ここから本文です。

横浜標準波(yoko face)の特徴について

最終更新日 2019年3月5日

作成の経過

横浜標準波は、平成4年度に実施した「横浜市高層建築物耐震指導基準策定委員会」の検討結果として、横浜模擬地震動に基づき建築物の基礎固定モデルに対する入力地震動(設計用入力地震動時刻歴波形名称:yoko face)として作成された。

留意事項

この横浜標準波は、横浜市域内に建築される建築物に使用できるが、標準波作成のために以下の条件と異なるような特殊な形状(メガフレームなど等価フレーム型、地盤連性モデル型等)・条件(大規模な斜面建築物)等を有す建築物の場合は、慎重に取り扱うことが必要である。

横浜標準波の作成方法

image17.gif 作成方針

建築物の地震時の挙動を把握するには、建築物と地盤との相互作用効果を適切に評価する必要がある。実地震の観測記録は、建築物と地盤との相互作用の効果が含まれているため、自由地盤の観測波形に比べて小さくなるのが一般的である。また、解析結果においても建築物周期近傍では、1階床位置の速度応答スペクトルが自由地表面に比べて小さくなる傾向がある。これらのことから、横浜標準波の作成にあたっては、相互作用の効果を取り入れ、以下の手順で作成した。

(a) 横浜模擬地震動を用いて、建築物周期をパラメータとして、建築物と横浜地区(MM21、新横浜)表 層地盤の連成振動応答解析を行い、1階床位置の水平地震動スペクトルを設定する。

(b) 1階床位置の水平地震動スペクトルを模擬する加速度波形を作成し、これを横浜標準波とする。1階床位置の水平地震動スペクトルの設定にあたっては、地震応答解析を対象とする建築物の高さが45mから60m程度であることから、周期1から3秒付近を主として検討する。

image17.gif横浜模擬地震動の基盤水平地震動スペクトルと時刻歴波形

横浜模擬地震動の基盤の水平地震動スペクトルは、土丹層 (せん断波速度Vs 約430m/sec) を解放工学的基盤とし、この基盤の上面を自由表面と見なしたときの地震動として定義されている。模擬地震動の作成は、正弦波の重ね合わせで作成され、模擬地震動の波形は、最大加速度・最大速度の値が、それぞれ350cm/sec2、62.0cm/secであり、継続時間は80秒である。

image17.gif 検討対象と解折方法

(a) 地盤
検討の対象とした地盤は、みなとみらい21地区と新横浜地区であり、その地盤構成は、基盤となる土丹層に起伏があり、基盤層以浅の表層は埋土と沖積層による軟弱地盤である。解析モデルの設定にあたっては、表層の層厚に数十mの幅があることから、みなとみらい21地区では3モデル、新横浜地区では2モデルを設定した。

(b) 建築物
対象建築物の平面形状は、40m×40mの正方形、建築物の階数は10階から30階程度を想定し、検討した建築物の一次周期としては、0.5秒、1.O秒、1.5秒、2.O秒、2.5秒、3.O秒の6種類とした。

(c) 解折方法
地盤と建築物の地震応答解析は、一次元波動論による等価線形法にて行った。解析モデルは地盤と建築物を単位断面積のせん断型質点系に置換し、基盤の上面には粘性境界を設けた。建築物の剛性は線形とし減衰を2%とした。ここで建築物の剛性分布は、最上層の剛性を1階の剛性の1/2とし、中間階は直線補間により求めている。地盤の剛性と減衰は非線形とした。得られた応答解析結果の波形の速度値の計算は、Trifunacの方法により加速度波形を積分して求めた。

(d) 地盤のみの応答解析結果
横浜模擬地震動を、地盤のみのモデルに入力させた場合の検討を行った。地盤の応答量は大きいものとなっており、非線形化の程度も大きくなっている。地盤のみの応答による地表の最大加速度・速度値は、300から400cm/sec2、70から90cm/secであり、加速度値に比較して速度値が大きいのが特徴である。
さらに、地表の最大速度値が25、50cm/secになるように、基盤での横浜模擬地震波を調整すると、50cm/secではO.5から0.7倍、25cm/secでは0.23から0.34倍となる。その時の地表最大加速度値は、50cm/secで180から270cm/sec2、25cm/secで120から180cm/sec2となっている。

(e) 地盤・建築物連成系の応答解析
ここで用いた地盤・建築物連成振動解析モデルでは、建築物と地盤を単位断面積の連続体としてモデル化し、重量及び剛性を評価している。このため、地盤に対して建築物の重量密度として単純に建築物重量を建築物の体積で除した値を用いると、相互作用効果を過大に評価することになることから、本解析では、建築物の重量密度を実際の3/4倍した場合と1/2倍とした場合について検討した。

image17.gif横浜標準波の設定

(a) 水平地震動スペクトルの設定
地盤・建築物連成系振動応答解析の結果を基に、相互作用の効果を取り入れた1階床位置の水平地震動スペクトルを、減衰が0.02の疑似応答スペクトルの形で示している。設定された水平地震動スペクトルは、対象周期領域 (1から3秒付近) では、地盤と建築物の相互作用を考慮した東京都臨海地区の応答結果とも整合性がとれており、対象範囲外の周期領域では過小評価しないようなスペクトルとなっている。
また、相互作用を考えることにより、横浜地区5種類の地盤応答結果を包絡する本スペクトルは、設計実務の立場からみると有効な手法となり得ると思われる。なお、ここで設定した水平地震動スペクトルはレベル2地震に相当するものであり、レベル1地震は1/2とする。

(b) 横浜標準波の作成
設定された1階床位置の水平地震動スペクトルを模擬する加速度波形を作成し、これを横浜標準波(設計用入力地震動時刻歴波形:yoko face)とする。横浜標準波の作成方法は、渡部・藤堂;「設計用模擬地震動に関する研究その3 耐震設計用3次元模擬地震動」により、位相特性としてHACHlNOHE NS 1968を用いた正弦波形の重ね合わせで行った。継続時間については、対象建築物周期が3秒程度以下であることから40秒とした。

横浜標準波のスペクトルと波形

設定された水平地震動スペクトルと横浜標準波の適合状況(画像:39KB)

横浜標準波の波形(画像:23KB)


このページへのお問合せ

建築局建築指導部建築指導課

電話:045-671-4531

電話:045-671-4531

ファクス:045-681-2437

メールアドレス:kc-shidotanto@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:432-505-245

  • LINE
  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • YouTube
  • SmartNews