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これからの市政の方向について(令和8年10月29日)
最終更新日 2026年10月29日
議長のお許しをいただきましたので、市会の皆様方へ御挨拶を申し上げるとともに、市政に臨む私の考え方を述べさせていただきます。
このたび、市民の皆様から御負託をいただき、第35代横浜市長として市政の舵取りを担わせていただくこととなりました。いただいた一票一票の重みを胸に刻み、責任の重さを真摯に受け止めながら、市民の皆様の声に丁寧に耳を傾け、市民生活の向上のため全力で取り組んでまいります。
はじめに
今、私たちは時代の大きな転換点に立っています。少子高齢化と人口減少の進展、頻発化・激甚化する自然災害、公共施設や都市基盤の老朽化など、横浜市を取り巻く環境は厳しさを増しています。
さらに、AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展は、社会や産業、行政のあり方を大きく変えつつあり、将来の見通しが難しい時代を迎えています。
将来に何を残し、何を変え、何に挑戦するのか。一つひとつの選択が都市の未来を左右する時代です。「何が市民の皆様のために最善か」を判断の基軸に据え、今と未来の横浜のために一つひとつ確かな選択を積み重ねることで、横浜の新たな成長と発展を実現していきます。
私が目指すのは、市民一人ひとりが安心して暮らせる横浜、多様な人材や企業が集い、新たな挑戦やイノベーションが生まれる活力ある横浜です。
そのために、人材や財源など限られた経営資源を最大限効果的に活用しながら、今を生きる世代と将来世代の双方に責任を果たす持続可能な都市経営を進めていきます。
社会人としての出発点である航空整備の現場では、事実を正確に見極め、小さな異常も見逃さないことの重要性を学びました。弁護士や社外取締役の経験からは、変化やリスクを見据えながら責任ある判断を行うことの重みを学んできました。
この姿勢は、行政においても同様に大切であると考えています。
「今」を正しく見つめ、「未来」に責任を持つ。この考えのもと、財政基盤を強化しながら、市民の命と暮らしを守り、こどもたちが将来に希望を持てる横浜の未来を切り拓いてまいります。
それが、私の市政運営の基本です。
職員が力を発揮できる市役所へ
私がまず取り組むのは、市役所組織の立て直しです。
375万人の横浜市民に質の高い行政サービスを届け続けるために、私は、職員一人ひとりが安心して働き、その力を最大限発揮できる組織づくりに取り組んでまいります。
横浜市役所には、約4万6千人の職員がいます。福祉、子育て、教育、防災、まちづくり、経済など、それぞれの分野で専門性を培ってきた職員は、横浜市の大切な財産です。
立場に関わらず互いを尊重し、率直に意見を交わしながら挑戦できる風土を育み、職員を信頼して、任せるべきことは任せる。一方で、市長として果たすべき責任は、私自身がしっかりと担ってまいります。
人権と尊厳を尊重する組織風土を市役所全体で育むとともに、私自身を含めた特別職も例外としない、ハラスメント防止や内部通報に係る条例の制定をはじめ、コンプライアンス体制の強化、人事制度の見直し、そして現場の声がトップに届く仕組みなど、真に市民のために力を発揮できる組織づくりに向けて、実効性のある仕組みを整えてまいります。
こうした取組についてはスピード感を持って検討を進め、近く市会にお諮りしてまいります。
市民の命と暮らし
市役所の立て直しはゴールではありません。
私が市政において何より大切にするのは、市民の皆様の命と暮らしを守ることです。
まず、災害対策です。豪雨災害や大規模地震に備え、下水道などのインフラ整備を着実に進めるとともに、地域と連携した避難・救護体制の充実を図り、災害に強い横浜をつくってまいります。
また、高齢化が進む中、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、移動手段の確保も欠かせません。新たな移動サービスも適切に活用しながら、市民の皆様がいきいきと暮らせる環境を整えてまいります。
そして、誰もが必要な医療を安心して受けられる環境を確保するとともに、こども、子育て家庭、高齢者、障害のある方など、必要な方に必要な支援がしっかり届く、持続可能な福祉の仕組みづくりを進めてまいります。
子育て支援については、これまでの取組を大切にしながら、さらに充実させていきます。一人ひとりの可能性を伸ばす教育環境を整えるとともに、中学校給食については、こどもたちの意見を聞きながら、安全でおいしく、安定した給食を提供できるよう改善を重ねてまいります。
物価高については、その影響を丁寧に見極め、財源を確保しながら、必要な時期に適切な対策を行ってまいります。
経済と都市の活力
横浜は、日本を代表する港町として発展し、多様な人材や文化を受け入れながら成長してきた都市です。私は、開放性、多様性、進取の気性といった「横浜らしさ」を大切に未来へつなぎ、人材や企業、投資を呼び込むことで、次の時代を切り拓いてまいります。
選挙を通じて18区を巡り、各区にはそれぞれ異なる魅力と可能性があることを改めて実感しました。
都心部と郊外部、それぞれの魅力に磨きをかけながら、その強みを生かしたまちづくりを進めます。都心部では人や投資を呼び込み、一層のにぎわいと活気を生み出します。郊外部では豊かな自然や良好な住環境を生かしながら、人が集い、交流するまちづくりを進めます。そして、18区それぞれの個性を生かし、地域の活力を高めていきます。
また、歴史、文化、観光資源やエンターテインメント資源を生かし、「訪れる横浜」から「滞在する横浜」への転換を進めます。宿泊や飲食、買い物など滞在型消費を拡大させ、市内経済の活性化につなげてまいります。
さらに、ビジネス拠点としての横浜の魅力を効果的に発信し、AI、GX、ライフサイエンス、宇宙、海洋など、成長が期待される産業を積極的に呼び込んでいきます。横浜には、活用余地のある土地が残されています。時代に合わせて規制を見直し、企業立地や民間投資を促進することで、新たな挑戦や雇用、産業基盤を生み出してまいります。
いよいよ来年、横浜グリーンエクスポが開催されます。開催都市の長として、市民の皆様や関係者の皆様と力を合わせながら、成功に向けて全力で取り組んでまいります。
この博覧会を一過性のイベントで終わらせるつもりはありません。エクスポを契機として、循環型都市への移行を一気に進めます。そして、上瀬谷をはじめとする郊外部に新たな賑わいと投資を呼び込み、都心部と並ぶ新たな成長拠点へと発展させます。さらに、国内外から1,000万人が集まる千載一遇の機会を最大限活用し、横浜の国際的なブランド力を高め、グローバル都市としての更なる成長につなげてまいります。
市民の皆様の暮らしを守ることと、横浜の成長を実現すること、そのどちらも大切です。横浜の経済を活性化させ、新たな雇用や税収を生み出し、その成果を市民サービスの充実につなげることで、将来にわたって選ばれる都市を実現していきます。暮らしを守ることと都市を成長させること、この二つを好循環させるとともに財政の持続可能性をしっかり確保しながら、横浜の活力を未来につないでまいります。
こうした施策については、市民生活への影響や緊急性を十分に見極めながら、必要なものから順次、市会の皆様にお諮りします。また、中期計画については、市会の皆様との真摯な議論を経て議決されたものであり、市政運営の基本として尊重し、着実に推進していきます。その上で、市民の皆様の声や社会経済状況の変化を的確に捉えながら、必要な見直しを行い、より実効性の高い計画へと発展させてまいります。
持続可能な都市経営に向けて
政策を実現していくため、私は、次の3つの視点を大切にしながら市政を運営します。
第1に、「私は、将来に向けた課題にしっかり向き合います」。
インフラの老朽化が進む中、将来にわたり必要な行政需要に応えていくためには、事業の優先順位を明確にしながら、限られた経営資源を真に必要な分野へ重点的に振り向けていかなければなりません。
事業やサービスを従来通りに続けるのではなく、市民のニーズや社会環境の変化を的確に捉え、「何が市民の皆様のためになるのか」「何が市民の皆様にとって本当に重要なのか」を市民目線で問い続けることが必要です。
市民の皆様の声や現場の実感、そしてデータを活用しながら、施策・事業をPDCAサイクルで継続的に検証・改善していきます。そしてその中で、前例にとらわれることなく見直すべきものは見直し、市政の質を高めてまいります。こうした不断の改善こそが、将来に責任を持つ都市経営であると考えています。
そして私は、任期である4年間の成果だけを追うのではなく、将来にわたり横浜を支えるために必要な課題に正面から向き合います。将来世代へ負担を先送りすることなく、将来の横浜にとって必要な決断であれば、市会の皆様とも丁寧に議論を重ねながら、責任を持って決断してまいります。
こうした姿勢は、これから本格化する令和9年度予算案の編成においても貫いてまいります。
第2に、「私は、多様な力を結集します」。
人口減少が進む社会にあって、魅力ある横浜をつくることは、行政の力だけでは実現できません。横浜には、民間企業や地域団体、NPOなど、多様な力があります。
それぞれが持つ知恵や技術、ノウハウ、アイデアを生かしながら、公正で透明性の高い官民連携を進め、市民サービスの向上と地域課題の解決につなげていきます。
さらに、国が進める成長戦略の実現にも貢献しながら、その成果を横浜の発展につなげるとともに、神奈川県とも力を合わせ、市民生活の向上と都市の持続的な成長を実現してまいります。
そして第3に、「私は、人の力を引き出します」。
市民のための市政を実現する原動力は、人です。
職員一人ひとりの知識や経験、専門性、そして常に市民のために考え行動する使命感を信頼し、それぞれが持てる力を十分に発揮できる環境を整えることで、組織として最高のパフォーマンスを生み出していきます。
また、市民の皆様に最も身近な区役所が十分に力を発揮できるよう取り組み、地域の実情や市民の声を的確に市政へ反映してまいります。
このほか、これからの大都市行政を考える上では、権限と責任の所在をより明確にし、市民サービスの向上につなげていく視点も重要です。二重行政の解消や行政運営の効率化を図るため、「特別市」の法制化については、これまでの議論や取組を踏まえ、県内三政令市で連携しながら取り組みます。その際、神奈川県や他の県内市町村との関係も大切にしながら、丁寧に議論を進めてまいります。
二元代表制のもと、市会の皆様も、市長と同じく市民の皆様から選ばれ、共に市政を担う立場です。全ての皆様と丁寧に対話し、様々な御意見に真摯に耳を傾けながら、建設的な議論を重ね、市政を前に進めていきます。
むすび
まちづくりは一朝一夕に成し遂げられるものではありません。
先人たちから受け継いだ横浜を預かる市長として、10年後、20年後、30年後の横浜を見据えて、今、何をすべきなのか。何が市民の皆様にとって最善の選択なのか。一つひとつの決断が未来の横浜を形づくることを胸に刻み、市政運営に取り組んでまいります。
今のこどもたちが大人になったとき、「横浜で育ってよかった」「横浜を誇りに思う」。そう感じてもらえる横浜を、皆様と共につくってまいります。
市民の皆様の命と暮らしを守り、一人ひとりが安心して暮らせる横浜へ。そして、人や企業が集い、新たな価値を生み出し続ける活力ある横浜へ。笑顔と挑戦があふれる横浜の実現に向け、市会の皆様と力を合わせながら歩んでまいりますので、御指導・御協力をお願い申し上げます。
私の価値観や行動の土台は、全てこの横浜にあります。育てていただいた横浜への感謝を胸に、これまで培ってきた経験と専門性、そして私の人生のすべてをかけて、横浜の未来のために誠心誠意、市政運営に取り組むことをお誓い申し上げ、私の所信といたします。
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