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手記から学ぼう

最終更新日 2020年2月12日

【手記】―17才の春―

シンナーに対する、初めの頃のイメージはだらっとした気分で、体の無駄な力が抜けてとろけるような気分でした。もう17年前のことです。最近、仲間との関わりの中で、その時の気分を思い出しました。シンナーが好きだという気持ちに気づいたのです。その時には正直言って動揺しました。いくら、シンナーをやらなかった時期が1年位あったとしても、シンナーは好きなんですね。だから16年間もシンナーをやめられなかったんだっても思える。実際苦しかった思い出の方が多いのに…。

高校を退学し、友達が働いている回転寿司に住み込みですぐ働きました。いやだった学校はやめたし、口うるさい親からも逃げられた、そんな思いが強かったです。
ある休日の前日、ひさびさに友達と連絡をとり夜の11時に待ち合わせました。友達は「いいものがあるよ」って言ったのかな。シンナーでした。「これ調子いいよ」って。「やばくないか?」って一瞬思ったけど、タバコも酒も競い合ってやってみたいなとこがあって、友達に「オーすごいね」って言われたかった。すぐに友達の指導により、ビニール袋を結び、シンナーを入れ、口にあて呼吸を…。初めはむせるようで、しばらくするとのどから胸にかけて甘さを感じ、力が抜け体が軽くなっていきました。ものの1、2分でそんな気分になれます。とろけるっていうか…ずっとそんな気分でいたい、それが本意でした。友達の言ったとおりラジカセの音が大きく聞こえました。スピーカーに耳をあてているような感じでした。あっという間に朝になっていました。それがシンナーとの出会いです。17才の年でした。

それから、休みの日は友達の家でシンナーを何回か吸いました。友達の彼女が女友達を呼んだりごちゃごちゃした、にぎやかな中でのシンナーは楽しかったです。そんなたまり場もいつしかなくなり、一人で吸うようになりました。一人で吸うようになると、回りに気をつかわずにすむし、好きな時、好きなだけっていうことから、都合が良かったんです。一人で吸ってて、幻覚もたくさん見ました。目覚まし時計の針が反対に回ったり、鏡を見ながら吸ってると鏡にうつった僕の顔つきがだんだんときつくなり、まるで鬼のように見え、背中の後ろで炎が見えたりで…。
二階の自分の部屋で、いつものようにシンナーを吸ってて、おふくろに見つかった時がありました。おふくろは、シンナーをとりあげ、泣きながら、途方にくれ「こんなことはやめろ」って言ってたんだけど、見つかったことも現実なのか?ボーとしてて、よくわかんない状態でした。その時から、シンナーを吸う時は、おふくろのあの顔が思い浮かび、考えることは考える「やめた方が…」って、でも吸ってしまうと、わずらわしかったです。
何度も何度も仕事をして、やり直そうっていうか、真面目にやろうって思うんだけど、いつもシンナー中心の生活でした。そんな生活が15、16年近く続きました。最後の方はシンナーで楽しめなくなりました。気分が変わんなかったです。あの体が軽くなる気分も、とろける気分もなかったです。ただ体の調子が悪くなる、頭が痛い、そんな調子で酒を飲むようになって…切り替えたんですね。シンナーの酔いを酒に求める飲み方しか出来なかったです。質より量でした。

最後には親にも見離され、行く所がなくダルク(※)につながったんですが、つながった頃は、「薬物が問題じゃなくて、今、住む所がないことが問題なんだ」って思ってました。これまで何回も何回も薬物による問題をおこしてきても、薬物を信じきってた僕が一番問題だったんです。それも仲間の中で気づかせてもらえました。

※ダルクとは、薬物を日常的に使用する生活を送るようになってしまった方々が、薬物を使わない生活ができるよう、手助けを行う施設です。

このページへのお問合せ

医療局健康安全部医療安全課

電話:045-671-3654

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ファクス:045-663-7327

メールアドレス:ir-iryoanzen@city.yokohama.jp

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