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1-1 緑区の成り立ちと現在の様子

最終更新日 2024年1月12日

緑区の地形

地質分類図

 横浜市の北部一帯は、なだらかな多摩丘陵と平坦な下末吉台地の2つの洪積台地から成り、その丘陵と台地を刻みながら鶴見川とその支流が流れ、流域に沖積平野をつくり出しています。
 そのような地形の中で緑区は、鶴見川とその支流の恩田川を北側の区境とし、分水嶺となる尾根を南側の区境とする東西に細長い区域となっています。区の地形は、鶴見川に流れ込む短い支流の流域にあたる丘陵地(丘陵・台地)と鶴見川が流れる低地から構成されています。
 鶴見川や尾根の連なりが東西方向であるのに対して、丘陵地には、現在の緑区あたりまで海(古鶴見湾)がせまっていた頃に海蝕によって形づくられた谷戸と呼ばれる谷や沢が南北方向にいくつも刻まれ、それらひとつひとつの土地のかたまりが緑豊かな丘となっています。
 こうした地形が、まちの形成に大きな影響を与えました。


〔地形模式図〕

地形模式図


まちの形成

 緑区では、近代に至るまで小さな農村集落が点在していました。これらの集落は、水が豊富で水害の危険性が比較的少なく、平坦な土地で移動が容易であった丘のふもとや谷戸に形成されました。これに対して、鶴見川沿いの低地は、川が氾濫を繰り返すことから水田として利用され、また、丘陵地は薪や炭を産出する里山として、あるいは開墾され畑地として利用されていました。
 当時の人々は、丘のふもとに点在する集落を結ぶ里道を通って移動していました。
 そのような中、長津田は江戸時代から東海道の脇往還大山街道の宿場町としてにぎわいを見せていました。今でも残る常夜燈が、その歴史を伝えています。
 明治時代に入り、明治41年(1908年)に生糸を輸送する目的で現在のJR横浜線が開通したのをきっかけに、緑区域の都市形成が始まりました。鉄道は鶴見川に沿って通され、開通と同時に中山駅と長津田駅が開業しました。丘のふもとでは、鉄道駅を中心に市街地が徐々に広がっていきました。
 昭和30年代に入ると、高度経済成長により都市への人口集中が顕著となり、緑区においても丘陵地が造成され、中小規模の団地開発が始まりました。こうした中、昭和37年(1962年)に鴨居駅が地元住民の請願により開業しました。昭和40年代には大規模な土地区画整理事業などによって、さらに住宅市街地が広がっていきました。周辺の土地区画整理事業にともない、昭和54年(1979年)に十日市場駅が開業しました。近年においても長津田特定土地区画整理事業や、長津田駅北口地区第一種市街地再開発事業など大規模な市街地整備が行われました。
 こうした市街化の進展にともない、駅を中心として商店街が徐々に形成されていきました。また、昭和40年頃からは、上山町・青砥町・中山町の川沿いで工業集積が進み、都筑区の川向町・池辺町などとともに内陸工業地域の一端を担うようになっていきました。昭和59年(1984年)には、横浜市が白山ハイテクパークを整備し、先端技術の研究開発企業を誘致しました。
 一方、急激な市街地の拡大を受けて、昭和45年(1970年)に都市計画法による線引き(市街化区域と市街化調整区域の区分)が行われました。緑区においては、川沿いの農地一帯や丘陵地の農地及び樹林地一帯が市街化調整区域になりました。
 川沿いの市街化調整区域は、主に戦後の土地改良事業により良好な農地へと整備された場所です。鶴見川や恩田川の河川改修による治水機能の強化が行われ、氾濫による大きな水害もなくなりました。また、浜なしに代表される果樹園が広がるなど、都市農業が営まれてきました。
 丘陵地の市街化調整区域では、谷戸や台地などにある農地の維持や自然を生かした大規模な公園の整備や市民の森の指定により、自然豊かな環境が保全されてきました。一方で、学校をはじめとした公的施設が立地しました。

まちの現状と課題

 緑区のまちは、その特徴的な地形を背景としながら、川沿いの低地、丘のふもと、丘陵地といった環境の異なる地区が南北方向に層状に形成されてきました。そしてそれぞれで異なる土地利用がされ、都市の一部として異なった役割をもって構成されています。
 まちを構成する各地区は、それぞれに課題を抱えています。

1川沿いの低地

 川沿いにはまとまった農地が広がり、貴重なオープンスペースとなっていますが、一部では農業従事者の高齢化や後継者不足によって営農の継続が困難になり、荒れ地として放置されたままの農地も見受けられます。農地の保全のためにも基盤の維持のみならず、農業を支える新たな仕組みづくりが求められています。特に水田は、米の生産以外にも遊水機能やヒートアイランド現象を緩和する機能、生物多様性を保全する機能など、多面的機能を有し、保全していくことが必要です。
 平坦な地形という立地条件から工場や研究機関が集積し、工業地域が形成されていますが、厳しい経済情勢の中で撤退する企業が相次ぎ、その跡地に集合住宅等が建設されるなどしており、良好な操業環境を維持することが課題となっています。このようなことから、工業を支援する施策、あるいは工場と住宅が共存できる環境づくりが課題となっています。
 川沿いは堤防を散歩したり、ジョギングするなど憩いの空間として、また身近に自然を感じられる空間として多くの人に利用されています。しかしながら、十分な環境整備がなされているとはいえず、治水機能の強化を図りながらも、生物多様性に配慮した護岸整備や親水性のある施設整備、植栽などによる憩いの空間を整備することが求められています。

2丘のふもと

(1)複合市街地
 丘と鶴見川に挟まれた狭い丘のふもとに道路が集中していることから、交通渋滞が頻発し、住宅地への通過交通の流入やバスの定時運行の阻害など、影響が現れています。また、昔のままの幅員の狭い道路では、歩行者空間と車道が分離していないために安心して歩けない状況にあります。このことから、広域的な幹線道路の整備や駅につながる道路の改良などにより、渋滞の解消や安全な歩行者空間の確保などを行う必要があります。
 車に依存した生活スタイルへの変化やそれにともなう幹線道路沿道への商業施設の立地、さらには経済情勢などが要因となって、駅周辺の商店は厳しい経営環境にあります。しかしながら、生活を支える拠点として商店街の活性化が期待されるとともに、それを支援する施策が求められています。また、商店街に隣接する住宅地は道路幅員が狭く、交通上・防災上の課題があることから、駅周辺の市街地として新しいまち並みへ更新していく必要があります。
(2)丘のふもとの住宅地
 古くからある集落を母体としながら、斜面緑地や歴史を感じさせる社寺林、屋敷林などにより緑が多く残る住宅地が広がっています。しかし、都市基盤が十分に整備されないまま開発されてきたため、道路が狭く、公園が未整備であるなどの問題もあり、その改善は防災の観点からも課題となっています。さらに、今なお斜面緑地や農地での住宅開発などが行われており、緑地の減少も進んでいます。

3丘陵地

(1)開発住宅地
 昭和30~50年代の土地区画整理事業などにより開発された住宅地では、居住者の高齢化が顕著になってきているとともに、老朽化しつつある住宅の建て替え期を迎えつつあります。このことから、若い世代の居住を促すような工夫や、居住者の利便性を高めるきめ細かなバスサービスの提供が求められているとともに、住宅の建て替えに際し住環境が悪化しないようなルールづくりが課題となっています。さらに老朽化した集合住宅においては、建て替えやバリアフリー化の問題を抱えています。
 また、住宅地に流入する通過交通への対処も課題となっています。
(2)谷戸と森
 豊かな自然が残り、多くの生物が生息している谷戸や森は、主として農家によって維持・管理されてきました。その多くは市街化調整区域にあって開発が抑制され、一部は特別緑地保全地区や市民の森として積極的に保全されていますが、農業従事者の高齢化や後継者不足などにより、さらに山林においては採算性や効率性の面から、その維持・管理が困難になっています。
 この結果、樹林地が放置されたり、農地が資材置き場などに転用されたり、さらには不法投棄が行われたりしています。
 また、市街化区域の緑地が開発により減少しており、市街化調整区域においても福祉施設や流通施設などの虫食い状の開発が目立ちつつあります。
 谷戸や森は、緑区の貴重な財産として保全されるとともに、適切な管理が行われる必要があります。

〔まちの現況構成模式図(断面)〕

まちの現況構成模式図(断面)



〔まちの現況構成図〕 拡大図(PDF:498KB)

まちの構成図




〔主な住宅開発年代図〕 拡大図(PDF:346KB)

主な住宅開発年代図


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このページへのお問合せ

緑区総務部区政推進課 まちづくり調整担当

電話:045-930-2217

電話:045-930-2217

ファクス:045-930-2209

メールアドレス: md-kikaku@city.yokohama.jp

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