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第55回 横浜市公立大学法人評価委員会 会議録

最終更新日 2018年12月27日

【日時】平成26年5月13日(火曜日)10時から12時
【会議室】関内中央ビル3階3A会議室
【出席者】川村委員長、蟻川委員、岡本委員、桐野委員、山上委員
【欠席者】なし
【開催形態】公開(傍聴者0名)
【議題】
1.第54回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
2.公立大学法人横浜市立大学平成26年度計画概要について
3.横浜市公立大学法人評価委員会の評価の考え方と進め方について
4.横浜市公立大学法人評価委員会の中間評価の考え方と進め方について
5.地方独立行政法人法第42条の2第1項に基づく、出資等に係る不要財産の出資等団体への納付について
6.その他

【配布資料】
資料1.第54回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)(PDF:263KB)
資料2.公立大学法人横浜市立大学平成26年度年度計画(PDF:504KB)
資料3.公立大学法人横浜市立大学平成26年度年度計画概要(PDF:1,013KB)
資料4.横浜市公立大学法人評価委員会の評価の考え方と進め方(PDF:193KB)
資料5.横浜市公立大学法人評価委員会の中間評価の考え方と進め方(PDF:93KB)
資料6.地方独立行政法人法第42条の2第1項に基づく、出資等に係る不要財産の出資等団体への納付について(PDF:499KB)
資料7.平成26年度横浜市公立大学法人評価委員会スケジュール(案)(PDF:257KB)
・「地方独法の改正に伴う不要財産の納付についての意見書(案)」(PDF:94KB)

議題1:第54回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について

・事務局から、資料1「第54回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)」について説明し、承認を得た。

議題2:公立大学法人横浜市立大学平成26年度計画概要について

・法人から、資料2、資料3について説明した。

【蟻川委員】人材育成で、職員の意欲や能力を高めるための各種制度の改善、YCUミッションの一層の共有とあるが、私の大学でも職員の研修に非常に力を入れている。私立大学連盟では、各年齢層の方を対象とした研修を行っている。教員も教育方法の向上を目指してFDで、事務職員はスタッフ・ディベロップメント(SD)で研鑽を積んでいる。ほとんど定年まで勤務するが、数年ごとに課を移動することがひとつの研修ということで、大学内のいろいろな事務の勉強をしてもらっている。横浜市立大学の場合には、市からの派遣者は、また市に戻るわけで、そういう方の研修はどのように行われているのか。

【法人】法人独自で階層別の研修、あるいは基礎研修を実施している。また、昨今新人の育成が問われており、新人を育成するトレーナーを対象としたOJT研修など、先ほど委員からお話があったSD研修を基幹として様々な取組を行っている。公立大学特有の強みとして、横浜市と連携して法人固有の職員が、市の様々な研修にも参加できるような仕組を取っており、そういった様々な研修を総合的に行いながら職員の人材育成に努めている。

【蟻川委員】大学というのは教員がもちろん大切ではあるが、教員と事務職が一緒になって両輪として大学を運営していくのが今の時代は望ましい姿であろうと思う。私が学長時代には教職協働と言って、いろいろな委員会にも事務の方がオブザーバーの形ではなく委員として入って意見を言っていただくというような体制を作って改革などを進めてきた。そういうことも最近ではいろいろな大学で行われているようだが、市大の場合には、大学の教育に関する委員会などで職員の方が発言する機会はあるのか。

【法人】教育研究会議や教育研究審議会、人事委員会等には事務職員も参加している。ただ教授会は教員のみで実施している。学術院に関する会議にも事務職員は参加している。法人化前は、確かに事務職員と教員とは制度的にも対等ではなかった。法人化によって、事務局もきちんとした物の考え方、教員と一緒に協働して大学を運営していくという姿勢が必要ということで、例えばCOCの事業なども、教員と学生と職員とが話し合って進めている。

【蟻川委員】それは必要なことだと思う。やってみて、それぞれ補うことがあるので、いろいろな意見を聞くことが大学の運営には必要であると感じた。このような体制は結構だと思う。もうひとつ、卒業生との関係強化というところで、同窓会はあるのか。

【法人】歴史的なものがあり、倶進会という医学部の同窓会と進交会というY校から商学部まで延々とつながっている同窓会があるが、なかなか最近若い人が入らない。やはり法人化を機会に大学全体として同窓会を作る必要がある。ただ、今までの二つの流れがあるので、それをまとめるというのはなかなか難しいので、後援会としてOB、父兄、職員も入った形のものを作りたい。ということが、ここに出ているOBとのつながりということになるのかと思う。

【蟻川委員】同窓会というのは、ひとつは大学を支援する目的があるかと思う。私どもにも100年以上の歴史をもつ同窓会がある。大学に奨学金を出したり学生をサポートしている。卒業生とのつながりが特に強い私立大学では、大学と同窓会の連携が強いところがある。親睦のためというだけではなく、大学を支援する形の同窓会を作って、OBの方が現役の学生を支援するようなことが望ましいと思う。

【法人】まさに公立大学はそれが下手で、今までほとんどできていなかった。私学のこれまでの歴史あるやり方等を勉強し、ぜひともこれからそういう体制を作りたいと思う。

【桐野委員】神奈川県域での取組で、県内の病院への医療人材配置とある。市大としては、横浜市の医療に一番興味を持っているのはよくわかるのだが、横浜市大のミッションは市を中心とする場合もあれば、県域あるいは関東一円、国あるいはグローバル化という意味では世界で活躍するような人材を育成したいという気持ちも入っていると思うので、具体的にどういうことを意図しているのか、例えば数字的に言えば、県からの地域枠を増やすというような考えなのか、人材配置といっても、大学としてお前ここに行けと言われても配置できるものでもないので、何か具体的に考えがあってこういうことを計画しているのかどうかということを伺いたい。

【法人】今まで教室や医局単位で医師を派遣するということが行われてきたが、ここは重要な病院として医師を派遣するという考えが大学と、教室の考えが場合によっては食い違うということが過去に起こってきた。それをある程度解消するための調整機能を持った地域医療連絡協議会というものを設けて、そこにさらに自治体、特に横浜市、あるいは県とのつながりを持って適正な医師の配置というものを目指して行こうという基盤はできてきている。ただそれは徹底してやっていく必要があると考えている。

【桐野委員】卒業生が漸増して90人にまでになる。もともと60人だったのが50%増になるということは、医師の卒後のキャリアというのは大学とのインタラクションが非常に大きい。大学側もそれをうまく教育する仕組とか外の大学と協力していく必要がある。もちろん90人出れば全員がどこかに就職して立派な医者になれると思うが、横浜市大を中心とするというものを作っていただければ非常に良いのではないかと思う。

【法人】ご指摘の通り、その方向でやっていきたいと思っている。

【桐野委員】総合診療医の育成ということが、全体の中で3か所も書いてあるが、これは確かに重要だ。一方で、重度外傷センター、ハイブリッド手術、ダ・ヴィンチなどの高度な医療に取り組むという方向が、これはもちろん大学病院である以上は当然だと思うが、その一方で総合診療医の育成というのは、どちらかというと地域に根差した現場で活躍できる医師を育成しようという考えだろうと思う。例えば、これは総合診療科の先生方にやってねと言えばハイと言ってうまくいくというものではないのではないかと思う。相当工夫してやらないといけないのではないかと思う。実際どういうものかということが、よく決まっていないところもあると思うので、そこのところの考えを教えてほしい。

【法人】総合診療医というのは、専門分化した医療の弊害を何とかクリアできないかという考え方で打ち出されてきたわけだが、ご指摘のように内科領域とか小児科領域でも、どういうものか望ましい総合診療の在り方なのか、いろいろ考え方が錯綜しているようで、私たちも今おかれている状況を踏まえて、何がベストなのかを考えていく必要があるかと思う。ただ一般的に言われている総合診療医には、一方では高度な医療をやりつつ、疾患を早期に発見する、わずかな変化を見逃さない観察力と論理的な推理力が必要なわけで、ある意味リサーチマインドと通じるものであって、決してどちらが上とか下というものではないと考えている。そういう意味では専門性はある程度深く持ちつつも、ジェネラルな見方も持っているという医師像が望ましいと考えている。

【桐野委員】今の所はすごく重要で、これまでの医学教育及び医療の在り方というのは、高度な医療を施す医師が先を行っている、本当の現場の幅広い医療というのはそれより下だというような漫然とした意識があった。大学が、そうではなくて、両方重要であると。もちろん前者も重要でこれが無ければ成り立たないが、後者もすごく重要で、今後は特に重要だということをメッセージとして出さないと、一段ステップダウンしたお医者さんのグループというふうになってしまうと、とても難しいのではないかと思うのでよろしくお願いしたい。

【法人】先ほどの補足ですが、市大として総合診療医の育成ということで言うと、今年度4月に総合診療医学教室を設けている。具体的な育成はこれから進めていくことになるが、市大として積極的に進めていくということを打ち出すために教室を設置したという点を補足させていただきたい。

【山上委員】大学を取り巻く状況を、先ほど説明してもらった。国も相当強い危機感を持って大学を改革していかなければいけないと色々提言し、第3次提言、第4次提言というものの内容について詳しく知らないが、社会の変化、世界の中での日本の教育の在り方について危機感を持ってきているという状況を踏まえて、横浜市大として、こうした国の政策や国の認識をどういうふうに受け止めて、計画の中にどのように反映されているのか。一言二言で触れるというのは非常に難しいと思うが、現に改革集中実行期に入るという時で、横浜市大がスタートした当時とは状況が変わってきているのではないか。環境の変化にどういうふうに取り組み、それを計画の中にどういうふうに織り込もうとしているのか、何を重要と考えているのか、漠然とした質問で恐縮だが聞いてみたいと思う。特に心配していたグローバル化。日本の大学は世界の大学と比べると、グローバル化が遅れているのではないか。横浜市大も相当国際化に力を入れてきたというのは事実だが、さらにスピードを上げていく必要があるのではないか。その時に市大のおかれている立場、環境だとか人材とかを考えた時に、国が考えているような、例えば東京大学のような日本を代表する国立大学が目指すべきグローバル化と横浜市大が目指すものとは自ずから違うだろうと思う。このような大きなグローバル化に対しては市大としてどのようなスタンスでどういう所に焦点を当てているのか。もうひとつは、研究の競争力。大学のランキングを見ると東京大学でも世界の中でもランクが下になってしまっているという実態がある。これは何とかしなければいけない。したがって研究体制も強化していこうということが言われているのだが、横浜市大の中で、当面どこに重点を置いて何をしていくのか、多分先端医科学研究センターを充実させていくというのがひとつの流れだと思うが、大学を取り巻く状況の変化というものをどういうふうに中期計画の中に織り込んでいるのか、26年度の中ではどこが織り込まれた施策なのかアクセントをつけてお話しいただきたい。

【法人】今、スーパーグローバル大学事業の調書を、理事長・学長をはじめ、三副学長と話しながら書きあげているが、国が言っているベースが、まずはガバナンスと大学改革をベースにして10年後にどのような大学を作っているかという話になっている。ガバナンスと改革に関しては、我々の法人化のところで既にやったことをまだ国立大学ではできてなくて、それを今実行しようというのが、意図ではないかという気がしている。そういう意味では、法改正の教授会の4つの権限、「単位認定」と「卒業要件」と「教育課程の編成」と「教員評価」で、本学で残っているのは2つだけである。人事と教育課程の編成も運営会議ないしは、学術院で議論される。学部を無くして教授会から人事権を無くしたが、それぞれのコースから次の時代にどういう教育の科目をやりたいか、教育の全体像を話してもらって、そこでここの分野の教員が足りないから欲しいというのを、毎月学長ミーティングで学長に直接上げられるようなことができている。学長が承認すればそれが人事委員会に発議書として上がって、そこから公募がスタートする。平成17年からスタートしてかなり学長のガバナンスの効いたものができている。その上で学校がグローバル化になるのならどういう手法が必要でどういう方向性を出していくかを考えている。これまである本学の強みは何か。それがグローバルにどう展開するかというところを考えると、国際都市横浜を担っている大学であり、かつ国際化という意味ではここ4年間GCIといって、アカデミックコンソーシアムを組織しアジア圏の大学を取りまとめる作業をしてきた。そこで都市問題に対しての共同研究を先生方にしてもらって、そこに学生を入れ、グローバルな地域と社会との接点を作ってその場で教育をしてもらうことを始めている。そこがある意味アジア圏の社会科学としての発展をする、そこには理系も医系も環境や公衆衛生を通してイノベーションとしての要素が入ってくるはずだ。もうひとつ、医系を代表とする特区の中でやっている再生医療は、かなり力はあると思っているので、イノベーションを図の右と左に持ってきている。グローバル大学としては、学生が社会を知って自分の考えをしっかりと持って、それを今の作業言語である英語ではっきりと主張できる、そういう学生を育てるというものはあるが、それだけだと一般的な国際教養大学になってしまう。そこにプラス、専門性が市大にはあるというふうに自負している。理系、文系、商学系、医系、特に生命医科学の分野では研究面でかなり強いという自負があるので、そこを伸ばして一般教養的なしっかりした教育と研究面、専門性というのを付け加えた大学で10年後は発展していきたいと計画している。研究面では、2,3年前からURAというようなシステムを入れて、市大のどこに強みがあるか把握し、やはり生命科学分野と医療なので、まずはその分野を強めていく。鶴見でも日本の中の3か所のNMRの拠点の一つとなっており、十数億円の予算をもらってきているし、先端研では再生医療で谷口先生はかなりのお金を持ってきている。また、先端研ではプロテオーム解析で文科省のイノベーションシステム整備事業をやっているということで、教員一人当たりの研究費の獲得は常に20位以内に入っている。そういう意味では、大学改革のスタートを早く切ったので、これをどう発展させていくかというところだ。あとは、職員の研修制度も上げていかなければいけない。職員をどううまく教育していくかというところが大きいと思う。その人たちの作業言語である英語力とか、海外研修なども充実する必要があると思っている。

【川村委員長】今日はたまたま年度計画の話だが、この後で中間評価ということもあり、3年後には次期の中期計画もある。やはり中間評価をする時の大きな物の見方、次期の中期目標を立てる時の基本的なスタンスというところに密接に係わる問題。そういう機会にもそうした観点からのご意見をいただければありがたい。

【岡本委員】大学を取り巻く状況のところで、社会の人材育成、中小中堅企業の国際化とある。日本の製造業等大規模の製造がみな海外に拠点を移してしまって、日本のウリはソフトや中小企業の技術になってきていると思う。地域の協働という所で、地元企業との関係強化とか地域活性化ということと、大学のグローバル化ということの結びつきについて、グローバル化に関して横浜という国際都市について、例えば都市問題の話は人文的な分野だ。理系的な大学の強みというと、私は医学系が前面の印象を受ける。一方で国際総合科学部という科学という理系の名前がついて、ここは文系理系両方を学際的にやって、どちらでも対応できる人材を育てるということだが、医学系以外の理系をどういうふうに位置づけていくのか。人文系の方がこの大学が強いのなら、この学部の名前の問題も話し合われていると思うが、それについてどういうふうに考えているのか。

【法人】基本的に理系では生命医科学をやっているが、生命医科学は、数学、物理、化学ができないと発展しない。ですから教育が必要。その中で発展しないから、無くしてしまうとどうなのかというと、それは全くないことで、そこをやっていかないと絶対に困る。日本は弱いといわれているが、結局、材料は日本。中国でiPadを組みあげているが、その中のカラーフィルター、色素、パネル、材料を作っているのは全部日本製である。その辺の必要とするところはたくさんあって、だからうちの科であっても材料と計測は発展性があるところだと思う。それぞれの専門の基礎的な教育をしてもらって、それぞれの先生が発展性のある分野で研究を進めてもらう。あと、計算科学はパワーを持ってやっている。その成果は見せ方で出ていないというのはご指摘の通りであるが、まだまだ材料系では重要性はある。

【法人】付け加えると、医療というのは社会科学的な側面があって、医学部というと理系と切って考えるというのは間違いで、社会システムがないと医療制度も違ってくる。従来は医師というと医者が臨床の現場で貼り付けになって、実は社会インフラというものが非常に重要だが、そこのところに及んでいないというのが日本の医療の問題のひとつだと考えている。そういう場合に、国際総合科学部で培われてきた社会科学。モデルを立てて検証していくという態度は共通で、ますます領域有望的な研究開発で、その中でうちの大学のひとつの弱みでもあり強みでもあるのは、そんなに大きな大学でないということだと思っている。国際総合科学部は、旧商学部系と文理学系が結合したが文理学部の時代は非常に融合的な教育がなされてきたということがあった。そういうのが、小規模な大学である本学の強みにもなるし、ひいては医療や社会科学系の強化にもつながる。しかもグローバル化との関係だが、私のサイエンティストとしての経験からはっきり言えるのは、非常に深い間口の狭い個別的な専門性の高いことをやっていて、ある時点で非常に普遍的な広がりを持つというものが学務ではないか思っているので、この横浜という現場があって、それを深く追及することによって場合によっては世界にも役に立つような治験が積みあがってくるかもしれない。そういうことが本学におけるグローバル化の姿勢だと考えている。

【川村委員長】大変格調の高い話でいろいろ関心のあることだが、時間の関係もあり、本日は26年度の年度計画について伺いたい。年度計画の概要をお示しいただいて、その具体的な内容は年度計画そのものに示されているということだが、よく見ると双方は必ずしも一致していないように思われる。この膨大な年度計画の冊子の中で特に重点的にやりたいということが概要に示されていると思うのだが、例えば今回の概要ではCOCのことが大きく取り上げられている。昨年文科省で採択になったからだが、本来の年度計画にはCOCというまとまった記述は無い。あちこちにぱらりぱらりとあるだけで、せっかくのCOCへの26年度の具体的取組みは、年度計画を見ただけではよくわからない。確実に毎年事業を積み上げていくことを考えると、この両方の資料の連携をさらに緊密にしていただければなお理解しやすいのではないか。

議題3:横浜市公立大学法人評価委員会の評価の考え方と進め方について

・事務局から、資料4について説明した。

【川村委員長】この委員会は、発足以来こういう基本的な考え方や進め方に基づいて評価をさせていただいているが、26年度もこういう形で前年度に引き続いて評価をすることでいかがか。文言は基本的にこれまでと変わっていないが、先ほど山上委員が発言された環境の変化云々というところが重要なことで、法人の方もそうした環境の変化に柔軟に対応しつつ進めいただければありがたいと思う。このような形で26年度も作業を進めるということにするので、よろしくご協力をお願いしたい。

議題4:横浜市公立大学法人評価委員会の中間評価の考え方と進め方について

・事務局から、資料5について説明した。

【川村委員長】中間評価というのは6年に1回行うものなので、資料の作り方が毎年度の年度評価とはちょっと違っている。わかりやすくまとめてもらっているが、こういう考え方で今年の秋に中間評価を行うことでいかがか。

【山上委員】第1期で中間評価をやった。基本的には同じか。

【川村委員長】同じだ。

【山上委員】これはよくまとまっていると思うので、私はよいと思う。したがって、今年度は26年度の年度の評価とこの中間評価と2つ作業があり大変なことになるかと思う。

【川村委員長】この原案で結構だが、気になる点があるとすれば、これはあくまでも過去3年間の振り返り評価になっているが、実質的には次期の第3期中期目標を立てる材料にしたいということだと思う。そこにどのような新しい視点、観点が入れられるのかと。今読んでいただいた「ア~ウ」までは、2期の目標計画を作る時に指摘された事項だから問題ない。「ケ」の所で、しかしその後の情勢変化、先ほど山上委員の発言にあるように環境が大きく変わっているわけで、その辺のことを新しい視点としてどう取り組もうとしているのかということである。原則は過去3年を振り返るということになっているので、そこの所は多少気にはなっている。ご承知の通り、他の大学、国立大学もそうだし、他の公立大学のほとんどはこの時点では評価をせず、4年目が終わったところで中期計画期間評価の事前評価ということで評価することとしている。これは次の中期計画立案のためには何が必要かという視点を中心にしていることだと思う。本学の場合はスタートの時にいろいろな経緯があって3年目が終わったところで中間評価をしようとしたということがあった。ただ現実的には次期の第3期中期期間の目標・計画の策定を見越した評価や提言を、先ほど山上委員の発言にある通り、入れ込みつつ行うということではないかという感じはしている。岡本委員はいかがか。

【岡本委員】前回参加していないので具体的にあまりよくわからないが、今の委員長の発言の主旨は、中間評価の目標自体を新しい目標の策定と考えても良いかということだろうか。ここに書かれているのは、目標達成するために環境変化によって今まで考えていなかった障害が出てきたので、それに対してどう対応していくかという新しい視点を立ててそれに取り組むかということか。

【川村委員長】第3期の目標には当然第2期の実施状況を踏まえた、さらに進化した新しい要素が加わってくると思う。そういった新しい視点、観点となるようなことについても今回の中間評価でふれておいたほうが良いのかなと思ったりしている。まったく過去3年の振り返りだけを見るというのもどうかとも思う。

【岡本委員】法人側の報告書も当然そういうことは当然念頭に置いて書いていただく。

【川村委員長】法人には、新しい問題意識が中にどんどん醸成されていると思う。

【山上委員】資料の3ページの一番最後に書いてある、中期計画の策定当初には想定していなかった事項に対して、新たな視点を持って取り組んでいるか。この辺は簡単に文章が書いてあるが、この辺に重きを置いた見方は必要だと思う。

【川村委員長】法人でそういう意識を持って考えていただきたい。

【法人】ある意味想定外というニュアンスは入っている。今の状況からすると次の中期計画はこういう方向を目指すべきだという考え方は私たちの中にはあるわけなので、それをどういう風に評価すべきかというのはわかると思う。

【川村委員長】そういうことも含めて、ただ今いただいた資料に基づき評価をするようにしたい。

議題5:地方独立行政法人法第42条の2第1項に基づく、出資等に係る不要財産の出資等団体への納付について

・事務局から、資料6について説明した。

【山上委員】老朽化で耐震対策が必要だということで、そういう意味で何らかの手を打たなければいけないということはよくわかるが、学生さん方にとって、本当に寮は必要無いのかという所の説明が十分ではなかった。実際に使われていない、入っている学生はいないというのが何年も続いているとかその辺の説明がなかったので、どういう状況なのか、実状を説明してもらいたい。

【法人】廃止の時には、例えば男子寮だと定員が70名のところ48名が入っていた。女子寮は定員30名のところ21名というような定員を割っているような状況で、このことは最近学生さんの住まいに対する考え方が変わってきているのではないかと思う。

【山上委員】学生さんの声は聞いたのか。

【法人】丁寧に聞いた。47年前後に建てたが、その当時の金沢区周辺の学生のアパート等の状況と今の状況はまったく変わっている。寮生活や団体生活が苦手になってきている事実がある。その中で大規模な改修建て替えとなると、特定の100名程度の学生に対しては手厚いサービスになるが、財源を使うなら約5000人の学生に対して広く何らかの形で同じ還元したいという判断が当時あったのでこのような判断に至った。

【蟻川委員】寮も難しいところで、バブルのころは寮を避けてマンションを借りたいという学生が増えて寮が一時減った。最近は少し寮の需要が経済不況などで出はじめているようだ。それとともに、寮を一つの国際化の拠点とするような発想もいろいろな大学で行われていて、留学生と日本の学生がそこで交流できる場としている。また、経済的に不安定な学生に安い価格で提供するというのも、他の国立大学でこの間話題に出た。寮を建て替えて経済的に困っている優秀な学生に提供したい。寮が老朽化した時に大学はいろいろな今後の対策を考えていくことは事実だろうと思う。確かに老朽化が進んでいる、耐震構造ができていないという理由だけで廃止するというよりは、もう少し教育的な見地で判断された方が良かったのではないかと感じる。

【桐野委員】蟻川委員が言った通りに思うが、昔が良かったというわけではないが、我々よりもう少し先輩の方は、大事なことはほとんど学寮で勉強したというぐらいに重要な存在だった。もちろん今の学生の考え方はまるで違うので、同じものは全然だめなのだが、せっかくある土地を例えば民間資金を使ってうまく活用するとか、いろいろな方法があって、もちろんお金が無かったのだろうけれど、ちょっと2億円のものを売り払ってしまうのは、買おうと思って買えるものではないから、大学にとってはとてももったいない気がする。お金の問題というより、土地を更地にして入ってくる人がいないというのなら全然別だが、いろいろな工夫によって物は建つと思う。建つものをどう運営するというのは、なかなかこれも工夫がいるとは思うが、ちょっともったいないと思う。いくらでも土地があるというのなら話は別だが、横浜の町の中だからそんなに大きな土地が空いているとは思えない。

【蟻川委員】今学生が個室を希望して、二人部屋とかに入らなくなった。だから私の大学も二人部屋を個室にして、今みな個室。個室であっても共同生活をすることは非常に大切なことであって、今コミュニケーションができないという学生が増えている中で、寮生活の必要性がまた顧みられていることは確か。老朽化した寮を今風の学生のニーズに合うようなものにすれば入る学生はいると思う。今の寮を見て、この寮は必要かどうかと聞いたら、学生は老朽化した寮には入りたくないと言うが、こういうふうな寮を作るけどどうかという言い方をすれば多分需要はもっとあるのではないかという気がする。

【岡本委員】今、留学生の方の住まいはどうなっているのか。

  • 【法人】紹介はしているが、自前で持っているというわけではない。

【岡本委員】紹介をされて、皆さんうまく希望する低価格でみつかっているのか。

【法人】実際には特に問題はない。留学生の8割9割は中国や韓国の方で、特に中国系の方だと、横浜中華街などに親戚等がいる方もいて特に不満等は聞いていない。交換留学生については、宿舎を借り上げている、あるいはあっせんや紹介している。宿舎はあった方がよいかもしれないが、特に留学生だけが住まう会館というよりは、留学生が日本の地域に溶け込んで生活できる、あるいは仮に寮を作るにしても、日本人と留学生とが一緒に生活できるような大きな宿舎を作るのも良いが、実状からいうとそこまでできる状態ではない。

【川村委員長】留学生も入れる宿舎は大学の周りには全く無いのか。

【法人】横浜国大が大規模な留学生会館を弘明寺に持っているが、その一部を優先的に借り上げるという制度はある。

【川村委員長】国大の弘明寺の国際会館は確かPFI方式で作ったと思うが、日本人学生と留学生が一緒に生活する場所ができたということで評価が高いと思う。私は現在のこの場所は宿舎として適地であるかどうかという問題もあるようなので、ここに新しい宿舎を整備するということではなく、これを処分財源として新しい学生の留学生会館を作るという発想で行くのはどうして困難なのかと思う。先ほど桐野委員も発言したように、みすみす2億円のお金を返してしまうのではなく、それを処分財源にして新しい留学生会館を作る。それで財源が足りなかったらPFI方式で民間資金を入れるとかそういう風な取り組みというのは無理なのか。

【事務局】市大も長く議論し、この決定を導いてきた。これは普通財産で横浜市に入るので、今度その土地をどう利用するかという話がまた出てくると思うが、そこで市大の話が出てきにくいのは事実。この決定は決定として理屈をきっちりと固めて今後の学生の住環境のニーズに関しては、必要であれば新たな考え方を打ち立てる。

【川村委員長】留学生の大半が中国、韓国、台湾系だと。それは日本に来ている留学生全体の傾向からしてそのとおりだったが、最近の社会情勢の中で、中国からの留学生が急激に減りつつあり、一方ベトナム等が急増している。留学生は、中国、韓国、台湾という概念も変わりつつある。また、留学生の受け入れ数をここ10年で倍増しようという国の明確な方針が示されている。そうした国の方針もさりながら、本学としてはやはり国際都市横浜で幅広い国々からの留学生を意欲的に増やすことは非常に大切なことで、そうするとせっかくの2億円の財源が使えない。場所が悪いというのはよくわかるが、ここでやるということではなく、それを財源にして不足資金はさらに別途工面してということも考えられるのではないかと思う。

【山上委員】横浜市の行政改革の一環で、不要資産の見直しをする中で、たまたま取り上げられたのか。市に返して市はそれを売却する。それで財政の負担を少しでも減らしていくという流れの中でやることですということなら、それも一つの理由。ただ、学生のため、大学のために有効な使い方があるのではないか。仮に寮ではなくても、コミュニティの場にするとか、OBの為の会館のようなものはよく私立大学ではそういう会館を持っている。もっと卒業生の皆さんと実際の学生の交流の場にするとか、いろいろな工夫があるのではないかと思う。事務局長が言うように、わずか50人や100人の学生のために相当大きな経費をかけて寮を作り直すのはどうなんだろうというのは私も同感。銀行でも以前はたくさん寮があった。経営効率化の中で人員も減少し、売却して今は数少ないものしか残っていない。それはどうしても地方から優秀な人材を取りたいという目的で一定の人材を確保するために戦略的にということだった。今そういう時代ではないし、寮に入りたがらないこともある。なので無理にやる必要はないと思うが、そうでなくても市大は横浜市から相当大きな借金を背負って、物的にも資金的にも相当市に負担をかけているのだから、それを少しでも軽くするという意味では返すというのは一つのインパクトのある理由になると思う。返したものを横浜市が使うのではなくて、例えば行政改革の一環で売却をするとか、地域でもっと有効に使ってもらう意味で地域の皆さんに売却するとか、そういうようなことで行政上からやる理由が実は何かがあったのではないか。

【法人】実際廃止に至る過程では、廃止後の財産の取り扱いは当然検討し、寮に限らず大学内で何か別のもので活用できるのかという検討もした。横浜市として返された場合、市として何に活用できるか、全局、関係の区にも諮り結果的にはいずれも説得力あるメニューが出てこなかった。いずれにしても億単位のものを単純に返してしまうのは確かに大学としてもったいないという気持ちはあるが、国の法律が改正されて、市も受けるための条例を改正したり時間がかかったわけだ。本来だとこれを売却して、耐震工事に合わせた本学独自の工事や、あるいは医療機器の更新も第1期と比較すると2期は倍ぐらいのスピードで努めてはいるが、まだ十分ではないので、一部売却益を活用できないかといったこともあると思うが、今回はこれで整理し、今後の状況の変化によって留学生の寮や住まいの問題は大きいファクターだと考えているので、その時は横浜市に相談するということは本学の国際化にとってあるかと思う。

【山上委員】老朽化と耐震対策の必要性と書いているが、どの程度危険なのかよくわからない。実際これはのんびりしていられない問題なのか。地震がいつ起きるかわからない。仮に地震が起きて倒れるような状態を放置していたということになると、もっと大きな問題になると思う。とりあえず補強はしてあって震度6くらいまで耐えられることなのかよくわからない。

【法人】この建物は横浜市の所有であり、横浜市の耐震工事の対象物件になっていたが、あえて金をかけて耐震調査をするまでもないほど耐震性は悪いということで、使用廃止後は今の建物は使用していない。実は地元からも、使用させてほしいという要望もあったがお断りした。

【川村委員長】次の第3期計画を考えた時に、本学の国際化はこれまで以上に大きなキーワードとなるのではないか。特に留学生倍増計画、送り出す方も受け入れる方も含めて倍増するという大きな流れの中で、やはり本学にはしっかりした留学生会館は必要なのではないか。それを国大さんの会館に全部頼っていても良いのかという思いがあるのだが、今後の留学生の宿舎の対応はどのように考えているのか。

【法人】ひとつのアイデアとしては、留学生寮というかたちではなくて、例えば金沢区並木の団地は高齢化が進んで、かなり入居者が無くなってきている。そういう所を一括して借り上げて、国内の学生と留学生を混ぜて共同生活させるようなことが、COCの拠点形成でも考えており、その中で留学生の住居というのを考えていった方が将来的にも地域との連携や人との接点という意味でも効果があるのではないかと考えている。

【川村委員長】いろいろご意見が出たが、事務局より市長へ提出する本委員会の意見書案の説明をお願いする。

・事務局から、「地方独法の改正に伴う不要財産の納付についての意見書(案)」について説明した。

【川村委員長】留学生の宿舎問題はぜひこれから本腰を入れて対応していかないと、グローバル化、国際化というのが名前だけになってしまうおそれがある。それぞれ法人、設立団体ともにここでの様々な意見を十分今後に生かしていただくということを前提として、意見書としてこういう形にまとめることでよいか。

・「地方独法の改正に伴う不要財産の納付についての意見書(案)」について、承認を得た。

議題6:その他

・事務局より、次回スケジュール確認をした。

【川村委員長】以上で第55回横浜市公立大学法人評価委員会を終了する。

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