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保健指標の特徴
最終更新日 2019年3月5日
最適な保健指標を選ぶには、その特徴(長所・短所)を理解しておくことが必要です。
ここでは、代表的な保健指標について、特徴を挙げたいと思います。
粗死亡率
ある地域の死亡者数をその地域の人口で割った値。人口10万単位で示されることが多い。
- 長所:簡単に求められる。
- 短所:年齢構造の異なる地域間での比較に向かない。
- 必要な統計資料:死亡者数、人口
年齢調整死亡率
年齢構成の異なる地域間で、死亡状況の比較ができるように年齢構成を調整した死亡率。その地域の「年齢階級別死亡率」と「昭和60年モデル人口(男女共通)」から算出する死亡数を、「昭和60年モデル人口」で割って求める。
- 長所:年齢構造の異なる地域間の比較ができる。
経年変化をみることができる。 - 短所:細かいデータが必要(地域ごとの性・年齢階級別死亡数と人口)。
人口、死亡数が少ない場合、偶然誤差の影響を受けやすい。 - 必要な統計資料:性・年齢階級別死亡者数、性・年齢階級別人口、昭和60年モデル人口
標準化死亡比(SMR)
年齢構成の異なる地域間で、死亡状況の比較ができるように年齢構成を調整した指標。「基準集団の年齢階級別死亡率」と、「その地域の人口」から「期待死亡数」を算出し、その地域で「実際に観察された死亡数」との比をとり、求める。
- 長所:年齢構造の異なる地域間の比較ができる。
細かいデータが必要ない(その地域の総死亡数が分かればよい)。 - 短所:経年変化をみるのには適さない。
(SMRを求める時期によって、基準集団の情報が異なるため) - 必要な統計資料:性・年齢階級別死亡者数、基準集団の性・年齢階級別死亡率
潜在的余命損失年数(PYLL)
基準年齢(65歳や平均寿命を利用)より若く死んだ人が、基準年齢まであと何年あったか、損した年数を死亡者の数だけ足し合わせた値。人口の影響を除くために、さらに人口で割った値(PYLL率)を評価する場合もある。
- 長所:若い年齢層が死ぬことの社会への損失をみることができる。
- 短所:年齢構造の異なる地域間での比較に向かない。
- 必要な統計資料:性・年齢階級別死亡者数、性・年齢階級別人口
平均余命
ある期間の死亡率が今後も続くと仮定して、それぞれの年齢階級の人があと何年生きられるかを示した指標。生命表から得ることができる。
- 長所:年齢構造の異なる地域間でも比較できる。
0歳の平均余命(平均寿命)は全年齢の死亡状況を集約したもので、
保健医療福祉の総合指標として使うことができる。 - 短所:災害等で死亡者数が通常と著しく異なる時期の死亡率を利用した場合、
実際の状況を反映しないことがある。
計算が面倒である。 - 必要な統計資料:性・年齢階級別死亡者数、性・年齢階級別人口、既存の生命表
将来推計人口
出生や死亡による人口変動が現状と変わらず推移すると仮定して、将来の人口やその年齢構成がどのように変化するかを推測した指標。求める方法は「コホート変化率法」と「コホート要因法」がある。
- 長所:経年的に人口の推移を予測できる。
- 短所:災害等、人口が著しく変化した場合、利用できなくなる。
コホート要因法の場合、計算が面倒である。
粗出生率(普通出生率)
ある地域で出生した数をその地域の人口で割った値。人口千単位で示されることが多い。
- 長所:経年変化をみることができる。
粗死亡率と組み合わせて、自然人口増加率を求めることができる。 - 短所:性別・年齢の影響を考慮していない。
- 必要な統計資料:出生数、人口
合計特殊出生率
ある期間の出生率がそのまま続くと仮定して、15~49歳の女性の出生率を年齢階級別に求め、足し合わせた値。一人の女性が一生に産む子どもの数の平均を示す。
- 長所:経年変化をみることができる。
年齢構造の違う地域間の出生による人口の増減を推測できる。 - 短所:ライフスタイル(子どもを生む時期)が世代ごとに違う場合、
実際の状況を反映しないことがある。 - 必要な統計資料:母の年齢階級別出生数、性・年齢階級別人口
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