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第25回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

最終更新日 2020年3月5日

第25回 横浜市公立大学法人評価委員会会議録

【日時】平成21年8月3日(月曜日)14時00分~17時00分
【会議室】関内中央ビル3A会議室
【出席者】川村委員長、岸委員、山上委員、桐野委員、蟻川委員
【欠席者】なし
【開催形態】公開(傍聴者 0名)
【議 題】
1 第24回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
2 平成20年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について
3 平成20事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について
4 その他

議題1:第24回横浜市公立大学法人評価委員会会議録(案)について
・ 事務局より、【資料1】(PDF:237KB)について説明し、承認を得た。

【桐野委員】2Pの一番上の行の「制度が変われば」の部分は「政府が変われば」に訂正をお願いする。

議題2:平成20年度公立大学法人横浜市立大学の年度計画における業務の実績評価について
・ 評価の議論に先立って事務局より「包括外部監査」について、法人より、【資料2(PDF:534KB)】について、また事務局より【資料3】(PDF:107KB)について説明した。

説明1 包括外部監査への対応について
平成20年度包括外部監査における改善要望及び意見についての対応

【桐野委員】包括外部監査人の主張はもっともだと思う。しかし、最後の意見に象徴されるように、政策的医療と一般的医療があることはわかるが、それを分割できるという意見は、私は必ずしも同意できない。病院のある部分を一般であり、ある部分は政策であると認定し、自主独立で収支をあわせるというようにしてしまうと、医療の内容が影響をうける。利用者は、政策的医療・一般的医療という認識で入院するわけではない。政策的医療で入院してきた人が一般医療になる場合だってある。近年は高齢化が進み、複数の病気を併発する場合もある。この二つを分割すると決めてしまうと危険なので、慎重にしていただきたい。政策的医療・一般的医療という2つの性格付けがあることは分かるし、主張ももっともだが、これを現実に強引に財務処理に落とし込んでしまうと、最後に無理が出る。このやり方で成功しているところはないと思うし、聞いたことがない。政策的なところには市がサポートし、医療的なところは自分達で運営するというのは分かるが、それを明確に数字にするのは難しい。

【大学担当理事】「政策的医療の中で」という言い方をしているが、基本的には運営交付金の中に計算上入れている部分についてのことになる。運営交付金の話はまた後ほどさせていただくが、救急医療や高度医療機器の運営経費は民間病院と同等に市の運営交付金の算定根拠のひとつとしている。また、本市の市立病院にある結核病棟などについても、市立病院には市からの特別の補助があるので、附属病院にある結核病棟にもその額に準じたお金を運営交付金にいれている。そういう意味合いの政策的医療なので、かなり限定的な意味合いで使っている。

【事務局】後ほど説明させていただく予定だが、資料3の附属2病院の収益的収支分の項目が、本市で運営交付金として出す際に政策的医療としているものである。
【川村委員長】政策的医療というのは、地方公営企業法でいうところの政策的医療なのか。採算が取れないものが政策的医療という理解でよろしいのか?実際にはどのように限定しているのか。

【大学担当理事】考え方としてはそうだが、それをどこに該当させるかということが限定的になっている。市立病院と同様の扱いであったり、民間病院の救急医療等に対して市が補助しているものと同等の扱いであったりするものである。それを運営交付金として市が市立病院に入れるものなので、中期計画を作る当初の段階から運営交付金の算定に入れている。ただ、結核病棟等は、今後必要が無くなった場合には、運営交付金からはずす可能性もある。

【桐野委員】診療報酬が市場的に決まっているなら収支の理屈はそのとおりだが、市場的に決めるというのは相当深刻な問題を起こす。現状では診療報酬制度というものがあり、医療の価格を決めている。その価格が合理的かというと、必ずしも細部までそうではなく、不合理な面も多々ある。おかしい価格に据え置かれることも起こりうる。現状の医療制度は、そういう矛盾も含みながら、病院が全体的になんとか収支が合うような仕組みを作って維持されている。それを個々の部分で切り取って、不採算を指摘されると、診療報酬制度の個別の矛盾を個々の診療科のせいにしてしまう、きわめておかしな議論になってしまう。民間病院ではそのような個別の不採算診療科を止めてしまうようなことをしてもやむを得ないかもしれないが、公立病院で診療科個別の効率性や採算性の議論は、しないほうが適切であると思う。ここに書いてあることはもっともだと思うが、このようなことを念頭においておかなければならない。公的病院が担うべき役割を民間病院と比べてしまうと、病院はおかしなことになってしまう。本来やるべきであることをやらないとなってしまうので注意が必要。

【大学担当理事】基本的なところはそのような考えである。個別の部分については、次期の中期目標で十分議論していく。

【山上委員】監査人は1人なのか?

【事務局】包括外部監査人は1人で、公認会計士等の補助人が5人いる。

【山上委員】桐野委員が指摘されたように、医療のことが詳しく分かっていないと、会計的な処理だけで考えては大きな矛盾が出てくると思うのだが、そういう医療に詳しい人は入っているのか。

【大学担当理事】医療関係者は入っていないと思う。データを他から持ってきて対比させるやり方なので、桐野委員がおっしゃったような個別の病院の事情をどこまで反映できているかは難しい。

【桐野委員】おかしなことを書いているわけではないが、そのような留保条件をつけて、解釈しないとおかしくなると思う。

【岸委員】この場合どうだったのかは分からないが、我々の場合はまずテーマを決めて、テーマにあう補助者を選定して登録する。補助人の追加は可能だが、事前登録だと思うので、必ずしも入ってなかったのではないかと思う。

【山上委員】今の指摘以外で疑問に思っている点がある。この報告書では、運営交付金を全部引いたら収支が実質赤字になると指摘されているが、これでは大学は成り立たないので、そういう指摘は適切ではないと思うのだが。

【大学担当理事】公立大学を設置している限りは、市として運営交付金を交付しなければ成り立たない部分があるので、運営交付金がまったく別とされてしまうと困るのは確かである。

【岸委員】先ほど説明にあったが、包括外部監査人は資格が決まっており、補助者を入れることができる。大事な点は、指摘というのは法律的に措置をしなくてはならないが、今回は指摘がなかった。改善要望とはあくまで要望であり、専門家ではないので、行政の意見と違うことは若干あるため、改善要望としている。監査人の意見も含めて、過年度60%ほど措置をされているということは、なかなか立派な措置をされていると思う。それぞれの専門家から見たら思うところがあると思うが、どこまでご存じか分からなかったので説明させていただいた。
今説明いただいた中で大切だと思ったのは、113Pの改善要望「病院では管理責任を・・」という部分である。これは、要するに情報を完全に包括外部監査人に公開しているが、情報が部内で保管されているか、というガバナンスの問題である。病院だけでなく大学全部に対する要望である。資料が管理されてなかったというだけではなく、例えば監査人が事前に提出を求めた資料が出てこなかったり間違えていたりしたのではないか。改善要望だが、重く受け止めていただきたい。

説明2 中期目標において定めた運営交付金の考え方について

【岸委員】運営交付金の考え方の一番下の部分に「資本的収支分」の欄があり、借入金の元金の償還分もここに入るが、22年度計画では非常に少なくなっている。これは6年の中の中期計画の中で返済していくわけではないのか。返済していく償還分は運営交付金で返すのか。

【事務局】原則としては運営交付金で借入金の元金償還分の面倒を見ている。

【岸委員】19・20年度は長期借入金が大きく増えたのだから、運営交付金は今後増えていくのではないか。次期中期計画では増やす計画を立てる必要があるのではないか。

【事務局】そのとおりである。

【大学担当理事】運営交付金については次期中期計画策定の時に議論していただくので、現状はこういう考えということで理解していただきたい。

【川村委員長】運営交付金というのは、本来市大はこうあるべきだという市としての設立理念があって算定していたと思うが、私学助成金などの一般的な数字で学費対象経費が算定されると、横浜市は市大に対してどういう考えでその大学を発展させていこうとしているのかが見えない気がする。

【大学担当理事】現状は、基本的な経費である大学運営費用や事務局運営費の足りない部分を学費対象経費で補っている。そういう意味で、6年間同額が基本である。計画当初は、法人化に伴う経費や学部再編に伴い旧学部を維持する必要があるなど、余計にお金がかかるため、その分を含めた上で経過措置として減らしていくことにした。現状の計画の中では、地域貢献などの特色を出部分については学費対象外経費で見ることになっている。
【川村委員長】大学としての機能別分化や、どこに市大の個性を見出し強化すべきなのか最初に議論があり、それから運営経費を概ね決定し、中身に入っていくのではないかと思う。次期中期目標策定の中で議論させていただきたい。

【山上委員】まだ自主自立という予算の立て方がなっていない。市の一部のように予算要求して通らなければそのまま、というようになっているのではないか。

【大学担当理事】法人化以前は予算で決められた中で動かなければいけなかったが、学費対象経費は執行段階において自由裁量になっている。そこが法人化でもっとも変わった点である。

【山上委員】長期貸付金の中で、電子カルテの話があったが、計画の当初段階では予定のつかなかったものだと思う。途中で状況が変わるというのは起こりうることだと思う。そこで変更された金額というのは運営交付金でカバーされるのだろう。

【大学担当理事】長期貸付金は市債を発行し、償還する形になっているが、その分についても一部市が面倒見ている。

【山上委員】民間でもそうだが、当初の計画と事情により大きく変わった場合どう変えていくかだと思う。計画と実績がどんどん乖離してしまった時に、計画の数字を単なる見込みとするのか、どういう意味を持たせるのかが重要になる。

【大学担当理事】次期中期計画を作成する中で、そのような状況となったときどうすべきか検討したい。

・ 業務の実績評価について、【資料4】(PDF:214KB)【資料5】(PDF:117KB)をもとに議論

<1. 大学の運営に関する目標を達成するための取組 >

【川村委員長】このあたりはいろいろと意見もあるが、「1-(2)大学院教育の成果に関する目標を達成するための具体的方策」にAという評価がある。ここはご説明あったとおり、3研究科への再編についてそれぞれ評価されているので、妥当ではないかと思う。

【山上委員】私はBなのだが、3つの研究科に再編されたことを評価するのか、今後の結果を見てから評価するのか。今年度は形ができただけなので、Bでよろしいのではないかと思う。

【川村委員長】3研究科を作るというのはやはり相当の力仕事であり、法人は努力されたと思うのだが、内容自体はこれからだということになれば、確かにそのとおりである。
ところで入学率の考え方がユニークなのだが、通常私たちは入学定員に対する充足率、100人の定員に対して90人の入学者であれば90%とするのが入学率だと思うのだが、データ集を見ると、入学定員が100人で90人の合格者があり、その90人が入学すれば100%となっている。大学院はそれが顕著で入学率が高くなっている。これから研究科を再編し、スタートするにあたり、特に修士課程の場合は教育組織という性格が強いことでもあり、入学定員に対する充足率というものが必要だと思うのだが。充足率でない入学率というものを採用されたことに違和感がある。これらも考慮するとAをBにしてもいいかと思う。

【蟻川委員】私の大学でも入学率というのは、入学定員に対する充足率である。

【川村委員長】合格者に対する入学者が入学率となっているのか。

【法人】入学率というのは入学定員に対する充足率というデータも押さえる必要があるのだが、競争の時代なので、どれくらい優秀な学生を確保したかということが大事だと思っている。別次元でのデータ分析であるが、それを入学率という言葉にしたのは適切でなかったと思う。入学定員に対する充足率も分析していく必要があると認識している。

【川村委員長】公立大学として、市民に対して情報を伝える際、100人の定員に対しての充足率の方が社会的には重要なのではないかと思う。

【蟻川委員】合格者を入学者で割った値は、歩留まりはどれくらいかを見積もるときに使っている。

【事務局】市大では、「入学率」という言葉を使っているが、蟻川委員のおっしゃるとおり「歩留まり率」である。人気のある学科については歩留まり率が高い。

【川村委員長】ではここは評価としてはBということでよろしいか。(同意)

【川村委員長】全体として、1についてはBということでいいと思う。「2-(1) 学部教育の内容等に関する目標を達成するための具体的方策」もB、「2-(2) 大学院教育の内容等に関する目標を達成するための具体的方策」もBということであろうか(同意)。
医学研究科の広報関係の英語の資料がなく、WEBサイトにも掲載されていないというのは信じがたい話しだと思うので早急に対処してほしい。

【法人】一応あるが、改善を行っている最中である。

【川村委員長】大学としてチェックをしたほうが良い。早急に進めていただきたい。

【川村委員長】「2-(3) 教育の実施体制等に関する目標を達成するための具体的方策」はBとCで分かれているが、どうか。Cは私であるが、前回も議論があったことだが、大学において教育組織と研究組織が分離するのがいいのかという問題はあるが、市大では分けて考える方針である。研究院という病院の先生も含むバーチャルな研究主体の組織があり、教育組織がカリキュラムを考え、当てはまる教員を研究院から呼んでカリキュラムをくむ構図になっている。ところがその部分が機能していない。これはきわめて基本的な問題ではないかと感じるがいかがか。

【山上委員】私も同じような思いを持っている。Bという評価はしたが、組織の壁というものがあって横断的なやりかたができないという実態は良く分かる。より経営レベルの高いところで話し合ってもらわないと、その部署の者同士が話していても中々前進していかない。組織の壁を破って活性化をするために、効率的な教員の使い方を考える必要があると、以前の評価委員会で指摘したにも関わらず、依然として進んでいない。私はBとしたが、Cにしてもいいと思う。評価していて難しいところだが、項目がたくさんあるなかで、この項目のウエイトが大きいと判断したので、全体評価がBでなくCとしても良いのではないか。指摘したものが進まないということは、相当壁が厚いのだと感じる。もっと努力をしていただくか、学長や理事長のリーダーシップで壁を破れるくらいにならなければ、この問題は前進しないのではないかと危惧している。引き続き指摘事項になるのであれば、Cでも妥当だという気がしている。

【法人】実際に、研究院のあり方プロジェクトというものを始めて、先生を含めて議論しているが、見えにくい話である。実際の研究院の組織に全教員と病院の先生が所属し、研究員という肩書きで大学に教育していくという形を取っているが、コースごとに差があり、現実に研究院という何百人が所属する組織をコントロールするのは難しい。昨今の文科省のプログラムでも、そのような学際的な教育担当を作るということで教員の所属の問題が議論されている。私大でも早稲田大学などでは、ある分野の中で学際的に教育しようということを打ち出しているが、市大は理系から文科系まで含めた総合的な学際的組織をどのように運営していくのか。教員の人事権や働き方まで全てに関わる。研究院が人事権を持てるのかという問題もある。病院教員も医学部定員増など学生教育に関与するのだから、研究院に所属させるべきではないかという議論もある。そもそも中期目標で研究院というものが発案されたが、どこまで広げていくのかが難しい問題にぶつかっており、難航している。何らかの形を作っていくために現在検討している。

【川村委員長】この問題は、ある意味大学の基本に関わる問題で、中期目標で研究院という構想を示されたわけで、その達成状況を評価するならば、Cと言わざるを得ないのではないかのではないか

【山上委員】どこの大学も同じような状況なのだろうか。

【川村委員長】色々あり、どこも苦労していような状況である。かっては学部が本来は教育研究組織でそれに大学院がくっ付いているという考え方だったのが、次第に大学院が大学の本体の組織となり、学部は学部学生を教えるための組織と観念されるようになった。今では大学院が教員の本籍地になって人事もやるようになっているところも多い。また、大学院が学部と同じ学問分野をカバーするのではなく、横断的な学問分野で構成されているところもある。今のお話にあったように、学問分野のいくつかのまとまりでできていくならいいが、全学まとめてというのは中々むつかしいのではないか。研究院を作るとしたら、ある程度学問分野ごとに形を作った方がいいし、そこが人事権を持つならそれならよいなかと思ったりしている。大学のそういう教育研究組織の基本的な形をどうしていこうかというのが分からない。

【蟻川委員】私の大学は旧態どおり学部に人事権があるので、学部教育のカリキュラムに必要な人事を行っているので、このように悩んではいない。

【桐野委員】私は基本的に教育と研究は切り離さない方が効率が良いと思っているのだが、しばらく見守るしかないと思う。

【岸委員】問題は、中期計画で書いてあるにも関わらずできなかったということだから、Cとする考え方はある。私は不十分ではあるが改善しているという認識だったが、今の意見では中々難しいという段階のようである。中期計画と前回の指摘事項を考えると、迷うところである。

【川村委員長】ここの全体評価をBとするかCとするかはペンディングとさせていただき、次に進みたい。

【川村委員長】「3.学生の支援に関する目標を達成するための取組」は、いただいたご意見を見ると全員評価をされているので、BもAも評価に差はないのではないかと思う。
【山上委員】これはAにしても良いのではないか。この不況下でこの就職率と国家試験合格率はすばらしい。IT環境の整備が進んでいることも非常に努力されている。色々と細かいところを努力されて成果が上がったし、就職・国家試験として実績を出したことは評価できるので、Aでもよろしいのではないか。

【蟻川委員】パーフェクトをもってAとするのか、段階途中であってもある程度認めてAとするのか、難しい。この項目に関しては、ある程度、支援に関して細かいサポートを行い努力した点を評価した方が良いのではないか。

【川村委員長】確かに具体的なところを良くやっているのは立派だと思う。

【山上委員】項目別の評価でもAの評価の割合が一番高く、自己評価も良かった。

【川村委員長】それでは全体としてはAとすることとしたい。
蛇足であるが、私の意見の4番目で、奨学金について触れているが、貸与奨学金の返還が社会的な大問題になってきている。大学が返還の意識を最初に学生に植え付けておかないといけない。学生も大変だが、大学も大変だ。これからは各大学ごとの奨学金の返還率が公表されることになっているようでもあり、大学評価にも響いてくるので、今のうちから気をつけていただきたい。

【川村委員長】「4.研究に関する目標を達成するための取組」については、不適切な経理の問題により、ここはCにすべきではないかという意見があるのだがどうか。

【桐野委員】研究倫理に関して書いてあるので、Cにするべきなのかと思ったが、「5. 法人の経営に関する目標を達成するための取組」の項目にも出てくるので、そこで考えていただいて、必ずしもCにする必要はないと思う。Cは撤回する。

【川村委員長】おっしゃるとおり、この後の業務運営の項目でも出てくるので、そちらで評価をするということになれば、Cにする必要もないと思う。ここで問題になってくるのは、科学技術振興調整費は良くやられたと思うが、科研費については採択率も額も両方減っている。国としては科研費補助金を増やしているのに、獲得額が上向いていないというのは問題なのではないか。特に若い先生にとっては研究費の基礎になる部分なので、がんばっていただきたい。それではここの評価はBとする。

<2. 地域貢献に関する目標を達成するための取組>

【川村委員長】特にコメントしておきたいことがなければ、Bということにさせていただく。

<3. 国際化に関する目標を達成するための取組>

【蟻川委員】積極的にCをつける必要はないと思ったので、消極的にBをつけさせていただいた。単位互換ができたということで、そこでBをつけたのだが、まだ足りていないところがあるのでCでもやむを得ないのかと思う。

【川村委員長】Cでもやむを得ないということで、ここはC評価にする。進捗が遅いのは非常に問題である。また、前から話が出ていたにも関わらず、留学生が毎年着実に大幅に減っているのはどういうことか。国が留学生30万人計画を立てて様々な施策が行われている中で、留学生数が減っているというのはどうかと思うので、留学生の受け入れについてとくに真剣に取り組んでいただきたい。

【山上委員】国際化に対する議論が明確でないということが指摘されていたが、学長プロジェクトとして動き出して、全学的にも取組み始めた。ミッション・ステートメントが生きてくることを期待したいと思うのだが、国際化の経験を積んだスタッフが足りないという指摘はもっともだと思う。国際化に対する想いはあっても具体的に進めていく人材が足りてないのではないか。テーマを絞り込んで現体制の中で特色を出していく方向なのか、外部から人を入れて拡充していくのか、これからの議論なのかもしれないが、スタッフが不足している可能性はあるのか。

【法人】国際化の基本的な問題というのは、グローバルスタンダードに併せて整備できるか、市大で学ぶ魅力がどこにあるのか、どこが魅力的に映るのか、単位互換がレベルを保てるのか、ということである。それを考えると、国際化を意識して教育できるスタッフやカリキュラムの問題があり、大幅に入れ替えるには財源が足りないなど、難しい現状もある。

【川村委員長】留学生数が、現在は平成17年度に比べて3割くらい減っている。中国の留学生が減って韓国生が増えているが、どのように分析しているのか。

【法人】英語に力を入れているため、TOEFL550点クリアが課題となり、英語を相当勉強しなくてはならない。それを避けているという分析がある。また、寮の問題や奨学金の整備不足も一因ではあるが、留学生達に聞くと、横浜市大は英語ばかりやらされる、という意見も聞かれる。

【蟻川委員】私の大学も、学部の入学試験に日本語と英語を課しているが、在学中の留学生にアンケートを取ったところ、英語の試験に人気がないという回答が多かった。二つの外国語を勉強しないといけないのが負担だという。英語の試験を選択制にするか議論もしたが、4年間学部で学ぶならば日本の学生と同様の英語の学力がないと困るのではないかという意見が多く、結局、選択制にしたところは1学科だけだった。日本語も学ばないといけない上に英語を学ぶのは負担である。ただ、大学院では始めから英語で入ってくる留学生もいる。

<4. 附属病院に関する目標を達成するための取組>

【川村委員長】「1.安全な医療の提供のための取組」についてはいかがか。

【岸委員】BまたはCと書いた。一般人は、病院というのは安全であることが普通だと考えてしまうので、20年度は即時公表された医療事故があり、一つでも安全でないものがあるとあり得ないことだと思ってしまう。ほかの安全な医療でも色々と取り組んでいることを考えると、私はCを取り下げることにする。

【桐野委員】普通の病院はインシデンタルレポートというのは莫大な量があり、毎年繰り返している。もちろん良いわけはないので、できるだけ無くすということにしているのだが、問題はこういうことが全く放置されていたり、教育がされていないような状況下で起こったことかどうかということが重要で、策を講じたうえで起こったインシデントは、分析は必要であるが、ある程度の件数は起こってしまう。それを限りなく少なくするという努力をしているかが重要であり、その努力をしているように見えたので、Aと付けたが、AでもBより少し高いくらいのAなので、Bでもかまわない。

【川村委員長】ではここは総合的にBということにする。
続いての、「2.健全な病院経営の確立のための取組」についてはどうか。

【桐野委員】これは私はAでいいと思う。もっと努力をすることは可能だと思うし、長期的に見たらそういう努力が必要かと思うが、限られた状況の中ではよくやっていると思う。

【山上委員】確かに今の話のとおり努力しているのは数字からもよく分かる。しかし気になるのは、包括外部監査報告で、費用管理や入札制度に甘い点があるとの記述である。他の病院でもそれが一般的なのかは分からないが、契約件数の7、8割が随意契約というのは、もう少し踏み込んだ努力ができるのではないかと思う。自己評価もBであり、ここであえてAと評価しては外部監査意見とも整合しないので、Bとした。

【桐野委員】病院の中では、医療を実施するスタッフと、資材を調達するスタッフとが分離している。これが1つのスタッフならば、かなり厳しく見ないといけないのだが、山上委員がおっしゃったような点をここで悪く評価して、さらに「5.-1.経営内容の改善に関する目標を達成するための取組」でも悪く評価してしまったら、二重評価になってしまう。もっと努力できるのではないかと言われたら、できないわけではないが、公立病院で最も努力しているところでも息切れしている状態である。その状況がいいかどうかは分からないと思う。

【川村委員長】随意契約の問題もあるが、ここは病院経営ということでもあるし、全体でいえば法人の運営ということでもあると思い、Aをつけたのだが。また、平均在院日数を縮小しているが、これはもっと短縮できるのだろうか。

【桐野委員】平均在院日数は短縮の途上にあり、上手に調整しながらやっていかなければ経営が成り立たなくなるので、最終的には17日を切るというのが目標だと思う。まだまだ民間の厳しい経営よりは余地があるとは思う。情報公開や公平性を考えてもやらなくてはいけないところではあるので、今後ぜひお願いしたいと思う。経営としては、全体の国公立の病院の中では頑張ってやっている方だと思う。平均より下ということはないと思う。
【桐野委員】全国の病院のかなりの割合が赤字になっているのだが、診療報酬が何回か切り下げられているせいで、今の医療制度では、原価に見合う収益を保証しているのかどうかという部分がある。非常に努力してなんとか黒字になっているので、国としては効率のいいところと悪いところの平均で診療報酬を決めており、効率のいいところで診療報酬を決めてしまうと医療全体が崩壊してしまう。厳しい逆風の中で医療は行われていることをお考えいただいた方が良いと思う。

【川村委員長】ではここの評価はペンディングにしたい。また、「3.患者本位の医療サービスの向上と地域医療への貢献のための取組」、「4.高度・先進医療の推進に関する目標を実現するための取組」、「5.良質な医療人の育成に関る目標を実現するための取組」、についてはBということで一致しているのでよろしいかと思う。

<5. 法人の経営に関する目標を達成するための取組 >

【川村委員長】「1.経営内容の改善に関する目標を達成するための取組」については、全体がBということで、コメントがなければそのままでいいと思う。学費の改訂のためにデータ収集を行ったということを評価したいのだが、学費というものは高等教育機関、市立大学としての公共性をどのように学費に反映させるのかという理論的根拠を明確にするように考えていただきたい。他の大学が上げるからうちも上げる、というのではいけないと思う。横浜市として大学を経営しているのだから、どういう大学を経営したいかというのが学費の計算の基礎になると思うので、学部ごとのコスト計算や他大学との比較も大事だが、いわゆるコスト計算をする時に公共性というのを学費の数値ににどのように反映するのか、非常に難しい問題だと思うので、一緒に考えていっていただきたい。

【川村委員長】「2.業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するための取組」について、奨学寄付金の問題はここに反映させて評価するということで、C評価になるのかと思うがどうか。

【山上委員】市からの派遣職員を固有に振り替えていくということだが、数字をみるとかなり派遣を減らし、切り替えているが、いまだに半数以上が市の派遣職員である。「段階的に解消する」と書かれているが、これはゼロにするのか、ある程度残すのか。常識的に考えると、市の派遣職員を段階的にゼロに近づけてプロパーに切り替えていく考えだと思うが、病院の医療技術職員が市の職員ということで、その仕事のために市で採用された職員であり、事務職のように他の仕事に変わって市に戻るわけにはいかない。そこを抜本的に変えていかないと、比率は変わらない。ここは目をつぶり、比率は気にしないで行くのか、プロパーに切り替えるのか。病院にいる人と事務とでは意味合いが違うと思う。ここはどうするのか非常に気になる。市派遣職員の段階的解消は可能なのか不可能なのか。理想としてはプロパーに切り替えたいのだろうが、もう来年が最終年である。
これと同じように、運営交付金も、「解消する」となっているが、適正な運営交付金の額にまで下げるということなのだろうが、一体どこまでを目指しているのか、私には見えない。評価する際に私が気になったのはその2点である。

【大学担当理事】運営交付金は必要だという認識であり、ないと市大の運営が成り立たない。解消するというのは学費対象内経費の中で、法人化した当初は算定した額よりもどうしてもお金がかかってしまう分を6年間の間に経過措置として乗せている。特別にあてている経過措置分を22年度までに解消するということである。それは解消する予定である。
【法人】医療技術職員については、管理職については、大体プロパーになっている。スタッフについては、当初の予定では転籍を促して、固有に切り替えるという計画だったが、条件を変えているわけではないのだが、本人の同意となると、地方公務員という身分を切り替えるのは基本的にインセンティブがあまりない。今後、高コストだという法人のコメディカルの人件費を削っていかなければならないという中で、あえて転籍という選択をしないというのが現実である。また、看護師を他より低い賃金で確保するのは難しい。経営、所属の問題は慎重に考えていかなければならない。

【山上委員】高コスト体質というが、大学の職員のみなさんが横浜市の給与水準に準拠しているのが、他の病院のいわゆる同じ立場の人と比べると高めに出るという原因になっているのではないかと思うのだが、監査人の指摘も同様である。努力をしても、結果として高コストの原因となっているのなら、もっと踏み込んだ努力を続けていかなければならないと思う。

【川村委員長】人件費というのは悩ましい問題だが、中期目標には市派遣職員の段階的な解消と書かれているので、Cという評価にならざるを得ない。ただし、このCという評価の一番大きなポイントは、不祥事の扱いであるかとは思う。
次の「3.広報の充実に関する目標を達成するための取組 」に関しては評価が分かれているがどうか。

【山上委員】これはAにしているのだが、項目の中身を見ても努力をされていて、学生が参加するユニークな広報活動に取り組んだりしているので、率直に評価をしたい。自己評価でも全体でAが3分の1あるし、相応の努力をしている印象がある。

【蟻川委員】同じ意見であり、学生の目線で広報をしたり、キャラクターを作ったりと、努力をしたところを評価したいと思い、Aでもいいかと思う。

【川村委員長】私もAに変更したい。ここは全体でAにして良いのではないか。

<6. 自己点検・評価、認証評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための取組>

特になし

【川村委員長】ABCの評価の確認をさせていただきたい。
「1.教育の成果に関する目標を達成するための取組」はB、「1-(2)大学院教育の成果に関する目標を達成するための具体的方策」B、「2.教育内容等に関する目標を達成するための取組」B、「2-(1) 学部教育の内容等に関する目標を達成するための具体的方策」B、「2-(2) 大学院教育の内容等に関する目標を達成するための具体的方策」B,「2-(3) 教育の実施体制等に関する目標を達成するための具体的方策」ペンディング、「3.学生の支援に関する目標を達成するための取組 」A、「4.研究に関する目標を達成するための取組」B、「2. 地域貢献に関する目標を達成するための取組」がB、「3. 国際化に関する目標を達成するための取組」C、「4. 附属病院に関する目標を達成するための取組」全体がB、「1.安全な医療の提供のための取組」B、「2.健全な病院経営の確立のための取組」ペンディング、「3.患者本位の医療サービスの向上と地域医療への貢献のための取組」B、「4.高度・先進医療の推進に関する目標を実現するための取組」B、「5.良質な医療人の育成に関る目標を実現するための取組」B,「5. 法人の経営に関する目標を達成するための取組」全体がB、「1.経営内容の改善に関する目標を達成するための取組」B、「2.業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するための取組」C、「3.広報の充実に関する目標を達成するための取組」A、以下全てBである。

【川村委員長】ペンディングになっている箇所は、なお十分考え素案として整理してお送りするので、内容の確認をお願いしたい。

議題3:平成20事業年度財務諸表及び利益処分の承認(案)について

・ 事務局より【資料6】(PDF:124KB)について、また法人より【資料7】(PDF:113KB)について説明。

【岸委員】昨年の評価で、最後の利益処分額について委員会として2つ意見を付けたが、今回は当期純利益が4億1千万円ほど増加している。その前と比べるとかなり改善されているので、ご報告どおりでよろしいのではないか。

【山上委員】 高額医薬品については、金額は圧縮されたとあるが、具体的にどれくらい圧縮されたのか。

【法人】7千万円ほど圧縮した。

【山上委員】その上の大学・病院等のセグメントを越えた契約の取組はどうなのか。

【法人】そちらは数百万程度で額としては多くはない。

【川村委員長】利益処分について整理をさせていただきたいのだが、19年度は病院収支が悪化していたため、条件をつけさせていただいた。収支の悪化を受けて経営改善を実施してほしいということと、法人全体の予算統制をきちんとしてほしい、ということであった。今年度の決算では、法人全体として昨年より経営努力をされている。法人全体で取り組んでいることはありがたいことだが、一般競争入札制度や職員の給与体制などを含め、法人全体の予算統制ということについてはさらに努力をしていただきたいという思いを持っている。また、これまでの目的積立金の額は41億円となっており、教育研究の改善等に使うということではあるが、かなり多額となっている。そこへさらに積み上げることになる。目的積立金に積み立てるということに異論はないが、既に積み立てられている積立金の用途も考えて、法人全体としての予算統制が実質的にさらに機能が強化されるように法人に努力をしていただきたい。また、その際、設立団体側と問題意識を共有し、共通理解をもって進めていただきたいと思う。設立団体である市との関係は大切であり、関係者が共通理解を持つことで、大学の発展が容易になる。目的積立金として全額を積み立てるということで、これらのことについての文案は私に一任していただき、後日送付する案文を確認していただきたい。

議題4:その他

・特になし

議題終了後、事務局より今後のスケジュールについて説明

【事務局】業務の実績評価については、8月12日(水曜日)頃までに委員長と調整し、事務局から評価結果(素案)をメールでお送りする。8月19日(水曜日)頃までに各委員から修正意見をいただきたい。8月24日(月曜日)に第26回委員会を開催し、評価結果を決定し、法人に通知するとともに市長へ報告したい。

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総務局大学調整部大学調整課

電話:045-671-4273

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ファクス:045-664-9055

メールアドレス:so-daigaku@city.yokohama.jp

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