ここから本文です。

医療ビッグデータの活用

 医療政策の立案・評価には、本市の医療実態をより正確に把握することが重要です。ただし、公表されている既存の資料は市単位など広域での集計であり、地域ごとの実態がわからないことが多くあります。そのため、横浜市では、エビデンスに基づく政策立案(EBPM、Evidence Based Policy Making)の取組として、独自に医療ビッグデータの分析に取り組んでいます。 

最終更新日 2023年12月22日

YoMDBの分析

 YoMDB(Yokohama Original Medical Data Base)は、本市が保有する医療・介護・保健データを、医療政策への活用のために集約、個人情報を極力削除しデータベース化したものです(2018年3月から稼働)。

      【対象】
       医療:国民健康保険、後期高齢者医療制度、医療扶助のレセプトデータ(2014年4月以降)
       ※単年分でデータ件数は約3,000万件
       ※市民の35%をカバー(75歳以上は100%近くをカバー)
       介護:介護レセプトデータ、要介護認定情報等(2012年4月以降)
       保健:特定健診・特定保健指導データ(2014年4月以降)

  


YoMDBイメージ図

 2025年問題の解決に向け、がん対策、緩和ケア、その他5疾病の対策(脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)、在宅診療の充実など、様々な医療政策上の課題について、医療ビッグデータ解析から実態の把握を行い、具体的施策の立案を行います。

YoMDBオープンデータ

 YoMDBから汎用性の高い基礎的な集計表を作成し、「YoMDBオープンデータ」として公表します。
YoMDBオープンデータ(2019年度)

YoMDBを用いた分析の成果

 骨折後にどの程度の高齢者が要介護となるかを明らかにするための分析をしました。また、結果をまとめた学術論文が2021年11月に国際誌に掲載されました。

 横浜市で骨粗鬆症ハイリスク群に対してどの程度治療が開始されているかを明らかにする分析をしました。また、結果をまとめた学術論文が2021年4月に国際誌に掲載されました。

 2保険者(国保・後期)の2型糖尿病患者の糖尿病性腎症の発症割合をReal World Dataで明らかにすることができました。この結果を、2019年10月に行われた第78回日本公衆衛生学会にて発表しました。
  また、結果をまとめた学術論文が2021年7月に国際誌に掲載されました。

 がん患者のうち、在宅でターミナルケアを受けた方について、分析を行いました。これにより、在宅ターミナルケア患者について、緊急往診の回数などの実態がわかりました。また、在宅移行後の生存期間についても明らかとなりました。
この結果を、2018年9月に行われた第2回日本臨床疫学会及び2019年7月に行われた第61回日本婦人科腫瘍学会学術講演会にて発表しました。

 YoMDBを用いて在宅医療の利用状況を分析し、そこに横浜市の将来人口推計を掛け合わせることで、在宅医療需要の将来推計を行いました。その結果、今後20年で、需要が約2倍となることがわかりました。また、結果をまとめた学術論文が2018年11月に国際誌に掲載されました。

大学等との連携

 横浜市と横浜市立大学は、平成30年5月22日に締結した「データ活用に関する包括連携協定」を踏まえ、令和2年9月14日にヘルスデータサイエンスの政策活用に向けた覚書を締結しました。本覚書に基づき、YoMDBを用いた共同研究を実施し、結果をまとめた学術論文が国際誌に掲載されました。詳細は、横浜市立大学のプレスリリースを御確認ください。

超高齢者の受療行動:Yokohama Original Medical Databaseを用いた都市部75歳以上住民の全数調査(外部サイト):令和4年4月に掲載
高齢者のケアの分断を調査:Yokohama Original Medical Databaseを用いた横浜市75歳以上住民の全数調査(外部サイト):令和4年8月に掲載

NDBの分析

 医療ビッグデータの代表例であるNDB(レセプト情報・特定健康診断等情報データベース)を用いて、市内医療機関で行われたがん治療の実態を分析した結果を報告書として取りまとめました。分析は、横浜市立大学と共同で行いました。
分析結果概要報告書の概要は次のとおりです。

分析の概要

 NDBデータを用い、平成26年4月~28年3月に市内の医療機関でがんの治療(薬物療法・手術療法・放射線療法)を受けた患者について、分析を行いました。

主な分析結果

  • 年間約5万2千人が市内医療機関でがんの治療を受けていました。
  • 働く世代では、女性が男性の2倍多く治療を受けていた。また、高齢者では男性が女性の1.5倍多く治療を受けていました。
  • がんの治療においては、7割近い患者が薬物療法を受けていました。
  • 80歳以上でも7割近くの患者が化学療法を受けていました。
  • 外来化学療法を受けた期間は平均約4.5ヶ月、投与頻度は85%の患者が月あたり2回以下でした。
  • 働く世代のうち、外来化学療法を受けているがん患者の通院実態として、年間あたり平均13.8回の通院を要していました。
    また、年間10回以上通院していた患者が74%、年間20回以上通院していた患者が18%でした。

分析結果の考察

  • がんの治療を受けた患者に焦点を絞った網羅的解析は新しい切り口で、市内の医療機関で対応している患者の実態を初めて明らかにしました。
  • 化学療法を受けた患者の割合は、手術療法や放射線治療と比して多く、がん治療において化学療法の役割が大きいことが明らかになりました。
  • 仕事と治療の両立のための柔軟な制度設計を行うために重要な基礎データとなり得ます。
  • 緩和ケアについては、一般病棟や在宅のデータを含んでおらず、実態の把握には至りませんでした。

研究に関する問合せ・連絡

 なお、医療ビッグデータ分析のように侵襲や介入もなく診療情報等の情報のみに用いる研究等については、国が定めた指針に基づき、対象となる方のお一人ずつから直接同意を得る必要はありませんが、研究等の目的を含めて、実施についての情報を公開する必要があります。
 ご不明な点、ご相談等ございましたら、下記の問合せ・相談窓口までご連絡ください。

 研究に関する問合せ・連絡先:医療政策課 医療データ活用推進担当(045-671-4872)

PDF形式のファイルを開くには、別途PDFリーダーが必要な場合があります。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Get Adobe Acrobat Reader DCAdobe Acrobat Reader DCのダウンロードへ

このページへのお問合せ

医療局医療政策部医療政策課 医療データ活用推進担当

電話:045-671-4872

電話:045-671-4872

ファクス:045-664-3851

メールアドレス:ir-seisaku@city.yokohama.jp

前のページに戻る

ページID:195-695-862

  • LINE
  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram
  • YouTube
  • SmartNews