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ぐるっとSTORY(2024年春号)

最終更新日 2024年4月3日

横浜市交通局の広報誌『ぐるっと』では、“おしごとSTATION”と題して、市営地下鉄やバスで働く人たちを紹介しています。
日常生活のなかではなかなか知る機会のない、市営交通の裏側にフォーカスした本連載。誌面に入り切らなかったインタビューをWEB限定記事としてお届けします! 今回は、川和保守管理所で、電気設備の保守管理を担う電気区職員の荒井拓也さんへのインタビューです。

横浜市営地下鉄の神経
「このお仕事でやりがいを感じることは?」。この質問に、荒井さんはこう答えた。
「やりがいを感じるのは、時間に遅れることなく普通に電車が動いてくれることです。それが安全の証拠ですし、設備の不具合がないということなので。今日もやっていてよかったなって思いますね」
荒井さんは市営地下鉄の変電所や駅構内の電気設備の保守や点検を仕事としている。駅構内の照明や防災設備、電車上部のパンタグラフが触れる架線まで。普段、私たちが何気なく目にしているものは、すべて荒井さんのような職員によって管理されていると言う。
電力会社から送られた電気を変電所で変換し、各駅や電車に送り届ける。電車が動き、駅がお客さまを出迎えられるのは電気区職員の仕事のおかげだ。横浜市交通局の採用情報ページの業務説明においても、電気区職員は「地下鉄の神経“電気”を操る」と形容されている。
1日のスケジュールはなかなかハードだ。午前8時30分に始業して午後5時15分に退庁となる日勤が基本だが、夜間作業や工事の立ち合いに向かうこともある。線路内に立ち入ったり、電車の運行中に通電している架線に触れたりする作業は、終電後から始まる。その作業は始発まで続き、仮眠や引き継ぎを経て午前8時30分に仕事が終わる。もちろん、このような泊まり勤務はローテーションが組まれているが、決して楽な仕事ではないだろう。


終電後に線路作業で使用する軌道モーターカーに乗る荒井さん。前後にのみ移動するため、どちらも見やすいように横向きに座る

まずは安全第一
荒井さんの前職は美容師。手を動かしたり、細かい作業をしたりするのが好きだった。子どものころから乗り物のプラモデルをつくって遊んでいて、今でも自分で家具などを組み立てて塗装するDIY好き。そんな荒井さんが横浜市交通局に入局したのは10年前のことだった。
「東京や神奈川の美容室で働いた後、将来のキャリアについて考えていたときがあったんです。そこで横浜市交通局の採用情報を見つけました。最初は畑違いの業界に戸惑いました。でも、工業高校の電子機械科出身で、なにかをメンテナンスするのが好きです。下から人を支えるようなことができれば、と思って今の仕事を選びました」
入局してすぐは必要な資格がなかったため、電気工事士や消防設備士などの資格を働きながら取得した。66,000ボルトまでの電気を扱う危険な仕事。「とにかく安全第一」と先輩から教わってきたと言う。
「『モノに触れるなら、絶対に電気が流れていない確証をもって触るようにする』と教わりました。点検は必ず点検手順書のとおりに進めていきます。あと、防護具も大事です。長靴や手袋を必ずします。それから、職員同士の声かけも欠かせません。『ここをこうするから離れていて』とか。単独行動もしないようにと教えられます」
「お客さまには、私たちのこういう仕事は見えないと思いますけれど……」と、荒井さんは控えめに笑った。だが、「お客さまが安全に電車に乗れるように、普通であることや、いつもと違う小さな異常を見逃さないことが大切」と仕事のこだわりを話してくれた。


命綱や仕事道具がぶら下がるベルト。2キロほどあるようで、持ってみるとずっしりと重い

お客さまのために昼夜問わず
そんな「見えないところ」を支える荒井さんだが、お客さまと接する機会はたびたびあるそうだ。
「駅構内の点検をしていると、道を聞かれたり、周辺の商業施設の場所を聞かれたりするので、駅周辺の地理は把握するようにしています。『駅務員ではないから分かりません』で終わらせずに、丁寧な対応を心がけます」


インタビュー中の荒井さん

川和保守管理所の最寄りである川和町駅を走るグリーンラインの車両は6両化が進んでいる。また、センター南・センター北駅でグリーンラインと並走するブルーラインも、新しい4000系車両に切り替わっている。日々の仕事の中で、車両設備が最新で快適なものになっていくのを実感しているそうだ。
「私のような技術職員がお客さまに向けてメッセージを発することは難しいですが、昼夜問わずに安全に運行できるように日々働いているので、安心してご乗車くださいとお伝えしたいですね。子どものころは車やバイクのプラモデルで遊んでいて、乗り物が好きでした。だから、これを仕事にできてよかったです」
かつては美容師という異分野で働いていた荒井さん。だが、子どものころから乗り物が好きだったこと、手を動かすことが好きだったこと、工業高校の電子機械科に通っていたことを考えると「元に戻ったような感じ」と言い、「工作やものづくりが好きな人なら楽しめる職場だと思う」と話す。
なによりも「安全」と「普通」を大事に。荒井さんは、まさに縁の下の力持ちだ。

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