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ぐるっとSTORY(2023年夏号)

最終更新日 2023年7月6日

横浜市交通局の広報誌「ぐるっと」では、”わたしのまちの地産地消STORY”と題して、市営地下鉄・バス沿線で行われている地産地消の取り組みにフォーカスしています。誌面に入り切らなかったインタビューをWEB限定記事としてお届けします! 今回は、横浜野菜がたっぷり入ったレトルトカレーをつくり、市内各所のマルシェに出店している中尾真紀子さん(マサラモア)へのインタビューです。

たっぷりの横浜野菜が溶け込むレトルトカレー
家族の健康が出発点

野菜ソムリエや食生活アドバイザーなどの資格をもち、カレーを学ぶためにインド留学を経験した中尾真紀子さん。横浜市役所など、市内各所のマルシェで販売しているレトルトカレー「横濱野菜のスパイスカレー」のほか、カフェで提供している都筑区産の野菜を使った「つづきカレー」をプロデュースしている。
もともとはプログラミングの仕事をしていたが、退職して10年ほどは専業主婦だったという。食の大事さに気がついたのは、子育ての経験から。
「野菜や食についてきちんと勉強し、栄養バランスのよい食事を家族に食べてもらいたいと思ったのが始まりでした。自分が与えたもので子どもが育っていくことに責任を感じましたし、私自身、両親に『野菜を食べなさい』と言われて育ったので。野菜をしっかり摂ることを意識していくうちに、地元の野菜が一番おいしいとわかり、地産地消という考え方が身についていきました」
中尾さんが横浜野菜を使ったスパイスカレーの開発を始めたのは2015年。横浜市の地産地消ビジネス創出支援事業に採択されたのがきっかけだ。そこから約2年間の研究の末、2018年に横浜野菜を使ったレトルトカレー「パキスタン風スパイスカレー」が誕生した。
「私が『地産地消の事業をやりたい!』と思ったころ、共働きの夫婦やご飯をつくる時間がないという家庭が少なくありませんでした。自分も仕事で帰りが遅くなったときに、野菜不足にならない食事にするにはどうしたらいいのか悩みました。そんななか、短時間で簡単につくれて、安心して野菜が食べられるものがあったらいいなと思い、レトルト商品を開発しました。カレーにしたのは、野菜をたくさん溶け込ませることができるからです」
最初はカレー好きな方を対象にしていたが、このレトルトカレーを購入するのは、ほとんどが横浜の人。そこで、より横浜野菜を周知することにフォーカスし、2020年には商品名とパッケージデザインを刷新。現在の「横濱野菜のスパイスカレー」が誕生した。


半日分の野菜(175g)を使用した『横濱野菜のスパイスカレー』

スパイスに惹かれ、カレーの道へ
中尾さんがカレーを選んだ理由はもう一つあった。それは、20年以上前から趣味でスパイスを使ったカレーをつくっていたほど、スパイスが好きだということ。
「今までずっと自己流でやってきたから、本格的に勉強しようと思い学校に通いました。まずはカレーの第一人者だと言われる井上岳久先生が学長を務める『カレー大学』や『カレー大学院』で半年間、実習や座学などあらゆる講義を受講しましたね」
さらに深くカレーについて学ぶため、インド留学も経験した中尾さん。インドでの生活についてこんなふうに話す。
「毎食カレーを食べたけれど、いろんなバリエーションがあってまったく飽きませんでした。海外旅行に行くと不安なことも多いのに、インドではお腹の調子がすごくよかった。もともとお腹にガスが溜まりやすい体質でしたが、スパイスの駆風(くふう)作用によりそれもなくなり、血流もよくなりました」
試行錯誤の商品開発


中尾真紀子さん

「レトルトカレーの商品開発で一番苦労したのは、工場探しです」と話す中尾さん。当時はまだ小ロットで請け負う工場が少なかった。
「横浜市の地産地消ビジネス創出支援事業に採択されとはいえ、規模が小さかったことと、個人ということもあり、なかなか工場が見つかりませんでした。途中まで話が進んだところもありましたが、思うようにいかず。探し始めてからしばらく時間が空いたころ、ちょうどレトルトカレーをつくり始めた工場が見つかったんです。現在もお願いしている、千葉県我孫子市の工場。その頃には、試作までの経験があったのですぐに話しが進みました」
また地場野菜を探すのも、最初は難航したそうだ。横浜の農園情報をまったく知らないところからのスタート。有名な農家さんに打診するも、断られることが多かったという。そんなとき、横浜市が実施した農家巡りのイベントに参加した。さまざまな農園情報が掲載されている冊子を手に、市内各地の農家さんのもとを巡るバスツアーだ。後日、冊子に載っていた農家さんに電話し、ようやく依頼が成立したという。
「最初の農家さんとの交流から、だんだんと知り合いが増えていきました。自分でもマルシェをやるようになったり、はまふぅどコンシェルジュ*1の活動をしたり。取引してくれる農家さんも増え、おかげさまで今は困らないようになりました」
現在、主に取引しているのは都筑区のマルイファームさんと、神奈川区の金子農園さんだ。
中尾さんは、横浜野菜についてこう話す。
「横浜は農園が多く、少量多品種で珍しい野菜も手に入る。地元の人に食べてもらうためにつくっている農家さんも多いので、思いがたくさんつまっています。また、農地と住宅地が近いため、農薬をなるべく抑えてつくっている。私がマルシェで出店する際は、自分の商品以外にも、横浜野菜や地産地消に関する商品も仕入れて並べていますが、それは地元の農家さんや地産地消を応援する気持ちがあるからです」


親子や夫婦など、家族で食べられる二人分(1,200円・税込)と、 レンジ対応の一人分(680円・税込)*定期開催のマルシェでの価格。店舗により異なります

レトルトカレーに使用している横浜野菜は、5種類。なかでも、「横浜野菜の代表である小松菜とキャベツは絶対に入れたかった」と話す中尾さん。これらはあまりカレーには使われない野菜だが、ベースに入れることでサラッとした後味で、胃もたれしないカレーに仕上げた。
辛いものが苦手な方でも食べられるマイルドな味だが、別添えのスパイスで辛さの調整ができるのも魅力だ。
都筑区を盛り上げる新しい試み
レトルトカレーの開発・販売のほか、「つづきカレー」のプロデュースも行う中尾さん。
「つづきカレー」とは、中尾さんが結成した都筑区カレー部で考案した「都筑区の野菜と、2種類以上のスパイスを使う」という定義をもとにつくられるカレーのことだ。
「カレーは数えきれないほど種類があるので、レシピではなく定義を定めたんです。まだ出発したばかりですが、都筑区内のいろいろな飲食店さんにお声がけし、今後メニューに入れてもらいたいと思っています」
定義をクリアすれば、だれでもつくることができる「つづきカレー」。発案者である中尾さんのつくる「つづきカレー」が食べられるのは、センター北駅近くにある「モヤキラCAFE」だ。
ここは、一般社団法人モヤキラが運営に関わっている、シェアオフィス内にあるカフェ。だれもが気軽に立ち寄れて、ちょっとした悩みを共有できる場所を目指し、今年2月にオープンした。
「モヤキラは、小さな一歩を踏み出せるきっかけとなる場づくりをしている団体です。私も誰かを応援したいと思い、所属しました」と中尾さん。隔週木曜にカフェの曜日店長を務め、ランチでカレーを提供している。季節野菜たっぷりのカレーと副菜が、ワンプレートに彩りよく盛り付けられている。


この日のつづきカレーは、都筑区産の旬野菜、菜の花が入った牡蠣カレー(800円・税込)(当時の価格)


季節の味とココナッツの風味が楽しめる副菜。この日は、都筑区産のレタス、ブロッコリー、にんじん、長野県産のビーツを使用

「横浜の地産地消をもっと広めたい。お客さまにも、農家さんや地元の農産物を応援してほしい!」と、生き生きとした表情で話す中尾さん。
これまで『ぐるっと』では、地産地消に関するさまざまな取り組みをご紹介してきたが、横浜にはまだまだ知られていない農園や地産地消レストランなどが多くある。
中尾さんのつくるカレーを通して、横浜の地産地消をぜひ体験してみてほしい。


モヤキラCAFE。広々とした空間で、思い思いの時間を過ごせる

*1 横浜市では、「食」と「農」をつなぎ地産地消を広める活動を行い、市が主催する講
座を修了した方を「はまふぅどコンシェルジュ」として認定しています
「つづきカレー」
提供場所:モヤキラCAFE(都筑区中川中央1-21-3ドゥーエセンター北201)
提供日時:第1・3・5木曜11:00~16:00 
*変更の場合あり。電話でお問い合わせください
アクセス:ブルーライン・グリーンラインセンター北駅出口1から徒歩約3分
お問合せ:☎045-482-4003
「横濱野菜のスパイスカレー」
販売店:TSUBAKI食堂(中区本町6-50-10 横浜市役所2階)
営業時間:11:00~15:00/17:00~22:00(年末年始を除く)
アクセス:ブルーライン 桜木町駅1番出口から徒歩約5分
*JA直売所や市内各所のマルシェ、かながわ屋そごう横浜店でも販売しています

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電話:045-671-3147

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ファクス:045-322-3911

メールアドレス:kt-hpinfo@city.yokohama.jp

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