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市民活動推進検討委員会

最終更新日 2018年12月14日

はじめに

「市民活動推進検討委員会」は、横浜市長の委嘱を受け、市の市民活動支援のあり方について検討するために平成9年10月に設置された。以来、(1)これからの社会における市民活動の役割、(2)これからの市民活動と行政との関係、(3)市民と行政との連携のあり方について、5回の本委員会、11回の小委員会を開催して検討を行ってきた。検討の過程では、小委員会に市内の市民活動団体の方々をゲストに招き、また、中間報告後に公開フォーラムを行うなどして、実際に活動している方々の意見を参考にしてきたところである。
平成10年12月には「特定非営利活動促進法」(NPO法)が施行され、市民による活動が促進され将来の市民社会の形成に力となることが期待されている。横浜市は市民活動が全国的にも盛んに行われているところであり、市民と行政のパートナーシップが先進的に試みられてきている。今回、市民活動と行政との協働について基本的なあり方を検討したことは、今後に大きな意味をもつものであろう。
当委員会は、市民活動と行政とが協働する際に生じる法的な課題についても検討した点が大きな特徴でもあり、こうした検討を踏まえて「横浜市における市民活動との協働に関する基本方針(横浜コード)」を提案している。今後はこの横浜コードを基本に、市民活動と行政の協働により、一層豊かな社会が実現されていくことを望むものである。

目次

先年の阪神淡路大震災では、多くの人々が現地でボランティアとして活躍し、被災者の救援活動に大きな役割を果たした。これをきっかけに、市民による自主的な活動に対する関心や期待が大きくなってきているが、こうした社会情勢の中で平成10年3月には「特定非営利活動促進法」(NPO法)が国会で可決され、平成10年12月から施行されたところである。
市民による様々な活動が活発になってくるにしたがって、市民活動が社会において大きな存在となりつつある。これまでの社会は、行政と企業の活動に負うところが大きかったといえるが、市民活動の活発化により、地域の活動が多様な主体によって担われる多元的な社会へと展開しつつある。社会ニーズが多様化し、個別化していくなかにあって、今後は市民、行政、企業の活動が、それぞれの特性を生かし、相互に協働、競合しながら多種多様なサービスを供給することによって、より豊かな市民生活が実現されることが期待される。市民活動への参加者、市民活動団体の数は共に年々増加している。その活動分野も福祉から環境、まちづくり、芸術、文化、国際交流・協力などにいたるまで、様々な分野に拡大してきている。
これら市民活動の特徴としては、
(1)自発的・自立的に行われていること
(2)柔軟・迅速な対応が可能であること
(3)分野を超えた広範な活動もみられること
(4)非営利性、テーマ性、独創性があること
などがあげられる。
このような特徴を持つ市民活動には、社会において次のような役割が期待される。
(1)常に公平性、中立性を求められる行政や、利潤をあげることが求められる企業には、その性質上対応できない分野や市民活動が行ったほうがより成果が期待できる分野において、ニーズに応じた適切なサービスが提供できる。
(2)行政や企業の活動原理では取り組みにくいことであっても、ニーズや必要性などが共感されさえすれば、先駆的・冒険的な活動ができ、また行政に対する提案ができる。
(3)多数の団体が多様な価値観によって活動することで、個別のニーズにきめ細かく弾力的に応えることができる。
(4)学校、家庭、職場、職域などの日常生活にとどまらない、市民の自己実現の機会を提供できる。

現在横浜市内では、地域での在宅福祉活動や、地域の特性を生かしたまちづくり、自然環境の保護など、多くの市民活動が行われている。組織性や事業性が高い市民活動団体が多いことや、国際協力に取り組むNGOの活動が活発なのは横浜市の特徴ともいえよう。
この委員会にあわせて、平成10年度に横浜市の各局区が把握している市民活動団体についての調査を行った結果では、行政と何らかの関わりを持つ団体は2,698団体あり、多くの市民活動団体が行政と関わりを持ちながら活動していることがわかる。その内訳は、保健・医療・福祉分野が最も多く(38%、複数回答あり)、文化・芸術・スポーツ(31%)、子ども(18%)、環境(6%)、まちづくり(3%)の順で続いている。
その活動地域は、限定された特定の地域や区の範囲とするものが多数(87%)であるが、市域・県内外といった広域で活動する団体もみられる。
団体の規模では、会員数が50人未満のものが全体の約8割を占めており、小規模の団体が多い実態がわかる。
また、同時に市内の15の市民活動団体に市民活動と行政との関係についての聴き取り調査を行った。調査にあたっては保健・医療・福祉、環境・リサイクル、まちづくり・生涯学習・文化芸術、国際交流・協力・人権平和・男女共同参画のそれぞれの分野から選定した。調査したすべての団体が行政と何らかの連携を図っている。行政等から受けた支援では、資金提供、場所の提供が主であり、ほとんどの団体が、規模の大小に関わらず、行政等からの資金提供等の支援を受けているか、受けたことがあるとしている。

聴き取り調査の結果では、団体の課題として、全般的に活動拠点の確保が一番にあげられ、次いで、リーダー養成や会員の拡大といった人材の確保に関わる課題をあげた団体が多かった。その他には、事務局体制の充実、活動資金の確保があげられている。
特に活動拠点の問題については、事務所を持っていない団体からは、活動の拠点となる場所がほしいということだけでなく、必要な用具等の保管場所の確保という課題もあげられている。また、事務所をすでに持っている団体でも、スペースの拡大、地域と連携のとりやすい場所への移転、などの課題を抱えている。なお、平成6年度に横浜市が行った社会貢献活動に関する調査では、市内の市民活動団体で専用の活動場所や事務局を持っているのは52%である。
リーダー養成・会員拡大といった人材の問題は、ほとんどの団体が課題としているが、その中でもコーディネーターや有資格者などの育成が課題であると答えているところが多い。
また、行政への意見では、日常的に情報や意見の交換をする継続的な協働関係を構築すべきであるということが、ほぼ共通して出されている。

高度経済成長期を過ぎ、経済的・社会的基盤が整備されてくると、人々は精神的豊かさを求めるようになってきた。精神的豊かさの中身は人それぞれであり、そのため個々人のニーズは多様化してきている。
中立性・公平性を求められる行政は、主として大多数の人の要望に添う平均的なサービスを提供している。しかし、社会ニーズが多様化・個別化・拡大化していくにつれて行政の提供するサービスだけでは対応できなくなってきている。
このような状況で、個別のニーズへのきめ細かな対応や市民同士によるサービス提供が可能である市民活動の重要性が増している。
下図は、市民の活動と行政との関係には多様なレベルがあることを、5つの領域に分けて示している。

領域図

自発的に行う市民活動には、行政と関係しない独自の活動領域があり、それは図のAの領域である。今後、この領域が、量的にも質的にも大いに拡大されることが期待されている。一方、市民活動と直接の関わりを持たないが行政が責任をもって行うべき独自の領域(E)がある。独自の領域といっても実際には全く関係ないわけではない。Aの領域の活動といえども、一般的な行政サービスなどの形で行政と関わりを持っている。また、Eの行政の領域といえども、市民への情報公開や市民参加を通じて、市民に開かれたものにならなければならない。当然の行為として市民活動の側から要求することもある。
市民活動は基本的には自主的に行うものであるから、行政と協働しない部分が当然存在するし、その発展が望まれるところである。しかし、活動の中には行政と協働することによってより一層社会的な意味を持ってくる部分がある。その部分が図のB、C、Dであり、広い意味での市民活動と行政とのパートナーシップといわれるものである。本委員会では、この領域に関して、市民活動と行政が協働する場合の課題や協働のあり方を検討した。
なお、図のA~Eの領域は固定的なものではない。これまで行政との関係を持つことを避けてきたAからBへ移ってくるものもあると想定される。また、新しい関係としてEからDへ移ってくるものも増える可能性がある。当然、B~Dの間の動きも流動的であるといえる。ただし、市民のニーズの多様化や市民活動の活発化が進むにつれ、全体的にはEからA方向への流れとなっていくことを認識しておくべきである。
今後、ますます多様化するニーズや課題を解決するためには、市民活動と行政が互いにその長所を認め合い、市民活動の自主性・自立性を尊重しながら、適切な関係を築き、積極的に協働した活動を進めることが重要である。

市民活動と行政が協働して公共的課題を解決していくにあたっては、まず双方が対等の立場に立つことが必要である。そして、それぞれのよいところを出し合って公共的課題の解決にあたること、協働するなかでお互いに刺激を受けてさらによい成果を生みだしていくことが重要である。
これからは、身近な問題を自分たち自身の力で解決していこうとする市民の活動を基本に、行政がともに問題を解決していく姿勢や方策が大切である。
そのためには自立して独自に活動できる市民活動が数多く育っていくことが不可欠であるので、自立化に向けての支援という考え方に立った、市民活動の自立の段階に応じた協働関係を築くことが必要となる。
これまでの横浜市のパートナーシップを作り上げていこうとする施策としては、「パートナーシップ推進モデル事業」「福祉のまちづくり条例」「ボランティア活動等と連携した在宅支援モデル事業」や「環境保全活動支援事業」など多くの取り組みがある。
パートナーシップ推進モデル事業は、市民生活に直結する各区役所が主体的に地域に関わり、地域の特性や事業の内容に応じて新しい市民参加の手法を積極的に取り入れ、市民と行政が協働しながら地域の自主的な課題解決や合意形成を図り、地域コミュニティづくりを行うことをめざした事業である。そこでの成果・検証をもとに、横浜型のパートナーシップ行政の仕組みを確立させようと試みている。
福祉のまちづくり条例は、福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって人間性豊かな福祉都市の実現に資することを目的として制定され、市・事業者・市民の責務と連携、横浜市福祉のまちづくり推進会議の設置などを定めている。
在宅支援モデル事業では、市民活動と行政の「相互補完」の関係を重視し、ホームヘルプや配食活動を行っている市民活動団体と行政が協働して市民に継続的・安定的に在宅福祉サービスを提供している。
環境保全活動支援事業は、地域に根ざした環境保全活動を広く展開し、快適な市民生活に欠かすことができない良好な環境の確保、よりよい都市環境の保全及び創造を図ることを目的とし、横浜市環境保全基金の運用益等を活用して、環境保全活動への助成、表彰などを行っている。助成制度には、市民活動団体のたちあげを目的としたもの(イニシャル・アシスト)と、新たな発展的取組に対するもの(ステップアップ・アシスト)があり、活動状況に応じた支援を行っている。
また、行政から市民活動に働きかけるだけでなく、市民活動からの働きかけに行政が呼応して、パートナーシップで事業が行われる場合もある。市民活動からの働きかけで文化活動による新しいふるさとづくりやリサイクルなどが行われた例も見られる。

具体的に行政が市民活動と協働するときには、公金の支出や公の財産の使用を伴うこともある。この場合、憲法89条後段では、「公の支配」に属しない「慈善・教育・博愛」の事業に公金の支出や公の財産の使用を禁止している。そのため「慈善・教育・博愛」の事業との重なりが大きい「市民活動」への公金支出や公の財産の使用は、89条に適合しているかという議論がある。
従来「公の支配」は、「当該事業を行う団体の人事・予算・執行などに対して公権力である行政が決定的支配力をもつこと」を意味すると解されていた。
この点で、市民活動がもつ自立性・自主性という基本的性格と「公の支配」という要件は、二律背反的関係にあるといえる。したがって、市民活動の自主性を確保するためには、市民活動は公金支出を受けることなく自立的・自主的に行うことが本旨であり、行政は市民活動に対して公金を支出すべきでないというのも一つの筋の通った見解である。
しかし、25条(生存権の保障・社会福祉等の増進に努める行政の責務)や26条(教育を受ける権利の保障)において、「慈善・教育・博愛」事業の奨励や協働による政策の推進が行政に要請されておりそれには公金支出等も含むものと考えられることからすると、89条をこのように解釈することはこれらの条文と矛盾を生じていると従来から指摘されているところである。
一方で、現代において求められる福祉社会の実現と行政肥大化の抑止という観点から考えると、市民の多種多様なニーズを行政だけで担うことには限界がある。また、一方で市民活動のみでそれらを担うことは困難な面も多いことから、市民活動と行政が協働して公益の増進を図ることが求められる。
このように法的な視点や現実的側面からみると、「公の支配」の意味内容が従来の捉え方では現実に適合しなくなってきている。そこで、89条後段について再検討を行うこととした。
まず、法解釈論の立場から次のように考えることができる。89条後段の趣旨、目的が「慈善・教育・博愛」の名のもとに公費が濫用されることを防止することであるということからすれば、25条・26条の規範と整合し、市民活動の自立性・自主性の確保を前提とした「公の支配(the control of public authority)」の内容としては、少なくとも公金の支出及び公の財産の使用に供された事業に関する報告・検査など、「公費濫用を防止するための行政による財政上の監督」が必要であると考えられる。
法解釈論としては以上のように考えられるとしても、実態を踏まえ、さらに法の趣旨をより適正に実現するためには、以下のようなことが考えられる。
元来、日本語の「公」ということばには、例えば「公職」「公立」などといった「国や地方自治体などの政治・行政主体」を指すだけでなく、例えば「公衆」「公表」などといった「社会の人びとの集合」、つまり閉ざされた私的領域を超えた「開かれた公的領域」を指したり、「公共建築物」などといったこれらの両方が含まれるものなど、いろいろな意味がある。そもそも、「public(=公)」の原義は、「誰でも近づくことができる、誰に対しても開かれていること」である。
こうした理解を前提として、89条後段の趣旨全体を再考すると、「公」とは行政のみをさすのではなく、「市民と行政」とが共に主体になるものといえる。そのように捉えた場合には、市民全体のものである公金を支出したり公の財産を使用する市民活動は、目的、組織形態及び活動内容などが誰に対しても開かれている、私的な利益のためではない、社会的公共性をもつ活動であることが要請される。
さらに、これまでのように行政による財政上の監督だけでなく、市民活動と行政が情報公開することで市民による監視もあわせて行われることが重要となる。
そこで、本委員会では、これらの見地から、市民活動と行政が協働する場合に生じる89条後段の問題を次のように考えることとした。
憲法89条の「公の支配」に属しているといえるためには、市民活動に対して、市民全体のものである公金を支出したり公の財産を使用する場合において、公金の支出等の責任主体である行政は、市民活動の自主性を損なわない範囲で公金や公の財産の使われ方が適正かを報告や検査などにより一般的に監督することが必要とされる。
また、別の視点からは、そもそも市民全体のものである公金を支出したり、公の財産を使用する場合には、市民活動に限らず、その対象となる活動が社会的公共性をもつものである必要がある。そして、公金支出等の対象となる市民活動の社会的公共性、公金支出などについては、広く市民の監視・批判に委ねることが適当である。このような市民による監視が十分に確保されるためには、市民活動の実態、市民活動と行政との協働関係を市民が知らなければならず、市民活動と行政の両者がその事業に関わる情報を公開することが必要とされる。
これらを踏まえて公金支出等を伴う市民活動と行政との協働する際の基本的なあり方として、
(1) 公金支出等の対象となる市民活動が社会的公共性をもつこと
(2) 公金の支出及び公の財産の利用に供された事業に関する報告・検査など「公費濫用の防止のための処置」が講じられていること
(3) (1)、(2)を担保するものとして、市民活動及び行政に関する情報が公開され、市民が誰でもその情報に接して内容を確認することができるようにすること
という3つの要件が満たされた場合、憲法89条後段との整合も図られたものとなると結論づけることとした。
そして、この3要件についての理解を深め、その実質を担保するために、市民や議会との議論を重ねつつ条例化など具体化を図っていく必要がある。さらに、その円滑かつ公正な運用を図るため、市民・有識者からなる第三者的機関を設置する必要がある。
(注)公金の支出や公の財産の使用を伴わないで協働するケースも種々存在する。それらの活動は、憲法89条とは関連のない部分であり、行政と協働することの全てが憲法問題と関連するということではない。
※(参照)
日本国憲法
第89条【公の財産の支出又は利用の制限】
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第25条【生存権、国の社会的使命】
(1)すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
(2)国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
第26条【教育を受ける権利、教育の義務】
(1)すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
(2)すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。

市民活動の状況や成果についての情報を積極的に公開することは、社会的公共性のある市民活動にとっては、特に重要である。自らの活動を市民に広く公開することにより、活動が市民によって理解され、支えられることが、市民活動にとって必要と考えられる。また、活動成果を公開し、市民とこれを共有することによって、成果を広く市民にフィードバックすることが重要となる。これにより、社会的な信用が得られ、なお一層市民活動の活発化を促すという効果が期待できる。
さらに、前項においても述べたように、公金の支出や公の財産の使用を伴う市民活動と行政との協働の場合には、協働に関する市民活動と行政の情報の公開が不可欠となる。平成10年12月に施行された「特定非営利活動促進法」でも、所轄庁の監督だけでなく、法人の活動内容を市民の監視に委ねるという意図から情報公開が義務づけられ、その活動内容などの公開を所轄庁及び法人の事務所で行うことが規定されている。
市民全体のものである公金を受けたり公の財産を使用した場合には、それらが適正に使用されたことを市民に説明するために、それに関する情報について市民活動団体は公開する責務を負っているといえる。
そこで、行政と協働している市民活動や協働に関わる情報を公開する場を行政も提供することが必要である。その場合、これらの情報に身近なところで接することができるような市民の利便性にも配慮することが求められる。
また、行政と協働していない市民活動団体においても、積極的に情報を公開したいという希望があれば、同様に情報公開をできるようにしておくことが望ましい。

市民活動は多様な社会的ニーズに対応しており、これからますます重要な存在となる。現在でも市民活動と行政が協働して公共的課題を解決している事例はあるが、今後は市民活動の発展に伴い、さらに市民活動と行政が協働する場面が増えてくると想定される。横浜市としても、新しい市民社会の実現のために、今後市民活動との協働を積極的に促進していく必要がある。
そこで、市民活動と行政双方が協働するにあたっての基本的な考え方を共通に認識し、協働する上で生じる法的な問題を踏まえ、具体的に協働しながら公益の増進に寄与することを目的として、協働に関する基本方針としての「横浜コード」を提唱する。

1 目的

市民活動と行政が協働して公共的課題の解決にあたるため、協働関係を築く上での基本的な事項を定め、公益の増進に寄与することを目的とする。

2 市民活動の定義

ここでいう市民活動とは、
(1)市民が自主的に行い参加が開かれている活動
(2)営利を目的としない活動
(3)幅広く多くの人々が幸せに生きていくために必要な活動
をさし、政治活動及び宗教活動を主たる目的とするものを除く。また、特定の公職の候補者若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものは除かれる。

3 協働の原則

市民活動と行政が協働するにあたっては、次の6つの原則を尊重して進める。
(1)対等の原則(市民活動と行政は対等の立場にたつこと)
協働で課題を解決するためには、双方が対等の関係であることが重要となる。上下ではなく横の関係にあることをお互いに常に認識し、各々の自由な意思に基づき協働することが第一歩となる。
(2)自主性尊重の原則(市民活動が自主的に行われることを尊重すること)
協働にあたっては、公共的課題に対して弾力的に対応できる等、市民活動のもつ長所を十分生かすことが大切であり、市民活動の自主性を尊重することが重要な視点となる。
(3)自立化の原則(市民活動が自立化する方向で協働をすすめること)
公共的課題を協働して解決するパートナーにふさわしく、自立して独自の事業を展開できる市民活動団体が数多く育っていくことが、今後の地域社会にとって重要である。依存や癒着関係に陥ることなく、双方が常に自立した存在として進められてこそ協働は意義のあるものとなる。
(4)相互理解の原則(市民活動と行政がそれぞれの長所、短所や立場を理解しあうこと)
相手の本質を十分認識し、理解し、尊重することは、よりよい協働関係構築のために重要なことである。長所や短所も含めてお互いをよく理解してこそ、それぞれの役割を確実に果たすことができる。
(5)目的共有の原則(協働に関して市民活動と行政がその活動の全体または一部について目的を共有すること)
協働による公共的課題の解決は、不特定多数の第三者の利益をその目的とするものである。まず、協働の目的が何であるかを双方が共通理解し、確認しておかなければならない。
(6)公開の原則(市民活動と行政の関係が公開されていること)
協働関係を結ぶ両者の関係が、外からよく見える、開かれた状態であることが必要である。そのため両者についての基本的事項が情報公開されているとともに、一定の要件を満たせば誰もがその関係に参入できることが、公共的課題解決に関する協働には欠かせない条件である。

4 協働の方法

協働の6原則を基本に、行政は市民活動との協働を積極的に進める。以下はその具体的方法である。
(1)補助・助成(市民活動が主体となる公共的事業に対し、資金の援助を行うこと)
「補助・助成」は基本的に社会的役割を果たす市民活動に対し、その自主性を尊重しながら行うべきであり、選定基準や方法の明確さや透明性が求められる。また、市民活動と行政の関係のレベルに応じ、市民活動の自立化を促進するための配慮が必要となる。
(2)共催(市民活動が主体的に行う事業に対し、市が企画及び資金面において参加し、共同して事業を実施するもの)
「共催」は双方の発意に基づくものであり、「共同運営」と言い換えることもできる。協定書等を交わすことにより、市民活動と行政の役割分担を明確にし、それぞれが役割に応じた責任を果たし、対等な立場でそれぞれの特性を生かして進めることが前提となる。
(3)委託(契約規則等に基づき市の事業等の実施を委託するもので、市民活動が相手方となる場合)
委託は、本来行政責任において行われるべき事業であるが、委託業務が実施されるにあたり、市民活動がその技術や専門性などの特徴を発揮できている事例もあるので、市民活動の活発化を促すことのできる協働の方法の一つとして取り上げる。
(4)公の財産の使用(市民利用施設の優先利用等をルール化する)
市民活動推進にあたって、「場」の確保は重要な要素である。行政は既存施設の有効利用も含め、市民活動の利用できる施設の整備を積極的に行うべきである。同時に、公共的課題の解決にあたる活動に対する施設の優先利用や定期利用等について、明確で開かれたルールを協働して作っていくべきである。
(5)後援(市民活動が主体的に行う事業に対し横浜市後援名義の使用により精神的支援を行う)
行政等による信用の付与が、市民活動にとって地域での信頼や支持を得ていくうえで大きな意味のある場合もあり、幅広く的確に対応する。
(6)情報交換・コーディネート等(検討会・協議会の設置、広報紙の発行等により、情報交換や共同事業のための検討等を行う)
市民活動と行政とはよりよい地域づくりのため双方のもつ情報の交換により、それぞれの事業の質を高め、協働して市民への情報提供をすすめることが重要である。
※なお、市民活動と行政が、公共的課題の解決に対して、ともに行動しようとするとき、(1)から(6)の具体的協働に加えて、あるいはその準備段階として日常の情報交換等が重要な役割を果たすことも多く、その役割の重要性について認識するべきである。

5 公金の支出や公の財産の使用における必要要件

市民活動と行政とが具体的に協働をすすめる上で、市民共有の財産である公金の支出や公の財産の使用をするときには、その適正さを担保するために、以下の3要件を満たすことを必要とする。
また、外郭団体を通じて間接的に財政的なサポートを行う場合もこれに準ずることが必要である。(なお、外郭団体の自主財源による自主事業は除く。)
(1)社会的公共性があること
社会的公共性のある市民活動とは、幅広く多くの人々が幸せに生きていくために必要な、営利を目的としない、市民が自主的に行う活動を指す。但し、その活動において政治活動、宗教活動及び特定の公職の候補者もしくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対するものを除く。
(2)公費濫用を防止すること
市民活動との協働においては、市民活動の特性が生かされるよう柔軟な対応が必要であるが、一方、市民共有の財産である公金の支出や公の財産の使用について、適正かつ効率的な執行が求められるため、公費濫用の防止として、公金等の使途に対する財政的監督が必要となる。
協働対象の公正な選定、市民活動と行政の関係の明示、公金の支出や公の財産の使用に関する活動内容などの報告、行政側による交付の取消・返還権の担保、疑義ある時の措置等が必要である。
また、納税者の立場から公費の濫用を防止するためにも「市民と行政がともに監視」していくことが要請される。
(3)情報を公開すること
協働にあたっては、市民活動と行政はともに、その基本的情報を社会に開示して、市民が誰でもその情報に接して内容を確認することができるようにしておく必要がある。市民活動については、規約、役員名簿、事業計画及び予算、事業報告及び決算等、その組織や活動内容についての情報を公開することが必要である。行政においては、協働をすることを決定し、実施すること等を記録した公文書、施策に関する情報など行政情報の公開が必要である。さらに、市民活動と行政との関係を示す情報についても公開する必要がある。
また、これらが効果的に行われるためには、情報を公開するための場を行政が提供し、市民が閲覧できるようにする。
このような情報公開により、社会全体の市民活動及び市民活動と行政の協働関係に対する信頼関係を構築することができる。

6 協働の担保

「横浜コード」を踏まえた協働を担保し、その推進を図っていくために、市民活動と行政との協働が適切になされているかどうかを監視し、コードの維持・調整を行い、さらに時代の要請に沿って、不断に見直しを行っていく必要がある。
そこで全市レベルにおいて、必要な事項について議論し、関係者に対し意見具申等をする市民・有識者からなる第三者的機関を行政が設置し、各事業レベルにおいても、対象となる団体・事業等の選定、協働の検証等を公正に行う。
なお、第三者的機関については、制限任期制により委員の固定化を防止するなど、機能が適切に果たされる手立てを講じておく。

(1)全市的委員会

この委員会では、次のことを行う。
(1) 市民活動と行政との協働に関することの全般的な検討と市への意見具申
(2) 横浜コードについての疑義への回答、解釈の提示、改正等への意見具申
(3) 事業別委員会からの報告受理、見解等照会への回答
(4) 横浜コードの運用に関しての市民からの意見・質問に対する、調査、報告、意見具申
(2)事業別委員会
公金支出を伴う協働による事業毎に、協働の対象の選考等を行う事業別委員会を設置することができる。ただし、事業毎ではなく、分野毎・局区毎など状況に応じて設置することも考えられる。
また、公の財産である市民利用施設毎にも同様に設置することができる。

当委員会では、これまで市民活動団体への聴き取り調査や公開フォーラムを行い、市民活動の意見や事情を聴いてきたところである。それらの状況を踏まえ、今後市民活動と行政の協働をすすめるために市がなすべきことは、市民活動が活発に行われる環境づくりを積極的に行っていくことである。そのためには、市民活動を推進するための支援について、市民全体の理解と協力を確保するために条例化していくことが望ましい。あわせて、「横浜コード」を市民活動と行政の共通ルールとしてその趣旨を条例に盛り込むことが必要である。
さらに、「横浜コード」を踏まえた協働を担保するために、市民活動と行政との協働が適切になされているかどうかを監視し、コードの維持・調整を行い、さらに時代の要請に沿って、不断に見直しを行っていく必要がある。そこで、必要な事項について議論し、関係者に対し意見具申等をする市民・有識者からなる第三者的機関を設置することが必要である。

横浜市は、市民活動との協働を進めるために、市民活動が活発に行われる環境づくりを進めるべきである。市民活動団体の発展段階に応じて、常に見直しを行いながら、「横浜コード」に則して、次のような方向で施策を進めていくことが考えられる。
これらの施策については、社会的公共性のある市民活動の推進を図るため、各種行政施策において市民活動との関係を前向きに考え対応していくこと、さらに市民と行政が共に検討をすすめることが大切である。

(1)情報、活動場所の提供など総合的に市民活動の基盤づくりをすすめる。

現在、市内には、地域毎に多くの市の施設があるが、福祉、生涯学習など個別の目的のためのものであって、市民活動が総合的に発展することを目的としたものは、まだ設置されていない。市民活動にとっては必ずしも現在ある多目的な施設が使いやすいというわけではなく、市民活動団体への調査でも活動拠点に対する要望が多く出されている。
そこで、これまでに分野毎に蓄積されてきた情報を共有化し、情報提供やコーディネート、活動場所の提供を行って、総合的な基盤づくりを行うセンターを整備することが有効である。このセンターはまた市民活動と行政の協働における情報公開の場とすることが考えられる。
また、その具体的な内容については、市民との協働作業を通じて作り上げていくことが大切である。

(2)市民活動の事業に対する補助金・助成金の充実を図る。

市民活動の自立化をすすめることを視野に入れて、資金提供について検討することが必要である。その際、市民活動と行政の関係のレベルに応じて補助・助成を行うことが重要である。
具体的に考えられる施策としては、行政のみならず企業や市民も出資し、地域に貢献する活動をバックアップする仕組みとして、市民活動をサポートするための公益信託などの創設がある。
また、同時に現在ある補助金・助成金を市民活動の推進を図る視点で見直し、対象の選考を開かれたものにするなど、既存のものについても「横浜コード」に沿って補助・助成が行われる必要がある。

(3)市民活動関係者や行政職員の研修の機会を設ける。

市民活動と行政との協働をすすめるため、市民活動団体の能力開発や行政における意識改革のための研修を行い、相互理解をすすめることが必要である。
市民活動の関係者には、市民活動団体の運営能力等の開発を図るための講座、研修会などを行うことが考えられる。
また、行政職員には、市民活動との協働について、従来の手法の見直しを含めた意識改革のための研修を積極的に行う必要がある。
なお、こうした研修の実施にあたって行政は、テーマに関係のある外郭団体注)や市民活動団体と共催、委託するなど、その特性を生かして行うことが望ましい。

(4)市民活動に関わっている外郭団体注)の一層の活用を図る。

現在、青少年、女性、福祉、国際交流・協力といった分野別に外郭団体が市民活動に関わる事業を行っている。これらの外郭団体間でネットワークを結んで連携し、広く市民活動全体がさらに発展するための事業については、市が積極的に支援していくことが望ましい。

(5)市民活動支援施策を総合的に展開するため、総合窓口の設置など庁内体制の整備を行う。

現状では、市民活動支援については、活動分野毎に対応する部署でそれぞれ行っているが、今後は市民活動支援を市の施策として総合的にすすめることが求められる。そこで、庁内組織を見直し、市民活動支援のための総合窓口を設置するなど、全庁的に取り組むための体制を整えることが必要である。
(注)外郭団体とは、「市がおおむね基本金・資本金等25%以上を出資している団体」をさす。(現行62団体)

市民活動推進検討委員会

市民活動推進検討委員会委員
委員長堀田 力弁護士、さわやか福祉財団理事長
副委員長◎山岡 義典日本NPOセンター常務理事・事務局長
委員○青柳 幸一横浜国立大学教授
委員○安達 和志神奈川大学教授
委員○雨宮 孝子松蔭女子短期大学教授
委員有馬 真喜子(財)横浜市女性協会理事長
委員○八木 欣之介慶應義塾大学教授
小委員会委員桜井 陽子(財)横浜市女性協会事業ディレクター

◎小委員会座長 ○小委員会委員兼務

検討経過
平成9年
10月30日
第1回委員会
第1回小委員会
今後の進め方について
今後の進め方について
11月26日第2回小委員会
  • 横浜市における市民活動支援の状況
  • 桜井委員報告「横浜市女性協会の市民活動支援の方法と協会の取り組み等について」
  • 問題点の整理
12月19日第3回小委員会
  • 第2回委員会に向けた論点整理について
  • 青柳委員報告「憲法89条後段について」
  • 雨宮委員報告「公益法人法制度とNPO法案について」
平成10年
1月19日
第2回委員会論点の整理
2月13日ステップアップよこはま研究会青柳委員講演「憲法89条後段について」
2月24日第4回小委員会安達委員報告「“公の支配”の考え方について」
3月26日第5回小委員会
  • 八木委員報告「“市民活動支援条例(仮称)”について」
  • 特定非営利活動法人に対する税制上の優遇について
  • 介護保険制度における住民参加型団体等の取扱いについて
  • 中間報告、市民活動実態調査計画について
4月27日第3回委員会
  • 憲法89条後段に関する検討状況の確認
  • 中間報告、市内市民活動実態調査実施計画について
5月25日第6回小委員会
  • 市民活動団体ヒアリング(かながわ・女のスペース“みずら”、サービス生産協同組合グループたすけあい)
  • 「横浜コード」について
6月22日第7回小委員会
  • 市民活動団体ヒアリング(草の根援助運動、舞岡公園を育む会、都筑イベント倶楽部)
  • 「横浜コード」について
7月27日第8回小委員会
  • 市民活動団体ヒアリング(ファイバーリサイクルネットワーク、あおばく・川を楽しむ会)
  • 「横浜コード」について
9月4日第4回委員会中間報告(案)について
10月7日公開フォーラム
  • 基調講演「市民活動推進検討委員会中間報告から―横浜コードを考える」(山岡副委員長)
  • パネルディスカッション「今後の市民活動と行政との協働のあり方を考える」

コーディネーター 雨宮委員
パネリスト 福原啓子氏(かながわ・女のスペース“みずら”代表)
山中悦子氏(草の根援助運動 共同代表)
青柳委員
安達委員
桜井委員

11月20日第9回小委員会
  • 公開フォーラムの実施結果について
  • 中間報告(横浜コード)の検討について
  • 具体的支援策のあり方について
12月11日第10回小委員会
  • 市内市民活動団体実態調査状況について
  • 具体的支援策について
  • 最終報告案について
平成11年
1月27日
第11回小委員会
  • 第三者機関について
  • 最終報告案について
3月26日第5回委員会最終報告

このページへのお問合せ

市民局市民協働推進部市民活動支援課

電話:045-227-7965

電話:045-227-7965

ファクス:045-223-2032

メールアドレス:sh-shiminkatsudo@city.yokohama.jp

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