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外国人居留地の下水道整備

最終更新日 2019年2月22日

近代下水道発祥の地 横浜

安政六年(1859)、横浜が開港されるとともに、小漁村にすぎなかった横浜の様相は一変した。

波止場の建設、居留地整備をはじめとして、開港地としてのまちづくりがはじめられた。横浜には外国との窓口としての性格から、当時の最先端とも言える様々な技術や文物がもたらされた。現在でもそれらの面影を市内の各所で目にすることができる。

日本で初めて横浜に導入されたものの中には、公園、新聞、競馬の他、鉄道、電信、水道、ガスなど都市の基盤を担う技術の導入も多く見られる。これらの技術は当時産業革命を成し遂げつつあった欧米先進国の最新の技術であり、横浜が近代技術導入の地と呼ばれる所以である。

R・H・ブラントン氏
R・H・ブラントン(開港資料館蔵)


居留地の外国人たちは、産業の発展とともに汚染が進んだ自国の状況をつぶさに見ており、都市の基盤整備の重要性を痛感していた。また、当時外国に於いても、日本に於いてもコレラが流行していたため、居留地の排水と下水道の整備は居留民の切望するところであった。当時、横浜の主要道路には、掘割が布設され、下水道としての役割を担っていたが、それは、構造的にも粗悪なもので、各所でつまり、溢れ出してしまうという状況で、地中に埋めた管に汚水を流すという欧米の下水道とは比較するに及ばないものであった。

維新によって明治新政府が誕生してから、元治元年(1864)11月に各国領事と幕府との間で交わされた「横浜居留地覚書」に基づいて、居留地の下水道整備を進めたのは、明治政府最初のお雇い外国人となった、英国人ブラントン(Richard Henry Brunton)であった。

居留地の下水道整備計画は明治2年(1869)に着手され、明治4年(1871)に完成した。この下水道は瓦製陶管による下水管を埋設するものであった。

煉瓦卵形管の敷設

関内外国人居留地の居留外国人は、明治4年(1871)に1071人であったが、明治13年(1880)には4倍弱の3937人と激増し、排水量が下水管の容量を上回り、各戸より出る汚水に混入した種々の固形物によりしばしば下水管が詰まり、ブラントンにより建設された下水道では汚れの排除が不可能な状態となり、居留外国人から不満の声が出ていた。また、明治10年(1877)から明治12年(1879)にかけて、死者が11万人にも達するコレラが全国的に大流行したこともあり、下水道改修工事が行われることとなった。

三田善太郎氏
三田善太郎


神奈川県は明治13年(1880)から、改修工事の調査・計画立案に取り掛かり、御用掛三田善太郎をその責任者とした。三田善太郎は安政2年(1855)下野国茂木に生まれ、常陸谷田部藩の貢進生として大学南校(現東京大学)に入学した。東京大学理学部土木工学科第一期生である三田は、明治12年(1879)、神奈川県土木雇となってより、横浜のまちづくりにおおきな業績を残した。

三田の設計は、1846年にイギリス人のジョン・フィリップ(John Philip)が考案したと言われている、管の縦と横の比率が3対2の卵形管であった。これは汚物を下水管に沈止させないように、流速を確保するため、勾配を1/200とし、また通水の少ない時にも流速が落ちないように形状を卵形としたものであった。

卵形管はレンガとセメントによってつくられた煉瓦管であり、口径の異なる3種の煉瓦管をそれぞれ大下水、中下水、小下水として幹線部分の陶管に代えて、建設された。

改修工事は明治14年(1881)から明治20年(1887)にわたって施工され、煉瓦卵形管約4km、陶管12.6kmが布設された。この下水道は日本初の近代下水道であり、三田善太郎は、日本人で初めて近代下水道を設計した人物と言える。

煉瓦造り卵形管構造図(単位:尺)

大下水の構造
大下水

中下水の構造
中下水

小下水の構造
小下水


煉瓦卵形管の保存・活用に向けて

平成8年5月に、横浜税関前でNTT管路工事の際に発見された大下水(煉瓦卵形管)は、この三田の設計により建設された4kmの煉瓦卵形管のうちの一部である。煉瓦卵形管の布設状況は、明治32年に作成された「関内居留地下水管敷設図」に明らかであるが、その中で大下水が発見されたのは今回が初めてである。

煉瓦卵形管は、都市の発展とともにその多くが改変されてしまったものと考えられるが、今後も発見される可能性はあり、現在までの保存・活用の方法を確認するとともに、大下水(煉瓦卵形管)のよりよい保存活用の方法を探る必要がある。

参考資料
「横浜下水道史」 発行:横浜市下水道局
「日本下水道史ー総集編ー」 発行:€€日本下水道協会

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