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脳波・筋電図検査

最終更新日 2024年2月21日

脳波検査

紹介

脳の神経細胞が発する微弱な電気を増幅させて記録したもので、大脳皮質の表層に生ずる電位変動を見ています。

目的

CT・MRIなどでは得られない脳の機能を客観的に捉えることができます。日常生活を行う身体的機能の予後、病態生理に関する情報を非侵襲的に知ることができる検査です。安静時の記録を主に行いますが睡眠時の記録、賦活時の記録も行います。賦活とは光を目の前に当てたり、また深呼吸をしてもらい脳波の変化を調べます。大きな音を聞いてもらうこともあります。

適応

てんかん、頭部外傷、脳腫瘍、脳血管障害などの診断に役立てます。
痙攀発作の原因を探る場合、また脳死判定の場合も脳波検査は必須検査です。

注意

検査のお部屋に案内されたらベッドに仰向けに寝て、リラックスしていただくだけです
頭皮上に検査用電極をクリームで付けますが、痛みはありません。前日はよく洗髪し、整髪料などはお使いにならなずお越しください。(頭皮を角質除去剤で拭くために少しザラザラした感じはあります。)
脳波検査の場合は、騒音を遮るために「シールドルーム」という厚い扉がある特別なお部屋で検査を行います。暗い所がこわい人、狭い部屋の苦手な人は申し出てください
電気を流す検査ではありませんので痛みや危険はありません。
空腹の場合、検査結果に影響がありますので食事をとってから検査にいらしてください。
お薬については服用していただいてかまいませんが、一般的に睡眠薬といわれるようなお薬は前日の夜の分は控えてください。また、眠ったときの脳波記録も行いますので、検査当日は睡眠時間をいつもより少なめにして、寝不足の状態でお越しください。
検査時間は1時間以上かかります。お手洗いは必ず検査前に済ませてからお越しください。

検査の様子

誘発脳波検査

目的

患者さんに音、電気、光などの刺激を与え、その刺激に反応した脳波を加算信号処理し波形を得るものです。それぞれの刺激の種類に応じた特有の波形が認められ、各波形を解析することにより、聴神経系、知覚神経系、視神経系などの経路の異常や脳幹・大脳皮質などの機能異常を知ることができます。

聴性脳幹反応(Auditory Brainstem Response:ABR)

聴性脳幹反応は聴覚器官からの聴覚刺激を受けて、脳幹部の聴神経系の興奮に伴って生じる電位を記録するものです。臨床応用としてもっとも有用な疾患としては、昏睡の原因とその予後の判定、多発性硬化症などの神経疾患の早期診断、脳幹部血管障害、脊髄小脳変性症、などで異常が見られます。
ABRは睡眠・意識障害・薬物などに影響されにくく容易な検査です。脳死判定の補助検査としても利用されています。

方法

『カチカチカチ・・・』という音(クリック音といいます)をヘッドホンから聴いてもらい、それに伴って生じる微量な電位を頭皮上に装着した電極から加算平均し記録します。

ABRの検査に使用するもの


音刺激に使用するヘッドホン

視覚誘発電位(Visual Evoked Potential:VEP)

視覚誘発電位は、光やモニター上のパターンなどの刺激により誘発される大脳皮質の視覚領野で捉えられる電位です。網膜の細胞から大脳皮質に至までの視覚情報伝導路における機能を多角的に評価する手段として用います。VEPは網膜中心部から視束、視束交叉、外側膝状体を経て大脳皮質視覚領に至るまでの機能を反映します。したがって中心部視機能である色覚、視力、中心部視野の検査に有用です。精神安定剤や麻酔薬は波形に影響するので注意します。

方法

パターン刺激(Pattern Reversal VEP)、フラッシュ刺激(Flash VEP)、ゴーグル刺激(LED刺激)などがあります。

VEP検査の様子

体性感覚誘発電位(Somato-sensoryEvoked Potential:SEP)

体性感覚誘発電位は、上肢または下肢の感覚神経の末梢部に皮膚表面上から電気刺激などを加え末梢神経から脳幹、大脳皮質までの感覚神経路における伝導機能障害の検索に用います。主に末梢神経障害、脊髄障害、脳幹障害、視床障害などの患者さんの検査に用います。
当院では通常SEPの検査ではSSEP(短潜時SEP)を行っています。SSEPは意識レベルや薬物の影響を受けにくい検査です。

方法

頭や頸、背中などの感覚神経の末梢部から神経路にそって中枢にかけて電極を配置します。電気刺激を行い各感覚系路に生じた電位を加算平均し記録します。刺激は誘発筋電図で刺激を行う場所と同様です。上肢は手首の、下肢は足首のところで刺激をします。

SEP検査の様子

筋電図検査

紹介

神経細胞より発した末梢あるいは中枢に伝導する活動電位を記録したものです。種類として電気刺激をして神経系を調べる神経伝導検査(運動神経伝導速度と感覚神経伝導検査)と針電極を用いた筋肉の状態を調べる針筋電図検査というのがあります。

目的

神経細胞より発した活動電位を表面電極あるいは針電極を用いて記録すれば感覚神経や運動神経の伝導速度(神経の伝わる早さ)、神経や筋肉の機能が調べられます。

適応

おもに手足のしびれなどの感覚障害や運動障害、歩行障害などの筋力低下、その他、勝手に手足が動いてしまう不随意運動や、手足が突っ張ってしまう筋緊張異常などの症状の病態評価や診断に有用な検査です。

注意

検査の内容にもよりますが上肢の検査の場合は椅子もしくはベッドに腰掛けてもらって検査をします。車イスの患者さんは車イスに座ったまま検査をします。下肢の検査の場合はベッドに横になってもらい検査をします。
患者さんにはこちらで動作を指示しますので指示にあわせて四肢を動かしてみてください。
検査用電極クリームを四肢に付けます。
電気刺激をして検査するのと針を刺して検査する2つがあります。調べる内容によって選択します。どちらの検査も少々痛みを伴いますが、なるべく力を入れずにリラックスしていてください。
電気刺激ではビリビリとした痛みが起き、神経を刺激するために勝手に手足が動きますが、問題ありません。
電気刺激を用いて行う神経伝導検査は医師の指導のもとで、臨床検査技師が行います。針を用いて検査する針筋電図検査は医師が行います。
食事はとっていただいてかまいません。また、お薬についても普段通りに服用していただいてかまいません。

検査の様子

このページへのお問合せ

横浜市立脳卒中・神経脊椎センター

電話:045-753-2500(代表)

電話:045-753-2500(代表)

ファクス:045-753-2894

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