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村上晃一さんとの対談(ラグビーキッズ2022年9月)
ラグビージャーナリストの村上晃一さんにインタビューいただき、横浜カントリー&アスレチック・クラブ(YC&AC)で、ラグビーを通じたスポーツの魅力などについて語りました。(情報は2022年9月時点。)
最終更新日 2023年9月29日
高校で出会ったラグビー チームとしての結束力が一番の魅力
- ※本記事は動画収録をテキスト化したものです。
- 村上晃一さん(以下「村上」)
このコーナーではラグビーを経験したことによって、その後の人生を豊かにした方々にお話を聞いています。ゲストは横浜市長の山中竹春さんです。よろしくお願いいたします。今回は横浜市中区にある横浜カントリー&アスレチック・クラブ(YC&AC)での収録です。ここは歴史ある民間スポーツクラブとして知られていますね。 - 山中市長(以下「市長」)
YC&ACの始まりは、1868年(明治元年)に設立された「横浜クリケット・クラブ」です。この横浜クリケット・クラブが、横浜で活動する他のスポーツクラブと合併し、現在のYC&ACとなりました。合併したスポーツクラブのひとつに、「横浜フットボールクラブ」があります。1859年の横浜開港から間もない1866年に、横浜に駐屯していたイギリス陸軍の士官が中心となって設立されたクラブで、これが日本ラグビーの発祥だと言われています。この時期にラグビーのクラブができたというのは、すごいことですよね。世界でも最古のラグビーフットボールクラブのひとつです。 - 村上
施設を見学させていただきましたが、海外のスポーツクラブのようですね。 - 市長
YC&ACには、ラグビーやサッカーのできるグラウンド、数面のテニスコート、プールなど充実したスポーツ施設があります。また、イギリスの方が中心になったこともあって、パブやレストランもあり、異国情緒漂う雰囲気があります。こういった歴史を感じる施設が残り、いまも利用されているのは貴重ですね。 - 村上
横浜キヤノンイーグルスが開催する小・中学生のラグビーアカデミーの会場や、サッカーのJ3に所属するY.S.C.C.のトレーニング施設にもなっているようですね。 - 市長
はい。横浜市が今年(2022年)5月に開催した、「2022ワールドトライアスロン・パラトライアスロンシリーズ横浜大会」では、スイムの練習場にもなりました。 - 村上
山中さんがラグビーと出会われたのはいつ頃なのですか。 - 市長
私は小学校に入学する前からいろんなスポーツに親しんでいました。ただ、生まれ育った地元にラグビースクールがなかったこともあり、ラグビーと出会ったのは高校(早稲田大学本庄高等学院)です。当時、学校で一番元気があったのがラグビー部の人たちでした。また、ラグビーを主題にしたテレビドラマの影響もあって入部しました。スクラムを組んだり、モールを組んだりするところをテレビで見たことはあったのですが、実際にプレーすると楽しくて、ラグビーに出会ったことで充実した高校生活になったと思います。 - 村上
ポジションは、フォワードだったそうですね。 - 市長
足が遅かったものですから(笑)。がっちりした身体ではないので、よく「バックスだったのですか?」と聞かれるのですが、スクラムを組んでいました。フッカーもやりましたし、フランカーをしたこともあります。 - 村上
どんな思い出がありますか。 - 市長
スクラムは、8人の息がぴったり合わないといけないんですね。スクラムハーフがボールを入れて、フッカーがフッキングする。ボールがスクラムから出るまでは、フォワード8人とスクラムハーフの計9人のチームワークが大事です。ここの息を合わせる練習を何度もやりました。 - 村上
ラグビーの魅力はどんなところだと思いますか。 - 市長
いろいろな体格の人がいて、さまざまな役割のポジションがあります。それがひとつのチームとして力を結集する。それが最大の魅力だと思うのですが、ボールの奪い合いもあれば、サインプレーでディフェンスを崩すところもある。いろいろな切り口で楽しめるのもラグビーの魅力だと思います。 - 村上
高校のラグビー部の練習は厳しかったですか。 - 市長
厳しかったですね。とくに暑い時期のスクラム練習は大変でした。スクラムマシーンを押す練習があるのですが、一度に10㎝くらいしか動かないんですよ。それを100mくらい押すわけです。来る日も来る日もやって大変でしたが、体力はつきましたね。 - 村上
ラグビー観戦はされていましたか。 - 市長
早慶戦、早明戦など大学ラグビーは見ていました。早稲田の今泉清さんたちが活躍された時代で、今泉さんがプレースキックするときに、歩幅を合わせるとき「イチ、ニー、サーン…」と観客から声が上がっていましたよね。雪の早明戦(1987年12月6日)、早稲田が東芝府中を破った日本選手権(1988年1月15日)も覚えています。早稲田には堀越正巳さん、明治には吉田義人さん、永友洋司さんというスター選手たちがいました。もちろん、社会人も高校ラグビーもよく見ていましたよ。 - 村上
誰か憧れていた選手はいますか。 - 市長
清宮克幸さん(1989年度早稲田大学ラグビー蹴球部キャプテン)は同じフォワードでしたし、体が大きくて、ヒーローでしたね。
心に刻まれたラグビー精神 横浜市長として行政の方々と共に突き進む
- 村上
ラグビーをしたことは、その後の人生にどんな影響を与えていますか。 - 市長
とにかくラグビー漬けの生活ですから、毎日へとへとになっていました。そういう厳しい練習を通じて、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの精神はしっかり理解できたと思います。一人一人がそれぞれに与えられた役割を理解して、ときには自分を犠牲にしながら勝利に向かって突き進む。いまは横浜市長になり、行政の方々と共に突き進んでいます。ラグビー精神は心に刻まれていると思います。 - 村上
2019年のラグビーワールドカップ(RWC)は横浜がメイン会場になりましたね。 - 市長
アジアで初めて開催されたRWCでしたが、横浜では決勝戦を含む6試合が開催されました。あの大会は、日本全国が熱狂の渦に巻き込まれましたよね。日本ラグビーの人気向上にも大きく貢献したと思います。 - 村上
印象に残っている試合はありますか。 - 市長
日本代表戦はもちろんですが、決勝戦は最初から最後まで食い入るように見つめました。歴史的な大会の決勝戦が7万人以上の観客を集め、私が住む横浜市で行われたというのは、すごく嬉しかったですね。 - 村上
会場周辺の盛り上がりもすごかったですね。 - 市長
みんな、こんなにラグビーが好きなのだと嬉しかったですよ。これをレガシーとして引き継いでいくことも必要だと思います。現在、戦いの場となった横浜国際総合競技場では、世界最高峰の舞台を戦った選手になった気分をリアルに体験できるスタジアムツアーも実施しています。ぜひ、決勝の舞台で当時の興奮と感動を再び体感してみていただきたいですね。 - 村上
その決勝戦が行われた舞台では、日本の小学5、6年生の全国ラグビー大会であるヒーローズカップも開催されました。今年(2022年)の大会は視察されたそうですね。 - 市長
感動しました。一つ一つのプレーに熱気があふれていますし、この選手たちが日本のラグビーを担っていってほしいと思いました。ヒーローズカップの開催に行政としても引き続き貢献していきたいと思っています。 - 村上
今年(2022年)から始まったジャパンラグビー リーグワンに所属するキヤノンイーグルスが、横浜市を本拠地に決めて、横浜キヤノンイーグルスとなりましたね。 - 市長
地元のラグビーチームですから応援していきたいですね。シーズンオフには、イーグルスの選手たちが横浜市内での講演会、小学校でのラグビー教室に取り組むなど、地域と連携してくれています。 - 村上
横浜市は「自治体ワンチーム」のリーダーでもありますね。 - 市長
RWCで大きく盛り上がった機運を引き継ぎ、さらに発展させていくため、2020年に約140の地方自治体、日本ラグビーフットボール協会の皆さんと一緒に協議会を作りました。正式名称は「ラグビーとの地域協創を推進する自治体連携協議会」ですが、長いので通称「自治体ワンチーム」と呼んでいます。目的は地域からラグビーを盛り上げ、根付かせ、志をともにする自治体がひとつになって地域振興をしていこうということです。私は、前職の林文子市長を引き継いで、会長をさせていただいております。 - 村上
最後にラグビースクールに通う子供たち、保護者の皆さんにメッセージをお願いします。 - 市長
ラグビーはいろいろな個性を持った人たちが集まって、ひとつになって共通の目的に向かって進んでいくスポーツです。一人一人の役割があるのですが、チームのために自分の強みを最大限に発揮して、仲間とともに勝利に向かってベストパフォーマンスをする。この経験は大人になったときに必ず役に立ちます。そういった精神を、ぜひ、ラグビーを通じて学んでください。
提供元
RKids<ラグビーキッズ>
【インタビュー】 山中 竹春 横浜市長 〜その1〜https://rkids.jp/article/92925(外部サイト)
【インタビュー】 山中 竹春 横浜市長 〜その2〜https://rkids.jp/article/92926(外部サイト)
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