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緑と水の回廊マップ
最終更新日 2024年7月24日
- 緑と水の回廊全図(PDF:134KB)
- 長津田駅周辺(PDF:817KB)
- 十日市場駅周辺(PDF:933KB)
- 山下地区周辺(PDF:663KB)
- 中山地区周辺(PDF:723KB)
- 鴨居駅周辺(PDF:684KB)
里山って何?
「里山」と聞いて、思い起こす風景・・・田んぼや畑、風にそよぐ木々の葉。野鳥のさえずり、カエルの声。それは人によって違うかもしれません。
ずっと昔から語られていたような言葉でありながら、近年になって市民権を得た言葉なのです。広辞苑第5版で初めて登場し、「人里近くにあって人々の生活と結びついた山・森林」と説明されていますが、広くは田畑や小川なども含め、伝統的農業の営まれる地域全体のことを表すものとして使われています。
昭和30年代までは、横浜市内でも煮炊きや暖を取るために薪や炭が使われていました。家を建てるためにスギ・ヒノキを植え、かごや支柱などを作ったり、タケノコを採るために竹林を仕立てました。薪炭を得る林、いわゆる雑木林とスギ・ヒノキ林などを「ヤマ」と農家は呼んでいます。「里山」の出発点も「ヤマ」だったのでしょう。それが「ヤマ」と田畑(ノラ)、生活の場(ムラ)がひとつの地域の中に渾然一体となっている景観そのものの概念として語られるようになりました。
横浜では「谷戸」の風景が里山の代表格です。谷戸は、大地を長い年月かけて水の流れが浸食し、ひだのように入りくんでいる所です。丘は雑木林やスギ林で覆われ、谷の平らな部分は豊富な水を利用し、田んぼが連なっていました。緑区では、わずかながら見られますし、「○○谷戸」というバス停の名前に面影を残している場所もあります。
里山の魅力
かつての「里山」には、多様な環境が創出されていました。スギ・ヒノキなどの人工林、雑木林、竹林、田んぼ、畑、草地(茅場)、土手、小川、家畜小屋、そして家屋。家のまわりにはごく当たり前の自然がありました。人が生活するためにしていた「仕事」が、結果として多様な生命、「自然」を育んでいたのです。自然のバランスをうまく保ちながら作物やエネルギー源などの恵みを頂く。持続可能な社会づくりを目指すには、里山の風景を形づくるものや暮らし方に教わるものがたくさんあります。
そのキーワードはいろいろな「わ」。
生態系をめぐる生命の環、季節の環、水循環。それに雑木林の管理サイクルなどが挙げられます。雑木林は10~20年に一度、コナラ・クヌギ・ヤマザクラなどを伐採して薪炭やキノコ栽培に利用します。切られた株は脇から芽吹き、十数年で再度利用できる大きさに成長します。樹木の寿命を留意しつつ管理することで持続的な活用を図ることができるのです。手入れされた雑木林は林床が明るくなり、スミレやヤマユリなどの植物が増えます。そんな場所を利用する昆虫類も多く、身近な遊び相手だったカブトムシやクワガタは雑木林の代表と言えるでしょう。
雨は森に浸みて、湧き水として谷戸を潤します。水辺にはきれいな水にしか棲まないホトケドジョウやゲンジボタル、サワガニがいます。田んぼがあれば、たくさんのトンボの仲間が生まれます。トンボの中には、羽化した後に雑木林で過ごすものもいるし、カエルの仲間も雑木林を住みかとしているものがいます。田んぼや雑木林のある空間は、生きものたちのにぎわいがある場所なのです。
ごみを出さないリユース・リサイクルの環。今ではプラスチック製品が氾濫していますが、包材や資材はわらや竹など、土に還る素材でつくられていました。例えば稲わらは縄や、畑に敷くマルチングに活用され、古くなればたい肥にします。今でも農家にとっては大事な資源です。
人と人のつながりは、地域の輪でもあり、和でもあるでしょう。
里山は、農家の多種多様な仕事の結果、様々な環境が創りだされています。その仕事を細分化すると、たくさんの人が関われるかもしれません。老若男女問わず、「総合的学習」や生涯学習、作業療法やレクリエーションの一環として活動を担う可能性を秘めています。さらに人が自然とのかかわりを取り戻す機会になり、人同士の関係性も見つめ直すきっかけになるのではないでしょうか。地域コミュニティが薄れてしまった今、いきいきとした里山を復活させることで、たくさんの笑顔がつながる関係を再構築することにもなるような気がします。それだけではなく年中行事、数々の知恵と技術、地域の祭り、礼儀作法など、風土が培ってきた文化を継承していく意味もあります。
最近は公園、市民の森、ふれあい樹林などで、森や田んぼを手入れするボランティア活動が盛んになりました。
里山歩きのマナー
緑区内の里山景観のある場所は、公園や市民の森、ふれあい樹林の他に、農業を営む場です。かつてはあちこちにあった風景ですが、今ではわずかとなっています。しかし、訪れる人は年々増えています。限りある里山の自然に対して許容量を超える「オーバーユース」の状態なのです。
里山を散策する際には「思いやり」の気持ちを一緒に連れて行きましょう。そこで汗を流す人たちと、小さな生き物たちのために。マナーを身につけてから、里山歩きに出かけましょう。
フィールドマナー十カ条
- 思いやりの気持ちを持つ
- むやみに採集をしない
- 公園など採集が禁止されている場所や農地ではやめましょう。
- 何の規制がない場所でも、たくさん採らないようにしましょう。
- 散策路以外に踏み込まない
- 農地(田畑、果樹園、竹林)に入らない
- 観察とした後などは元に戻す
- ごみは持ち帰る
- 大きな人工音のするものを持ち込まない
- 犬はつないで歩く
- 公共交通機関を利用する
- 自然のこわさを知る
- 有毒な植物、マムシやスズメバチなどは排除できるものではありません。自分の身は自分で守りましょう。
横浜・自然観察ハンドブック
知る ふれあう 育てる 横浜の自然
横浜市環境保全局 平成8年3月発行
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