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最終更新日 2019年1月23日
環評審第16号
平成12年12月14日
横浜市長 高秀 秀信 様
横浜市環境影響評価審査会
会長 猪狩 庸祐
「環境事業局栄工場改修事業」の環境影響評価に関する調査審議について(答申)
平成12年3月24日環保環審第197号及び平成12年6月30日環保環審第57号をもって諮問のありました標記について、当審査会は慎重に調査審議を重ねた結果、次のとおり結論を得たので答申します。
1 基本的事項
(1)環境事業局栄工場改修事業(以下「本事業」という。)は、
を行うものである。
したがって、本事業が基本的には改修事業であることから、事業計画に示される最新設備の導入や環境保全対策の強化などにより、環境へ排出される汚染物質排出量は軽減されることになる。しかし、複雑地形の中に立地していること、改修後も相当長期にわたって稼働することを考慮すると、改修にあたっては、環境影響を極力低減させる方策を十分に検討することが肝要である。
(2)大気汚染物質等の排出総量を大きく左右する一つの要因として、ごみ量とごみ質があげられることから、今後とも、減量化・資源化施策をより一層推進することが必要である。
(3)解体工事ではプラント内部の残存物に有害物質が含まれる可能性が高いこと、及び工事量も多いことから、工事中については、周辺への環境影響について十分な配慮を行い、細心の注意による施工が必要である。
(4)焼却残さ処理施設は、国内での稼働実績はあるものの、同型式、同規模の実績が少ないため、導入にあたっては、大気汚染物質発生量の把握、及びこれに伴う排ガス処理方式の検討、並びに、安全性の確保などが重要であり、溶融実験の結果等を踏まえ、計画段階から十分に検討する必要がある。
(5)改修前後における栄工場が大気環境に与える影響の変化については、現況濃度の解析、有効煙突高の差異及び既設工場棟のかさ上げや新棟による後流渦の影響(ダウンウオッシュ)、複雑地形における排ガスの移流・拡散の挙動、汚染物質排出量の低減の度合いなどについて慎重に検討を行った結果、
以上のことから総合的に判断すると、改修によって大気質を悪化させることはないものと思われるが、周辺の大気環境改善のために、運転管理等について一層の努力が望まれる。
2 個別的事項
(1)工事中
ア 大気汚染、水質汚濁、廃棄物・発生土
(ア)解体工事に伴う粉じんの飛散防止対策として、外周部の仮囲いの設置や散水を挙げているが、プラント機器の内部の残存物に有害物質が含まれる可能性が高いことから、「廃棄物焼却施設解体工事におけるダイオキシン類による健康障害防止について」(労働省労働基準局長 第561号通知)による対策を講じるほか関係法令を遵守すること。また、屋外における作業は最小限にとどめること。
(イ)栄工場は、昭和50年代初期に建設されているので、アスベストの使用について十分な調査を行い、使用箇所については、「アスベスト(石綿)使用建築物の改修・解体工事指導指針」(横浜市環境保全局)に基づき適正に処理・処分を行うこと。
イ 地域社会
隣接する霊園への来園者が多い盆・彼岸には、交通混雑の回避や霊園の静けさが望まれることから、これらの時期には工事の工程や工種に配慮すること。
(2)存在・供用時
ア 大気汚染
(ア)計画地周辺の大気環境改善のためには、汚染物質の一層の排出抑制を図る必要があることから、最新の排ガス処理技術を常に把握し、導入可能な技術については積極的に導入を図ること。特に、焼却残さ処理施設については、焼却炉煙道に接続する前の処理方式を含め、計画段階で慎重に検討すること。
また、焼却炉、焼却残さ処理施設、排ガス処理装置の適正な運転管理に努めること。
(イ)計画では、現状に比べて有効煙突高が若干低下することが見込まれる。当該立地条件では、排ガスの上昇過程での地形効果や近接建屋の影響が大きいと考えられるので、これを極力避けるために有効な吐出速度の増加を図ること。
(ウ)周辺地域の大気環境改善に資するため、ごみ収集車両、中継輸送車等に低公害車の導入が望まれる。したがって、これら車両の更新時等には、天然ガス、液化石油ガス、ガソリンを燃料とする低公害車の導入や軽油を使用するディーゼル車への排気微粒子除去装置の装着などに努めること。
イ 植物・動物
計画地は、近郊緑地保全区域、風致地区等に指定されており、極力、緑化されることが望まれることから、改修後にできるスペースには、極力、緑化を図ること。
ウ 景観
計画地周辺には緑地が多いことを考慮すると、建物等の人工物の存在が景観面で極力違和感を生じないよう配慮する必要がある。したがって、既設工場棟かさ上げ部や新棟についてはデザインの工夫を、また、これらを含めた建物・煙突等については色彩の検討を行うこと。
エ 安全
焼却残さ処理施設は高温の溶融炉が稼働することから、防災上格段の配慮が必要である。このため、既知の安全対策のほか、同類の電気式溶融炉を有する鉄鋼、アルミ精錬業などの事例も参考に万全の対策を講じること。
3 事後調査
(1)大気汚染
大気汚染物質の排出に関する監視は、煙道出口で行われるが、管理目標値を遵守することはもとより、より低濃度な排出を行うためには、焼却炉及び焼却残さ処理施設の出口から煙道出口までの排ガスの濃度等の変化を把握し、運転管理に役立たせることが重要である。
したがって、稼働初期に、運転状態に応じた排ガスの挙動を十分に把握し、これらの結果を解析することにより、適切な運転管理に活用すること。
(2)土壌汚染
事後調査項目として、土壌汚染調査が挙げられていないが、工場周辺地域の土壌汚染の状況を把握する必要があることから、稼働前後におけるダイオキシン類の土壌汚染調査を実施すること。なお、調査地点については必要に応じ関係機関と協議すること。
付記
下記の鎌倉市長意見についても、審査書作成時には十分配慮すること。
今日、地域社会から発生する廃棄物は、量的に増大するとともに質的にも多様化しており、これらの処理等に当たっては、周辺環境への影響を可能な限り低減するように努め、併せて廃棄物の発生抑制、減量化・資源化に取り組むなど、地域住民の快適な生活環境を確保することが求められています。当該施設は、鎌倉市域にも近接し、その影響が懸念されることから、事業の実施に当たっては、鎌倉市民に対する的確な情報提供に努めつつ、環境影響評価書に記載された大気環境等への配慮事項や講ずべき環境保全対策の実施について万全を期すとともに、工事中や供用開始後に予測し得なかった著しい環境影響が見られる場合には、適切な措置が講じられるようご配慮をお願いいたします。
横浜市環境影響評価審査会の調査・審議経過
<環境影響評価調査計画書>
平成11年3月19日 事業者説明(調査計画書)及び審議並びに現地視察
平成11年4月26日 事業者説明(補足資料)及び事務局説明(報告書案)並びに審議
<環境影響評価準備書>
平成12年3月24日 事業者説明(準備書)及び審議
平成12年4月28日 意見陳述人の選定
平成12年5月26日 意見陳述(6名)
<環境影響評価書>
平成12年6月30日 意見陳述議事録の確認及び事業者説明(評価書、補足資料)並びに審議
平成12年7月27日 事業者説明(補足資料)及び審議
平成12年9月8日 事業者説明(補足資料、市民意見の概要と事業者見解)及び審議
平成12年10月26日 事務局説明(検討事項一覧)及び審議
平成12年11月30日 事務局説明(審査会答申案)及び審議
事業者より横浜市環境影響評価審査会に提出された補足資料一覧
横浜市環境影響評価審査会委員名簿
◎ 猪狩 庸祐 弁護士
今井 五郎 横浜国立大学教授
漆原 美代子 環境デザイナー
大蔵 泉 横浜国立大学教授
奥田 重俊 横浜国立大学教授
○ 猿田 勝美 神奈川大学名誉教授
清水 嘉治 神奈川大学名誉教授
高井 佳江子 弁護士
立花 直美 武蔵野美術大学教授
田丸 重彦 東海大学助教授
土井 陸雄 横浜市立大学教授
中野 有朋 中野環境クリニック所長
武藤 暢夫 関東学院大学名誉教授
森口 實 元(財)日本気象協会相談役
吉行 瑞子 東京農業大学教授
渡邊 眞紀子 東京工業大学助教授
◎ 会長
○ 副会長
五十音順 敬称略
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