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鶴見区の将来像

最終更新日 2018年11月1日

臨海部の写真

「小学生が描いた「20~30年後の鶴見区」のつるみ」のページへ

資料編の「上空からみた鶴見」も御覧ください

-鶴見のまちができあがってきた背景やその特徴をふまえた将来の都市構造と将来の土地利用の方向について-

安藤広重が描いた「鶴見川夜景」や「東海道五十三次名所図絵 川崎 鶴見川 生麦の里」に見られるように,かつての鶴見川は人々の暮らしを映していました。上流の農村地帯からは野菜などの農作物が運ばれ,下流のまちからは「おあい船」で糞尿が肥料として供給され,また,天然氷や煉瓦などが関内や東京に運ばれました。

また,鶴見は,東海道によって発展し成長したまちでもあります。JRや国道1号,国道15号等,国土幹線ともいえる鉄道や幹線道路によってもまちの発展が支えられてきました。

大正に入って本格化した河口域の埋め立てや京浜運河の整備によって大規模工場の進出が相次ぎ,鶴見は農漁村から工都へ発展していきました。そして,東京隣接地の便を活かして早くから工場が立地し多くの労働者が住み働く,京浜工業地帯のまちとして発展してきました。


鶴見区の位置と鶴見川流域

広域図

3つの地域

3つのまちの図

鶴見区は,

  • 丘のまち
    (末吉台地に入江川が細かく谷戸を刻んだ丘陵部),
  • 川のまち
    (鶴見川河口域の比較的広い沖積低地部),
  • 海のまち
    (東京湾岸の埋立部)

から成り立っています。

*航空写真をご覧下さい


(1) 住宅地が多い「丘のまち」

丘陵部は東京や横浜の都心に近い住宅地として,京浜工業地帯の発達と共に,横浜市の住宅地の中でも比較的古くから開発されてきました。社宅も数多く建てられました。

住宅地開発は,尾根筋や丘裾の里道を頼りに,小さな地形の単位で行われました。この結果,小さな住宅地のまとまりが坂道によってつらなる市街地が形成されました。

また,一つの谷戸をそのまま活用した三ツ池公園,獅子ケ谷の谷戸に残る農地,斜面樹林を背景として立地する神社仏閣,尾根部に立地する学校,總持寺などが緑濃い地域イメージを生み出しています。

(2) 多様な土地利用が複合した「川のまち」

沖積低地部は,平坦で肥沃な土地での農業地帯から始まりました。その後,中小規模工場の立地,幹線道路と鉄道駅付近に発達した商業地,工場労働者の住宅地と,多様な土地利用が複合的になされてきました。これらは鶴見川と産業がもたらした土地柄といえます。

川のまちは,海のまちとともに戦災を受け大半の町が被害を受けました。戦災を免れた地区が潮田地区等に残されています。この他の地区では,まちの復興に向けて区画整理等が行われました。

また鶴見川は氾濫を繰り返し,地域住民は水害に悩まされ続けてきました。このことは,一時期,鶴見区のイメージとなっていました。

(3) 産業面で日本の近代化を担ってきた「海のまち」

明治政府による産業立国政策に端を発する東京湾岸の埋立地は,製造業を中心とし,大規模な工場に特化した,我が国有数の工業地帯を形成してきました。

区内での埋立は大正期から本格化し,現在では区域の約1/3を占めています。

活力ある都市のシンボルであった工業地帯ですが,一方では公害都市のイメージも生み出してしまいました。

ここでは,まちの環境の変化をみながら,将来の都市構造を定めるための着眼点を整理します。

地形図1921
大正10年(1921年)頃の市街地


*「地図で見る横浜の変遷」((財)日本地図センター/国土地理院)に現在の区の範囲を記入した。他の図も同じ

地形図1951
昭和26年(1951年)頃の市街地


地形図1971
昭和46年(1971年)頃の市街地


地形図1995
平成7年(1995年)頃の市街地


(1) 新たな役割が期待され始めた鶴見川

治水対策は一定の成果を上げてきました。
川に沿った地域の過密化が進む中で,延焼遮断や被災時の避難地等の防災空間,消防水利として,鶴見川の役割が見直されるようになりました。
また,自然性を備えた貴重なオープンスペースとしての可能性にも期待が集まっています。

(2) 工場の跡地利用などによる集合住宅の増加

かつては4人近くであった平均世帯人数も,最近では2人近くにまで減っています。総人口は横這いであっても,住宅数は増加しています。
川のまちでは工場の跡地などを利用し,集合住宅が急増している地区もあります。その結果,一部の地区では住工混在や,戸建て住宅と集合住宅の混在による問題も生まれています。
丘のまちでは,斜面地の集合住宅開発も多く行われるようになり,緑地は減少しています。

(3) 下町型コミュニティの変化

下町の近所づきあいが残っている鶴見区でも,集合住宅等に居住する新しい住民が増えた結果,これまでの地域社会のまとまりにゆらぎが見えます。
一方で,生活福祉の充実や災害時の安心を目指した相互扶助,省資源等に代表される住民意識の変化によって,住民の新たなネットワークやコミュニティが生まれています。
また,身近な地域の歴史,文化,自然環境などに目を向け,自らの足で歩き確かめる区民も増加しています。

(4) 産業構造の変化,都市機能の複合化が進展する工業地

産業構造の変化がすすむ中,鶴見区に立地する工場でも,操業の内容等が変化しつつあります。
海のまちは,研究開発施設や先端的な技術を活用する生産・流通施設などが立地し,いわゆる都市型産業ゾーンへと変貌を遂げようとしています。
また,最近では,演示施設や体験施設を併設した工場が増加したり,ふれーゆや大黒海づり公園など公的な区民利用施設が立地するようになり,身近なものとなりつつあります。

(5) 駅周辺の商業集積の拡散

車社会の発達は,住民の生活行動を大きく変えてきました。その結果は,車での利用の便が良い幹線道路沿いに大型店舗等が立地し,これと対照的に駅周辺商業集積地で活力が低下する傾向がみられます。

(6) 期待の高まる交通網の整備や環境の改善

限られた幹線道路への交通集中による渋滞や大気汚染等の弊害は,交通流を円滑にする幹線道路網の整備を望む声となっています。
一方で,新たな道路の整備によって,静かで安全な住宅地の環境が損なわれるのではないかという不安も含んでいます。
また高齢になると,歩いて移動することがつらくなり,きめ細かいバス網など公共交通網の充実を望む声となっています。

人口・就業者数の推移

人口就業者の長期動向グラフ

* 各年度「国勢調査」による。就業者数は昭和30~平成7年を表示した

区の将来像を実現するため,3つの地域 - 丘のまち,川のまち,海のまち- のそれぞれの特性を活かしたまちづくりを進めます。
同時に,まちの暮らしや活動を支える骨組みの強化や地域相互の連携を進めます。

(1) 地域の特性を活かしたまちづくりを進める

  • 丘のまちでは,環境の維持・向上を図り,農村景観を残す地区,歴史的資源の周辺や大規模公園など自然性豊かな地区を核とした緑豊かなまちづくりを進めます。
    また,坂道や狭い道路を克服する円滑・快適な移動の実現等により安心して快適に暮らせるまちをつくっていきます。
  • 川のまちでは,災害に強いまちづくり,職・住を始め多様な機能が共存するまちづくりをすすめます。
    また,鶴見川の活用,鉄道や広域幹線道路による地域分断の軽減を図り,移動しやすいまちづくりなどによって安心して快適に暮らせるまちをつくっていきます。
  • 海のまちでは,既存の生産機能や流通機能の育成・強化を図るとともに,先端的な研究所や生産施設等の立地を進めます。これにより,産・官・学が連携した新たな都市型産業ゾーンとしての再整備を図り,産業による都市活力を維持するまちづくりを進めます。また,区民のレクリエーションの場として,身近に感じられるようにします。

(2)地域の骨組みを強化し連携を充実させる

将来の都市構造

図将来都市構造

  • 鶴見駅周辺地区の強化
    鶴見駅周辺では,区心としての拠点性を強化するため,公共公益,商業,業務,文化,都市型住宅などが複合し,多様な機能や利便性が備わった区の顔としてのまちづくりを進めます。
  • 鶴見・末広軸の整備
    海のまちと丘のまちや川のまちとの新たな関係を生み出し,相互の連携を強化することによって,区全体の活力を維持・向上することをめざします。
    このため,区の中心と海のまち(末広町の横浜サイエンスフロンティア周辺地区)を結ぶ地区を新たな産業・生活軸=「鶴見末広軸」としてとらえます。そして,新たな時代の要請に応える商・住・工の総合的な発展のために,既存の都市機能を活用しながら,各種の都市機能の効果的な整備を図ります。
    また,交通網の強化や沿道の市街地の整備を進める他,住民や企業との連携を強化します。
  • 鶴見川に沿った環境軸の強化
    鶴見川とその沿川の地区を,オープンスペース,水に親しめるレクリエーションの場,災害時の避難路や緊急物資の輸送路等多様な目的を持った環境の骨格軸として強化していきます。
    また,上流を含め,流域全体で環境整備や維持管理等の連携を強化します。
  • 交通網の強化
    地域相互の移動しやすさを確保して,機能の異なる地域を相互に活用できるよう,道路や鉄道による交通網を強化します。
    交通網の強化にあたっては,沿道の環境,景観や生活圏域に十分に配慮します。
  • 都市活動軸との調和
    横浜市域,東京都市圏を結ぶ都市活動軸である幹線道路や鉄道について,区内の生活環境と調和させつつ,区民にとっても利用しやすい整備を図ります。
  • 周辺地域との連携強化
    地域相互間だけでなく,区に隣接する地域との間で様々な連携を強化します。
    鶴見区に隣接する港北区の東横線沿線や神奈川区のJR横浜線沿線,川崎市川崎区や幸区のまちづくりと多面的に連携し住みよいまちづくりを進めます

現在の土地利用の規制・誘導のしくみを前提とし,地区の特性に活かした土地利用を進めます。
また,将来像を実現するため,以下の点に留意して土地利用を進めます。

  • 自然環境の保全
    区全体がほぼ市街化された状況であり,残された緑地やオープンスペース等自然環境の保全を進めるとともに,公園・緑地の整備を進めます。
  • 周辺市街地への貢献
    建物や設備の老朽化,産業構造の変化により,工場,社宅等の大規模な土地利用が転換される場合,周辺の市街地への貢献や地域の施設需要を考慮して行われるよう誘導します。
  • 災害に強いまちづくり
    幹線道路の沿道市街地を燃えにくく,壊れにくくするなど,災害に強いまちの骨格づくりをすすめます。住宅や店舗,工場等が密集した市街地の更新や不燃化を促進し,安心して住める,災害に強いまちづくりを進めます。
  • きめこまかな土地利用の誘導
    土地利用のきめこまかな計画や誘導手法を活用して,住宅の更新や商業地の活性化などを図ります。
  • 複合的な土地利用の誘導
    土地利用の混在がすすむ恐れがある地区では,地区の特性に応じて,土地利用の共存が図れるよう検討します。

将来の土地利用の方向

土地利用地用へのリンクボタン
図を拡大表示する


航空写真
写真の撮影及び写真データの作成は(株)パスコ


このページへのお問合せ

鶴見区総務部区政推進課

電話:045-510-1680

電話:045-510-1680

ファクス:045-510-1891

メールアドレス:tr-kusei@city.yokohama.jp

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