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【専門医からのコラム記事】ギャンブル等依存症やゲーム障害などの行動依存について

最終更新日 2021年3月30日

国立病院機構久里浜医療センター 精神科医長/精神保健指定医の松﨑 尊信 先生より、ギャンブル等依存症やゲーム障害などの行動依存についてのコラム記事をご執筆頂きました。

目次

はじめに

行動依存とは、『ある行動が自分や他の人にとって害があるにもかかわらず、行動したいという強い欲求や誘惑を抑えることができない』という状態を指します。‘繰り返す行動パターン’が特徴で、これによって、生活に様々な支障をきたします。アルコールや大麻・覚醒剤などの物質依存の人では、飲酒や薬物使用の強い欲求に抵抗することが困難ですが、行動依存も同じような特徴を持つといえます。

ギャンブルへの依存は、行動依存のひとつとして認知されており、ゲームへの依存についても、2019年5月に世界保健機関(WHO)の診断基準である国際疾病分類改訂版(ICD-11)に、『ゲーム障害』という病名で、ギャンブルと同様に行動依存に分類されました。

コラム記事では、ギャンブル等依存症やゲーム障害の基本情報について紹介します。

ギャンブル等依存症の一般的特徴

ギャンブル(賭博)とは、あるもの(たいていは金銭)を賭けて、より価値のあるものを手にいれる行為を指します。勝ち負けがほとんど偶然に支配されている勝負事です。世の中には、ギャンブルが好きな人もいれば、全くしない人もいます。全くしない人にとっては、ギャンブルのどこが魅力なのだろう、と不思議に思うかもしれません。

しかし、ギャンブルをしない人でも、なにかの争いごと(例えば、スポーツでもケンカでも)で、負けるのが好きな人はあまりいないでしょうし、生活には経済的な問題も関わりますから、お金はないよりはあった方がよいでしょう。ギャンブルは、勝てば大金を手に入れられることから、人間の本能的な欲求を刺激します。そして、ギャンブルの一攫千金の魅力に一旦取り憑かれると、ギャンブルをやめて地道な生活に戻るのはなかなか難しいようです。

日本でギャンブルは刑法で禁止されていますが、競馬、競輪、競艇、オートレースは、その公益性から公営競技として開催が許可されています。パチンコ・スロットは法律的には遊技と位置づけられていますが、射幸性や換金性といったギャンブルの要素を含みます。また、仲間内での賭け麻雀や賭けゴルフ、裏カジノといった非合法のギャンブル、過剰なレバレッジをかけたFX(外国為替証拠金取引)などに陥るケースもあります。

ギャンブル等依存症の特徴は、ギャンブル等が自分や他の人にとって有害で、人生に大きな損害が生じるにも関わらず、ギャンブル等を続けたいという誘惑や衝動が抑えられない点です。勝ちを追い求めて、最後には掛け金をたいてい失ってしまいますが、そのような行為を人に隠し(時には嘘までつきます)、手持ち資金を使い果たしてしまいます。それでも負けを取り戻すために借金をしてまでギャンブル等にのめり込み、次第に借金額が膨らみます。挙げ句の果てに、借金すらもできなくなり、やむなく窃盗、横領や詐欺行為といった違法行為に手を染めてしまうこともあります。最終的には生活が破綻し、家族離散、懲戒解雇、逮捕や自殺など深刻な事態に至ることもあります。

ゲーム障害の一般的特徴

ゲームは、大人も子どもも楽しめる、熱中しやすい遊びです。しかし、はまり過ぎると様々な問題が出現し、病的な状態(=ゲーム障害)を引き起こします。WHOの診断基準(ICD-11)では、ゲーム障害の臨床的特徴として、
○ゲームの頻度や時間などのコントロールができない。
○他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを選ぶほどゲームを優先する。
○問題が起きているがゲームを続ける。またはより多くゲームをする。
○ゲームのためにひどく悩んでいる。または、学業上及び職業上の問題が生じており、ご本人や家族に影響が出ている。

と記述しています。その結果として

○体力低下、運動不足、骨密度低下などの身体的問題
○睡眠障害、ひきこもり、意欲低下などの精神的問題
○遅刻、欠席、成績低下などの学業上の問題
○浪費や借金などの経済的問題
○家庭内の暴言・暴力などの家族問題

などの様々な問題を引き起こすことが報告されています。

専門医療機関での治療

依存症の治療を終了しても、また同じ行動を何度も繰り返してしまうことがあり、これをスリップといいます。依存症からの回復の過程では、スリップを経験することはよくあります。しかし、一旦スリップすると、本人は罪悪感を感じて自分を責めてしまうことがあります。

ここで、あまり悲観せず、回復によくあることだと考え、次にどう対処したらよいかを考える機会にするとよいでしょう。家族も、本人を責める気持ちが芽生えると思いますが、回復には時間がかかると理解し、スリップをどう次の行動に生かすか、本人と一緒に考えていきましょう。

当事者への関わり方の工夫

ギャンブル等依存症の進行過程で借金が発覚した場合、家族は「早く返済しなくては」などといった気持ちから、借金を肩代わりして問題を解決しようとします。しかし、しばらくすると本人がまたギャンブル等→借金を繰り返す悪循環に陥るケースが多いです。借金の肩代わりは、回復の機会を奪いかねませんので、家族は借金の肩代わりをしない方がよいでしょう。

ゲーム障害の子どもでは、生活習慣の乱れ、不登校や成績低下などの深刻な問題が生じてしまい、家族も心の余裕を持てないケースが多いようです。まず、家族が心の健康を保つこと、不安な気持ちや悩みなどを誰かに話すだけでも、気持ちが楽になることがあります。

地域の社会資源

依存症の回復には、当事者同士の支えが有効です。ギャンブル等依存症には、各地でGAという自助グループや家族会などの民間団体が活動していますので、一度参加されてはどうでしょうか。また、医学的な問題だけでなく、借金や住居、就労などの生活支援も必要な場合があります。それぞれのケースに応じて、行政などの福祉、弁護士や司法書士などの司法機関、ハローワークなどの就労支援機関と連携をとるとよいでしょう。

まとめ

ギャンブル等依存症やゲーム障害の基本的な情報について紹介しました。行動依存は本人も問題に気づきにくく、家族も相談をためらうことが多いようです。対応方法や今後の方針など、困ったときには、まずは横浜市こころの健康相談センター、お住まいの区福祉保健センターの高齢・障害支援課や医療機関に気軽に相談してみましょう。

(国立病院機構久里浜医療センター 精神科医長/精神保健指定医 松﨑尊信 先生)

コラム記事の同内容のリーフレットを作成しました。(横浜市こころの健康相談センター)
A3見開きで印刷・ご活用ください。
【リーフレット】ギャンブル等依存症やゲーム障害などの行動依存について(PDF:1,208KB)

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電話:045-662-3543

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ファクス:045-662-3525

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