獲得だけで判断するのは、うわべだけな気がしてならないので、Bにした。
【岡本委員】私はAにした。もちろんお金だけでAにしたわけではないのだが、去年も過去最高で、さらに25年度もそれを上回ってさらに最高という事は、やはり高水準でなければそういうふうにならない。スポット的なものであれば、単年度だけポっと増えて翌年度は下がるのではないかと考えた。研究の事は私はよくわからないが、それを継続しているということは、研究の水準自体が上がっているのではないか。市立大学ということの存在意義を考えると、このCOCで地域貢献という観点、大学の存在意義という観点からも、このCOCの取組が採択されたということは評価できると考えAにした。
【山上委員】私も委員長と全く同じ考え方で、Aにした。蟻川委員のおっしゃることもよくわかるのだが、なかなか研究の質や水準、内容までは、私どもの立場では評価ができる状況ではないので、結果として出てきた成果の数字で判断するしかない。もうちょっと深く入り込んで、研究の中身まで評価をしていくべき部分かもしれないが、外部委員としての限界があるので、私は過去最高額の外部研究費を獲得されたというのは、客観的に一定の研究の結果が、あるいはそういうものがこういうものに反映された、文科省の事業に採択されたというのも一つの表れだろうと思う。6ぺージの各委員のご意見を見てみると、だいたい評価する点は同じように表現されているので、これはAでよいのではないかと思う。
【川村委員長】そういうことであれば蟻川先生のご意見はいかがか。
【蟻川委員】私もこれに書いてあるとおり、獲得した実績は評価できると書いているので、Bといっても半分はAに近い方なので、Aとしてももちろん結構だ。内容を検証するというのは今後の問題であり、しかもこれは法人評価なので、そんなに深いところまでする必要はないという気がする。教学サイドの評価であれば、もう少し内容に立ち入ったことも必要かと思うが、この委員会は、法人評価なので、こういうことでも良いかと思う。この大学では、例えば、それぞれの研究者の本年度中に出た論文を掲載するなど、(最近はデータで登録するようにはなっているが)、先生方がどういう研究をなさっているか等、評価していらっしゃる部門はあるのか。
【法人】各研究科、研究科報といって、2年に一回、そこに教育と研究の成果とその関連と学生にどういう教育をしたかということが記載され、それをチェックすることはしている。
【法人】私たちとしては、もちろん課題があると認識している。つまり、採択されているものは採択されているのだが、それが全体的にもう少し広がりを見せるということが今後の課題としてはある。採択に関しては、科学研究費、補助金などを含めてある程度の実績があって採択されることがあるので、それなりの実質的な活動があると思っているのだが、今申し上げたように、採択の前提となる地道で着実な取組を今後大学全体に広げていくということが課題。そういう意味では、決してAをつけて満足してこれで良いとは考えていない。
【川村委員長】評価としては、「1-2研究の推進に関する取組」はAということでよろしいか。では2番目の研究の推進はA。それでは、「1-3教育研究の実施体制に関する取組」で、Aが2人、Bが3人。山上委員はいかがか。
【山上委員】私はB。学術院の推進というのは、従来から懸案になっていて、それについてかなり踏み込んだ形で今回「質的改革報告書」をまとめられた。ただ私は報告書の内容がこれから具体化に向けて、さまざまな動きが出てくるのだろうと思うのだが、まだ報告書をまとめた段階であってその成果を見たい。ただ、今までに比べると、学長がリーダーシップを発揮されて、そういう形で動き出したという事は、かなりの前進だろうと思っており、先生方が同じ方向に向かって、同じ目的意識を持って動き出したんだなという、そういう意味では相当期待ができるのではないかと思っており、その結果をもう少し見てから判断すべきと思いBをつけた。
【岡本委員】私はAをつけた。もちろん山上委員のおっしゃる、結果をこれから見たいというのもあるのだが、問題意識を大学自体が持ち、将来構想について報告書作成に着手されお作りになって、それに基づいて今後やっていこうという体制を取った事自体は評価しても良いかと思い、Aをつけた。また、今後その報告書の年度計画への落とし込みと達成状況については、また改めて評価をするということでよいのではないかと思う。
【川村委員長】実は私もAをつけた。今の岡本委員の話と同じで、学術院は、当初正直言って私は1期の頃から、研究院と言っていた頃から、いったいこれはどうなるんだろうと思って、つまり従来的に言えば、学部ごとの教授会はやめて、きちんと教育研究に関する先生方の意思統一する組織として学術院ができたはずが、どういう活動をしているのかよく見えない。特に教育面での取組がよくわからなかった。今回の報告書を拝見すると、先ほどのCOC事業もこれは学術院もかなり関わっておられるはずだし、今お話が出た将来構想、さらに医系連携も、こういうのは学術院ならではの仕事ではないかと思って、学術院の実体化は着実に進んでいるなということを感じた。将来構想については、この間の会議の後で、要旨をメールで送っていただいて拝見して、内容的にはいま山上委員のおっしゃったように、プログラムが書いてあるだけで、これからどうなるかわからないことではあるが、学術院というのは、そういう意味で機能をようやく発揮し始めたのではないかなと思ってAにした。蟻川委員いかがか。
【蟻川委員】私もこの何年かのうちに、ある年にAをつけた。Aというのは、これ以上上が無いので、次の年どういうふうになるのかと、今度はBをつけた。Aに行ったりBに行ったり、少し見守っていた方がいいのかという心境に達している。少し評価の基準を変えたので、最近厳しい評価をつけるようになってしまった。
【山上委員】蟻川委員がおっしゃった通りだが、委員長や岡本委員がおっしゃるように、ここは研究実施体制等の整備に関する取組だから、そういう体制ができたということで、今までよりも何歩も前進したという事に力点をおいて評価をすれば、Aなのかもしれない。私は成果を見たい、成果が出たらそれは前項目の「1-2-(1)研究水準及び研究の成果等に関する取組」のところで評価されるのではないか。体制ができたらここで評価していいのかと考えられるといえば、そういうことかもしれないと思うが、私はむしろ学校の考えをもう一度聞いてみたいなと思う。
【法人】ようやくそういう話し合いができつつあるという状況で、前回申し上げたように、もっと踏み込んで徹底的に議論ができるともっと良いという気持ち。もちろん評価していただいて大変ありがたいことだし、それなりのことがあろうという意見もあるかと思うが、今後のことに向けて考えると、相当力を入れてやらないと、結果は出せないのではないか。そもそも同様な課題意識でいろいろな大学でこういう試みをやられていると聞くが、どこもうまくいっていないという状況があるので、かなりハードルはあると考えている。もし、本学でそれが実質的にうまくいけば、モデルケースになり得るので、より高い評価がいただける可能性があると思っている。
【山上委員】たぶんそういう事ではないかと思っていた。
【法人】法人化以降、かなり制度的なことはできたが、実質的にこれは動く体制、先ほど来の学術院と、その中でやっと質的なところまで議論できる体制ができて、実際個々の先生に話ができるという方向に向かっていけるというような流れができるよう、昨年度は各研究科、学部の方々と毎月1回位会議をして、将来の質的改革をとりまとめたのだが、これはいろいろな方と話ができて、将来構想どういうことに問題点があって、どうしていくかという事ができてきたので、そういう意味の体制はできたという事は良かったと思っている。まさにこれからというのは、山上委員がおっしゃる通り。
【法人】教員という立場ではないのだが、今まではどうしても法人サイドというか、それを契機に与えられたような課題ということでやってきたが、今回は学長のリーダーシップの下で、教員の先生方自らが真剣に取り組み、報告書という形にまとめたことが一つの成果だと思っている。ただ、山上先生がおっしゃったように、具体的なプログラムに乗せて、形あるものにしていくべきと思っている。ぜひ期待しているというような視点から見守っていただければと思う。私どもも、先生方がおっしゃったように、今後の展開については引き続き課題と考えている。
【川村委員長】大変有益なご意見をいただいた。学術院というのは、大切な組織で具体的な活動を大学内での教育研究の方向性を明らかにしていく上でのキーになる組織になってもらいたいという願望を持っており、そこへ少しづつ動きつつあるのかなということだが、これからさらに見守る必要があるというお話ももっともであり、評価委員会としてはBということでよろしいか。そうすると、「1」は全体でBとなった。内容的にも教育に関する取組B、研究の推進がA、教育研究の実施体制がB、全体の評価委員会としての評価はBという事でよろしいか。次は「2附属病院」。附属病院の全体としてはお1人Aの方がおられてあとはB、「2-1医療分野・医療提供」はAが2人であとはB、「2-2医療人材」は全員B、「2-3医療安全管理体制・病院運営」はAが3人、Bが2人。まず1の医療分野・医療提供に関する取組だが、いかがか。
【山上委員】私はAをつけた。8ページの上から3つ目が私のコメントだが、附属病院もセンター病院も日常的に大変忙しい中で、高度医療、政策医療、いろいろな体制に手を付け、それぞれ成果を上げた。DMATの体制整備、災害拠点病院、がん、認知症、精神科、救急医療の問題等々、あらゆることに大きな成果を上げたと率直に思う。その他臨床研究についてもそれなりに成果を上げているし、期待されている地域医療機関との連携についてもいろいろ手を打たれて、紹介率や逆紹介率など、中期計画の目標を上回っている。こういうような成果を上げておられるので、私はまったく迷いなくA。逆になぜ病院がBなのかなと。多分、自分でAという評価をするというのは相当自信が無いとつけられないのでは。そういう思いなのかなと思った。中身で見ると十分Aに値するのではないかと思ったのでAにした。
【岡本委員】私はBだが、AにしようかBにしようか非常に迷った。24年度Aを付けた記憶があるが、もちろん前年に引き続き努力を続けていらして成果が上がっているのだが、計画を超えて達成した部分というのはどれほどあるのか、維持あるいは少しレベルが上がったということはわかるのだが、先ほど蟻川委員がおっしゃった、ずっとAにしてしまうと、さらに上だとどうしようというのがあり、努力は続けていらして計画は達成されて、項目によって計画を超えているのはあるが、将来にさらに期待するという意味を込めてBにしたが、Aをつけても良いという思いもどこかにあるので、迷っているところでもある。
【山上委員】附属2病院の実績は、おそらく25年度は法人移行後で最も良かった年ではないか。これからは質的なもの、内容を高めていくというか、そういう意味では、本当に日々の困難な医療現場でこれだけのものをよくおやりになってきたなと思う。今までのいろいろなテーマが、25年度に具体的な形で実ってきた。今度はその成果、医療サービスの充実という形で、地域に反映させていくという印象と期待を持った。今日は桐野先生はおいでにならいが、他のAは桐野先生か。
【蟻川委員】私だ。私も病院というのは、地域貢献度が高いことが評価されるべきものではないかと思っている。救命救急センターの実績を上げている、総合周産期母子医療センターでは、多数の分べんを受け入れている。そのような地域貢献が高く評価されるのではないかと思う。もちろん先端医療もあるが、まずは病院は地域の方々を多く受け入れること。今、救急の患者さんがたらいまわしにされていたり、周産期母子医療センターが少ないと言われている中で、実績を上げたという事は評価してもよろしいのではないかと思った。
【川村委員長】桐野委員はBで私もBだが、私は関係があって、国立の地方の医科大学の病院などを見させていただく機会があるのだが、どこでも非常に努力している。こういうことを一生懸命やらないとどの病院も持たないし、それではじめて地域医療の拠点としての真の成果を発揮するという事だと思う。非常によくやっておられるという点においては私も同感であるが、今岡本委員の言われたように、それはAまで突出するのかという評価の仕方で迷った。法人がBなら、ここは法人のお考え通りBだろうということだった。
【岡本委員】ひとつだけ、質問が間に合わなくてここに書いてしまったが、一番下が私で、☆印になっているところに質問なのだが、実績報告書の58ページにある、附属病院において、診療連携拠点病院についてはその指定要件が見直されたため、未充足項目について対応を進めている、とあるが、経過措置として26年度末まで継続していかなければならないということで、次に継続できるように、未充足項目の充足がそれで間に合うのか、それだけ聞かせて欲しい。
【法人】要件は満たしているが、緩和ケア医療を提供する体制に少し懸念があったので確認しており、充足しているという事で問題ない。
【岡本委員】これは、まとめる時には、この項目は削除していただいて構いません。
【川村委員長】法人はBをつけたが、いかがか。
【法人】どんな取り組みでもそうだが、一連の評価を得られるまでには、数年から5年以上かかり、成果として出るタイミングがあって、その時に評価を頂けると、現場はモチベーションが上がるということはあろうかと思う。そのタイミングが今かどうかという事に関しては、お考えいただいている通り私たちはAとつけていただいて、それで満足するということは全くないが、最終的に判断してBだろうと。ただ実際現場は長い取り組みがあって、山上先生からご指摘いただいたような数値になっているわけだが、それは今までの努力の継続の中に出てくるものであって、瞬間で出てくるものではない。当然1年度は数値としては下がるが、継続して努力はしているといったようなことがあるかと思う。当然Aがずっと連続するという事は考えられないので、あるタイミングでAという事があってもその次はBということもあって、そういうことを繰り返していくという事ではないかと思う。
【川村委員長】今日は桐野委員がお休みなので、もう一度今日の議論を踏まえて、桐野委員に確認をいただいて、AかBかを決めれば良いと思う。この段階ではペンディングにさせていただく。2番目の医療人材の育成は皆さんBなので、Bということでよいか。この関係で何かご意見があれば、いかがか。では3番目の医療安全体制は、評価が分かれており、ご意見をいただきたい。Aが3人、Bが2人であり、いかがか。
【山上委員】私は、ここをAと評価した。10ページの上から3番目のコメントだが、ポイントが3つ書いてある。一つは過去にあった医療ミスの反省に立って病院を上げて相当深刻な問題として受け止めて、いろいろなことについて体制を整えたという感じが、組織横断的な「医療の質向上センター」を新たに設置したとか危険な薬剤の管理の適正化、その他マニュアルの再検討をした、センター病院でもインシデントの情報共有は従来からやっていたことだと思うが、さらに徹底を図ったという事だろうと思う。いずれにしてもこの医療事故の発生をかなり厳しく受け止めて、附属2病院とも医療安全文化の醸成に相当努力をされたなという事が、実績から読み取ることができた。もう一つは、患者支援体制の充実という事で、統合患者サポートセンターの設置をしたとか、ライブラリーを設けたというのはすでにやっておられることなのかなと思っていたのだが、よりきちっとした体制を作られたということだと思う。もう一つは、病院の運営のところに絡むのだが、両病院とも先ほど評価をAとしたところと関連するが、さまざまな体制の整備が進んで病院の拡充がなされて、そういうものの具体的成果が表れて、診療収益がかなり増収になったこともひとつあるのだが、それ以外の諸経営指標がかなり改善がみられた。病院運営が、かなり安定した形になっているのではないかという印象を受けたので、Aにした。願わくば医療事故を、こういう状態でうまく動き出した時にまた医療事故が起きると、こうした成果が全部だめになってしまうので、こういう状態が続くようにお願いしたいと思う。いずれにしても、結果としてAという評価でよろしいのではないかと思う。
【蟻川委員】「2-1医療分野・医療提供」の提供というところでAにした。安全管理というのは確かに「医療の質向上センター」というのができて、研修会を開く取組ができた事は大変よいが、「医療の質向上センター」は、事故の起こった病院で作った。これはすべての病院で作った方が良いと思う。たまたまそこで事故が起きたが、どこで起きるかわからないわけだから、市大として取り組んでいただきたいと思ったので、まだ安全管理は完全ではないと思いBをつけた。
【岡本委員】Bをつけた。一つは、安全管理体制だが、もちろんマニュアル点検とか医療の質的向上センターとかご努力はされている。これは医療安全管理体制ですから、体制を整えたという点からはAかもしれないが、事故が起きてまだ何年もたっているわけではない、マニュアルも見直したというが、事故が起きた時だってマニュアルはあったわけで、それがどこか足りなかった。それが今回の見直しはそれで本当に足りているのかというのは、しばらく待ってみないと何とも言えないのではないか。それと、病院運営に関して、ご努力されて、自己評価でも病院によってはAがついている。それはその通りだと思うが、両方の病院でAがついているところが無い。全体でAをつけるまでいくかなというところで、ちょっと厳しい評価ではあるがBをつけた。
【川村委員長】それぞれもっともだと思うが、私は、先ほどの山上委員のお話に賛成で、まったく同意見で、迷いなくAをつけた。桐野委員がAをつけたということもあるので、ご指摘の点はそれはそれとしてAとしてはどうか。先ほどの質的向上センターは、センター病院には無いのか。
【法人】センター病院については、附属病院のような医療の質向上センターは設置されていないが、各部門間のチームワークや連携を密にすることで対応している。
【川村委員長】そういうことについて、きちんとした組織体制をとっていただきたいというのが蟻川委員のご指摘だったので、それは十分受け止めておいていただきたいと思う。それではこの項目について、我々評価委員会としてはAということでよろしいか。以上で附属2病院全体については、山上委員がAをつけたが、全体的にはBということでよろしいか。1の医療分野については、桐野委員のご意見を再度確認していただく。2番目の医療人材の育成はB、3の医療体制はAということでよろしいか。
【山上委員】医療分野の所で、ペンディングになった。仮に桐野先生のご意見がAになるとA、BになるとBと変わってくる。この部分はこの中では大きいので、仮に1と3がAならば、全体はAにならざるを得ない。
【川村委員長】失礼しました。おっしゃる通り、事項の重さから言うとそのとおりである。では、全体の評価の所も連動してペンディングということにする。次は「3法人の経営」だが、ここは皆さん一致してBなので、ここはすべてBということで評価をさせていただいて差し支えないか。いかがか。
【山上委員】理事の中に2人、企業経営者が入った。それで、理事会の運営など具体的な変化はあったのか。全体の理事会が活性化され、外部の経営感覚が法人運営全体にプラスに働いてくるのではないかと期待があるのだが、元々どういう趣旨で入られて、実際どういう変化があったか。民間から入れるというのは、何か意図はあったのか。その辺についてコメントをいただきたい。
【法人】理事は定款により10人以内と規定されているが、田中理事長が理事から就任されたことから、理事の欠員が2人生じることとなった。欠員補充について、どういう分野からお迎えするかの検討を改めて行い、当時の学外理事の構成や、大学と企業との密な関係性などから、経済界の第一線で活躍している方にお願いしてはどうかということになった。今回、地元金沢区に本社のある日本発条株式会社の社長さんと、地元金沢区に縁のある京浜急行電鉄株式会社の社長さんにお引き受けいただいたものである。お一人は昨年11月、もうお一人は今年4月にご就任いただいたところだが、たとえば、今回の医学部の件についても、民間の発想に立ったご意見をいただき、改めて自己評価の議論を行うなど、経営審議会に新風を吹き込んでいただいていると考えている。
【山上委員】地元を代表する会社だ。大学と地域でいろいろな関わりの深い企業と思うので、良い人選だったのではないかと思う。ニッパツはグローバルな展開をする地元企業であり、京浜急行は品川から横浜、横須賀と地元を縦断する鉄道会社であり、大いに期待したい。
【法人】新しい方が入ってきたことに関して、効果としてはこれからだと思うが、日本の場合、大学は大学、官公庁は官公庁と、キャリアを移るという事が乏しい。そうすると視点が固定化して、自分たちにとって当然の論理で社会的な説明が無くても当然だという認識に陥る。例えば最近STAP細胞で研究者の倫理が問われる場面があったが、あの場合でも、民間の一般の方たちからすると、うちの大学ではどうなっているのかという視点が必ず働くわけだが、我々自身はそんなの当然ちゃんとやっている、あまりに自明で説明の必要はないという視点に陥りがちである。やはり一般の方からすると、この大学は大丈夫なのかという視点が働く。これが非常に重要なことで、我々は一方では大学の人間であるとともに、一般市民の目を両方持たなければいけないが、企業経営者の視点から様々ご指摘いただくことは、本学が多角的視点を持つという点で重要だと思う。
【川村委員長】私も大賛成で、良いことをされたなと思うのだが、ホームページを見たら名前しか書いていなくて、キャリアがまったくわからない。これは何も隠すことはないので、主な元職や現職くらい書いていただいた方が良いのではないかと思った。多様な視点や感覚というのは絶対必要だ。多分経営審議会には入っておられると思うが、理事会というのは法人を動かす中核組織だから、ぜひ多様な視点、感覚というのは大切にしていただきたいと思う。
【岡本委員】12ページの一番下の、一方通行でない学内コミュニケーションや、各種連絡会議の実施等による情報の共有は、情報を学内で共有すること、特に教員と職員の情報の共有は非常に重要なことだと思う。会計的な研修を会計士に依頼しているところもある。皆さんが経営的な視点を持つという事も必要であるので、この点は非常に評価できると思う。もうひとつは、前回の会議の議事録にある私の発言で、運営交付金でまず資産取得をやっているのかどうか、損益計算書が時系列的にあまり比較の意味がなくなるのではないかという事に関して、後で補足説明にいらしていただき、いろいろお聞きした。あの時申し上げたのは、通常の損益計算書だと、資産を購入しても全部一度に費用になるわけではなくて、使える耐用年数に応じて徐々に費用化ということで、一時的に利益ががんと下がることはないのだが、今回のこちらのような、運営交付金で資産取得を先にとってしまうと、事実上の運営交付金が減って、現場の人が一生懸命努力して利益を上げよう、経費を削減しようとする努力と関係ないところで病院の収益が悪化する、一時的な大きな資産の取得によって収益が悪化するのはどうなんだろうということで、前回ああいう質問をしたのだが、資産の取得については、もちろん病院の現場も参加した形で、医療機器の計画的な購入も考えていることであり、また時系列的な比較についても、病院の損益の状況だけを見るのだけではなくて、経営の数値、入院日数や手術の件数などいろんな指標を使って総合的な判断をしているので、特にあの形で問題があるということではないと申し上げたい。
【川村委員長】16ページで、自己点検評価を実施するとおっしゃっているので、当然しておられるはずだが、その自己点検評価というものが私たちにどういうものかよくわからない。この実績報告書に実績として示されているのがそれだと言えばそれで良いのかもしれないが、何よりも肝腎なことは、この前山上委員が言われたように、明らかになった課題が何なのかがわからない。この前山上委員が言われて早速資料を送っていただいたが、これが、法人としてどこまできちんと議論された課題なのかよくわからない。せっかく年度計画で課題を明らかにすると言われているわけだから、今年度はこれで良いと思うが、次年度以降、きちんとした形で出していただければと思う。これまで年度計画でいう自己点検評価の結果を拝見したことはない。先ほど申した通りこの実績報告書の実績欄がまさに自己点検評価結果という理解であるならばこの年度計画の書き方はややおかしいと思うのだが。
【法人】年度計画については、半年が経過した時点で振り返って、順調に進捗しているか、順調に進んでいない場合はどういった課題があるのか等を確認している。内部の点検なので、公表という形はとっていないが、ご指摘については検討する。
【川村委員長】この前山上委員が言ったとおり、何が課題なのかというのが問題なので、きちんとこれから毎年度明らかに、つまり法人が何を課題と認識しているのかという事が大切だと思うのでよろしくお願いしたい。
【山上委員】情報管理だが、この間も事件があった。世間で騒がれているベネッセは例外的なことだと思われると困るのだが、大学は、たくさん個人情報をお持ち。個々の皆さん方は、あれがそんなに重要な情報だというふうに、個々に差があるかと思うが、こういうミスが起きるということは、情報の価値というものが、どういう問題に発展する可能性があるかということをあまり意識されていないように思う。なんとなく事務的に単なる資料として扱われている。だからこういう事が起きると思う。そんなことを想像したくはないが、情報の管理の状態はそういう風になっていないと思うのだが、悪意を持った校内の誰かが、アクセスしてデータが取れるとしたら、危険性が少なくない。どこの社会でも。銀行でも外部の下請の人がやって、口座番号やいろいろなものが出て事件になった、それは銀行の責任になる。今回のベネッセも下請け。情報処理については、大学の場合は中でやっているかもしれないが、中だって危ない。個人情報というのはそれくらい大変なことで、大学の中には個人情報が沢山あり、単なる話だけで啓発していくだけでは限界があるので、きちんと押さえておくという事は必要。事件が起きてからベネッセのように200億の金を用意するという話は、大変なこと、個人情報というのは本当に怖いということをあえて申し上げておきたいと思う。過去には同じようなことが大学であり、今後起きない保証はない。いろいろな手を打っておられると言うのだけど、最終的に個人の能力や責任感に頼ってしまうというのは限界があるので、しかるべき立場の人が、重要な情報についてはチェックしていく。重要であるかという識別も、整理されていないのかなという感じがする。この間も市大の学生さんに対する、限られた人数の限られた情報だったので、あまり大きな問題にならなかったのだが、銀行の名前と支店の名前が漏れるという事は大変なことだ。それがすぐに犯罪につながるという事にはならないが、その情報と、もうひとつ別の情報がかみ合ってくると事件になっていく。現にそういう事件もあったので、情報の重要性をもう一度整理して、しっかりとした管理体制をとっていかないと、また同じような事件やもっと大きな事件が起きないとも限らない。患者さんの情報もあるから、ものすごいと思うのだが。お互いに信用していて、そんなことをするはずがない、起きるはずがないとお互いに思いがちで、特に大学のような優秀な人が集まっているところでは、お互いにそういう信頼関係で仕事をしているが、起こりえないではなくて起こりうる。甘く考えない方が良いかなと思った。
【川村委員長】法人には問題の厳しさをよろしく認識していただきたいと思う。本日も貴重なご意見をたくさんいただいた。まだまだご意見はあろうかと思うが、本件については以上で議論を終了する。ついては、事務局で今日の意見を整理し、先ほどの桐野委員のご意見も伺い、それで全体の評価案の作成をお願いしたいと思う。事務局からそれが送られてくるので、ご覧いただいてご意見をいただきたいと思う。

議題3:平成25事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について

【川村委員長】設立団体の長である市長が、財務諸表の承認を行うにあたっては、法人評価委員会の意見を聞かなければいけないという事になっている。前回の委員会で、財務諸表及び利益処分の承認について法人の方から説明があり、ご議論頂いたわけだが、このことについていかがか。
【山上委員】私は結論的には大学のご意見でよろしいかと思う。気になったのは給与のことで、国の基準に合わせて給与の見直しをして人件費が減った。その分をどういう風に考えるのか。これはすべて大学の努力でこういう利益が出たので、将来のために使うんだというのだが、あれは積極的に努力をしてそうなった利益ではなく、結果として経費がそれだけ浮いてきて利益に反映されている。それを含めて、そういう風に考えても良いのか。少しきつい言い方をして申し訳ないが、もし第三者だったらそういう風に考えるのではないかと思う。あれは、横浜市からの運営交付金に調整されていない要素。全く関係ない。結果として給与が減ったのだが、減った中で頑張ったから良いのではないかという考え方。それもすべて法人の努力結果としてこう出たという考え方ならそれで良いが、積極的な努力の結果というよりは、やや消極的な結果利益のように思った。
【法人】給与の減額については、まず国家公務員が行って、初めは地方自治体には波及させないという事だったが、結果的には地方自治体にも要請がなされた。横浜市は、国の最終的な要請に従ったわけだが、設立団体がそのような対応を行ったということで、横浜市職員の身分を持っている派遣職員は、自動的に減額になった。問題は、大学の固有職員だが、横浜市としては大学の判断に任せるということであった。そういう中で、私どもは独自の判断で組合に正式提案し、なかなか説得する材料がない中で、やはり同じ職場で働いている仲間であり、チームワークで仕事をしている現場を考えると、何らかの歩み寄りがあって良いのではという趣旨で組合と協議し、何とか納得していただいた。本学の固有職員が給与の減額に理解を示したことについては、私としては評価したいと思っている。
【川村委員長】同じようなことが国立大学にもあった。国立大学にも職員が2種類あり、承継職員、つまり法人化以前から国家公務員として勤めていた人とその後に採用された職員と2種類あるが、いずれにしても今回給与の減額を国から求められたということで、国立大学の場合は、相当大学の財政状況によって実施にばらつきがあった。正直言って東大のような大きな大学と、そうでないところでは実施時期も違った。いろいろな大学間で差が出てしまったが、何らかの形で実施している。本学の場合も、法人がおっしゃったように固有職員がいるから非常に大変だったと思ったのだが、私はよくやられたなと思って、これだけ努力をされたのだから、これは良い形で教育研究のために使っていただきたいと思っている。
【山上委員】国なんかは補助金を減らすとか、そういうことをやらないのか。
【川村委員長】運営交付金の減額だ。何種類かの職員が入っているので、この職員を減らすからこちらは減らさないということができない。
・事務局より「財務諸表及び利益処分の承認についての意見書(案)」について説明し、承認を得た。

議題4:その他

【川村委員長】予定された議事は以上だが、他に何か。先ほどの評価の資料3のAにするか、Bにするかというところは、桐野委員のご意見を伺って改めて決めさせていただいて、それを皆さんにお伺いするという事でよろしいか。
【蟻川委員】評価は終わったが、気になることがあるので発言したい。入試改革をやって、一時志願者が減って今年少し戻った。公立大学は、市からの運営交付金があるが、私学の場合、授業料収入や受験者の受験料などを基盤にして運営している大学では、受験者が激増激減するのは、経営に影響するゆゆしき問題だ。入試改革の為なのか、それが大きな原因と思うのだが、受験生をいかにして獲得できるかという、前向きな受験生確保に向けての努力というのが見えてこない。教育内容とか大学に魅力があることによって受験生が集まるのが、本来の基本的なものだと思う。それがたまたま入試改革による試験科目が増えた事によって激減したかもしれないが、よく調査して、大学というのは受験者をいかに増やすか、多く集まれば優秀な学生が受験する事にもつながるので、学生の質を高めるためにも受験者数を増やす事は大切だ。良い教育をしている、魅力ある大学だ、キャンパスの環境も良いことを、もう少し受験生にアピールする、広報などに投資をすることも大事ではないかと思う。
【法人】広報に関しても、今まであまり県外でやっていなかったのだが、父母会というのを地方でやって、地方の予備校にも顔を出して、受験生との広報を去年から初めて、今年は3か所、長野と広島と福岡でやることになっている。
【蟻川委員】少し地方回りをして、受験生をいかに獲得するか、作戦が必要である。限られたパイを皆で奪い合うので、どこの大学も大変なのだが、ここも競争しないといけないのではないか。そこに少しお金をかけても良いのではないかと思う。
・事務局より、次回スケジュールの確認をした。
【川村委員長】以上で第57回横浜市公立大学法人評価委員会を終了する。

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