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粉ミルク(乳児用調整粉乳)を70℃以上のお湯で溶かすワケを知っていますか?
■この記事は各種文献や発表された論文等の内容について本市の医師等がまとめたものを、多くの方に参考にしていただけるように掲載しています。■個別の診断や治療については医療機関へご相談ください。
最終更新日 2024年1月29日
それは、粉ミルク中の病原菌を殺菌するためです。
粉ミルクは無菌ではありません。
ごく微量ですが、粉ミルクそのものや、溶かした粉ミルクに「Cronobacter sakazakii(サカザキ菌)」や「Salmonella enterica(サルモネラ菌)」といった細菌が入っていることがあり、問題視されています。
- Cronobacter sakazakii(サカザキ菌)とは
サカザキ菌は、ヒト・動物の腸管内やトウモロコシ、キュウリ、レモンといった果実・野菜からも検出されることがあります。乳児(1歳未満の子ども)、特に未熟児や免疫不全児、低出生体重児を中心として「敗血症」や「壊死性腸炎」をおこすことがあり、重篤な場合には「髄膜炎」を併発することがあります。成人が感染した場合は、その症状はかなり軽度であるとされています。
サカザキ菌はサルモネラ菌と比べて、粉ミルクの製造環境により多く存在することがわかっていますが、厚生労働科学研究によると、日本の製品に含まれる量はごく微量で、333g中に1個と報告されています。 - Salmonella enterica(サルモネラ菌)とは
サルモネラ菌は、主にヒト・動物の腸管内に生息する細菌で、数多くの種類があり、中にはチフス性疾患をおこすものや、下痢、発熱といった食中毒をおこすものがあります。サルモネラ菌は、粉ミルクの製造過程では混入することはほとんどありません。粉ミルクを開封した後、粉ミルクを溶かすときや溶かした後に混入することがあるようです。
サカザキ菌もサルモネラ菌も、乾燥した粉ミルクの中で長期間生存することが可能です。
サカザキ菌もサルモネラ菌も、乾燥した粉ミルクの中で増えることはありませんが、生存は可能です。つまり、開封後の粉ミルクに混入して、長い間生存することも考えられます。
(サカザキ菌は乾燥した粉ミルク中で1年以上生存したという報告もあります。)
粉ミルクを溶かすときに使う哺乳瓶やスプーン、授乳に使う乳首が菌に汚染されている場合もあります。
溶かした後の粉ミルクの中のサカザキ菌とサルモネラ菌は、5℃以下に保つことで増えるのを抑えることができますが、これより高い温度(室温など)に置かれた場合は、急激に増える恐れがあります。
適切な方法で粉ミルクを溶かしたり保存したりすれば、サカザキ菌やサルモネラ菌に感染するリスクを減らすことができます。
- 粉ミルクを作る前に、手を石鹸と水で洗いましょう。
- 哺乳ビンやスプーンなど、使用する器具はよく洗い、消毒しておきましょう。
- 粉ミルクを溶かすときには、70℃以上のお湯を使いましょう。
- お湯で溶かした粉ミルクは、流水にあてるか冷水又は氷水の入った容器に入れて、授乳できる温度まで短時間で冷やしましょう。
- 溶かした後、2時間以内に使用しなかったミルクは捨てましょう。
- 飲み残しのミルクは捨てましょう。
パンフレット
このページの内容をまとめたものです(A4サイズ2枚)。啓発等に御利用ください。
参考文献・リンク
- 乳児用調整粉乳の安全な調乳、保存及び取り扱いに関するガイドライン2007(FAO/WHO)
- 病原微生物検出情報月報(IASR) vol.29 p223-224(2008年8月号)
- 海外におけるEnterobacter Sakazakii 関連情報(外部サイト) (国立医薬品食品衛生研究所WEBページ)
- 育児用調製粉乳中のEnterobacter sakazakiiに関するQ&A(仮訳)(外部サイト) (厚生労働省WEBページ)
- Cronobacter Sakazakii (previously Enterobacter sakazakii) (外部サイト)(WHO WEBページ)
2009年8月21日初掲載
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