よこはま彩発見
2026年8月号
<読者プレゼントあり>
海、港、緑、歴史、地域、人々、さまざまな魅力を持つ都市横浜。この街の彩りを「よこはま彩発見」としてお届けします。今回は、日本シュウマイ協会 代表理事のシュウマイ潤さんに寄稿していただきました。
海、港、緑、歴史、地域、人々、さまざまな魅力を持つ都市横浜。この街の彩りを「よこはま彩発見」としてお届けします。今回は、日本シュウマイ協会 代表理事のシュウマイ潤さんに寄稿していただきました。
一般社団法人 日本シュウマイ協会 代表理事 シュウマイ潤
シュウマイは、横浜の数あるソウルフードのひとつ。そのことは、横浜に在住、または何らかのゆかりある読者の皆さんも感じているのではないでしょうか。ですが、横浜にとどまらず、日本各地のシュウマイ文化を調査し、日本全体のシュウマイの歴史をまとめ、研究してきた私としては、シュウマイは横浜の「ソウルフードのひとつ」ではなく「シュウマイこそ、横浜を代表するソウルフード」とあえて断言させていただきたい。それほど、シュウマイは他のソウルフード以上に横浜と深い関わりを持ち、その長い歴史が今日まで続いています。
日本におけるシュウマイの歴史を紐解くと、その幕開けは開国時の江戸時代と考えられます。横浜をはじめ、函館、長崎、神戸、新潟の5つの港が開かれ、そこを拠点にさまざまな異国文化が流入し、定着していきましたが、そのひとつとして中国料理も含まれ、そのなかにシュウマイがあったと推測されます。
5つの港の中で、中国料理文化が色濃く根付いたのは、横浜、神戸、長崎の3都市で、その象徴としてそれぞれ中華街が存在しています。そのなかでシュウマイが定着したのは横浜でしたが(神戸は「豚まん」、長崎は「ちゃんぽん」が主流になっていきました)主に中華料理店のお土産として、また、注文する料理を待つ「先付け」として浸透していきました。それが横浜以外の東京を中心としたエリアで「横浜名物」として認知され、他の地域の飲食店などでも提供され、広がっていったと考えられます。このような経緯から、今日の日本におけるシュウマイ文化は、横浜が発祥地である可能性は限りなく高く、だからこそ私は「シュウマイこそ、横浜を代表するソウルフード」と言いたいのです。
さて、今日の横浜シュウマイの象徴と言えば「崎陽軒」。創業は1908年(明治41年)ですが、シウマイ(崎陽軒におけるこの表記はみなさんご存知のはず)をはじめたのは、その20年後の1928年です。それ以前から伊勢佐木町にあった「博雅」や中華街の「萬珍樓」など、古くから横浜の名物としてシュウマイを提供していた店は存在しました。ですが、その文化のバトンを継承し、全国に広め、今日まで定着させていったのは、間違いなく崎陽軒であると、私は考えます。崎陽軒も今でこそ、中国料理店も営業していますが、その原点は駅構内や駅周辺の売店にあり、そのなかで1日約3万食を販売する主力商品「シウマイ弁当」など、独自の日本的シウマイ文化を確立し、横浜を中心にシュウマイを受け入れられる土壌を作っていったところに、崎陽軒の素晴らしさがあります。


とはいえ昨今、横浜といえどもシュウマイは、中国料理の中では餃子などに比べて目立たない存在であることは否定できません。その要因は、第二次世界大戦後の日本に起こった「焼き餃子ブーム」に加え、中国料理店や家庭でガスコンロが普及し、限られた調理スペースでも作りやすい焼き調理が広がり、そのために蒸す中国料理の代表格だったシュウマイの存在感が低下していったと、私は分析しています。
ですが、横浜は崎陽軒をはじめ、中華街や関内・伊勢佐木町・野毛エリアには、戦前戦後から残る日本を代表する老舗中華店が数多く存在し、そこでは餃子よりもシュウマイが中心に提供され、どれもが個性あり味わい深いものばかり。今も横浜の「シュウマニスト(シュウマイを愛する人を私は勝手にそう呼んでいます)」たちを中心に親しまれています。また、私が本格的にシュウマイ調査をはじめた2015年ごろから、横浜でも中国料理店にとどまらずシュウマイを専門で提供する飲食店が出現しはじめ、ここ2、3年は若者で賑わうレトロでお洒落な「ネオ酒場」などでもシュウマイが主力メニューとして提供されはじめています。
横浜を代表するソウルフードは、今、新たな横浜の食文化として醸成され始めているともいえます。ぜひ改めて横浜の新旧シュウマイを食べ歩き、その魅力を「彩発見」してみてはいかがでしょうか。
【プロフィール】
シュウマイ潤(しゅうまい じゅん)
シュウマイジャーナリスト、研究家。2015年ごろから本格的に研究活動を開始。2022年「一般社団法人日本シュウマイ協会」を発起、シュウマイの普及啓蒙も行う。今までに約2,500種、約12,000粒以上食す。
政策経営・国際戦略局広報・プロモーション戦略課
TEL:045-671-2332
FAX:045-661-2351

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広報よこはま2026年8月号に紙面掲載した「よこはま彩発見」の内容は、「よこはま彩発見」紙面連載バックナンバー(2026年分)をご覧ください。