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意見書「居住地として選ばれる泉区となるために」
最終更新日 2023年12月20日
意見書 「居住地として選ばれる泉区となるために」
1 検討の背景と「居住地として選ばれる泉区となるために」目指す姿
(1)居住地として選ばれるための、泉区の特徴
泉区の人口は平成22年以降、社会増減数が減少に転じ、中でも30歳代や40歳代前半世代の転出超過が大きくなっています。特に若年層をターゲットにした多世代の定住を図ることが喫緊の課題です。
そうした課題認識を通じて泉区の現状を見ると、次に挙げるような、居住地として選ばれる上での多くの可能性を有していることがわかります。
平成26年度横浜市民意識調査によると泉区は居住地選択の3要素の内、「家賃や住宅の価格が手ごろ」「住まいの周辺が静か」という評価が横浜市18区の中で上位となっています。
泉区は、横浜駅から鉄道で30分程度という立地にありながら、和泉川や阿久和川などの水辺や、緑の豊かな環境が身近にあり、都心部とは違う穏やかな生活を営むことができます。また区内に広がる農地で採れる新鮮な野菜を身近な直売所で手にすることができます。
何かと不便との声がある公共交通ですが、区内には相鉄線の5つの駅と市営地下鉄線の4つの駅があります。そして、今年の7月から市営地下鉄の快速運転が始まったほか、今後予定されている相鉄とJR、相鉄と東急との相互直通運転が始まると、新横浜都心、東京都心部方面への所要時間が短縮されます。これにより、東京方面に勤務する人にとって、泉区が居住地区の選択の中に入って来ることが期待されます。加えて、幹線道路についても、権太坂和泉線等の開通による道路網の充実も期待されます。
保育施設・子育て支援施設等が充実しているほか、豊かな水や緑、地産地消による食育など、子育てを行う上での強みを有しています。
地域活動が盛んで、様々なイベントや取組が行われています。地域のきずなが強く、温かい住民気質があり、新たな住民にとっても住みよい環境です。
泉ゆめが丘地区では土地区画整理事業が進められており、新たな住民が居住し、活気が生まれるとともに、大規模な商業施設の立地が期待されるところです。
平成26年6月に、深谷通信所が返還されました。今後、子どもから大人まで誰もが利用でき、様々な体験ができる、魅力的な空間の創出が期待されます。
(2)居住地として選ばれるための5つの視点と魅力的な姿
とはいえ、若い世代を始めとした多くの人たちに居住地として選んでもらうためには、そうした方々のライフスタイルに合った住まいやまちをさらに充実させつつ、泉区で暮らす多様な世代が、交流し助け合う、ゆたかな地域社会を継続していくことが必要です。
そして既に可能性として備える泉区らしい環境に目を向けつつ、泉区が他に暮らす人々から魅力的と感じられる地域づくりを、地域・行政が一体となって進め、わかりやすくアピールしていくことが大切です。
そのため、居住地として選ばれるための視点を、5項目に整理しました。
「暮らしやすさ」:生活に関する利便性の視点から
~都市的インフラによって支えられる便利な暮らし~
交通の利便性が向上し、働く世代、若い世代を始めとした多世代が暮らしやすいことが重要と考えます。
「住まい」:住宅の視点から
~ライフステージに応じた住宅の提供~
住宅が購入しやすく、子ども世代が親と程よい距離に住めるように、子育て世代のニーズに合った住宅の供給が充実していることが重要と考えます。
「子育て」:子育て環境の視点から
~生活(子育て)を支えてくれる地域社会や公的サービス~
子どもを預けやすい施設が充実し、地域による見守りや子育てのサポートがあることが重要と考えます。
「泉区らしさ」:泉区らしい特性の視点から
~泉区だから味わえる魅力的な時と場~
水や緑が暮らしの中にあること、身近に農地があり地産地消につながるなど、豊かな環境を享受できることが重要と考えます。
「地域活動」:地域活動の視点から
~みんなで盛り上がる地域での活動(催し)~
人情に厚く、多世代の交流が深く、地域のお祭りやイベントなどが盛んで、ふるさと意識が醸成されていることが重要と考えます。
2 『住みやすく、生活しやすいまち』を目指した具体的な取組
(1)「暮らしやすさ」;生活に関する利便性の視点から ~都市的インフラによって支えられる便利な暮らし~
【課題】… 道路や鉄道、バスの利便性向上。商業施設や医療施設など生活に必要な施設のほか、交流や憩いの場の充実。
ア 交通の利便性の向上
(ア) 道路の利便性向上
事業中の権太坂和泉線が環状4号線と繋がることにより、区内の道路ネットワークが充実するとともに、生活道路の渋滞が緩和され、区民の交通利便性の向上が期待されます。また、災害時においても、スムーズな車両の通行が確保されることも期待されます。中田さちが丘線なども含め、区内の幹線道路について、完成・供用に至る整備の見通しを示しつつ、着実に推進していくことが必要です。
通学路などとなっている区内の主要な地域道路において、独立した歩道が無く歩行者の安全確保に課題を抱えている道路については、歩道の整備を着実に進めていくことが必要です。
(イ) 相鉄の直通線開業による鉄道の利便性向上
相鉄とJR、相鉄と東急との相互直通運転により、東京都心部への交通利便性が向上し、東京方面に勤めている人が通勤しやすく、また泉区が居住地として選ばれやすくなることが期待されます。相鉄の直通線開業を着実に推進していくことが必要です。
(ウ) バスの利便性向上
区内を走るバス便が充実することで、子育て世代や高齢者を始め、様々な世代の方にとって駅やスーパーなどの、様々な施設への外出がしやすくなります。また終バスが遅くなることで、東京都心部など遠方に勤務する人達にとっても交通の利便性が向上します。下和泉地区でのEバスの運行や今後緑園地区で行われるバス運行の実証実験の他地区での検討、また終バスを含めたバスの増便への働きかけなども、利便性の向上にとって有効と考えます。
(エ) 居住地と従業地の近接
居住地と従業地が近接していることも、居住地選択の上で重視される条件となります。福祉施設等や企業、教育機関などを呼び込んでいくことも大切です。また多様な主体による農の活用などを検討することも考えられます。
イ 商業施設・医療施設等
(ア) 日々の暮らしを支える施設の充実
子どもを見てもらえる身近な診療所などを始め、医療機関の充実が求められます。
生活必需品や、衣料品等が購入できる商業施設など、日々の暮らしを支える生活利便施設が充実していることも、居住地として選ばれる上で大切です。
泉ゆめが丘地区の開発だけではなく、いずみ野北口や弥生台南口の開発などに合わせ、若い世代が魅力を感じる店舗や商業施設が充実するよう、事業者と連携して取り組んでいくことが大切です。
(イ) 深谷通信所の跡地の活用
返還された深谷通信所の跡地については、大人も子どもも楽しめるような拠点とするなど、広く区民が返還を実感できるものとなるよう、地域の意見を取り入れ活用を検討していくことが必要です。
(2)「住まい」;住宅の視点から ~ライフステージに応じた住宅の提供~
【課題】… 若い世代のニーズにあった住宅の供給支援と、多世代が住みやすい持続可能なまちづくり
ア ニーズに沿う住宅の存在、あるいは今後の供給
(ア) 多世代型社会環境をつくる
現在、開発後20年から30年が経過したまちでは、子ども世代が就職や婚姻等により区外へ転出し、まちの高齢化が進むなどの課題を抱えています。子ども世代が同じまちで親世代の近くに暮らすことができるなど、多世代が住みやすい持続可能なまちづくりが必要です。
(イ) 若い世代のニーズに合った住宅
若い世代のニーズをとらえた住宅供給も、居住地として選ばれるための要素となると考えられます。価格、立地等、子育て世帯を始めとする若い世代が購入しやすい住宅の供給も求められます。例えば他都市では、地域の活性化のため、空き家を新たな住民や事業者などを呼び込む資源とする、空き家の活用の取組を行っているところもありますが、こうした事例も参考になると考えます。
(ウ) 泉ゆめが丘地区の新たなまちづくりへの期待
泉ゆめが丘地区が開発されることで、多くの新しい住民が生まれ、それとともに商業施設が集積され、地域に賑わいがもたらされることが期待されます。特に若い世代を始めとして、多くの人を呼び込んでいくことができる魅力的なまちとなるよう、泉ゆめが丘地区の開発を着実に進めていくとともに、これをモデルケースとし、今後のまちづくりに活かしていくことが必要です。
(エ) 市街化調整区域のあり方の検討
区内には市街化調整区域が多く、緑地の減少を防いでいますが、駅周辺や幹線道路(都市計画道路)沿道などについては、地域の実情に応じた適切な土地利用を図っていくことが必要です。
(3)「子育て」;子育て環境の視点から ~生活(子育て)を支えてくれる地域社会や公的サービス~
【課題】… 子育てをしやすい公的サービスや、地域からの支援の充実
ア 保育施設・子育て世帯への公的な支援などの充実
(ア) 子育て世帯が住みやすいまち
安心して子どもを育てられるよう、子どもを預けられる場所を始め、つながりのある子育て支援の取組などを更に充実させていくことが必要です。
泉区では地域の子育てサロンや親子サークルの支援を始め、育児相談や保育園による子育て支援など、区内全域で様々な支援策が行われています。こうした取組を更に充実させていくことが必要です。
イ 子育て世代への地域からの支援
(ア) 子育てにやさしい泉区
現在泉区内では、地域による子育てサロンがさかんに行われています。その取組を更に充実させるとともに、地域に暮らす子育て中の世帯に向けて、子育てサロンの良さや活用をPRしていくことが大切です。
(イ) 三世代交流、助け合いのまち
地域全体で子どもを育てる意識を持ち、子育て中の隣人へのサポートや、地域住民が子どもの安全を見守る取組などを一層進めていくことが必要です。また、その取組内容などを子育て世代を始め地域全体に伝え、皆で共有していくことが必要です。
(ウ) 父親の子育てと地域への参加
母親だけではなく父親同士のいわゆる「パパ友」づくりは、子育てや地域との交流を深める上で大切です。父親たちが子どもと一緒に遊べ、交流できる場をつくることが大切です。
ウ 道路や公園等の整備
(ア) 安全で歩きやすい道路や交流の場としての公園等の整備
通学路の安全性の確保や、幼い子どもを連れた外出時に、ベビーカーや子連れでも安全で歩きやすい道路の整備を進めることが必要です。
公園の再整備等に合わせ、子どもや保護者が立ち寄り、気兼ねなく交流できる場を、地域のニーズをふまえて充実させていくことが必要です。
(4)「泉区らしさ」:泉区らしい特性の視点から ~泉区だから味わえる魅力的な時と場~
【課題】… 泉区の特性である水や緑の保全、農の支援と活用
ア 環境の保全
(ア) 素晴らしい環境のまち
泉区の資源である水や緑、農業など、豊かな暮らしを与えてくれる環境を守り、次世代に伝えていくことが大切です。
農地が無秩序に資材置き場などに変わっていくことが、魅力的な生活環境にとって課題であると考えます。樹林地の保全のほか、農地を守ることや農家への支援など、みどり税の活用も含めた緑の保全について、さらに検討していくべきと考えます。
地域住民自らが、緑や花のあるまちづくりに取り組むことが大切です。
イ 地産地消の推進
(ア) 新鮮野菜で健康な泉区民
農産物の産地が身近にあることは、泉区の魅力の一つです。こうした魅力を高めることや農の振興のため、地域では住民自らの積極的な地産地消の取組を行うほか、生産者である農家の意見も取り入れながら、現在行っている直売所の紹介をはじめ、地域や行政が具体的な取組を進めていくことが必要です。
ウ 地域への愛着の醸成
(ア) 農の体験を通じた泉区への愛着
子どもたちを始め泉区に暮らす人たちが田植えや稲刈りなどの農業を体験し、身近にある農を実感することは、泉区への愛着を深めると考えます。現在行われている農業応援隊等、暮らしの身近に農を感じられる取組を充実していくことが必要です。また、泉区民以外の人が農業を体感できることも、泉区の魅力を高めると考えます。
(5)「地域活動」;地域活動の視点から ~みんなで盛り上がる地域での活動(催し)~
【課題】… 地域活動による地域の活性化、地域のつながりをつくる自治会町内会への加入促進
ア 地域の活動
(ア) 泉区の魅力を高め、地域を知ってもらう
地域で様々なイベント等が行われ、多世代が参加すること、自分の暮らす地域に興味を持ち地域を知ることが、「ここに住み続けたい」と感じる要素の一つになると考えます。
(イ) 若い世代や子どもの参加を促す
特に若い世代との交流を図り、その意見を地域に取り入れていくことが、地域の活性化につながると考えます。また、地域の行事などにおいて、子どもを中心とした行事を行うことなどにより、地域住民のふるさと意識を一層醸成していくことが必要です。
イ 自治会町内会による地域のきずなづくり
(ア) つながりと暖かさのある泉区
暮らしやすい地域づくりのためには、新しい住民を暖かく受け入れ、住民同士の交流を深め、顔の見える関係をつくっていくことが大切です。いちょう団地では外国籍や外国につながる住民が多く暮らす中、様々な課題に対して住民全体で粘り強く取り組んでいます。このような取組も参考にしながら、地域のきずなづくりを一歩一歩進めていくことも大切です。
自治会町内会に加入していない世帯に対して、加入率の高い自治会町内会の取組を参考にするほか、例えば地域のお祭りや防災訓練などを通じ、加入するメリットを丁寧に説明していくこと、行政においても区民に対し加入のメリットを伝え、地域、行政双方から自治会町内会への加入を促していくことが必要です。
(イ) 自治会町内会の活動拠点
自治会町内会の活動が盛んに行われるためには、活動の拠点が必要です。役員が高齢化している中、身近に使いやすい拠点を整備することとともに、施設の老朽化に伴う対応なども、一層進めていくことが大切です。
ウ 学校と地域の連携
地域活動を行う上では、学校と連携した取組も有効です。小学校と地域、農家とが連携した農業体験や、学校給食での地産地消、子どもの見守り活動や伝統文化の継承など、学校と地域が一体となった取組を推進していくことも大切です。
エ 文化やスポーツによるつながり
泉区では様々なスポーツ活動や、文化活動が盛んです。今後も地域が積極的に文化・スポーツ活動に取り組んでいくことで、多世代が楽しんで暮らせる地域となると考えます。
オ 特色や魅力の発信
特色ある地域活動をPRするなど、泉区の魅力を発信していくことが大切です。泉区の特色や魅力を集めたマップの作成も考えられます。
3 まとめ
現在泉区に暮らす人たちにこの先も泉区に住み続けてもらうこと、これから住まいを選ぶ方に泉区を居住地としていただくためには、今回の意見内容も含め、区民の生活に何が求められているかを、地域と行政が一体となって常に考え、取り組んでいくことが大切です。
地域では、自治会町内会や地区経営委員会等の活動を通じ、泉区ならではの暮らしや魅力づくりに取り組みながら、地域のきずなを高め、地域への愛着が高まるよう、努力していくことが重要です。
行政においても、選ばれ、長く住み続けたいと思われる泉区となるよう、本意見にご配慮いただき、更に取り組んでいただけるよう希望します。
平成27年9月10日
泉区地域協議会
意見書「居住地として選ばれる泉区となるために」(PDF:305KB)
問合せ先
区政推進課地域力推進担当 (3階307番)
電話:045-800-2333
FAX:045-800-2505
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