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第2次住宅政策審議会答申

最終更新日 2019年4月2日

平成12年12⽉11⽇「横浜市における今後の⺠間住宅施策のあり⽅について(答申)」

中間答申

目次

民間住宅に対する施策の基本的な考え方
1 行政の関与の考え方-行政と民間との役割分担-
2 民間住宅に対する基本的な考え方
(1)住宅の質の向上への対応
(2)住情報の提供・相談体制による適切な住まいづくりの選択の確保
(3)少子・高齢化への対応
(4)既存住宅の有効活用への取り組み
(5)住環境等の改善・保全の誘導

持家戸建て住宅に対する施策のあり方(PDF:502KB)
1 持家戸建て住宅に対する施策展開の基本的な考え方
(1)持家戸建て住宅の現状
(2)行政の関与の考え方-行政と民間との役割分担-
(3)持家戸建て住宅に関する取り組みの方向
2 今後取り組むべき施策の具体的な内容

分譲マンションに対する施策のあり方
1 分譲マンションに対する施策展開の基本的な考え方
(1)分譲マンションの現状
(2)行政の関与の考え方-行政と民間との役割分担-
(3)分譲マンションに関する取り組みの方向
2 今後取り組むべき施策の具体的な内容

民間賃貸住宅に対する施策のあり方
1 民間賃貸住宅に対する施策展開の基本的な考え方
(1)民間賃貸住宅の現状
(2)行政の関与の考え方-行政と民間との役割分担-
(3)民間賃貸住宅に関する取り組みの方向
2 今後取り組むべき施策の具体的な内容

横浜市における民間住宅の現状
参考データ
用語解説

「横浜市における今後の民間住宅施策のあり方について」(答申)

民間住宅に対する施策の基本的な考え方

横浜市の住宅政策は,「ゆめはま2010プラン」や「横浜市住宅基本計画」にもとづき,市民の生活の拠点である住宅や住環境がよりよいものとなり,市民が安心して住み続けられることを目標に進められています。
しかし,近年の少子・高齢化の進展など社会情勢の変化や,阪神・淡路大震災を契機とする安全性に対する市民ニーズの高まり,築20年から30年以上を経過し改善時期を迎える住宅の増加など,住宅政策をとりまく状況が変わりつつあります。また,国においても住宅宅地審議会から答申が出され,住宅政策の転換が提言されたところです。
このような状況の変化を踏まえた的確な対応が求められており,特に,市民のうち9割が居住する民間住宅に対しては,市民ニーズを把握した上で,行政と民間との役割分担のあり方にも留意しながら,施策を効果的・効率的に推進していくことが必要です。
本審議会では,平成9年7月23日,横浜市長から「横浜市における今後の民間住宅施策のあり方について」の諮問を受け,「持家戸建て」「分譲マンション」「民間賃貸住宅」を順次検討することとし,平成10年9月21日「持家戸建て住宅に対する施策のあり方」について横浜市長に答申しました。
続いて,「分譲マンション」について審議を進め,平成11年10月26日「分譲マンションに対する施策のあり方」について答申しました。
さらに,最後の諮問項目である「民間賃貸住宅」について審議を進め,既に答申した内容と併せ,今回最終的に答申するものです。
答申では,まず,民間住宅に対する施策の基本的な考え方として,行政の関与の考え方や民間住宅に対する基本的な考え方を示し,これに基づき,「持家戸建て住宅」「分譲マンション」「民間賃貸住宅」に対して,それぞれの項目ごとに行政の関与の考え方や取り組みの方向,今後取り組むべき施策の具体的な内容を示す構成となっています。
この中で,重点的に取り組む必要のある事項については,「重点施策」として示しましたので,施策の実現化に向けて優先的に検討を進め,具体的な措置を講ずることを期待します。
また,答申の中で示した今後取り組むべき施策の具体的な内容については,積極的に施策化を図るとともに,その施策についての効果検証を行い,達成度合いを評価していくことを望みます。

民間住宅は,基本的に私有の財産であるため,所有者,区分所有者あるいはその管理組合が自らの責任において,住宅の取得や選択,維持管理を進めていくことが基本となります。
しかし,民間住宅の市場の中では,住宅に関する情報などに不足する市民が,適正な判断のもとに住宅の選択や契約の締結を行うことが難しい場合があるため,住情報の提供や相談体制の整備を行うことが必要です。
さらに,住宅をとりまく社会的な課題として行政の関与が必要と考えられるものは,環境問題への対応,高齢化への対応,防災性の向上,住環境の整備や改善・向上,住宅性能の確保などが挙げられます。
また,所有関係別・戸建て住宅や共同住宅といった建て方の形態別に見ると,「持家戸建て住宅」「分譲マンション」においては,高齢化への対応や耐震性の確保など,社会的な影響の大きい問題に対しては,情報提供や相談体制の充実に加えて,資金融資や助成などの対応が必要です。その中でも「分譲マンション」は,区分所有・集合居住であることから,関係者間の合意の形成や権利の調整を図る必要があり,良好な維持管理がなされない場合には,マンション自体の劣化が進行するだけでなく,周辺の住環境にも影響を与えることになります。そのため,管理組合自らの適正な維持管理活動に対して支援を行うとともに,法律,税制面での対応について国への働きかけを行うなど,国との連携をとりつつ施策展開を図る必要があります。さらに「民間賃貸住宅」においては,依然として居住水準が低いことなどから高齢者世帯やファミリー世帯向けの良質な住宅の供給を誘導するため,公的な支援を適切に行っていくことが必要です。また,家主と入居者の意向の相違等による賃貸借契約や家賃等の設定についてのトラブルを防止するため,双方に情報提供を行うなど行政の適切な関与が必要です。

1の行政関与の考え方(行政と民間との役割分担)を踏まえ,民間住宅に対する基本的な考え方としては,以下の事項が考えられ,これらの基本的な考え方に基づき,今後取り組むべき具体的な施策の内容を,「持家戸建て住宅」「分譲マンション」「民間賃貸住宅」それぞれの項目の中で提言しています。
(1)住宅の質の向上への対応
住宅の質を示す指標として,住宅の広さといった住戸規模の他,安全性・耐久性などの建物の性能,快適さを担保する遮音性・採光性,省エネルギーや高齢化等の社会的な課題に対応した性能などが考えられます。住戸規模については,依然として水準の低い民間賃貸住宅を中心に住戸規模を引き上げるなどの施策を引き続き進めることが必要ですが,住戸の広さだけでなく,市民がより安全・快適に居住できる住宅,さらに高齢化の進展などに対応した住宅,といった総合的な住宅の質の向上を目指していくことが必要です。
以上のことから,民間住宅における「住宅の質の向上への対応」としては,
1.安全・快適に居住できる,「質」(住宅性能・設備)の高い住宅の供給を誘導すること
2.高齢化や環境問題など社会的な課題に対応した住宅の供給を誘導すること
が基本的な考え方として挙げられます。

住宅の質の向上への対応
1.安全・快適に居住できる,「質」(住宅性能・設備)の高い住宅の供給を誘導すること
【持家戸建て住宅】
  • 行政による検査体制の強化(重点(3))※1
  • 住宅性能表示・保証制度活用の推進※1
  • 健康住宅対策指針の策定(重点(6))※1
【分譲マンション】
  • 良質な新築マンション供給に関する情報提供の推進
【民間賃貸住宅】
  • ヨコハマ・りぶいんの家賃制度の見直しによる積極的な供給継続
  • 良質な賃貸住宅供給に向けた情報提供・相談体制の整備
2.高齢化や環境問題など社会的な課題に対応した住宅の供給を誘導すること
【持家戸建て住宅】
  • 住宅における環境対策の情報提供の充実※1
  • 高齢者の資産活用によるバリアフリー化推進
【分譲マンション】
  • 高齢化対応改善の普及促進
【民間賃貸住宅】
  • 高齢化対応改善の普及促進

(2)住情報の提供・相談体制による適切な住まいづくりの選択の確保
民間市場の中で市民が自らの選択で適切な住宅を確保するためには,身近なところで気軽に相談ができ,信頼性のある情報を分かりやすく入手できる住情報の提供や相談体制の整備などの取り組みが必要です。
また,住宅に関する情報は広く多岐にわたって存在することから,きめ細かな対応を図るため,様々な民間団体や関連機関との連携・協力体制を整備することが必要です。
以上のことから,民間住宅における「住情報の提供・相談体制の整備による適切な住まいづくりの選択の確保」としては,
1.市民が身近なところで気軽に相談でき,情報を分かりやすく安心・的確に入手できる総合的な住情報提供・相談体制を整備していくこと
2.民間団体や関連機関等との連携・協力による住情報提供・相談のきめ細かな対応を図っていくこと
が基本的な考え方として挙げられます。

住情報の提供・相談体制による適切な住まいづくりの選択の確保
1.市民が身近なところで気軽に相談でき,情報を分かりやすく安心・的確に入手できる総合的な住情報提供・相談体制を整備していくこと
【持家戸建て住宅】
  • ハウスクエア横浜を拠点とする総合的な住情報提供の推進(重点(1))
  • 行政が持つ住情報の積極的な提供※1
  • 住まいの相談員派遣制度の創設(重点(2))
【分譲マンション】
  • 分譲マンション基本台帳の作成
  • 管理アドバイザー派遣制度の創設(重点(1))
  • 管理ルール整備のための情報提供の推進
  • 横浜型標準管理規約の制定・普及(重点(2))
  • 高経年分譲マンションの維持管理に関する情報提供の推進
  • 建替え事業の実施に向けた情報提供の推進
【民間賃貸住宅】
  • 賃貸住宅の標準維持管理マニュアルの作成・普及(重点(5))
2.民間団体や関連機関等との連携・協力による住情報提供・相談のきめ細かな対応を図っていくこと
【分譲マンション】
  • 良好な管理組合活動実施への積極的支援
  • 専門家による適正なマンション管理実施の推進
  • 小規模マンションの維持管理活動への積極的支援
【民間賃貸住宅】
  • 賃貸住宅居住に対する総合的な情報提供・相談体制の整備(重点(2))

(3)少子・高齢化への対応
少子化に対する住宅施策としては,子育て世帯などへの支援として,融資などによる持家の取得を支援することや良質な賃貸住宅の供給などを今後とも進めていくべきですが,住宅政策として少子化対応を図るだけではなく,労働や福祉・保健などの諸施策を進めていく必要があります。
一方,横浜市における高齢化率は,全国値と比較して低くなっていますが,高齢者の単身世帯や夫婦世帯は確実に増加しつつあります。そのため,高齢者のいる世帯など必要な人にバリアフリーに関する情報を提供し,新築時のバリアフリー化や既存住宅のバリアフリー改修への誘導が必要です。また,高齢者が住み慣れた住宅・地域で安心して居住を継続できるよう,高齢者向けの住宅の確保や民間賃貸住宅への入居や居住に対する支援などが必要です。
以上のことから,民間住宅における「少子・高齢化への対応」としては,
1.多様な世帯が安心して快適に居住できるための取り組みを図ること
2.高齢者世帯の増加に対応した,住宅のバリアフリー化(新築・改修)を推進すること
が基本的な考え方として挙げられます。

少子・高齢化への対応
1.多様な世帯が安心して快適に居住できるための取り組みを図ること
【持家戸建て住宅】
  • 親世帯と子世帯との多様な住まい方への支援※2
【民間賃貸住宅】
  • 少子化社会に対応したヨコハマ・りぶいんのきめ細かな供給(重点(1))
  • 高齢者向け賃貸住宅の供給促進(拡充)(重点(3))
  • 高齢者・障害者等の入居・居住支援システムの確立(重点(4))
2.高齢者世帯の増加に対応した,住宅のバリアフリー化(新築・改修)を推進すること
【持家戸建て住宅】
  • 福祉,保健・医療,建築の連携による総合的な支援の実施(重点(7))※1
【分譲マンション】
  • 高齢化対応改修への資金的支援(重点(4))

(4)既存住宅の有効活用への取り組み
資源を有効に利用していくことや産業廃棄物を縮減することなどに対する社会的な要請が高まっていることから,既存の住宅を有効に活用していくことが重要です。そのためには,住宅の良好な維持管理活動を支援し,良質な中古住宅の流通やリフォームの活性化,円滑な住み替えを誘導するなど,国との連携をとりつつ総合的に既存住宅の有効活用を進める取り組みが必要です。
以上のことから,民間住宅における「既存住宅の有効活用への取り組み」としては,
1.国との連携により良質な中古住宅の流通の促進やリフォーム市場の活性化による居住水準の向上を図り,ライフステージやライフスタイルに応じた多様な住宅選択の機会を確保していくこと
2.住宅の新築をはじめ,維持管理,リフォーム,建替えへと至るまで,住宅のライフサイクルを重視した市場整備への対応を図っていくこと
が基本的な考え方として挙げられます。

既存住宅の有効活用への取り組み
1.国との連携により良質な中古住宅の流通の促進やリフォーム市場の活性化による居住水準の向上を図り,ライフステージやライフスタイルに応じた多様な住宅選択の機会を確保していくこと
【持家戸建て住宅】
  • きめ細かな住情報提供による住宅リフォームの支援
  • 地場住宅産業(工務店等)への支援
  • 修繕工事に関する情報提供・相談体制の充実
【分譲マンション】
  • 中古マンション流通の促進
  • 中古マンションに関する情報提供の推進
  • 中古マンションのリフォームの促進
  • 融資制度の充実や税制改正に向けた対応
【民間賃貸住宅】
  • 維持管理や計画的な修繕実施の普及促進
2.住宅の新築をはじめ,維持管理,リフォーム,建替えへと至るまで,住宅のライフサイクルを重視した市場整備への対応を図っていくこと
【持家戸建て住宅】
  • 木造住宅耐震診断士派遣事業の活用による耐震性の確保(重点(4))
  • 住まいのハンドブックの作成・活用(重点(5))※2
【分譲マンション】
  • 耐震改修工事に関する情報提供・相談体制の充実
  • 耐震改修工事への資金的支援(重点(3))
  • マンション再生事業の普及推進
  • 再生事業に対する資金的支援
【民間賃貸住宅】
  • 耐震改修に関する情報提供の推進

(5)住環境等の改善・保全の誘導
戸建て住宅地やその隣接地におけるマンション等の中高層建築物の建設に伴う日照・景観・工事騒音・通風など様々な近隣トラブルに対しては,建築主への計画の配慮を求めるとともに,法令等に関する市民の十分な理解を得るための情報提供・相談体制を整備することなどにより,紛争の未然防止に努め,近隣関係の保持と良好な住環境の形成を目指すことが必要です。
また,住民の街づくり活動の機運を高め,地区計画制度の活用などにより,良好な住環境の保全やより良い住環境の形成を誘導するとともに,既成市街地における老朽住宅の密集や狭あいな道路の存在による防災上の課題などを抱える住宅地においては,防災性の向上など良好な住環境への改善を誘導することが必要です。
以上のことから,民間住宅における「住環境等の改善・保全の誘導」としては,
1.近隣紛争への的確な対応を図るとともに,紛争の未然防止に努めていくこと
2.地域特性やまちづくり活動と連動した住環境の改善・保全を誘導すること
が基本的な考え方として挙げられます。

住環境等の改善・保全の誘導
1.近隣紛争への的確な対応を図るとともに,紛争の未然防止に努めていくこと
【持家戸建て住宅】
  • 良好な近隣関係保持のための相談体制の充実
【分譲マンション】
  • マンション建設にかかるトラブルへの対応
2.地域特性やまちづくり活動と連動した住環境の改善・保全を誘導すること
【持家戸建て住宅】
  • 戸建て住宅をとりまく住環境改善の推進※2
  • 住民の街づくり活動の積極的な支援
【民間賃貸住宅】
  • 住宅密集地などにおける老朽木造賃貸住宅の建替え支援(重点(6))
  • 建替等に伴うスムーズな住み替え先確保
  • 密集住宅市街地整備促進事業の普及推進
  • 従前居住者向け住宅の供給
  • 住環境整備と併せた建替更新の誘導促進

(1)(住宅数)
横浜市内の民間住宅は,平成10年の時点で居住世帯のある住宅数122.2万戸のうち,112.1万戸,91.7パーセントを占めており,また,この10年間に民間住宅は約21万戸増加するなど,住宅数に占める民間住宅の比重は高まっている(※(1))。(図表1参照)
民間住宅のうち,持家住宅は66.0万戸(民間住宅の58.9パーセント)を占め,このうち,持家戸建て住宅は43.0万戸(同38.4パーセント),分譲マンションは20.3万戸(同18.1パーセント)であり,この両者で持家住宅の大半を占めている。民間賃貸住宅は39.7万戸(同35.4パーセント)であり,借家全体の73.8パーセントを占めている。(図表1参照)
また,平成5~10年の推移を見ると,持家戸建て住宅及び民間賃貸住宅は,戸数が増えているものの民間住宅に占める構成比はほぼ横ばいであるのに対し,分譲マンションは戸数,構成比とも大きく伸びており,共同住宅の比率は47.8パーセント(S63)から55.3パーセント(H10)と高くなってきている。(※(1))。(図2参照)
(2)(居住水準(住戸規模))
平成10年における住宅の居住水準(住戸規模)を見ると,1住宅当たりの延べ床面積は,横浜市全体では71.08平方メートルであり,持家住宅について見れば95.17平方メートル(持家戸建て住宅108.38平方メートル,分譲マンション68.71平方メートル)とこの5年間に約1平方メートル(持家戸建て住宅+2.73平方メートル,分譲マンション+0.74平方メートル)拡大しているが,民間賃貸住宅は39.09平方メートルでこの5年間に0.9平方メートルの拡大が見られるものの依然として全体として見れば低い水準にある。(図3参照)
最低居住水準未満世帯は横浜市全体で8.7万世帯(主世帯の7.1パーセント)となっており,平成5~10年の5年間で3.9万世帯減少し,構成比で4.2ポイント改善されてきている。このうち,持家に居住する世帯は1.2万世帯(最低居住水準未満世帯の13.6パーセント)であるが,民間賃貸住宅に居住する世帯は5.7万世帯(同65.1パーセント)を占めている。(※(1))。(図4・5参照)
住宅の供給面での住戸規模を見ると,近年,着工された住宅の平均延べ床面積は,持家戸建て住宅が125平方メートル前後,分譲マンションが70平方メートル前後,民間賃貸住宅が60平方メートル弱で概ね推移している。民間賃貸住宅においては,住宅ストックの平均延べ床面積(39.09平方メートル)に比べ,比較的広い住戸規模での住宅供給が進んでいる(※(2))。(図6・15・16参照)
(3)(建築時期)
建築時期を見ると,平成3年以降に建てられた築10年未満のものが25.0パーセント(26万5千戸)を占め,築10~20年未満のものが34.5パーセント(36万9千戸)であり,築20年未満のものが59.5パーセントを占めている。一方,昭和45年以前に建てられた築30年以上のものは15.2パーセント(16万1千戸)となっており,平成5年~10年の5年間に33万2千戸(平成5年時点で昭和45年以前のものが49万3千戸)が滅失または建て替えられている。また,住宅の腐朽度合いを見ると,大修理を要するものや危険・修理不能な住宅は4.0パーセントに過ぎず,残りの多くの住宅は修理を要しないものか小修理が必要なものとなっていることを示している(※(1))。(図8参照)
(4)(居住者(高齢者のいる世帯))
高齢者のいる世帯の状況を見ると,民間住宅に居住する65歳以上の高齢者のいる世帯は27.7万世帯(高齢者のいる世帯のうち92.5パーセント)で,このうち単身世帯は4.4万世帯(高齢者のいる世帯の12.6パーセント),夫婦世帯は8.0万世帯(同30.1パーセント)で,この両世帯で42.6パーセントを占めている。特に,高齢単身世帯の31.2パーセントが民間賃貸住宅に居住しているが,そのうち木造の民間賃貸住宅でトイレなど設備を共用している住宅への居住世帯は700世帯(同1.6パーセント)となっている。また,高齢夫婦世帯の90.2パーセントが持家に居住しており,民間賃貸住宅は9.8パーセントとなっている(※(1))。(図9・10参照)
(5)(住環境)
住宅を取りまく住環境の面では,計画的に開発された戸建て住宅地が郊外区を中心に形成されているが,市域全般にわたって低層戸建て住宅地の隣接地や斜面地におけるマンション等中高層建築物の建設などに伴う日照や景観など様々なトラブルも生じている。また,既成市街地を中心に,老朽住宅の密集や狭あいな道路など防災上の問題を抱える住宅地も多い状況となっている。さらに,安全性や快適性,利便性など住環境に対する市民ニーズは高まる傾向にある(※(3))。(図表11・12・13参照)
(6)(少子・高齢化)
ア)少子化の状況
横浜市において,少子化の傾向を示す合計特殊出生率は近年徐々に低下し,平成10年では1.24と全国平均(1.38)に比べても非常に低水準となっており,現在の人口を維持するのに必要な2.08を大きく下回る状況が続いている。
イ)高齢化の状況
横浜市における高齢化の傾向は続いており,高齢化率は平成12年には13.3パーセント,平成22年推計では17.5パーセントと高齢化が進行していく状況にある,特に後期高齢者(75歳以上)の割合は,平成12年では4.8パーセント,平成22年推計では7.5パーセントと大幅な増加が予想されている。
※出典
(1)総務庁平成5年「住宅統計調査」,総務庁平成10年「住宅・土地統計調査」
(2)建設省「住宅着工統計」
(3)建設省平成10年「住宅需要実態調査」

「あ」
●NPO(Non-Profit-Organization)(特定非営利活動法人)
平成10年3月に「特定非営利活動促進法(NPO法)」が成立し,民間が行う営利を目的としない活動のできる市民団体などが法人として認められるようになった。

「か」
●可処分所得
個人が受け取る所得の総額,いわば個人所得から所得税などの各種の税金や社会保険料などの公課を差し引いた額で,個人が自由に使うことのできる所得を意味する。可処分所得は,支出面から消費と貯蓄とに分けられる。

●旧耐震基準
現行の耐震基準は建築基準法の改正により昭和56年に定められたものであり,旧耐震基準とは,それ以前に用いられていた耐震基準を指す。阪神・淡路大震災においては,旧耐震基準による建築物の被害が顕著であった。そこで,現行耐震基準に適合しない建築物の耐震改修を促進するために,「建築物の耐震改修の促進に関する法律」が平成7年に施行されている。

●狭あい道路拡幅整備事業
幅員4m未満の狭あい道路は,災害時の消防,緊急活動の妨げになるだけでなく,日常の交通,福祉サービスの提供や日照・通風などの生活環境面でも問題になるため,「横浜市狭あい道路の整備促進に関する条例」に基づき,狭あい道路のうち整備促進路線に接した敷地で建築物の建替等を行う際に,道路の拡幅に支障となる塀・擁壁等の除去又は移設に要する費用を助成するもの。

●協調・共同建替え
共同建替えとは,複数の建物を1つの建物に建て替えて,建物の不燃化や土地の有効利用,未接道敷地の解消,敷地内空地の確保を図る手法のことであり,協調建替えとは,隣接する複数の建物を個々に建てる際に,壁面の位置を揃えたり,敷地内空地の位置を合わせたり,意匠・形態に統一感を持たせる手法のこと。

●区分所有者
「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法,マンション法)昭和38年4月1日施行,昭和63年改訂」に基づき,一棟又は一団地内の数棟の建物を数個の部分に分けて所有権を有する者をいう。区分所有者は,建物の管理や使用などについて,区分所有者の共同の利益に反する行為が禁じられる一方で,その専有部分又は共用部分を保存し,又は改良するための必要な範囲内において,他の区分所有者の専有部分や共用部分を使用することが認められている。

●(賃貸住宅の)原状回復ガイドライン
賃貸借契約を終了(解除)する時,賃借していた住宅の修繕に対して,「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(平成10年3月:建設省)が示されている。ガイドラインにおいては,「賃借人の居住,使用により発生した建物価値の減少のうち,賃借人の故意・過失,善管注意義務違反,その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること」と定義されている。

●建築カウンセラー制度
昭和44年に発足した制度で,民間の建築士を中心とした100人(H12.12現在)の建築カウンセラーが市民の建築に関する相談などにあたる制度。平成11年度には総計896件の相談等が寄せられている。

●建築協定
住宅地としての環境や商店街としての利便を維持増進し,地域の環境を改善することを目的として,土地所有者がその全員の合意によって建築物の敷地,位置,構造,用途,形態,意匠等に関する基準を定める制度。市内に178件の有効地区数(平成11年度末)がある。

●建築協定連絡協議会
建築協定の運営委員会の連絡組織で,情報交換等を通じて建築協定制度の有効な活用を図ることを目的としている。総会の開催,機関誌の発行,見学会の開催等の活動を行っている。

●合計特殊出生率
一人の女性が一生のうちに平均何人の子供を産むかを示す数値。15歳から49歳までの女性の年齢別出生率の合計。横浜市においては,昭和51年より全国平均を下回り,平成10年では1.24と現在の人口を維持するのに必要な水準2.08を大きく下回り,人口が1世代で4割減となる水準にある。

●高経年の分譲マンション
本答申では,建築された後に概ね30年以上を経過した分譲マンションを指している。経年に伴い,建物自体が老朽化していることや住戸規模が狭小であること,また住宅設備の水準が現在に比べて低い状態にあることなど,立ち遅れた状態になっている傾向がある。

●高齢化対応住宅設計指針
高齢化の進展を受け,住宅の新築・建替え及びリフォーム等を行う場合,高齢化対応住宅の重要性を広く市民に理解していただくとともに住宅の設計・施工者向けの実務の参考となるよう,横浜市が平成7年12月に策定したもの。

●高齢者・障害者住環境整備事業
寝たきりや介助を必要とする高齢者や障害者に合わせた住宅改造を行う場合,専門スタッフによる相談支援や改造費の助成を行う事業(平成5年4月創設:横浜市福祉局)。

●(住宅の)高齢者向け改造
単に玄関や敷居の段差を解消したり,階段,トイレ,浴室等に手すりを設置するということだけではなく,高齢者や障害者が不自由なく生活をするために,また生活の質を高めるために,それぞれの障害や機能に見合った住環境を整えること。

●高齢者向け優良賃貸住宅制度
民間事業者等の建設による高齢者に配慮した施設や生活支援サービスを備えた賃貸住宅について,国や地方公共団体が,その建設等に要する費用や家賃を低額に設定するための費用に対する助成を行う制度で,高齢者の安全で安定した居住の確保を図ることを目的としている。

「さ」
●(マンションの)再生
建築後,数10年経過し,塗装の剥離や鉄部の錆などの建物の老朽化や建築設備の劣化,機能の劣化などにより,建物の更新が必要になった場合の対処方法の1つ。さまざまな劣化の状況に応じ,専有部分や共用部分の機能の回復や向上を図るだけでなく,一部屋分の増築や隣の住戸との隔壁を取り除き2戸を1戸にするといった行為により,マンションの住機能の刷新を図ることも含まれる。マンションストックの活用に有効で,欧米では広く行われている。

●在宅介護サービス
介護を必要とする高齢者等が家庭に暮らしながら利用する介護サービスで,従来の施設入所を中心とする介護の考え方に相対するものと言われている。十分な在宅介護を実現するには,所得保障,住宅の整備等に合わせて各種サービスの充実が必要で,特にホームヘルプサービス,デイサービス,ショートステイは在宅生活を支える3本柱と言われている。

●最低居住水準
国民が安定したゆとりある住生活を営むことができるよう,建設省が住宅建設5カ年計画で定めている目標のうち,なるべく早期に,すべての世帯が確保するべき最低の居住水準。居住室,住宅の性能・設備,世帯構成に応じた住戸規模のそれぞれの居住水準が示されている。(国の第7期住宅建設5カ年計画H8~H12)

最低居住水準
世帯人員居住室面積(内法)住戸専用面積(壁芯)
1人7.5平方メートル(4.5畳)18平方メートル
同(中高齢単身)15.0平方メートル(9.0畳)25平方メートル
2人17.5平方メートル(10.5畳)29平方メートル
3人25.0平方メートル(15.0畳)39平方メートル
4人32.5平方メートル(19.5畳)50平方メートル
5人37.5平方メートル(22.5畳)56平方メートル
6人45.0平方メートル(27.0畳)66平方メートル

●市場原理(市場メカニズム)
物品やサービスの価格が,原則として市場における需要と供給の関係から均衡が図られるように決定されること。すなわち,需要が多い時には価格が上がることにより需要が減少し供給が増え,供給が多い場合には価格が下がり需要が増えるという,需給の均衡が達成され,物品やサービスといった資源の配分の状態が適正に実現される仕組みのこと。

●シックハウス
主として,建築物の内装材や断熱材に含まれるホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)によって生じる疾患をシックハウス症候群という。症状として,倦怠感,目や鼻,のどの痛み,頭痛,吐き気,めまいなどが挙げられる。建築物の気密化がこの症状の発生を助長しているという側面もある。

●シニア・りぶいん(高齢者向け借上型公営住宅)
民間土地所有者等が建設する民間賃貸住宅のうち,高齢者に配慮されたものを,横浜市が公営住宅として借り上げ,住宅に困窮する高齢者のみの世帯を対象とした良質な賃貸住宅として供給するもの。入居する高齢者への支援として,緊急通報システムの設置や日常生活上の心配事等に対応する巡回相談などを行っている。

●住宅・土地統計調査
昭和23年以来,5年ごとに実施されてきた住宅統計調査の内容を拡充するとともに,名称を変更したもので,平成10年に行われた調査が,住宅統計調査を合わせると11回目に当たる。住宅や敷地の状況,並びに世帯の居住状況から,住宅ストックの現況とその推移を明らかにすることを目的としている。

●住宅性能保証制度
住宅の建て主や購入者の保護を推進するため,住宅建設業者や販売業者が一定の設計施工基準に基づき建築した住宅を一定期間,保証するための制度。一戸建て住宅,分譲マンション,賃貸共同住宅が対象となっている。(財)住宅保証機構が行っている。

●住宅の高気密化
住宅における冷暖房等のエネルギー消費量を削減するため,建物の隙間からの漏気量を少なくすること。高気密化された住宅では十分な換気量を確保することが必要になる。

●住宅品質確保促進法
住宅の品質確保の促進や住宅購入者などの利益の保護などを目的とする法律(平成11年6月15日成立,同23日公布,平成12年4月施行)。住宅の性能(構造安全性,省エネルギー性など)を表示する基準や性能を評価する仕組みが盛り込まれた。また,新築住宅の瑕疵担保責任を10年間とすることが義務化された。

●重要事項説明
宅地建物取引業法により,住宅の売買や賃貸借の契約の際に購入者・賃借人に対し,宅地建物取引主任者が,一定の重要な事項について書面を交付して説明することが義務づけられているもの。マンションについては,共用部分や専用使用権に関する規約の定めや,管理費や修繕積立金の滞納額などがある。

●小規模マンション
本答申では,横浜市において比較的住戸数の小規模な50戸以下程度の分譲マンションを指している。区分所有者が少ないことから,管理組合役員のなり手が少ないことや戸当たりの管理費が割高になるなど,課題を抱えているものも多い。一方,戸数が少ないことにより,良好なコミュニティが形成されているものもある。

●シルバーリフォーム融資
高齢者・障害者本人又は同居する人が,高齢者・障害者の住環境を維持・向上させるため,住宅の増改築,改造,修繕工事を行う場合に,横浜市建築助成公社が資金を低利で融資する制度。

●ストック:フロー
(住宅の)ストック:現在建っている既存の住宅のこと。
(住宅の)フロー:新規に供給される住宅のこと。

●専有部分:共用部分
専有部分:区分所有権の目的となる構造上区分された建物の部分で,住戸の部分に当たる。独立して取引や登記などをすることができる。
共用部分:区分所有者全員の共有に属する部分で,区分所有権の目的とならない建物の部分。専有部分に属さない廊下や階段,電気・水道・ガスといった設備などを指す。

「た」
●地区計画制度
地区の特性にふさわしい良好な環境の街区を整備・保全するために,住民の意向を反映し,建築物の用途,敷地,形態,道路や公園の配置等に関する一体的,かつ総合的な計画を市町村が定める制度。横浜市内では46地区が定められている(平成11年度末)。

●(不動産の)仲介・管理業者
不動産取引に関わる仲介業者は宅地建物取引業法で指定された都道府県知事ないしは建設大臣の免許を受けた事業者であり,管理業者はマンションやアパートの管理を請け負う事業者のこと。

●中間・完了検査体制
建築基準法における検査には,中間検査と完了検査の2つがあり,中間検査は,平成10年の改正で導入されたもので,特定行政庁が,必要に応じて中間検査を受けるべき工程を指定し,それに該当する建築物は,建築主事又は指定確認検査機関の中間検査を受けなければ工事を続行することができない。完了検査は,工事が完了した時に,建築主事又は指定確認検査機関により行われる検査である。

●中堅ファミリー世帯
一般に,世帯主年齢が30~40歳代,世帯構成が夫婦+子供であり,世帯収入が平均的な世帯を指す。

●長期修繕計画
外壁塗装,屋上防水などの大規模な修繕工事や,鉄部塗装などの計画的な手入れを行う修繕について,建物診断などをもとに,長期的な計画にしたもの。修繕項目を整理した上で,その時期や概算の工事費を算出し,修繕積立金の額の設定などを行うことが一般的になっている。

●賃貸経営管理
賃貸住宅の家賃設定や敷金・礼金等の扱い,空家時の減収などを含めて資金計画を立てることや入居者が退去する時の修繕や通常の家賃収入の管理,建物設備などの維持・補修を行うことなど,賃貸住宅を経営し管理する内容を指す。

●賃貸住宅の不良ストック化
賃貸住宅の老朽化や時代のニーズに合わない賃貸住宅(主に木造共同住宅)が,様々な条件により,維持管理や建替えなどが進まずそのまま賃貸住宅市場に残ってしまうこと。

●定期借地権
新借地借家法(平成4年8月施行)により,新たに定められた借地権。存続期間を50年以上と定める場合は,借地権の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨の特約を設定することができる。

●定期借家権
平成12年3月1日から法制化された借家権制度。契約で定めた期間の満了により更新されることなく確定的に借家契約が終了するもの。これにより,多様なタイプの借家の供給の促進や,期間の終了が明確になることによるトラブル防止の効果も期待されている。契約の際は,公正証書等の書面による契約に限るとされ,書面を交付して契約者に説明しなければならないとされている。

●等価交換型マンション,等価交換方式
土地所有者等がデベロッパーに土地等の所有権を提供し,出資比率に応じて区分所有権を分割する方式で建設されたマンション。デベロッパーは建物完成後,所有している区分(住戸)等を分譲販売するもの。

●都市居住再生融資(住宅金融公庫)
住宅金融公庫がまちづくりの重要性に鑑み,居住環境の改善が必要な既成市街地等における計画的な共同・協調建替え等を積極的にサポートするために創設した融資制度。持家・賃貸住宅,店舗併用住宅などの調査設計計画費や土地取得費,補償費,建築工事費,購入資金について,総合的に最優遇の長期固定金利で融資を行うもの。

「な」
●二世帯住宅等の同居,隣居,近居
同居は,親世帯と子世帯とが同一の住宅に居住する形態のことで,浴室や玄関といった居住空間を共有する場合や,完全に分離する場合がある。隣居は,ある世帯がその親の世帯と同一の敷地の別棟,あるいは隣接する敷地に居住すること。近居は,その親の世帯と同じ地区内などに居住すること。

「は」
●ハウスクエア横浜(日本住情報交流センター)
都筑区中川に1995年にオープンした,住まいに関する総合的な情報拠点として建設された施設。「人にやさしい住まいづくり体験館」や,住まいに関する相談事業を行うコンサルティングコーナー,様々なイベントが行えるスペース「ハウスクエアホール」,モデルハウスからなる住宅展示場などがある。

●バリアフリー
高齢者や障害者等の日常の生活行動の上での制約をできる限り排除するための,身体機能の低下や障害等に配慮した設計・仕様のこと。住宅においては,床の段差の解消,手すりの設置等がある。

●標準管理委託契約書
マンション管理組合が管理会社に委託する場合,締結する契約書のひな形として示されたもの。委託業務の内容を示す一覧表や委託費用の支払方法などが盛り込まれている。(昭和57年1月建設省:住宅宅地審議会答申)(昭和57年5月建設省通達)

●標準管理規約
分譲マンションにおける管理規約の標準として示されたもの。単棟型・複合用途型・団地型と分譲マンションの形態に合わせて用意されている。敷地や共用部分などの権利関係や専有部分の使用方法,管理費などの費用負担,管理組合の業務内容,管理組合における理事長や総会の位置付けなどが盛り込まれている。(昭和57年1月建設省:住宅宅地審議会答申,昭和58年,平成9年2月改訂)(昭和57年5月,昭和58年10月建設省通達)

●標準契約書(賃貸住宅標準契約書)
賃貸契約をめぐる紛争を防止し,借主の居住の安定及び貸主の経営の合理化を図ることを目的に平成12年2月に作成され,一般に配布されている,内容が明確で十分かつ合理的な賃貸借契約書のひな型。その使用は法令で義務づけられているものではないが,今まで契約書が曖昧なためにトラブルの原因となりがちであったものを標準契約書の使用により,明確にしようというもの。

●VOC(Volatile Organic Compound;揮発性有機化合物)
50℃以上で気体となる有機化合物のことで,人体に有害な物質だけでなく,摂取量や摂取方法によっては無害な物質もある。住宅室内の空気を汚染する主なVOCとしては,ホルムアルデヒド,トルエン,キシレンといった物質がある。

●不動産の証券化
不動産証券化は多数の投資家と不動産を結びつける仕組みの総称。住宅資産の価値が市場において投資対象として適正に評価されることを通じて,良質な住宅ストックが形成されるとともに,住宅資産の有効利用・適切な管理が行われるといった効果が期待されている。

●(住宅の)フロー
→ストック:フローを参照

●ベターマーク制度
(社)全国賃貸住宅経営協会神奈川県支部連合会が,アパート,マンションの審査を行い,合格したものについて,住まいの安心情報として消費者に提供する制度。建築基準の適合や水質基準,設備基準などの指標が設けられている。

●防災再開発促進地区
密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成9年5月公布)により,防災上危険な密集市街地において,計画的な再開発を行うことにより,防災上の向上を図るべき地区を防災再開発促進地区として都市計画の整備・開発・保全の方針に位置付けることとされた。横浜市では,密集住宅市街地整備促進事業(密集事業)地区の一部を平成12年10月に指定し,密集事業の取り組みの強化を図っている。

●ホルムアルデヒド(HCHO)
住宅建材の合板や壁紙などの接着剤として利用されている化学物質。無色で強い刺激臭があり,水に溶けやすい。

「ま」
●まちづくりコーディネーター派遣制度
地域の住環境を保全・改善するために住民が自主的に行うまちづくり活動を支援するため,まちづくりの助言・指導をする専門家を派遣する制度。平成8年度に創設され,平成11年度は計30回派遣している。

●街並み誘導型地区計画制度
道路からの壁面の位置と建物の高さの最高限度を定めることにより,斜線制限及び前面道路幅員による容積率制限を緩和し,街並みの形成,土地の有効利用を誘導する制度。横浜市では平成11年1月に中区の元町仲通り地区で適用されている。

●マンション耐震診断支援事業
横浜市が分譲マンションの耐震診断について,予備診断と本診断(精密診断)の助成を行う事業(平成10年9月1日創設)。昭和56年5月末日以前に建築確認を得て着工された分譲マンションが対象。
予備診断は,耐震性(本診断の必要性)を判断し,本診断の概算費用を提示するもの(横浜市が全額負担)。
本診断は,耐震性の精密診断を行い,耐震改修の方法などを提示するもので,横浜市が診断費用の1/2を助成(戸当たり3万円を上限)している。

●密集住宅市街地整備促進事業(密集事業)
老朽化した木造住宅等の密集した地区において,老朽住宅等の除却や建替の促進を図るとともに,生活道路や広場などの地区施設や公共施設の整備等を行うことにより,良質な住宅の供給・居住環境の整備,防災性の向上等を促進する事業。

●民間指定確認検査機関
平成10年に改正された建築基準法において,建設大臣又は都道府県知事の指定を受け,それまで特定行政庁の建築主事が行ってきた確認・検査業務を行うことができる民間機関のこと。(財)日本建築センターや(財)神奈川県建築安全協会などがある。

●木造住宅耐震診断士派遣制度
地震時の老朽木造住宅の倒壊による被害を未然に防止し,地震に強い安全な街づくりを進めるため,横浜市が耐震診断士を無料で派遣し,耐震診断を行う制度。平成7年10月から実施している。

●木造住宅耐震改修促進事業
木造住宅耐震診断の結果,「危険」と判定された住宅の耐震改修工事を促進するため,工事費用の
1/3(200万円を上限)を市が助成する事業。平成11年7月から実施している。

「や」
●家賃保証システム
賃貸借契約においては通常,連帯保証人が必要となるが,入居者の事情によって家賃の支払いが困難になった場合に,民間保証会社等が入居者や連帯保証人に代わって家賃の支払いを家主等に保障する仕組み。

●優良中古住宅(1戸建て等)融資制度
良質な中古住宅の供給促進を図るため,優良な中古住宅の購入に対して住宅金融公庫が融資する制度。基礎・外壁にひび割れがないことなどの維持管理状況,一定の断熱性能があることなどの機能的耐用性,バリアフリーや省エネルギーなどのタイプ別の基準により,中古住宅を3段階に分け,優良なものに基準金利を適用するなど融資条件を緩和する制度。

●優良中古マンション融資制度
良質な中古マンションの供給促進を図るため,優良な中古マンションの購入に対して住宅金融公庫が融資する制度。大規模修繕を行っていることなど維持管理状況が良好で,一定以上の修繕積立金など管理組合の体制が良好であることなどの維持管理状況,一定の断熱性や床スラブ厚さがあることなどの機能的耐用性,バリアフリーや省エネルギーなどのタイプ別の基準により,中古マンションを4段階に分け,優良なものに基準金利を適用するなど融資条件を緩和する制度。

●ヨコハマ・りぶいん(特定優良賃貸住宅)
「特定優良賃貸住宅の供給の促進に関する法律(平成5年7月30日施行)」に基づき,民間土地所有者等が建設する住宅を活用して供給される中堅所得者向けの優良な公的賃貸住宅のこと。横浜市では,「ヨコハマ・りぶいん」という愛称で親しまれている。「特定優良賃貸住宅」の供給計画の認定を受けて,住宅の建設費の助成を行うとともに,入居者の居住の安定を図るために家賃助成を行っている。

●横浜市建築助成公社
横浜市,神奈川県などが出資し昭和27年に設立した財団法人。市民の持家取得の支援,居住水準の向上,市街地整備の促進等のために,住宅の建築・購入資金やマンション管理組合が行う大規模修繕工事資金の融資等を行っている。

●横浜市建築物防災改善事業資金融資制度
市建築助成公社による資金融資制度。建築物の防災上の対策工事費を建築物の所有者や管理組合に対して低利で融資している。工事内容としては,防火・避難施設対策や落下物防止対策,耐震改修が対象となっている。

●横浜市住宅リフォーム促進協議会
住宅に関する情報提供及び相談事業を通じて,市民の住まいの質の向上を図ることを目的とし,市内住宅関連団体46団体(平成12年12月現在)と横浜市により組織されている協議会。リフォーム相談,シルバーリフォーム相談,住まいの現地相談,設計者や施工者のあっせん,及び市民向け啓発事業等を行っている。

●横浜市中高層建築物等の建築に係る住環境の保全等に関する条例
中高層建築物等の建築に際して,良好な近隣関係を保持し,併せて安全で快適な住環境の保全及び形成を図る目的で,平成6年1月1日に施行された条例。これにより,建築に伴う配慮事項,事前手続き,紛争時のあっせん・調停等を行い,良好な建築計画の誘導を図っている。

●横浜マンション管理組合ネットワーク(略称:浜管ネット)
マンションの維持・保全,管理の改善等についての管理組合相互の情報交換や横浜市との連携などを通じ,良好なマンションストックを形成することを目的とし,横浜市内のマンション管理組合の広域地域のネットワークとして,自主的に形成された組織。
平成7年6月10日設立。マンション管理に関する相談会やセミナー,展示会など活発な活動を行っている。148管理組合(平成12年12月現在)が加入。平成11年9月30日にNPO(特定非営利活動法人)に認証された。

「ら」
●ライフステージ
人の一生を年代や世帯構成により分類した各段階。横浜市住宅基本計画(平成7年5月)では,「夫婦のみ」,「家族形成期」,「家族成長期」,「成熟期」,「向老期」,「老齢期」の6段階に分けている。

●リバースモーゲジ
所有不動産を担保として融資金を定期的に受け取り,貸付期間終了後又は死亡等で融資が不要となった後,相続人が金銭をもって返済するか,又は,金融機関が担保不動産を売却し,売却金によって融資を清算する仕組み。住宅ローンなどの一般抵当融資に対し,逆(リバース)抵当融資(モーゲジ)と呼ばれる。

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建築局住宅部住宅政策課

電話:045-671-3975

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ファクス:045-641-2756

メールアドレス:kc-jutakuseisaku@city.yokohama.jp

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