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横浜市長山中 竹春
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令和7年度の市政運営の基本方針と予算案について(令和7年2月7日)

最終更新日 2025年2月7日

 令和7年度予算案、関連する諸議案の提案にあたり、市政運営の基本方針と概要を申し上げます。

はじめに

 横浜市は、昨年、4年ぶりの人口増加に転じました。平成17年(2005年)をピークに減少傾向が続き、その後一度も2年連続して増加をすることがなかった生産年齢人口は、初めて、令和5年から3年連続で前年を上回りました。特に、20代から40代の転入超過が続き、その数が昨年、過去20年で最大となりました。
 この間、市民の皆様の声をお聴きし、データを活用しながら政策を立案し、実行に移してきました。
 子育て世代のニーズが特に高かった小児医療費の無償化や政令市初の出産費用の独自助成、中学校での全員給食などの子育て支援策や、安全・安心な暮らしの充実。そして、国内外から人や企業を呼び込む施策や、にぎわい・活力の創出。
 横浜を選んでくださる企業も増え、この2年半の投下資本額は2,662億円となり、それ以前の4年間の実績を既に700億円上回っています。半導体やモビリティなど成長分野におけるグローバル企業の進出により、今後もさらなる投資と雇用の創出が見込まれます。地域や企業の皆様と創り上げてきた横浜ならではの美しい都市景観やイルミネーション。横浜の夜景を一望できる大さん橋には、昨年12月、年間来場者数の6分の1にあたる50万人が訪れるなど、多くの方に冬の横浜も楽しんでいただいています。その月の市内の主要ホテルの稼働率もコロナ禍前の令和元年を上回りました。
 市会の皆様とともに進めてきた様々な施策の効果が、好循環を生み出しつつあると感じています。7年度は、中期計画の最終年度であり、横浜のさらなる発展へとつなげる年度としていかなくてはなりません。
 大規模災害から市民の皆様をお守りする。子育て世代をはじめ、あらゆる世代の皆様の心豊かな暮らしをお支えする。魅力と活力にあふれ、人にも環境にもやさしい、サステナブルで未来志向のまちをつくる。そして、データを十分に活用しながら施策効果の最大化と持続可能な市政運営を実現する。
 内外からさらに人を惹きつけ、横浜が将来にわたって発展するための予算案としました。

安心・安全な暮らしを実感できるまち

 能登半島地震から一年。いつ起こるともわからない大規模地震から市民の皆様の命を守るため、ソフト・ハードの両面から地震防災対策を大幅に強化します。「地震防災戦略」を刷新し、戦略に掲げた取組を一気に進めていきます。
 「発災前からの備え」を強化する。
 地震火災による延焼の危険性が特に高い重点対策地域において、「感震ブレーカー」の補助率を100%に引き上げるとともに、高齢者や障害者世帯を対象とした家具転倒防止器具の全額補助制度を創設します。対象世帯に個別にアプローチすることで、住宅火災を防ぎ、屋内の安全確保につなげます。地域における初期消火力の向上を図るため、スタンドパイプの自治会町内会配備率100%を目指すほか、防火水槽の整備を推進するとともに、訓練などを通じて地域での助け合いを育み、災害時の共助につなげます。建物の倒壊による被害を防ぐため、耐震性が不十分な可能性がある、いわゆる新耐震グレーゾーン住宅に対する補助制度を創設するなど、木造住宅の耐震化を一層強化します。また、旧根岸競馬場一等馬見所、三渓園など歴史的建造物の耐震化を進め、横浜が誇る財産としていきます。
 「安心して避難生活を送ることができる環境」をつくる。
 そのためには、避難者の健康や衛生環境を維持する施設整備が欠かせません。小・中学校体育館の空調設置計画を5年前倒しし、11年度までに、残る約8割の未設置校350校への設置を完了させます。小・中学校の校舎や体育館に残る約3,000基の和式トイレについては、計画を3年前倒しして、11年度までに洋式化を完了させます。また、公園トイレの洋式化も加速させ、10年度までに約450基の洋式化を完了させます。そして、トイレ・キッチン・ベッドからなるTKBユニットを全国で初めて導入し、被災状況に応じて柔軟かつ機動的に対応することで避難者の生活を支援します。避難所の防犯対策を強化するため、全ての地域防災拠点に簡易防犯カメラや防犯ブザーを配布します。
 飲食料の備蓄も大幅に強化していきます。避難想定者の備蓄の確保量を、これまでの「1日あたり2食を1日分」から「1日あたり3食を3日分」まで増やし、同時に、民間事業者と連携し、市場に流通する飲食料や生活必需品を、災害時の「流通備蓄」として確保します。また、栄養補助食や衛生用品、介護食としての流動食やきざみ食、プライバシー確保のためのパーティションなど、これまで備蓄していなかった新たな品目を配備します。
 災害時に配慮が必要な方への支援として、妊産婦・乳児が避難しやすい母子専用の福祉避難所を新規に開設するほか、特別支援学校等への非常用ポータブル電源の整備を加速するなど、医療的ケアが必要な児童生徒の安全を確保します。また、社会福祉施設等において、災害時の電源対策を進めるため、電気自動車の導入を支援するほか、トイレ環境を確保するため、マンホールトイレの設置を支援します。
 本市初の「広域防災拠点」。
 大規模災害時に物資や応援部隊の受入れの要となり、市民の皆様にいち早く支援を届けるため、旧上瀬谷通信施設地区での拠点整備事業に着手します。新たに、本市最大面積となる4,000㎡の備蓄庫を整備し、加えて、市外からの支援物資を一括して受け入れる5,000㎡の拠点の整備に向けて準備を進めます。市域の既存の取次拠点を経由せず、地域防災拠点に物資を届けるようにすることで、物資の到着にかかる時間を7時間以上短縮します。自衛隊や警察、消防、医療従事者などの応援部隊もこの拠点に集結させ、市内全域で迅速かつ効果的に救助・支援活動が行える体制を整えます。同時に、「広域防災拠点」の機能を最大限に発揮させるため、東名高速道路と接続する新たなインターチェンジの整備も進めます。
 「災害に強いまちづくり」。
 災害時の救命・救助活動を支え、災害発生後の速やかな復旧・復興につなげていくため、インフラの強靭化を図ります。緊急輸送路は災害時の避難・救助・物資運搬のための生命線です。輸送ネットワークを維持するため、緊急輸送路に隣接する沿道がけ対策や、電柱倒壊による被害を防ぐための無電柱化を進めます。
 発災時の安定的な水の確保は何より重要です。避難所や病院などの重要施設に接続する上下水道管の耐震化を進めるとともに、避難所となる地域防災拠点への耐震給水栓の設置を促進し、発災直後から給水ができるようにします。
 気候変動の影響により全国で水害が激甚化・頻発化しており、横浜においても1時間あたり50mm以上の強い雨の発生回数は約40年前と比較して2倍に増加しています。市民の皆様の被害を最小限にとどめるため、公共下水道だけでなく、水路・道路側溝など44万以上の排水施設を精緻にモデル化した、全国初の「横浜型浸水シミュレーション」を活用し、浸水対策を推進します。浸水シミュレーションにより、浸水リスクが最も高い252地区を選定し、地区内の雨水管やその地区とつながる16幹線の優先整備に着手します。
 防災・減災対策の推進にあたっては、「自助・共助・公助」の観点を大切に、自治会町内会をはじめ地域の皆様の声を聴きながら、行政・市民・地域が一体となって進めてまいります。

おやこの笑顔があふれるまち

 これまで、子育て家庭への経済的支援や時間的・精神的負担の軽減、快適な居場所の創出など、「子ども・子育て支援」を推し進めてきました。
 7年度はさらに、「おやこ More Smile Package+」として預けやすさを追求し、多くの子育て家庭の皆様の「ゆとり」を生み出す施策を展開していきます。
 急な用事が入ってしまった時に、子どもを預けられる場所がない。他人に預けること自体に不安や抵抗感がある。こうした声に応えるため、「預けやすさ」と「安心」を両立し、必要な人が預けたい時に預けられる環境づくりを進めます。
 子育て世代が多く訪れる商業・集客施設での短時間預かりをモデル実施し、全国初の新たな認証制度の創設に向けて取り組みます。市内で開催される大規模イベントでの臨時の預かりのほか、地区センターや市庁舎アトリウムで、子どもが楽しめる一時預かりプログラムを新たに実施します。また、緊急時や夜間、土日祝日の預けやすさも向上させます。市庁舎内での土日祝日の一時預かりや、24時間365日対応している市内保育所の受入体制の強化など、既存資源を活用し、多様なニーズに応えるサービスを展開していきます。
 様々な手続きや情報など、横浜の子育てに関するすべての集約を目指しているアプリ「パマトコ」。利用者を、未就学期までの約18万人から学齢期までの約45万人の子どもの保護者に、大幅に拡大させます。家庭と学校の連絡システム「すぐーる」と連携させ、学校からの連絡確認ができるようにするほか、これまで紙で行っていた、家庭から学校への書類提出をアプリ上で完結できるようにしていきます。さらに、「放課後e-場所システム」とも連携させることで、放課後キッズクラブ・放課後児童クラブの利用申込や出欠連絡なども可能にします。
 昨年、全565か所の放課後キッズクラブ・放課後児童クラブで実施した夏休み期間中の昼食提供を、冬休み、春休みにも拡大します。また、朝の居場所づくりの実施校を4月から10校に拡大します。
 待機児童・保留児童対策では、既存の保育施設を活用した定員構成の見直しなど、保育ニーズの高い1・2歳児の受入枠の確保を進めるとともに、希望する預け先の選択肢を広げるための情報発信を充実させます。
 子どもの健やかな発達を支えるため、3歳児健診において、屈折検査機器を導入した視覚検査を6区でモデル実施し、弱視などの早期発見、早期治療につなげます。
 デジタルの力を活用して横浜ならではの教育環境をつくりあげ、子どもたちの学びと成長を後押しします。児童生徒約26万人のビッグデータを活用した教育データサイエンスの推進により、一人ひとりの学習状況を踏まえた効果的な学びにつなげていきます。また、全ての小学校、義務教育学校、特別支援学校において、一人一台端末での電子書籍の利用を可能とし、読書機会の充実を図ります。
 横浜の英語教育は、全国トップを目指します。全ての中学校に英語指導助手を引き続き常駐配置することに加え、小学校の英語指導助手を大幅に増員し、オンラインも活用することで、全ての小・中学校で毎日生きた英語を学ぶことができる環境を整えます。市内高校生を対象とした長期留学の支援額を40万円から最大150万円に増額するとともに、夏休みなどを活用した短期留学枠を創設し、より多くの子どもたちが留学にチャレンジできるよう後押しします。全市立高校を対象とした長期留学プログラムを新設し、8年度からの実施を目指します。さらに、乳幼児期からの英語体験の充実を目指し、英語ネイティブ講師によるプレイフルラーニングを市立保育所12園でモデル実施します。
 いよいよ1年後に迫った中学校での全員給食。8年4月の開始に向けて、しっかり準備を進めます。供給体制の整備や、生徒の意見を取り入れた献立改善、アレルギー対応や汁物食缶の充実など、安全でおいしい給食の提供に向けて、着実に取組を進めていきます。
 新たな大型図書館の基本構想を策定し、利用者同士が交流できる空間や、デジタル技術の積極導入による多様なメディアの提供など、時代やニーズの変化に対応した知の拠点の形成を目指していきます。港北図書館の再整備に向けた検討や既存図書館のリニューアルに着手するとともに、図書サービスへのアクセス性向上のため、地区センターなどの身近な場所における新たな図書取次所の設置に取り組みます。
 いじめ防止に向けた総合的な対策の強化にしっかりと取り組みます。「いじめ対応情報管理システム」の運用開始による関係者間での情報の見える化、共有の迅速化を図るとともに、「不登校支援・いじめ対策部」を新設します。併せて、弁護士やスクールカウンセラーなど、子どもを守るための専門家の拡充にも取り組み、各区に設置を進めている「こども家庭センター」における相談支援の充実や、地域との協働などについて、教育委員会としっかり連携しながら対策を進めていきます。
 虐待や貧困などから子どもを守る取組も充実させます。区役所の相談支援機能や児童相談所との連携を強化するとともに、児童相談所職員の「こども家庭ソーシャルワーカー」の資格取得を促進し、子どもや家庭の問題に対する専門的な支援を充実させます。児童虐待対応件数の増加に対応するため、市内5か所目となる東部児童相談所を8年4月の開所に向けて整備します。経済的困難を抱えやすいひとり親家庭に向けて、資格取得促進などの就労支援の充実を図るほか、中学3年生・高校3年生を対象に、進学に向けて模擬試験を受験する際の補助を開始します。児童養護施設を退所した子どもの生活・相談支援や、ひきこもりの相談支援体制を強化するほか、ヤングケアラーを早期に把握し、必要な支援につなげる環境づくりを進めるため、SNSを活用した相談、支援団体への補助などを実施するとともに、さらなる支援の充実に向けた実態調査を実施します。
 「横浜市こども・子育て基本条例」の趣旨に則り、子どもの視点を取り入れ、施策に反映させてまいります。
 

誰もが暮らしやすいまち

 出かけたくなるまち。
 日常生活における移動のしやすさを高めるため、地域の移動サービスの充実に向けた取組を展開します。
 一定の距離内に駅やバス停がない、いわゆる交通空白地を対象に、本市から地域交通の導入ニーズの確認や運行計画の提案を行うほか、本格運行にかかる運行経費の支援を開始し、今後4年間で、面積の大きい交通空白地等、53地区全ての解消を目指します。高齢者の皆様の外出を支援する敬老パスを地域交通でも利用できるようにするとともに、運転免許証を返納する75歳以上の方に3年間無料で交付します。より効果の高い外出促進策を総合的に検討するため、敬老パスによる介護予防効果の検証などを行います。日常生活の利便性を支えるバスネットワークの維持に向けて、民間バス事業者を対象としたバス運転士確保のための住居手当補助制度を創設します。
 全国初となる、シェアサイクルでの複数事業者の共同ポート化により、相互乗り入れを可能とし、市内全域をシームレスに移動できるようにします。さらに、ポートの設置を加速させ、利用者の利便性を高めていきます。
 横浜を受動喫煙がない、きれいなまちにしていきます。
 まずは、4月から公園や地域の広場などの屋外施設を禁煙化します。喫煙禁止地区での民間の喫煙所設置を支援する補助制度を創設するとともに、まず2か所の喫煙所の密閉化を進め、分煙環境を整備します。さらに、今後の受動喫煙対策の検討や新たな喫煙禁止地区の指定を行います。
 市民の皆様が毎日を安全・安心に暮らすことができるよう、地域の防犯対策への支援を強化します。いわゆる「闇バイト」による強盗事件や特殊詐欺なども踏まえ、約3,000ある自治会町内会の皆様が実施する防犯パトロール、防犯用品の購入、センサーライトの整備などへの緊急的な補助を新たに実施するほか、自治会町内会が設置する地域防犯カメラの補助額や補助台数を拡充します。また、地域コミュニティの要である自治会町内会の皆様の活動を支援するため、地域活動に係る補助金の上限額を1世帯あたり700円から900円に引き上げます。

 世代や性別、国籍、障害の有無などに関わらず、誰もが自分らしく暮らせるまち。
 2人に1人ががんにり患する時代。早期発見・早期治療の鍵となるがん検診の充実など、総合的ながん対策の取組をさらに強化します。今年1月に全国に先駆けて導入した、子宮頸がん検診HPV検査単独法による検査結果に基づくきめ細かなフォローアップを行います。また、20代前半の女性の子宮頸がん検診の受診を促進するため、現在20歳のみを対象としている無料の検診を、新たに21歳から24歳で初めて受診する方に拡大します。退職後の定期的な受診を後押しするため、65歳の方のがん検診を無料にするとともに、70歳以上の方のがん検診後の精密検査を無料にします。小児がん経験者を対象に、がん治療の影響による新たながんの発症などの早期発見に向けて、人間ドックなどの定期的な受診を促進するため、費用の一部を新たに助成します。また、小児がん患者やその家族の居場所づくりを進めるため、メタバースを活用した、カウンセリングや座談会、患者同士の交流などを定期的に実施します。
 いわゆる「おひとりさま」高齢者の将来への不安を軽減するため、緊急連絡先や「エンディングノート」の保管場所などの情報を事前に市に登録できる制度を新たに開始します。認知症の方を地域で支え合う「チームオレンジ」の取組を全ての地域ケアプラザなど147か所で本格実施するとともに、スローショッピングの普及に向けた周知や取組を進めます。さらに、特別養護老人ホームへの入所を必要とされている方ができるだけ早く入所できるよう支援を強化します。また、難聴の方の認知症リスクを低減するための補聴器の購入支援を新たに実施します。
 生活にお困りの方への支援にもしっかりと取り組むとともに、ひきこもりの相談体制の強化や、自殺対策の拡充を図ります。
 多様な価値観が尊重され、誰もが自分らしい選択ができ、あらゆる分野で活躍できる都市を目指し、7年度中に「第6次男女共同参画行動計画」を策定します。
 市内在住の外国人は12万人を超え、多文化共生の重要性がますます高まっています。多言語での相談対応や情報提供、日常生活に必要な日本語学習の支援を進めるほか、学校において日本語指導が必要な児童生徒への支援を拡充します。
 障害児の保護者の不安や悩みに寄り添い必要な支援につなげるため、地域療育センターでのソーシャルワーカーによる支援体制を強化します。看護職員を複数配置し、常時、医療的ケア児の受入れが可能となる、全国唯一の仕組みである市独自の「医療的ケア児サポート保育園」を新たに12園認定します。また、保育所での集団生活が困難な医療的ケア児を対象に、居宅訪問型保育事業を実施します。階段の上り下りが困難な児童生徒に配慮し、小・中学校のエレベーターの設置を加速させ、7年度末までに全ての中学校への設置を完了させます。また、特別支援学校の学校看護師を増員し、多様化する医療ニーズに対応します。
 「誰もが学び、楽しみ、やすらげるまちづくり」をコンセプトに、エリア一体的な取組を展開する「のげやまインクルーシブ構想」。重症心身障害児・者のための多機能型拠点の整備を進め、かつ動物園や図書館と連携することで、動物、自然、図書に触れられる機会を創出します。野毛山動物園のリニューアルに向けて、動物の展示と遊びを組み合わせ、楽しみと発見にあふれるバリアフリーの複合施設の設計を進めます。中央図書館では、1階フロアを全て使い、子どもたちが楽しく過ごせる「のげやま子ども図書館」を整備します。3月に整備完了予定の「おやこフロア」に続き、「子どもフロア」の設計を進めるとともに、AIによるお薦めの絵本の紹介など、デジタル技術を活用した新たなサービスを展開します。さらに、駅から野毛山地区への移動が楽しく快適なものとなるよう、歩道環境の整備を行います。
 本牧市民公園に、誰もが安全に利用でき楽しむことができるインクルーシブ遊具広場を整備するほか、市内5か所の身近な公園にもインクルーシブ遊具を設置します。他の身近な公園においても遊具の改修・更新を加速させ、「公園のまち ヨコハマ」としての魅力を一層高めていきます。
 大都市でありながら、すぐ身近に「農」がある横浜ならではの魅力を市民の皆様にさらに知っていただくため、郊外部での収穫体験に加えて、みなとみらいなど都心部での野菜の収穫体験ができる場づくりや本牧山頂公園での農園整備を進めるほか、オリジナル栽培キットの配布など、親子が気軽に楽しく「農」を体験できる機会を創り出します。

力と活気に満ちた、世界に誇れるまち

 時代が大きく変化する中、横浜に人や企業を呼び込み、活力あふれる都市であり続けるために、横浜の将来のあるべき姿を示す「都市計画マスタープラン」を大きく描き直します。ルールや規制を時代に合わせて柔軟に見直し、民間の発想や技術も十分活用しながら、これまでにない都市の魅力を生み出し、将来の活力につなげていく。「経済」「暮らし」「にぎわい」「環境」「安全安心」をテーマに、市民・企業の皆様とともに都市づくりを進めていきます。
 横浜の玄関口として都市機能が集まる横浜駅周辺。多様な観光エンターテインメント機能が集積するみなとみらい地区。開港の歴史が感じられる街並みや、空と海の開放感あふれる山下公園、山下ふ頭。そして、それらをつなげる美しい水際線。横浜の水際線は、世界中から人を惹きつけるポテンシャルを有しています。水際線をはじめ、他都市にはない横浜独自の都心臨海部の魅力を一層磨き上げ、ハード・ソフト両面から戦略的に、多くの人をより一層呼び込むエリアに発展させていきます。
 横浜駅東口では、ステーションオアシス地区の開発計画と連動し、駅前広場などの基盤整備計画を策定します。横浜への来街者を迎え入れる起点として、みなとみらいエリアや水際線へ導く、歩行者動線の整備や案内サインの設置などゲート機能を強化していきます。西口では、今後の民間開発と連動した将来像を検討していきます。
 水際線を一層磨き上げるためのコンセプトプランを策定します。臨港パークでは、パシフィコ横浜との一体性や回遊性を向上させるための歩行者デッキの整備を進めるほか、山下公園に魅力的な夜間照明を整備します。
 関内駅周辺地区の旧市庁舎街区では、8年春のグランドオープンを目指して整備が進む民間事業者のプロジェクトに合わせて、横浜スタジアムにつながるデッキの整備や、みなと大通りの歩道の拡幅を完了させます。全長1.2kmの大通り公園の全面リニューアルをスタートし、関内駅周辺地区の新たなまちづくりと連携させた交流・憩い・にぎわいの創出を進めます。そして、街なかから水際線へ、また水際線から街なかへ、縦の軸をしっかりと創り上げていきます。
 山下ふ頭の再開発は、検討委員会からの答申を踏まえ、新たな事業計画の策定に向けた検討を行います。緑と海辺の空間の創造など、横浜の新たなまちづくりの象徴としていきます。
 昨年、首都圏で初めて「日本新三大夜景」にも認定された、横浜ならではの美しい夜の都市景観。多くの人が訪れたくなる、より長く滞在したくなる観光コンテンツに磨き上げます。
 市民の皆様が身近に文化芸術やスポーツに触れられる機会を充実させるとともに、集積する音楽アリーナなど民間事業者によるエンターテインメントや、大規模スポーツ大会など、様々なイベントと連携し、来街者が街なかを広く回遊する仕掛けを地域の皆様とともにつくり、市内経済の活性化にしっかりとつなげていきます。

 国内外から人・企業・投資を呼び込む好循環を生み出し、横浜経済の持続的成長を目指します。
「TECH HUB YOKOHAMA」を中心に、国内外のベンチャーキャピタルや企業とのマッチング、海外展開や実証実験のサポートなど、テック系スタートアップの成長を支援し、ユニコーン・クラスのスタートアップ創出を目指します。
 8月に横浜で開催される「第9回アフリカ開発会議」。ホストシティとして、会議の成功に向け、安全で円滑な会議運営に貢献するとともに、これまで築いてきたアフリカとのネットワークを生かし、市内企業のビジネス機会の創出に取り組みます。
 企業立地の促進により、雇用の創出と市内企業のビジネスチャンスの拡大を図るほか、京浜臨海部のさらなる発展につなげるため、半導体をはじめとする成長分野の企業集積に向けた基礎調査を行います。
 物流機能をはじめ、横浜の経済活動を支える重要なインフラである横浜港。「国際コンテナ戦略港湾」として、引き続き、基幹航路の維持・拡大を図るための様々な施策を推進します。
 中小・小規模事業者の人手不足解消と生産性向上に向けて、デジタル人材の育成支援や専門家による伴走支援、業務効率化のためのシステム導入への補助を行うとともに、長引く物価高騰の影響を受ける事業者への支援にも力を入れて取り組みます。
 高齢化や担い手不足などの課題を抱える商店街に対し、専門家による伴走支援を実施します。
 魅力ある郊外部づくりや住環境の充実に向け、地域の特性に応じた駅周辺のまちづくりを進めるとともに、老朽化した市営住宅の再整備に取り組みます。
 市西部地域の交通ネットワークを強化するため、新たな交通の導入に向けた取組を進め、道路混雑の抑制や交通利便性の向上につなげていきます。
 鶴ヶ峰駅付近連続立体交差事業や高速鉄道3号線延伸事業、横浜環状南線・横浜湘南道路の整備促進、都市計画道路の整備などにより、交通ネットワークを充実させます。
 高度経済成長期に集中的に整備してきた道路や橋りょう、上下水道などの都市インフラについて、計画的な保全・更新と適切な維持管理を行うことで、安全・安心な市民生活と経済基盤を支えていきます。
 市内米軍施設については、早期全面返還に向け、引き続き国に強く働きかけるとともに、跡地利用について土地区画整理事業などの具体化に向けた取組を推進します。
 今年は、戦後80年を迎える節目の年です。平和の重要性を再認識し、引き続きピースメッセンジャー都市として国際平和の実現に向けて貢献していきます。

人と環境にやさしい、グリーンなまち

 昨年の市内の猛暑日は観測開始以来最多となり、7月から8月までの平均気温が過去最高を記録しました。日本各地でも大規模な洪水や大型台風などの異常気象が相次ぐなど、気候変動は私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。
 気候変動を引き起こす地球温暖化の最も大きな要因はCO2であり、その発生を実質ゼロにするカーボンニュートラルの取組の加速化、さらには「循環型社会」への本格的な移行が求められています。これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から脱却し、従来廃棄されていたものを資源として捉え、循環させ、廃棄物を発生させないライフスタイルを創っていかなければなりません。
 社会を変えていくには、市民や企業の皆様の行動変容が不可欠であり、それをリードするのは、市民や企業に最も身近な都市の役割です。日本最大の都市として、また、アジアをけん引する環境先進都市として、行政による率先的な取組はもちろん、横浜の強みである市民力を生かし、「環境にやさしい循環型社会」を横浜から発信していきます。
 使用済み製品を新しい同一製品に繰り返し生まれ変わらせる「水平リサイクル」など、焼却することなく原材料として循環させる質の高いリサイクルについて、まず、ペットボトルやプラスチック衣装ケースからチャレンジしていきます。また、新たに不要な衣料品から繊維を取り出し再製品化する取組も始めます。
 食べられるのに捨てられてしまう食品ロスは、“もったいない”だけではありません。世界の食品ロスに伴い排出される温室効果ガスは、人間の活動により排出される温室効果ガスの総排出量の約1割に相当すると推定されています。市民の皆様の行動変容のきっかけづくりとして、賞味期限内でありながら廃棄されてしまうパンなどを購入できる「SDGsロッカー」を4か所から30か所に拡大し、市内における食品ロスの削減につなげます。
 建築分野の取組として、「GREEN×EXPO 2027」の展示施設で利用される木材を公共建築物などで循環利用していくための検討を開始するほか、新たに、環境にやさしい住宅の普及に向け、脱炭素リノベーション補助制度を創設します。
 老朽化が進む「鶴見資源化センター」において、公民連携による再整備事業に着手し、缶・びん・ペットボトルの最新選別システムを導入することで、安定したリサイクルを目指します。
 太陽光発電設備や蓄電池など、家庭向けの省エネ・再エネ設備の導入を支援する「横浜グリーンエネルギーパートナーシップ事業(YGrEP)」を新設します。事業者向けの取組とも連動した基礎自治体初の枠組みで、設備の導入により削減したCO2を環境価値としてクレジット化し、大規模イベントなどで排出されるCO2のオフセットに活用します。
 市内住宅の約6割を占める集合住宅への再エネ電気の普及を目指して、一括導入に必要な受変電設備の設置補助制度を新たに創設します。
 市内の全ての企業の皆様が「GREEN×EXPO 2027」までに脱炭素化の取組に着手していただけるよう、「脱炭素取組宣言制度」をきっかけとした、省エネ診断や設備投資への補助を進めるほか、CO2削減に向けた計画策定などの伴走支援を新たに実施します。
 みなとみらい地区では、省エネ・再エネの導入や熱の脱炭素化などにより地区の完全脱炭素化を目指すとともに、全国初となる、地区レベルでの資源循環の可視化に取り組みます。
 カーボンニュートラルポートの形成に向け、横浜で最も客船発着数の多い「大さん橋国際客船ターミナル」に陸上電力供給設備の導入を進めます。
 全ての公共施設の100%LED化を、国の目標である2030年より、3年前倒しでの達成に向けて取り組むほか、PPA事業を積極的に活用した太陽光発電設備の市立学校への導入や、公用車への次世代自動車の導入を加速させるなど、市役所が率先して脱炭素行動に取り組みます。
 市民の皆様と共につくる「GREEN×EXPO 2027」の開催までいよいよあと2年。多くの市民の皆様に参画いただけるよう、博覧会協会と連携し、ボランティアセンターを立ち上げます。横浜の財産である市民力を発揮いただけるようなボランティアメニューの企画・運営を行うほか、生物多様性の大切さや環境にやさしい循環型の暮らしを体感できる場、参加者同士が交流できるプログラムづくりを進めます。
 会場となる旧上瀬谷通信施設地区では、「GREEN×EXPO 2027」の開催後、その理念や取組を引き継ぎ、また、立地特性を生かし、強靭なまちづくりの象徴として、「環境」「防災」をテーマとした公園を整備します。また、今ある桜をできるだけ生かし、海軍道路と合わせて約40種600本以上の桜による、新たな桜の名所づくりに取り組んでいきます。
 “地球1個分で暮らそう”をテーマに掲げ、市民・事業者の皆様の環境にやさしい活動を新たなアクションにつなげる「STYLE100」。次世代を担う若者が議論し、その感性やアイデアを横浜の未来につなげていくための「ヨコハマ未来創造会議」。これらのプラットフォームも活用し、あらゆる世代の市民の皆様の共感を得ながら、グリーン社会の実現を目指していきます。
 

便利で豊かな暮らしを実現するDXの推進

 「市民の皆様に大切な“時間”をお返しする。」「あなたのいる場所が手続きの場所になる。」デジタルの力で、市民の皆様の便利で豊かな暮らしを実現していきます。
 行政手続きの受付件数の9割を占める上位100手続きの完全オンライン化を6年度中に完了させ、利用率の向上に取り組むとともに、新たに、結婚・出生などライフイベントに関連する手続きのオンライン化を進めていきます。
 区役所手続きでの「待たない窓口」の実現に向けて、ご自宅などからスマートフォンで窓口の混雑状況の確認や事前に受付番号の発券ができる「窓口受付システム」を18区に順次展開し、窓口での待ち時間を短縮します。
 自治会町内会の皆様の事務負担を軽減するため、補助金の申請や各種届出などを一つの入口からオンラインで手続きできるポータルサイトを構築します。
 市民の皆様に「直感的にわかりやすい」「使いやすい」と実感していただけるよう、UI・UXにもこだわっていきます。
 市役所業務において、生成AIの積極的な活用、ソフトウェアロボットを用いた作業の自動化などにより、業務の効率化を進め、市民の皆様のニーズに迅速に応えられる業務環境を整え、市民サービスの質の向上につなげていきます。
 民間企業が有するデジタル技術と本市が抱える行政課題とをマッチングさせ、解決を目指すプラットフォーム「YOKOHAMA Hack!」。多くの企業のアイデア・技術と共創し、「防災・都市インフラ」や「子育て・教育」などの分野で実証実験を重ね、成功事例の横展開を通じて、課題解決の連鎖につなげます。
 デジタルの基盤を用いて市民の皆様の「声」を聴き、市政に生かす「デジタルプラットフォーム」。7年度予算案には63件の「声」を事業に反映させました。引き続き、18区それぞれで異なる多様な地域ニーズや課題を把握し、「市民目線」での施策につなげていきます。
 

「特別市」の早期実現

 横浜市が目指す新たな大都市の形である「特別市」。
 子育て支援やまちづくりなど、市民の皆様の暮らしに関わる様々な分野で、手続きの負担を減らし、よりスピーディで質の高いサービスの提供を行うためには、特別市の実現が必要不可欠です。今年度も各区を訪問する機会をいただき、私自身の言葉で、多くの地域の皆様に制度の意義と必要性についてお話しし、意見交換をさせていただきました。昨年5月には、市町内会連合会から特別市の実現に向けた取組の推進について改めて要望を頂きました。市会の皆様とともに取り組んできた結果として、特別市制度を含めた大都市制度に関する国での議論も動きが出てきました。早期法制化に向けて、県内3政令市での取組のほか、指定都市市長会とも連携しながら、引き続き、国へ働きかけるとともに、県との二重行政解消に向けて、個別の事務・権限・財源の移譲が進むよう力を尽くしていきます。
 

持続可能な市政運営に向けて

 「財政ビジョン」「中期計画」「行政運営の基本方針」の「3つの市政方針」のもと、組織の壁を越え、スピード感をもって、「施策の質の向上」と「事業の創造・転換」を進めていく。
 データサイエンスの考え方を自治体経営に取り入れ、持続可能な市政運営を実現させます。
 限りある経営資源を効果的に市政に生かしていくため、中期計画に掲げた全ての施策・事業を対象に、データに基づいて施策の質や効果を検証する「データドリブンプロジェクト」を開始しました。行政が積み上げてきた経験のみならず、データを基に課題や効果を客観的・多角的に分析・議論し、理解と共感を得ながら市政の持続可能性を高めていく。データを活用した都市経営の先進的なモデルとなるべく、挑戦を続けていきます。

 このたび提案する令和7年度各会計予算案は、
 一般会計    1兆9,844億円
 特別会計    1兆3,649億円
 公営企業会計    6,387億円
 全会計総計では、3兆9,881億円 です。
 一般会計の対前年度伸び率は、3.6%の増となります。
 歳入の中心を占める市税収入は、6年度当初予算額に比べて629億円の増で、過去最大となる9,459億円としました。このうち、30億円を7年度中に生じる補正予算の財源として留保し、当初予算は9,429億円を計上しています。
 一般会計の市債については、6年度と比べ39億円の減となる1,027億円を活用します。
 減債基金の臨時的活用については、2030年度までの脱却に向け、段階的に縮減していくこととしており、6年度と比べ20億円の減となる130億円を活用します。
 個人版ふるさと納税の寄附受入れ額については、新たな返礼品の開発や広報プロモーションの強化により、35億円としました。
 財源創出については、市民生活や市内経済への影響も考慮しながら、施策・事業の「選択と集中」による新陳代謝や財源確保を進めるなど、歳出・歳入の両面からしっかりと取り組みました。財源創出額は、1,240件で172億円です。

むすび

 市長就任以来、市民の皆様の「声」に真に応える市役所となることを目指してきました。これからも、職員とともに、一つひとつの政策を丁寧かつ着実に実行し、その成果を市民の皆様にお届けしていきます。
 二元代表制のもと、市会の皆様と真摯に議論を重ね、横浜の明るい未来をともに創り上げていきたいと思っています。
 どうぞよろしくお願いいたします。

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