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電気眼振図検査

最終更新日 2021年4月1日

目は口ほどにものを言う

目の動きに注目した検査を行っています。
私たちは、普段の生活では、何気ない動きを繰り返して、忙しい毎日を営んでいます。
私たちの何気ない日常では、実はたいへん多くの神経系が複雑に入り組んでいて電気的な信号を活発にやり取りしているんです。あっちの神経、こっちの神経といちいち考えて指示を出していたら、私たちは忙しい日常を過ごしてはいけません。しかし神経系はこれをいっぺんにやってのけてしまいます。
眼の動きを意識して動かしている人は、いないのではないでしょうか。日常生活の動きのなかで眼を動かす神経系はさらっと無意識にやってのけています。そこで私たちは、脳が関与している神経系の眼の動きに注目して、この眼を動かしている神経系の情報を得られるように検査を工夫して行っています。
大脳や小脳、脳幹と呼ばれている部分の機能が損傷を受けたとき、人の眼の動きは変わってしまいます。逆に言うと、変わってしまった眼の動きを検査すれば、損傷を受けた場所を知ることもできてしまうのです。私たちは、脳のどこの部分にどのような情報があって、その情報がどのように処理されていくのか明らかにしようとしています。このように、脳からの信号を利用した眼球運動の動きを調べることは、これから様々な方向で新しい医療の発展へと貢献することが期待できることでしょう。

電気眼振図検査

暗室で専用の椅子に座り目の周りに電極を付けて眼球の動きを記録します
電気眼振図検査の様子

座った状態で、目のまわりの上下左右に電極を付けて、眼球の動きを記録します。眼球の水平方向、垂直方向の成分を記録します。痛みを伴う検査ではありません。ときにめまいをわざと誘発させて記録を行うことがあります。この時、一時的に不快感を感じることがありますが、記録後すぐに治まります。患者さんの協力がとても重要な検査です。安心して検査を受けていただけるように配慮しております。
以下は電気眼振図を記録した状態で検査を行います。

温度刺激検査

左右の耳のどちらかに、体温とは異なる暖かい空気、または冷たい空気を入れてわざとめまいを起こさせます。そして、この時の眼球運動を記録します。半規管の機能を左右別々に評価できます。半規管由来の特徴的な眼球運動が起こっているときに、開眼してみつめさせることによりこの動きが抑制される状態をみます。これは脳の障害を確認できます。

回転刺激検査・頭振り眼振検査

頭部が動いたときの半規管、耳石器、周辺視野などの動きにより起こる眼球運動を記録します。
頭振り眼振検査は、頭部を左右に振った状態の時に、眼球運動が一時的に蓄えられ、頭振り後にこれが眼振として現れる状態を記録します。脳や末梢の機能を調べるのに役立ちます。
回転刺激検査は、椅子に座っていただいて、座っている椅子そのものを回転して半規管を刺激します。時計方向回転と反時計方向回転を行います。椅子に座って、時計方向に椅子をぐるぐると回すと、右の外側半規管が刺激されて右向きに速い動きをする眼振とよばれる眼球運動が現れます。この回転している椅子を急に止めると、今度は回転中とは反対方向に向く速い眼球運動が起こります。半規管への刺激量を正確に決めることができるように、コンピュータ制御してある回転刺激専用椅子を使用します。温度刺激検査のように個々人の耳のかたちに影響されない、また前半規管や後半規管の刺激も可能であることなどの特徴があります。さらに、この検査は回転刺激後眼振を観察します。刺激の方法は振子様回転あるいは等加速回転、減衰振子様回転、一方向減衰回転などを行います。
以下の検査は電気眼振図を記録した状態で検査を行います。

専用の椅子に座り、椅子を回転させ、半規管を刺激し、めまいのような状態を起こさせて観察します。
回転刺激検査・頭振り眼振検査の様子

追跡眼球運動検査

目の前を等速度で動く視標を、しっかり目の中心で捉える眼球運動を記録します。視標と同じ速度で眼球が連続的に動きます。小脳や脳幹に問題があると円滑に追跡出来なくなります。

衝動性眼球運動検査

暗い部屋で動く光をしっかり目の中心で捉えられているかどうかの眼の動きを記録します
衝動性眼球運動検査の様子

急速に動く視標を追いかけるときに発生する眼球運動を記録します。左右、または上下の離れた2点の視標を交互に追ってもらいます。目の動きの速度や動き出すまでの時間、視標の位置を正確に追えるかどうかをみます。

視運動性眼球運動検査

スクリーンには光の縦線が表示され、それが左右に動きます。
視運動性眼球運動検査の様子

大型スクリーンのようなものの前に座っていただきます。目の前に映し出される白い線が動きますので、この白い線を目で追っていただく検査です。視野全体が動いているときに起こる眼球運動を記録します。検査が始まって少し経つと自分が動いているような錯覚などが生じることがあります。バスや電車の中から外の景色を見ているときに起こっている眼球運動です。頭部が動いているときの視標のブレを少なくする反射性の動きと、移動する視標を常に網膜の中心で捉えようとする大脳や小脳が関与しています。

視運動性後眼振検査

視覚刺激の後に放出される眼振です。脳の機能を反映しているといわれる眼振を記録します。
眼球運動を蓄えている脳の機能を反映しているといわれ、脳の障害があるとこの機構が影響を受け眼球運動の動きに現れてきます。

このページへのお問合せ

横浜市立脳卒中・神経脊椎センター

電話:045-753-2500(代表)

電話:045-753-2500(代表)

ファクス:045-753-2894

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