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横浜市域 活断層基礎調査結果報告

最終更新日 2019年3月12日

立川断層のイメージ図


調査の目的

横浜市域では、現在のところ活断層の存在は確認されていません。
しかし、川崎市との市境付近で微小地震が多発していることや、横浜市の地下深部に段差が推定され、それが活断層である立川断層の延長に位置していると考えられます。
このようなデータは、立川断層が横浜市域内へ延長している可能性を示唆するものでした。
そのため、横浜市域内での活断層の有無や活動性について調査を行いました。

調査の経緯

立川断層は、横浜市北方の東京都武蔵村山市、立川市から国立市にかけて、北西から南東方向に延びる活断層です。
これまでの研究では、立川断層は、およそ5000年に1回の割合でマグニチュード7クラスの地震を発生させると考えられています。立川断層の南端は国立市の多摩川付近とされています。
活断層を見つけるには、空中写真を見て、地形の小さな段差等を見つけ、その連続性から活断層を推定しますが、横浜市城は造成などで地形が改変されていて、細かい地形が読みとれません。
一方、以前に大学等が人工地震を発生させ、その波の伝わり方から地下深部の地質構造を探ったところ、横浜市の深さ5~7km付近で古い地層に段差があることが報告されました。この段差が立川断層の延長上に位置しています。
断層の周辺では重力の異常が認められることがあります。
地球上では重力はどこでも同じと考えられがちですが、実際には場所により微妙に異なります。地下に周辺より重い物質があると地表での重力は普通より大きくなり、軽い物質がある場合は小さくなります。従って、地下深部にあった重い地層が、断層運動により浅いところに上がってき場合、その地表部では普通より大きい重力値が観測されます。
これを利用し、地下での地層の段差を明らかにするため、横浜市周辺の地表で測定された異常重力(標準値との差)を整理し、その分布図(図-1)を作成したところ、立川断層に沿って重量差が明瞭に表れています。この重力差の帯は南東方向に延び、横浜市に達しているように見えます。

横浜市周辺の地表で測定された異常重力(標準値との差)の分布図
図-1 分布図


このようなデータを踏まえ、次項に示す調査を行いました。

調査の方法と結果

断層調査は、川崎市と協力して行いました。川崎市は地下の深い部分を対象にし、反射法による地震探査を行いました。横浜市は浅い部分を対象に浅層反射法探査と重力探査を行いました。また、各調査の実施位置を図-2に示します。

調査位置の図
図-2 調査位置図


(1)重力探査
既存の重力データを用いた解析では、立川断層の延長上に重力差の帯が横浜市域まで延びていました。横浜市では、川崎市高津区から横浜市旭区に至る幅5km、長さ20kmの範囲であらたに約1500点の重力測定を行いました。その結果(図-3)でも既存の重力データ解析結果と同じ様な異常重力の分布が認められました。

川崎市高津区から横浜市旭区に至る約1500点の重力測定結果
図-3 重力測定結果


(重力異常分布図)

(2)反射法による地震探査
これは川崎市が行ったもので、地表より振動をあたえ、地下の地層に当たって反射してきた振動を地震計でとらえて、地下の地質構造を探るものです。図-4に反射法による地震探査の概要図を示します。

地表から振動を与えられた地層は反射波を出し、観測車に接続された地震計が振動をとらえる図
図-4 反射法による地震探査の概要図


反射法探査は、東京都世田谷区野毛から多摩川を渡って川崎市を横断し、港北ニュータウンを通って旭区上川井町までの約 15km の側線で行われました。

観測車が地震探査を行う図
反射法探査実施状況


反射法探査結果(図-5)で、白と黒の縞模様が反射面を示します。反射面は地層や地質の違いを表していると考えられます。

川崎市高津区から横浜市旭区に至る反射法探査結果
図-5 反射法探査結果


図-6は、兵庫県南部地震で活動した野島断層で行った反射法探査の結果です。反射面のずれが明瞭に表れています。横浜市域の結果では、浅いところ(深度約1500m以浅)では反射面の連続が認められます。これは、地層が連続しており、断層がないことを示しています。しかし、反射波が乱れていて連続性が不明瞭なところが3箇所あります。ここでは、断層が存在するか否かどちらとも判断できません。そのため、この3箇所については、より精度の高い浅層反射法探査を行いました。

1500mより浅いところでは反射面が連続していますが、それ以外では不明瞭な点が3か所あります。
図-6 野島断層における反射法探査結果


(3)浅層反射法探査
浅層反射法探査の原理は、反射法探査と同じですが、振動の波長を短くすることにより、浅部で精度のよいデータを得るものです。探査した位置は、反射法探査でデータの不明瞭であった3箇所です。浅層反射法探査の結果(図-7)では、反射面は連続しており、断層はありません。

浅層反射法探査の結果図です。反射面は連続しています。
図-7 浅層反射法探査の結果


また、浅層反射法探査は、横浜市の北端部にあたる青葉区でも4kmの長さで行いました。これは、立川断層に近い横浜市の北端部で調査するとこにより、立川断層は横浜市内には達していないことを確認するためです。

地表から振動を与えている写真
浅層反射法探査実施状況


その結果を図-8に示しますが、やはり、反射面が連続していて、断層はありません。

反射面が連続しています。
図-8 横浜市北端部での浅層反射法探査結果


立川断層は横浜市域まで延びているのか

以前に行われた人工地震による調査や、重力探査の結果からは、立川断層が横浜市域に延びている可能性がありました。しかし、反射法探査や浅層反射法探査の結果から、浅いところに分布する地層は連続していることが明らかになりました。調査結果では、約150万年前に堆積しはじめた上総層群という地層が、断層によってずれていないことから、約150万年前以降は断層の活動はなく、活断層である立川断層は横浜市域に延びていないと判断されます。

おわりに

横浜市では、地震情報をより遠く、より正確に市民に伝えるため、市域内に150箇所の地震計(強震計)を設置しています。この地震計で得られる地震波のデータより横浜市域深部の地下構造を推定する計画があります。これにより、今まで不明瞭であった地下深部の地下構造を解明し、地震、断層に関する基礎データとして活用していきます。

謝辞

本業務に御指導、御協力を頂いた委員会の先生方に深く感謝を申し上げます。

委員会の先生方(敬称略)

  • 委員長
小島 謙一 (横浜市立大学理学部長)
  • 副委員長
菊地 正幸 (東京大学地震研究所 教授)(横浜市立大学理学部 客員教授)

  • 委員
衣笠 善博 (工業技術院地質調査所 首席研究官)
瀬尾 和大 (東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授)
翠川 三郎 (東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授)
松田 磐余 (関東学院大学経済学部 教授)
山崎 晴雄 (東京都立大学理学部 教授)

このページへのお問合せ

総務局危機管理部防災企画課

電話:045-671-4096

電話:045-671-4096

ファクス:045-641-1677

メールアドレス:so-bousaikikaku@city.yokohama.jp

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