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将来の公共施設のあり方について
健全で持続可能な行政サービスの提供に向けた、安全・安心な公共施設の整備と保全・更新
最終更新日 2023年4月1日
1 将来の見通し
- 将来の見通しに関する各種推計データは、いずれも厳しい見通しを示しています。
人口推計(2037年、2047年) 政策局「横浜市将来人口推計」(2017年12月)より(中位推計)
西暦 | 年少人口(0~14歳) | 生産年齢人口(15~64歳) | 高齢者人口(65歳~) | 総数 |
---|---|---|---|---|
2018年(現在) 注釈1 |
約46万人 | 約237万人 | 約90万人 | 約374万人 |
2037年 |
約40万人 |
約205万人 |
約113万人 |
約357万人 |
2047年 |
約37万人 |
約184万人 |
約119万人 |
約340万人 |
注釈1:2018年の人口は、住民基本台帳登録者数(同年3月31日時点)
財政見通し(一般会計2018年度~27年度)「横浜市中期4か年計画2018~2021」より
歳入歳出総額の見通し
歳出総額は、試算期間全体を通じて扶助費や医療・介護に係る義務的な繰出金が増加する見込みなどから、2021年度以降は増加していくことが見込まれています。
市税収入の試算
また、歳入総額は、市税収入全体が微増の見込みであるものの、厳しい状況が見込まれます。
保全・更新費の将来推計(一般会計2018年度~37年度)「横浜市公共施設管理基本方針」より
人口急増期に建設された施設の老朽化が一斉に進み、特に学校や市営住宅の建替えが必要となるため、公共建築物の建替費を中心に保全・更新費が増大していきます。
過去の将来推計との比較(一般会計):約1.8兆円(2012年度~31年度)→約2.5兆円(2018年度~37年度)(注釈2)
注釈2:時間計画保全に基づく推計額であり、実際の必要額は状態監視保全の考え方に基づき、各年度の予算編成において精査します。
2 考察
- 長期的に、従来の水準・手法のまま施設を維持していくことは、厳しいと予想されます。
コストの比較
試算1 公共施設の保全・更新にかかる市民1人あたりのコスト
2018年度予算における、市民1人あたりの保全・更新費のコストは、約1.9万円となっています。仮に、2037年(約20年後)の人口と保全・更新費の推計値から同様に試算すると、2037年のコストは、約3.5万円となります。
試算2 市民1人あたりの公共施設保有量(建築物)に基づく試算
2016年度の公共施設保有量を人口で割った本市の「1人あたりの公共施設保有量」は、2.35㎡となっています。仮に、これに2047年(約30年後)の推計人口を掛け合わせると、現在よりも約9%少ない数値となります。
2016年度の本市の公共施設保有量:約878万㎡
2047年度(約30年後)の本市の公共施設保有量:約799万㎡
799万㎡÷878万㎡=約91.0%(約9.0%の減)
横浜市 | 川崎市 | 相模原市 | 名古屋市 | 大阪市 | 神戸市 |
---|---|---|---|---|---|
2.35 | 2.54 | 2.32 | 4.22 | 5.21 | 4.37 |
(1.85) | (1.78) | (2.07) | (2.22) | (2.39) | (2.45) |
注釈3:総務省「公共施設等総合管理計画の主たる記載内容等をとりまとめた一覧表」から2016年度のデータを抜粋。市営住宅の保有量に各都市で差があるため、下段に市営住宅を除いた試算値を()で併記しています。
- 道路等のインフラ施設を含めて、なお未整備の公共施設があり、今後も新たな社会資本の整備を進めて行くことが求められています。
都市計画道路の整備率:令和元年度末時点で68.7% 道路局ウェブサイトより - 今後、建替えの対象となる小中学校の多くは、現在の施設基準を満たしていないため、建替えにより床面積が増加する傾向にあります。
3 将来に向けて
取り巻く状況
- 2018年度に策定された「横浜市中期4か年計画2018~2021」では、力強い経済成長と文化芸術創造都市の実現を目指し、市内企業の成長・発展と戦略的な企業誘致、観光・MICE、スポーツによる集客促進と地域経済活性化等を図ることとしています。
- しかし、少子高齢化の更なる進展や人口減少社会を迎える中、将来にわたって基礎自治体として必要な行政サービスを提供していくには、健全な財政運営を推進し、持続可能な財政を維持していくことが重要です。そのためには、財政見通しも明らかにしながら、福祉、医療、子育て、教育等の様々な市民サービスをはじめ、道路・橋りょう、港湾、鉄道等の新たな公共投資や既存公共施設の保全・更新を、限られた財源の中で、効果的・効率的に進める視点と、「選択と集中」という視点の両面から、行政サービス全体のあるべき水準を検討していく必要があり、公共施設も例外ではありません。
- 2018年2月に、国から「公共施設等総合管理計画(注釈4)の策定にあたっての指針」の改訂通知があり、中長期的な経費や財源の見込み、計画期間における公共施設等の数や延床面積等の数量に関する目標等について、地方公共団体の計画に記載することが求められています。
注釈4:横浜市では、「横浜市公共施設管理基本方針」が該当します。
当面の対応
- 引き続き、公共施設の状況把握・分析を行い、計画的・効果的に長寿命化を基本とした公共施設の保全・更新の取組を進めます。
- また、公共建築物の建替えにおけるコスト縮減と再編整備の検討や、インフラ施設においても需要に適した施設水準の検討の取組等、あらゆる工夫を重ねるとともに、市民利用施設の効率的な運営や受益者負担の適正化等、持続可能な行政サービスの提供に取り組みます。
将来的な取組
- 国は、公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進の前提として、自治体としてあるべき「行政サービス水準」を検討することを求めており、本市においても個別の公共施設において提供しているサービスの必要性、水準、民間代替性等を検討することが必要です。
- 具体的には、将来必要となる行政サービス水準に応じた数量に関する目標を設定し、例えば、人口減少に合わせた小中学校の統合、公共施設の新規整備の見直しや統合・廃止、用途廃止施設の土地・建物の有効活用等のアセットマネジメントの推進など。踏み込んだ取組を進めて行くことが考えられます。
- こうした取り組みは、本市まちづくりや住民に提供する行政サービスにも影響を及ぼすものであることから、行政内部における検討だけでなく、議会や市民のみなさまへの情報提供等を行いつつ、理解を得ながら進めることが何よりも重要であると考えます。
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