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第8期横浜市生涯学習推進会議・提言

最終更新日 2019年3月4日

若者の生涯学習とキャリア教育

-提言-

夢を描き、自己実現を目指す若者を応援する学びの社会

平成21年12月

【はじめに】

第1章 キャリア教育における基本理念

1.なぜ、キャリア教育は必要か

2.生涯学習から見たキャリアのとらえ方

第2章 現在の社会的背景と若者の姿

1.若者を取り巻く社会的背景

2.現在の若者像

3.社会が求める人材と若者への支援

第3章 現状の課題と解決に向けての考え方

1.横浜市における学校・地域での取組

2.課題解決へ向けての施策展開上の留意点

第4章 提言

1.若者自身の自己効力感を高める学習機会・社会参加機会の充実

2.社会につながる継続した学びとその応援体制づくり

3.学んだことを社会でいかすキャリア教育の実施

4.自らの生き方を「決める力」の育成

【参考】

PDF提言(全文)(PDF:1,372KB)

PDF審議経過(PDF:108KB)

PDF委員名簿(PDF:97KB)

PDF横浜市生涯学習推進会議設置要綱(PDF:102KB)

PDF横浜市生涯学習推進本部設置要綱(PDF:416KB)

「野球選手ってかっこいい」「ケーキ屋さんになりたい」「保育園の先生になって毎日子どもといっしょにいたい」…。子どもの頃、自分の将来の夢を描いた経験は、誰もが持っていると思います。人間は、「夢を描く」ことで、日々の生活を楽しいものとし、様々なことに挑戦し、自らを成長させていくことができます。仮に「夢を描く」ことができなくなってしまったら、生きていくエネルギーの大半を失うことになってしまうと言ってもよいでしょう。

ところが、近年、就職が決まってもすぐに辞めてしまう若者や、いわゆるニート・引きこもりになってしまう若者が増えているという実態があります。こうした傾向について、多くの場合、単に「職業への不適応」とか「キャリア形成の不備」といった職業能力上の問題としてとらえられていますが、そのような問題の背景には、「一人の人間として社会にどのように関わり生きていくか」という、本来の意味での生涯学習の問題が横たわっていると考えます。

もともと「キャリア」とは、個人と社会とをつなぐものであり、仕事をはじめとして、ボランティア活動も含め、様々な社会的活動の積み重ねによって形成されていくものです。その意味で、キャリア教育は、生涯学習そのものと言っても過言ではありません。 そうした趣旨から、このたび、現代の若者をめぐるいくつかの課題について、生涯学習、すなわち、個人の自己実現と社会との関係に焦点を当てて検討することとしました。

望ましいキャリア教育を実現していくためには、「個人が変わること」と「社会が変わること」の両方が必要です。横浜市では、これまで、若者サポートステーション機能の充実や地域ユースプラザの設立など若者に対する支援を進めてきましたが、今後は、行政が、生涯学習の視点から、若者が社会とより良い関係を構築し、自身の夢を実現することができるよう、さらなる努力をすることが期待されています。

個人の生き方を支援することほど難しいことはありません。これを実現するためには、地道な行政の努力に加えて、学校や家庭、地域での取組みを充実するとともに、若者に関わる様々な団体や企業が、それぞれの立場で創意工夫を重ねることが望まれます。

本提言が、こうした取組の一助となることを期待してやみません。

平成21年12月
第8期横浜市生涯学習推進会議
議長 笹井 宏益

若者にとっての自己実現のひとつが「働くこと」であり、「職業・仕事」は、個人を社会とつなげ自己実現するための重要な方法、手段である。
やりたい仕事やなりたい職業に就くことが自己実現につながるととられることもあるが、現在では働き方も多様化し、時代の流れとともにボランティアや社会起業など選択肢が以前と比べて多く、なりたい職業を通じて社会に何を提供するのかという視点で考えると、自己実現の手段・方法も多種・多様化している。
しかし一方で、現在の若者をめぐる状況は日々変化し、厳しい経済状況、就職難や内定の取消などに代表されるように、若者にとって社会的自立を果たすことが難しい現状も見られる。
現在、横浜市の若者(15歳~34歳)の人口は約95万人であり、その内、いわゆるニート状況にある若者は約1万1千人と言われている。

PDF【図1】(若年層におけるニート・失業者の状況)(PDF:91KB)

その要因としては、学校でのつまづきによる中途退学、学校教育終了後の職業選択や職業開始段階でのつまづき、就職後の中途退職から自分を見出せないことなど、様々なことが考えられる。ニート状況に陥るなど、キャリアパスへの影響は、社会にとって損失であり、何よりも若者自身の人生にとって機会損失である側面が大きいと思われる。
第8期生涯学習推進会議では、夢を描き、自己実現を目指すあらゆる若者を支援すべく、社会を取り巻く環境に影響される若者に対し、その応援策について議論をすすめた。現在のキャリア教育の多くが学校教育の中で取り組まれている一方、学校卒業後にはほとんど行われていないことを重視し、学校のみならず地域・家庭・職場で行われる教育を含め、生涯学習の視点から若者の自己実現を応援する取組について検討した。
(※生涯学習推進会議においては若者の定義を15歳から34歳の個人としている)

【キャリア教育を通じた若者支援】

キャリア教育を通じた若者支援(画像:297KB)

「キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書」(平成16年1月、文部科学省)では、キャリアについて「個々人が生涯にわたって遂行する様々な立場や役割の連鎖及びその過程における自己と働くこととの関係付けや価値付けの累積」ととらえて議論されている。キャリアの解釈は様々だが、当会議においてもキャリアについては上記報告書と同様にとらえるとともに、キャリア教育については「社会人・職業人として自立していくために、一人ひとりの勤労観・職業観を育てる教育」とした。 (横浜版学習指導要領総則編 参照)
また、第7期横浜市生涯学習推進会議(平成17年3月28日~平成19年3月27日)では、「横浜市生涯学習基本構想」以後の社会変化を踏まえた生涯学習推進の方向性を示すため、「横浜市生涯学習推進指針」を策定した。さらに、指針のひとつである「市民へのきめ細かな学習機会の提供」に着目し、職業は社会的要望や課題解決のための学習を通じ、個人を社会とつなぐひとつの方法・手段ととらえ、次のことを目標に、社会生活において若者支援をすすめるべきであると考えた。

○若者の社会的な自立を支援する
○若者自身が様々な場面での学びや気づきを通じて、自己の力を発揮できるよう応援する
○若者が夢を持って自己実現を目指すことができる社会づくり

生涯学習の視点から見た個人・職業・社会のかかわり(画像:259KB)

近年の経済不況による失業率の上昇やそれに伴う求人の大幅減少など、就職を希望する若者にとって厳しい現実が続いている。さらに、先行きの不透明な社会情勢は若者にとって将来の目標が立てにくいとともに、自分自身にとって、どの選択が正しいのか余裕を持って考えることができない現実がある。かつては、職業・仕事を含めて若者自身が生き方を考えるにあたって将来をある程度見通せる「決めやすい社会」であったが、現在は「決めることが難しい社会」であり、現代の若者にとって厳しい社会的状況が続いている。

【経済社会をめぐる主な変化】

1960年代~ 〔高度経済成長期 ―所得倍増計画〕
◆重化学工業の発達や自動車、電気機器など物の生産が中心の経済
◆多くの労働者を求め、集団就職など地方から都市への人口流出が顕著にあらわれ、都市部の過密化、地方の過疎化に

1990年代~ 〔バブル経済の崩壊〕
◆産業の高度化やITの重視、情報の国際化、グローバル化の進行
◆1990年(平成2年)の有効求人倍率はおよそ1.40
◆長時間労働が問題視される一方、若者の「ニート」「引きこもり」など、新たな社会問題が発生
◆1995年(平成7年)1月、阪神淡路大震災
この時、災害ボランティアとして若者を含め多くの人が活躍。本格的なボランティアの始まりの年でもあった。

2000年代~ 〔所得格差が大きく現われる社会〕
◆長引く経済不況により、平成20年度における有効求人倍率は0.46になるなど、若者にとって厳しい雇用状況に。
併せて、ワーキングプアの問題も表面化
◆労働者派遣法改正により派遣業種が拡大
業種によっては、派遣による労働者を多く受入れた。
専門的知識、技能を蓄積する機会が少なく、就職や転職が思うように行なえない若者が増えた。

参照 労働経済白書・厚生労働白書

若年無業者(注)を対象にした「自分の今の状態に対する評価」についての調査結果から全体のおよそ3割の若者が何らかの不安を抱えていることが伺える。

PDF【図3】(若年無業者の生活意識)(PDF:213KB)

その一方で、あらゆる分野で意欲的に活躍し、今の自分に満足している若者も多く全体として現在の若者の特徴を取り出すと次のようなことが言える。

(注)
【若年無業者】
一般的に就業していない若者のうち、次のように定義されている
1.就業希望を表明し、求職活動をしている「求職型」
2.就業希望を表明しているが、求職活動をしていない「非求職型」
3.就業希望を表明していない「非希望型」

□ 自分に対する自信がない

・自分に対する否定感、不安感、自分を守りたい気持ちを持っている

・無意識に「みんなに合わせる」という傾向がある

□ 対面でのコミュニケーションが苦手

・「コミュニケーション能力が低い」という思い込みがある

・ 社会的視野が狭く、社会に対して適応することが難しいと考えている

・ なるべく人と関わらない仕事を希望する者が多い

・ 相談相手は親よりも、同年代もしくは世代の近い人が多い

・ その場の雰囲気を察すること、それに応じて自分の行動を決めることがコミュニケーションの基本になっている

□ 物事に対する消極性

・ やりたいことを自分で決められないために、自分の進路を決めにくい

・ 物事は誰かが教えてくれるものという思い込みが強く、自ら進んで答えを見出す積極性に乏しい

・ 物事に対する諦めが早く、すぐやる気を失ってしまう

・ 消費者意識が強く、自分から生産することや作り出す意欲に乏しい

□ 十分でない社会での学び 【図2】

・ 学校での教育が大半となっていて、学校卒業後の学習を続けようとする意識が不十分

・ 学習したことを社会のために使ったり、生かしたりする意識が薄い

・ 地域社会とのつながりが薄く、社会で活動していくための経験が不足気味

□ 意欲的な若者たちの姿

・ 地域でのイベントや祭りに積極的に参画する若者

・ ボランティア活動で活躍する若者

・ 大人世代と子ども世代とをつなぐ様々な活動を行う大学生

長引く経済不況の影響により、厳しい雇用情勢が続き、若者に対する企業の雇用状況はかなり厳しいものとなっている。
また、企業が若者に期待する人物像も時代とともに様変わりしている。かつて採用にあたっては、一般的に、個性や基本的な技能を重視していたのに対し、最近では、その他に「人柄」「人間形成能力」「ストレス耐性」そして「コミュニケーション能力」があげられている。特に「コミュニケーション能力」においては、対面でのコミュニケーションや協働して事業を行うことを重視していて、対人関係の構築が苦手な現代の若者にとっては大きな課題のひとつとなっている。

PDF【図4】(企業への意向調査)(PDF:172KB)

これには、ITによるコミュニケーションの急速な普及により、直接、人と接する機会が十分でないといった社会的な環境も関係している。
ただし、こうした状況は教育面での要因も大きく、若者自身のやる気や能力のみに帰せられる問題ではなく、過去の経験や体験に基づく知識や情報の不足、多様な集団と交流する機会の減少、更に、様々な問題を解決する能力が十分に養われていないことに起因している。
若者の誰もが可能性と課題を持ち合わせているが、現代の若者に対する社会認識にも問題があり、社会的な問題を考慮した上で、若者に対して不足している部分を支援するという課題解決的な視点から、若者の持つ力を発揮できる支援または若者自身の生き方を応援していくという未来志向型の検討が必要であると思われる。

【図2】 各区の生涯学習支援センター・市民活動支援センター 相談利用実績
 男性
(全体比)
女性
(全体比)

(全体比)

平成20年度相談件数(画像:96KB)

~19歳

105
(0.4%)

142
(0.5%)

247
(0.9%)

20~39歳

1,335
(4.8%)

4,093
(14.8%)

5,428
(19.7%)

40~59歳

2,027
(7.4%)

6,007
(21.8%)

8,034
(29.1%)

60歳~

7,596
(27.5%)

6,270
(22.7%)

13,866
(50.3%)

合計

11,063
(40.1%)

16,512
(59.9%)

27,575
(100%)

第2章において、若者を取り巻く社会的な背景と若者の姿について取り上げた。若者の支援は学校でのキャリア教育とあわせて地域や家庭、企業ともに相互連携して取り組む必要があり、すでに取り組んでいる施策を通じ、見えてきた課題とその解決に向けた視点を記述する。

【取組1】 若者の自立支援

(1) 横浜市が若年者を対象としている支援事業

* 各区の生涯学習支援センター・市民活動支援センターによる学習相談

* 青少年自立支援ボランティア育成事業(注1)

* よこはま若者サポートステーション、地域ユースプラザ、青少年相談センター(注2)

* ヤングジョブスクエアよこはま(平成21年3月31日活動休止)(注3)

* ジョブマッチングよこはま(注4)

【現状課題と解決に向けた視点】

○ 各区生涯学習支援センター・市民活動支援センターなどでは若者への学習機会や場の提供を行っている。しかし、学習に意欲的な若者と無関心な若者の差が見られる。

〔視点〕 若者同士でともに学べる機会づくり、学ぶことへの意識啓発などの支援

○ 自らが学ぶ力を育むとともに、実社会により即した学びについての検討が必要。

〔視点〕 学校教育終了後においても継続して、自ら学ぶ力を醸成するための支援

(注1)
【青少年自立支援ボランティア事業】
青少年支援関連機関やNPO等でのボランティア活動に始めるための育成講座

(注2)
【よこはま若者サポートステーション<対象: 概ね15~34歳>】
若年無業者やひきこもり状態の方の職業的自立を支援するため、相談業務や支援プログラムによる支援
【地域ユースプラザ<対象: 概ね15~34歳>】
青少年相談センター及び、よこはま若者サポートステーションなどの支所的機能を有する施設として地域に密着した支援の実施
【青少年相談センター<対象: 概ね15~29歳>】
青少年の不登校やひきこもりなどの悩みについての相談やグループ活動等を通じて、青少年とその家族をサポート

(注3)
【ヤングジョブスクエアよこはま<対象: 概ね15~35歳>】
セミナー、野外活動を通じ、働く上で必要な知識・スキルを身につける就労支援施設

(注4)
【ジョブマッチングよこはま】
市内で働きたい若年者・女性と横浜市内の企業を橋渡しする事業。求人情報や相談、セミナーを開催

【取組2】 横浜市立学校でのキャリア教育(小・中・高等学校)

(1) 小学校におけるキャリア教育

* 将来の生き方や職業への夢や希望を膨らませていくという観点に基づいて、仕事に対し関心・意欲を向上させる教育

(2) 中学校におけるキャリア教育

* 興味や関心等に基づく職業観・勤労観を形成するとともに、実践や職場体験活動を中心として、地域や大人、企業との関わりについての学習を実施

(3) 横浜市立高等学校におけるキャリア教育

* 進路指導、進学を中心としたより実践的なキャリア教育の実施

【現状課題と解決に向けた視点】

○ なりたい職業を明確にすることよりも、その職業を通じて社会で何を実現するか、どのように社会に貢献するかを考えることが重要である。
自分がどのように社会に貢献するかということを考える教育機会は十分とは言えない。

〔視点〕 多様な価値が多種多様な職業を通じて、社会に提供されているということを知る機会(例えば体験活動など)の充実

【取組3】 不登校児童・生徒のキャリア教育

(1) 市立小・中学校の不登校児童生徒に対する支援
*ハートフルフレンド、ハートフルスペース、ハートフルルーム(注)などによる支援

【現状課題と解決に向けた視点】

○ 不登校状態にある児童生徒に対しての相談やその保護者同士の情報交換により、学校に登校するなどの改善が見られる。また、ハートフルフレンドにおいては、不登校の子どもたちが大学生とともに遊びや趣味、教科学習を一緒にする中で心を開いている場面が増えている。しかし、教育施策として解決できない困難な事例も増えてきている。

〔視点〕 福祉等関係機関との連携強化及び問題を共感する人材の育成

(注)
【ハートフルフレンド】
不登校状態にある児童・生徒の家庭にボランティアの大学生が訪問し、教科学習や悩みの相談を行っている。
【ハートフルスペース】
不登校状態にある児童生徒に対して再登校や社会的自立に向け相談・指導、保護者同士の情報交換会を行う拠点場所。
【ハートフルルーム】
不登校状態にある児童生徒に対して、基本的生活習慣の確立、基礎学力の補充、学校生活への適応等を図り、再登校に向けた相談・指導を行う学級

【取組4】 大学・高等教育機関・専門学校・専修学校におけるキャリア教育

(1) 専門学校と高等学校・小中学校が連携した取組

* 高校生を対象に「かながわコミュニティカレッジ協働講座」を通じて、キャリア形成や体験学習講座を実施

* 青少年を対象とした職業体験プログラムの実施

* 中学生を対象に出張講座「仕事の学び場ジュニア」を実施

(2) 大学でのキャリア教育

* 高校と大学が連携したキャリア形成特別講座の実施
「キャリア形成」「インターンシップ」などの集中講座の実施

【現状課題と解決に向けた視点】

○ 大学、専門学校の持っている専門性やネットワークを発揮しやすく、青少年への社会貢献活動を促進していく上で、地域や学生の受入先との連携が取りやすい。
ただし、若者に不足しがちな、対面でのコミュニケーション力は数日の職業体験で完全に身に着けることは難しく、継続的に社会の人と接することにより培われるものである。

〔視点〕 大学や専門学校の持つネットワークを活かしながらの、地域行事への参加や社会貢献的なボランティア活動の勧め

【取組5】 子どもを受け入れる地域づくり

(1) 東山田中学校の取組 (地域と子どもをつなぐ方法としてのキャリア教育)

【現状課題と解決に向けた視点】

○ 学校と地域とが連携し、キャリア教育を実施。学校単独では実現しにくい職業体験がより実体験に近いものとなっている。しかし、事業を継続していくにあたり、学校・教員への負担が多いという意見がある。

〔視点〕 学校と地域を理解し、学校と地域・企業とをコーディネートする人材の育成

○ 参加した大学生が子どもと大人の架け橋となり、その場の円滑なコミュニケーションに寄与した。大学生自身にも満足感や自己効力感が得られた。一方で、中学校のカリキュラムの中で、このような取組に十分な時間を取ることが難しいという指摘もなされている。

〔視点〕 限られた時間の中で、参加者の誰もが自己効力感を得られるカリキュラムの工夫

横浜市における様々な取り組みを通じ、見えてきた課題の解決に向けて、今後、次のことに留意し、若者支援の施策を展開していく必要がある。

(1) 職業・仕事を通じた社会とのつながりの大切さ

対面によるコミュニケーションが苦手な若者が多いと言われている状況の中、地域社会での活動や仕事といった異なる世代が関わりあう集団・団体の一員として活動することが求められている。社会と関わる中で、自分ができそうなことに気付くとともに、互いが学びあい、相手の存在のかけがえのなさを尊重することが必要である。

(2) 自己実現するための学ぶ意欲の喚起

就学期においては、発達段階に応じて、夢を持って前に進むことの大切さを学ぶと同時に、その姿勢を培い、社会を見据えながら自分の夢を現実に近づけるための学習が必要となる。学校卒業後は様々な社会状況の中で、目の前の仕事に対する意味づけを行うとともに、仕事に対して「自分が必要とされている」という使命感を持って取り組むことが大切であり、社会との関わりにおいて、自分がやりたいことは何か、やれそうなことは何かという見込みを道筋を立てて考えていく必要がある。

(3) 若者支援に対する継続性のある取組

例えば、対面によるコミュニケーション力は数日の職場体験で身につくものではなく、幼い頃からの社会活動や自然体験等を通じた遊びの経験や社会の多様な人々との関わりを継続するための施策が必要である。
施策を反映するためには、取組の鍵となる人の存在によるところが大きく、そうしたキーパーソンがいなくなると継続できなくなってしまう場合もあるので、継続性に充分留意する。

(4) 大人の自己満足的な支援・応援にとどまらない配慮

大人の自己満足的な支援・応援にとどまらないよう、その目的を明確にすることが大切である。その際、若者の苦手な部分を大人が助ける一方的な学習支援だけでなく、若者や若者を取り巻く支援者が共に学びあい、相互作用を生じさせるような関係づくりが必要である。

平成15年に政府が「若者自立・挑戦プラン(文部科学省、厚生労働省、経済産業省合同戦略会議による)」を策定し、若者のキャリア形成や就職支援、労働市場の整備、若者の社会に適応した能力向上といった施策がなされてきた。
しかし、経済状況の悪化による企業の産業構造の変化や雇用形態の変化等により、若者にとって厳しい現実が続いている。
こうした厳しい社会情勢ではあるものの、若者が夢を描き、自己実現を果たすためには、生涯学習としての視点から、若者自身が学び、併せてその支援者も学び続けることが必要である。このように若者自身が学びを積み重ねることにより視野を広め、納得した上で自分自身の職業を選択する可能性が広がるものと考えられる。
具体的には若者の社会参加やボランティア活動等を通じた学びを支持するとともに、若者を理解して、ともに歩み、助言をする伴走者の役割を担う人材も必要であると考えられる。
その上で、若者の挑戦を推奨するとともに、その過程での試行錯誤や失敗に寛容な環境づくりを社会全体ですすめることも欠かせない。
若者を応援すべく、様々な現状と課題について議論をすすめてきた。それらを踏まえ、今後、横浜市の施策の一助となるよう、ここに提言する。

【提言1】 若者自身の自己効力感を高める学習機会・社会参加機会の充実

若者自身が自己効力感(注)を持ち、活躍できるよう生涯学習としての支援が必要である。生涯学習を通じて様々な活動に参加し、社会との関わりを持つ若者もいる一方、関わりを持たない若者もいる。「かけがえのない自分」という自己認識を育み、卒業、中途退学など学校終了後も「若者同士の学び」「様々な人との出会い」「社会とのふれあい」を体験し、学び続けることへの意識を持つことが出来るような講座等、情報提供を通じた幅広い生涯学習を支援し、学習意欲の醸成をすることが必要である。

【施策としての方向】

  • 若者の生涯学習支援手引き(講座情報等のサイト情報を含む)作成と発信
  • 各区生涯学習支援センター・市民活動支援センターでの生涯学習支援強化と若者 自身が参加・参画し、若者自身の自主的な活動につなげる生涯学習講座の実施

(注)
【自己効力感】
具体的な行動において、自分が適切な行動をうまくできる予測や確信

【提言2】 社会につながる継続した学びとその応援体制づくり

社会で求められる能力、専門的技術、知識の習得などについて様々な機関・団体等で多彩な取組が行われている。対面によるコミュニケーションが苦手など、自分自身の魅力に不安を抱えている若者が多い中、若者の基礎力を育んでいくという視点で、支援する側の取組の共有化を図った応援体制が望まれる。

【施策としての方向】

  • 自立支援、生涯学習支援機関等における、若者支援施策の共有と連携
  • 企業、大学、専門学校等と連携した社会参加に向けた取組

【提言3】 学んだことを社会でいかすキャリア教育の実施

学校では、「夢を描く」「児童・生徒個々の望ましい職業観の育成」「将来の目標を持つことによる学習意欲の醸成」を、また地域・企業では「基礎力の習得」や「様々な問題解決することによって得られる学び」を目指す取組を行い、学校・企業が相互連携した上、学んだことを実社会でいかせるよう、社会全体で若者を支えるキャリア教育の大切さを理解する必要がある。

【施策としての方向】

  • 学校・地域・企業がより一層連携したキャリア教育の実施
  • 小中学校におけるキャリア教育プログラム内容の充実
  • 地域全体で、学校教育を支援している取組事例を、他の地域に面展開する仕組みの構築

【提言4】 自らの生き方を「決める力」の育成

若者自身が自らの生き方を創り出していくことは大切であるものの、現代では、職業選択を含めた、あらゆる物事の選択が難しい社会構造になっている。
自らの生き方を選択するために、若者自身が決める力を育む必要がある。「決める力」は幼児期からの家庭教育や地域との関わりによる様々な経験や体験から育成されるものであり、そのために保護者の理解を促していくと同時に、保護者や地域の大人と語る機会を一層増やしていく必要がある。

【施策としての方向】

  • 各家庭に配布する家庭教育に関する冊子にキャリア教育の必要性を掲載
  • 保護者の学習会において、家庭でできるキャリア教育や自己効力感の養成をテーマとした講座等の推進
  • 学校や地域における、体験学習機会の拡充

生涯学習から見たキャリア教育と社会(画像:283KB)

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電話:045-671-3282

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メールアドレス:ky-syobun@city.yokohama.jp

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