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平成12年工業統計調査トピックス -過去50年を振り返って-

最終更新日 2019年2月28日

「工業統計調査」は、工業に関する独立した調査として、明治42年に開始された「工場統計調査」を引継ぎ、昭和22年に統計法に基づく指定統計第10号として、日本標準産業分類に掲げる製造業を対象とする「工業調査」に改められ、昭和26年以降「工業統計調査」となり現在に至っています。
そこで、2000年という節目の年でもあり、「工業統計調査」として開始されてから50回目の調査に当たる平成12年調査までの横浜市の工業の半世紀を振り返ってみます。

(1)主要指標の50年間の推移

ア 事業所数は、50年で2.6倍、従業者数は、1.5倍

事業所数、従業者数及び出荷額等を、平成12年と50年前の昭和26年と比較すると、事業所数は、昭和26年当時は1764事業所でしたが、平成12年には4651事業所となり、約2.6倍になっています。
また、従業者数は、昭和26年当時は8万7995人でしたが、平成12年には13万5667人となり、約1.5倍になっています。
出荷額等は、昭和26年当時は1114億円でしたが、平成12年には5兆3130億円となり、物価変動がありますが、約48倍になっています。
事業所数、従業者数及び出荷額等を、平成12年と過去50年間のピーク時と比較すると、事業所数はピーク時(昭和63年、6335事業所)の73.4%まで減少し、また、従業者数はピーク時(昭和45年、24万4415人)の55.5%まで減少しています。
また、出荷額等は、ピーク時(平成3年、6兆5508億円)の81.1%まで減少しています。(図1図2

イ 基礎素材型産業から加工組立型産業に

出荷額等の産業3類型※別構成比の変遷をみると、昭和26年の基礎素材型産業、加工組立型産業及び生活関連型産業の構成は、各々46.2%、32.8%、20.9%と、基礎素材型産業が最も大きくなっていましたが、昭和28年に加工組立型産業の割合が35.3%となり、初めて基礎素材型産業の割合(33.7%)を上回りました。
加工組立型産業は昭和32年には40.9%と、初めて40%を超え、以後、平成12年(51.3%)に至るまで、横浜のものづくりの中心となっています。
なお、生活関連型産業は、昭和28年の31.0%をピークに、平成12年には16.4%となっています。(図3

※注 図1、図2、図3中、昭和38年及び昭和39年の各数値及び昭和40年の粗付加価値額については、時系列比較が可能な数値が存在しないため表章していません。


※産業3類型

  • 基礎素材型産業:木材、紙製品、化学、石油、プラスチック、ゴム、窯業、鉄鋼、非鉄、金属製品
  • 加工組み立て型産業:一般機械、電気機械、輸送機械、精密機械
  • 生活関連型産業:食料、飲料、繊維、衣服、家具、印刷、なめし革、その他

図1 事業数及び従業者数の推移(従業者4人以上の事業所)
図1 事業所数及び従業者数の推移(従業者4人以上の事業所)

図2 製造品出荷額等及び粗付加価値額の推移(従者4人以上の事業所)
図2 製造品出荷額等及び粗付加価値額の推移(従業者4人以上の事業所)

図3 産業3類型別製造品出荷額等の推移(従業者4人以上の事業所)の画像
図3 産業3類型別製造品出荷額等の推移(従業者4人以上の事業所)


(2)市内4地区別の50年間の推移

4地区地図

横浜市域を「臨海北部地区」、「臨海南部地区」、「内陸北部地区」及び「内陸南部地区」の4地区に分割し、製造業の主要指標である事業所数、従業者数、出荷額等及び粗付加価値額について、過去50年間の推移をみてみます。

【臨海北部地区】
鶴見区、神奈川区、西区
【臨海南部地区】
中区、磯子区、金沢区
【内陸北部地区】
港北区、緑区、青葉区、都筑区
【内陸南部地区】
南区、港南区、保土ケ谷区、旭区、
戸塚区、栄区、泉区、瀬谷区

ア 事業所数の状況

市内4地区別に昭和26年と平成12年の事業所数を比較すると、昭和26年当時、臨海北部地区が814事業所(構成比46.1%)、臨海南部地区が276事業所(同5.6%)、内陸北部地区が60事業所(同3.4%)、内陸南部地区が614事業所(同34.8%)となっていましたが、平成12年では、臨海北部地区が931事業所(構成比20.0%)、臨海南部地区が618事業所(同13.3%)、内陸北部地区が1872事業所(同40.2%)、内陸南部地区が1230事業所(同26.4%)となっており、内陸北部地区が30倍を超える伸びを示しています。
内陸北部地区の事業所数の推移をみてみると、昭和30年代後半以降右肩上がりに大きく事業所数が増えており、昭和58年以降平成2年をピークに現在に至るまで、4地区中最も事業所数が多くなっています。(図4

図4
図4 市内4地区別事業所数の推移(従業者4人以上の事業所※)


※注 昭和38年及び昭和39年の各数値及び昭和40年の事業所数については、時系列比較が可能な数値が存在しないため表章していません。

イ 従業者数の状況

市内4地区別に昭和26年と平成12年の従業者数を比較すると、昭和26年当時、臨海北部地区が6万2356人(構成比70.9%)臨海南部地区が8438人(同9.6%)、内陸北部地区が2143人(同2.4%)、内陸南部地区が1万5058人(同17.1%)となっていましたが、平成12年では、臨海北部地区が2万7283人(構成比20.1%)臨海南部地区が2万4604人(同18.1%)、内陸北部地区が4万7066人(同34.7%)、内陸南部地区が3万6714人(同27.1%)となっており、臨海北部地区が大きく減少しています。
なお、臨海北部地区の平成12年の従業者数は、50年前(昭和26年)の43.8%、ピーク時(昭和36年、10万9582人※)の24.9%となっています。(図5

図5
図5 市内4地区別従業者数の推移(従業者4人以上の事業所※)


※注 昭和38年及び昭和39年の各数値及び昭和40年の従業者数については、時系列比較が可能な数値が存在しないため表章していません。

ウ 製造品出荷額等の状況

市内4地区別に昭和26年と平成12年の出荷額等を比較すると、昭和26年当時、臨海北部地区が922億円(構成比82.7%)、臨海南部地区が57億円(同5.1%)、内陸北部地区が15億円(同1.3%)、内陸南部地区が121億円(同10.9%)となっていましたが、平成12年では、臨海北部地区が1兆443億円(構成比19.7%)、臨海南部地区が1兆6427億円(同30.9%)、内陸北部地区が1兆7077億円(同32.1%)、内陸南部地区が9183億円(同17.3%)となっており、臨海北部地区の市域全体に占める割合が63.0ポイント低下しています。(図6

図6
図6 市内4地区別製造品出荷額の推移(従業者4人以上の事業所※)


※注 昭和38年及び昭和39年の各数値及び昭和40年の出荷額等については、時系列比較が可能な数値が存在しないため表章していません。

エ 粗付加価値額の状況

市内4地区別に昭和26年と平成12年の粗付加価値額を比較すると、昭和26年当時、臨海北部地区が223億円(構成比78.7%)、臨海南部地区が19億円(同6.6%)、内陸北部地区が5億円(同1.8%)、内陸南部地区が36億円(同12.8%)となっていましたが、平成12年では、臨海北部地区が4003億円(構成比18.2%)、臨海南部地区が5490億円(同25.0%)、内陸北部地区が8755億円(同39.9%)、内陸南部地区が3703億円(同16.9%)となっており、内陸北部地区が38.1ポイント上昇し、平成12年では市全体の約4割を占めています。(図7

図7
図7 市内4地区別粗付加価値額の推移(従業者4人以上の事業所※)


※注 昭和38年及び昭和39年の各数値及び昭和40年の粗付加価値額については、時系列比較が可能な数値が存在しないため表章していません。


(3)市内4地区別・産業3類型別の事業所数の状況

横浜市の製造業はこの50年間で大きく変化しています。事業所数の構成比の変化を産業別にみると、生活関連型産業の割合が低下している一方で、加工組立型産業の割合が高くなっています。また、地区別にみると、臨海北部地区などで割合が低下している一方で、内陸北部地区の割合が高くなっています。
それらの状況について、平成12年と50年前の昭和26年の事業所数を「市内4地区別」・「産業3類型別」に区分してみてみます。

ア 市内4地区別産業3類型の構成比……内陸北部地区で加工組立型産業の割合が上昇

市内4地区別に産業3類型の事業所数の構成比をみると、昭和26年当時は、臨海北部地区で基礎素材型産業の割合が36.2%と3類型中最も大きくなっています。この他の地区では、生活関連型産業の事業所の割合が最も大きくなっています。平成12年では、生活関連型産業に代わり加工組立型産業の事業所の割合が、内陸北部地区を中心に全ての地区で高くなり、製造業全体の40.9%を占めています。(図8

図8 市内4地区別・産業3類型の事業所数の構成比(従業者4人以上の事業所)

図8
【昭和26年】

図9
【平成12年】


イ 産業3類型別市内4地区別の構成比……臨海北部地区から内陸北部地区へ

産業3類型別に市内4地区の事業所数の構成比をみると、昭和26年当時は、臨海北部地区が基礎素材型産業の58.9%、加工組立型産業の63.7%を占め、横浜市全体に占める割合も46.1%と4地区中最も大きくなっています。平成12年では、内陸北部地区の割合が基礎素材型産業で47.8%、加工組立型産業で47.4%と最も大きくなっています。また、横浜市全体に占める割合も40.2%と、かつては3%台であった内陸北部地区での事業所の集積が著しく高まっている様子がうかがえます。(図9

図9 産業3類型別・市内4地区の事業所数の構成比(従業者4人以上の事業所)

図10
【昭和26年】

図11
【平成12年】


(4)横浜市の工業の50年間のあゆみ

ア 高度経済成長の波に乗り右肩上がりで推移(昭和20年代後半~昭和40年代半ば)

横浜では、開港を契機として製糸業、製鉄業、食料品製造業等の近代工業が立地しましたが、大正末期から造成されてきた埋立地に、石油や化学等を中心とする大工場が続々と進出し、我が国最大の京浜工業地帯が形成されました。
昭和20年代後半頃の横浜市の工業の主流は、臨海部の大工場を中心とする鉄鋼、造船、電気機械、石油等の業種ですが、横浜市の地場産業のなっ染業も輸出ブームに乗って高成長を遂げました。
昭和30年代に入って、各企業は重要技術を海外から導入するなど、近代化投資を進め、我が国経済は設備投資・輸出主導の高度経済成長を遂げました。
横浜市では、昭和35年4月16日から施行された工場誘致条例に基づき、内陸部への工場誘致を積極的に進めた結果、旧港北区、旧戸塚区等の内陸部にも工業集積地が形成されました。昭和38年には、市内で初めての中小企業団地である戸塚工業団地(第1次)の造成が行われました。一方、臨海部においても、根岸湾臨海工業地帯、本牧ふ頭関連産業用地の埋立が行われ、石油、造船、電気機械などの大企業が立地しました。
これらの工場誘致策等により、横浜市の事業所数、従業者数、出荷額等及び粗付加価値額は、高度経済成長の波に乗って、右肩上がりで推移しています。
また、産業3類型別に横浜市の出荷額等の割合をみると、これまで、基礎素材型産業がおおむね40%前後と3類型中最も大きい割合で推移していましたが、30年代前半を境に加工組立型産業が基礎素材型産業を上回り、徐々にその割合が大きくなっています。(図1図2図3

イ 加工組立型産業を中心に大きく発展(昭和40年代半ば~昭和50年代後半)

昭和40年代半ばから、それまで我が国の製造業の中心であった鉄鋼等の資源集約的な基礎素材型産業は、石油危機を契機とした原材料・エネルギー価格の高騰と、それに伴う内需の減退等により、割合を低下させていきました。一方で、自動車や電気機械関連を中心とした加工組立型産業は、国際競争力を背景に急速に輸出を拡大し、高成長を実現しました。
この時期の横浜市の状況をみると、内陸部に集積が高まった電気機械や一般機械など加工組立型産業を中心に引き続き大きく発展し、事業所数、出荷額等及び粗付加価値額において、昭和30年代に引き続き右肩上がりで推移しています。しかしながら、従業者数は、昭和45年(24万4415人)をピークに減少し始めています。
また、産業3類型別に横浜市の出荷額等の割合をみると、基礎素材型産業、加工組立型産業及び生活関連型産業の構成は、おおむね30%台、40%台、10%台でそれぞれ推移しています。(図1図2図3


ウ 景気変動と連動するように一進一退で推移(昭和50年代後半~平成12年)

昭和50年代後半以降の我が国経済は、昭和60年9月のプラザ合意を経て大幅な円上昇の為替調整が行われ、輸出不振による円高不況に陥りました。外需への依存が激しい中、製造業は内需へのシフトや製品の高付加価値化を進め、事業の多角化や国際展開を図りました。円高不況は昭和61年11月に底を打ち、その後日本経済は平成景気を迎えたものの、平成に入りバブルの崩壊を経験しました。製造業は循環的な要因に加え、バブル崩壊後の景気の長期低迷、生産拠点の海外移転と国内産業の空洞化、円高の進行などの構造的な環境変化に直面しました。
この時期の横浜市の状況をみると、従業者数は引き続き減少するとともに、それまで、右肩上がりで増加していた事業所数は、昭和63年(6335事業所)をピークに減少傾向に転じました。また、出荷額等及び粗付加価値額は、ここまで、右肩上がりで増加してきましたが、昭和60年~61年頃の円高不況等により減少を示しました。その後、昭和62年~平成2年頃のバブル景気を迎え、横浜市の出荷額等は平成3年(6兆5508億円)に過去最大となっています。その後、バブル崩壊後の大きな減少、さらに、円安基調を背景にした輸出関連産業が好調に推移した平成6年~9年頃の景気回復局面、平成10年~11年頃のアジア通貨・金融危機による輸出部門の不振等、景気変動と連動するかのように一進一退で推移しています。平成11年~12年では、IT(情報技術)関連需要の伸びを背景に持ち直しの動きを見せています。
また、産業3類型別に横浜市の出荷額等の割合をみると、それまで、30%台から40%台で推移していた基礎素材型産業が、20%台に落ち込む一方で、加工組立型産業は平成3年の57.0%を最高に50%台で推移しています。(図1図2図3

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政策経営局総務部統計情報課

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