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ぐるっとSTORY(2023年春号)

最終更新日 2023年4月10日

横浜市交通局の広報誌「ぐるっと」では、”わたしのまちの地産地消STORY”と題して、市営地下鉄・バス沿線で行われている地産地消の取り組みにフォーカスしています。誌面に入り切らなかったインタビューをWEB限定記事としてお届けします! 今回は、仲町台駅近くでいちごを栽培している「ながさわファーム」の長澤佑典さんと、そのいちごを使って和紅茶をプロデュースする「Saryuʼs Tea(サリューズティー)」馬場美智恵さんへのインタビューです

「顔の見える農業」をコンセプトに
仲町台駅近くのイチゴハウスのほか、北新横浜で野菜の栽培・直売もしている「ながさわファーム」。
もともとは野菜の市場出荷を中心に行う農家で、長澤佑典さんが後を継いだことを機に現在の直売中心のスタイルになった。
「せっかく370万人以上が暮らす横浜市で農業をやるのだから『顔の見える農業』をやりたいと思いました」と長澤さん。
地域の八百屋さんに出荷するときも、直接農園に野菜を取りに来てもらい、「こんな面白い野菜があるよ」「前回こういう野菜が人気だったから来年もお願いします」など、店主とコミュニケーションをとることを大事にしているそうだ。


「ながさわファーム」長澤佑典さん

そんな長澤さんが本格的に都市農業を目指したのは、大学4年生時に書いた論文がきっかけ。
「最初は、長男なのでなんとなく家業を守ろうという意識から東京農業大学に進学。そこで卒業論文を書くにあたり、直売農家や子どもたちに授業を行う収穫体験農園、地元の小学校給食に野菜を提供する農家など、さまざまな都市農家さんのもとに伺いました。市場出荷だけでなく独自のやり方で生き生きとしている農家さんとふれあい、農業にもっと向き合ってみようと思ったんです」


子どもから大人気の「おいCベリー」

長澤さんが就農してからとくに力を入れているのは、いちごの栽培。「どうせなら好きなものをつくりたい」という思いから、ともに農園を営む奥様・長澤沙也加さんの好物であるいちごをメインに選んだそう。毎年さまざまな種類を試し、現在は5種類のいちごを仲町台イチゴハウスで直売。有機入り肥料を使った安全でおいしい完熟いちごは地域住民の評判を呼んでいる。
「直売期間は毎日販売できるよう、できるだけ手間をかけ、完熟するいちごの数が一定になるように工夫しています」
さらに、マルシェへの出店や地元の飲食店と交流するなど、地域活動にも積極的に関わっている。この春には横浜市内の洋菓子店やカフェのスイーツに、ながさわファームのいちごが使われた。
なかでも、オリジナルブレンドティーの加工・販売を行う「Saryu's Tea」の馬場美智恵さんとは、これまで3つの和紅茶のコラボレーションを実現。「ながさわファーム」のいちごの特性を生かし、風味豊かな和紅茶をプロデュースしている。
地産の素材をブレンドした和紅茶を展開する「Saryu's Tea」


「和紅茶いちごミルクティー(500円・税込)」。ピンクの可愛らしいパッケージも馬場さんの考案

「Saryu's Tea」は、主に横浜市内のマルシェに出店しているお茶屋さん。国産の茶葉を使用し、最近は市内にとどまらず、県内外のお店や企業からオリジナル紅茶をつくってほしいと依頼を受けるという。


「Saryu's Tea」馬場美智恵さん

現在は各所に出向いて販売しているが、2021年7月までは石川町でカフェを営んでいた。
店舗営業と並行してティーバッグの商品化を準備していたときに、新型コロナウイルスの流行による営業規制が始まり、店を閉めることになった。
「これからというときだったので、完全にやめてしまうのか、物販で続けていくのかすごく迷いました。そんなときに、お客さまが地産地消マルシェをひらいている方とつないでくださったのが、今の営業スタイルの出発点。それまで、横浜で農業が盛んだということも、地産地消の活動がたくさんあることも知らなかった。本当にたくさんのご縁で今がありますし、この一年半でいろいろな世界が見えてきてとても面白いです」
二人の出会い
長澤さんと馬場さんが出会ったのは、2022年2月ごろ。横浜市役所2階にある地産地消レストラン「TSUBAKI食堂」で、馬場さんが食事していたところに、長澤さんがたまたま居合わせ、そこで挨拶を交わしたことがきっかけ。
「まだ短期間だけど、もう随分長いお付き合いな気がします」と長澤さん。
馬場さんは「初めて長澤さんのいちごを使ったお茶をつくらせていただいたときは、感動しましたよ。『こんなにおいしいいちごを近場でつくっている方がいるなんて』とびっくりし、早く知っていたらカフェでも取り入れたかったなあと。でも、きっとあの時出会ったことが縁なんだと思います」と話す。


ハウスで丁寧にいちごと向き合う長澤さん

和紅茶をつくるにあたり、「ながさわファーム」は定番の「紅ほっぺ」と「おいCベリー」を中心に選んだ数種類をブレンドしたものを「Saryuʼs Tea」に提供している。
ひとつの品種だけでなく数種類をミックスするのが、長澤さんのこだわりだ。「甘さや酸味など、品種ごとの特性が複雑に混ざり合うことで、いちごの魅力をより楽しんでいただけます」と長澤さん。
馬場さんは、「いつも完熟の状態で提供してくれるので、乾燥しても凝縮された香りや甘み、酸味が本当によく出るんです。その魅力をいかに引き出すか。和紅茶とバランスよく調合して、香料を使わず香りや風味を出すのが私のこだわりです」と話す。自然のいちごでしっかり香りが広がることが、購入者からの評価が高い理由だ。


実が成り始める12月半ばごろから摘果を始め、肥料をしっかり与える

雑談から生まれるアイデアたち
長澤さんと馬場さんのコラボレーションにより生まれるいちごの和紅茶は、横浜市産のハイビスカスをブレンドした甘酸っぱさが特徴の「横濱フルーティー和紅茶」、お湯を注ぐといちごの香りとともにミルクが溶け出す「和紅茶いちごミルクティー」、そして新商品の、カカオの皮を使ってチョコ感を引き出した「ストロベリーショコラ和紅茶」の3種類。
毎回さまざまな素材と組み合わせているが、使用する素材やテーマについて、どのようなやりとりが行われているのだろうか?


わくわくした様子で話す長澤さん

「いつも僕たち夫婦と馬場さんの雑談から始まります。ガッツリ会議をしましょうという感じではなく、『今度これやりたいけどどう?』と馬場さんがもちかけてきてくれて、『それいいね』『こういうのもやってみたい』というような雑談のなかから企画が生まれる。馬場さんはとにかく紅茶の知識が豊富なので、案を話すとすぐにパスが返ってきます」と長澤さん。
馬場さんも「マルシェでたまたま会った時に、『今度こういうのつくろうと思っているんだけど』なんていきなり話し合いが始まったり、『ちょっと飲んでみて』と試飲してもらったりすることもあるよね。今回も、春はショコラを用いてバレンタインの時期から出したらいいんじゃないかと、ちょうど新商品について話し合っていたばかりなんです」と話す。
この日も、次の企画について話が止まなかった。
「人と人とのご縁で今がある」
地産地消を通じて協働する魅力について、長澤さんはこんなふうに語る。
「馬場さんも話していたけれど、うちもお客さまや野菜ソムリエさんが地域で活動されている別の方をつないでくれたり、その人の紹介でまた輪が広がったり、縁が縁を生んで今があります。それが結果的に地産地消にもつながっていると感じますし、コミュニケーションを大事にして、できそうなことはこの界隈で全部やってみようという精神です。馬場さんが、うちのいちごの特性を理解し、大事にしてくださっているのも、本当にありがたいです」
馬場さんは、「マルシェって、何か目的があって足を運ぶのではなく、あそこにいけば何かがあるし、誰かがいると思って行く人が多いんですよ。たくさんの人が活動を応援してくださるのもあって、お客さまが農家と私たちの活動を認知してくれていると感じます。地産地消のブースは、いつも盛り上がっていますね。『長澤さんのいちごが使われているから』と購入してくださる方も。私も、長澤さんがいちごを栽培している限り、いちごの商品を出し続けていくつもりです」と話す。
そんな二人の和紅茶が購入できるのは、「ながさわファーム」の仲町台イチゴハウスと、馬場さんが出店する市内各地のマルシェ。
現在は、新商品の「ストロベリーショコラ和紅茶」と「和紅茶いちごミルクティー」の2種類を販売中だ。


仲町台イチゴハウス

仲町台イチゴハウスでの販売はいちごの直売期間(12月末〜5月)のみだが、馬場さんは横浜市内のマルシェに通年出店している。この春はもちろん、いちごの販売が終わったあとも、ぜひ和紅茶をとおして「ながさわファーム」のいちごを楽しんでほしい。

ながさわファーム
所在地:港北区新羽町4327(ながさわファーム仲町台イチゴハウス)
直売期間:12月末~5月
営業時間:10:00~なくなり次第終了 アクセス:ブルーライン 仲町台駅から徒歩約10分
お問合せ:080-4004-2566
公式Instagram:@nagasawafarm.yokohama
Saryuʼs Tea
公式Instagram:@saryu.ocha
*横浜市内のマルシェで不定期販売しています。出店情報はInstagramでご確認ください

このページへのお問合せ

交通局総務部総務課

電話:045-671-3671

電話:045-671-3671

ファクス:045-322-3911

メールアドレス:kt-koho@city.yokohama.jp

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