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地域における防災対策の推進策等について(答申書)

最終更新日 2023年12月20日

平成23年7月6日
泉区地域協議会
諮問検討分科会第1グループ委員(敬称略)
北原 勉、長谷川 幹夫、舩越 みさ子、成澤 誠、黒田 勉、谷村 勝彦、和田 久光、石井 清、長沼 元己、町田 ふみ子、山本 昭夫、馬場 知和
諮問検討分科会第2グループ委員(敬称略)
黒澤 彦章、小曽根 克之、原田 清、横川 満、稗田 茂麿、渡辺 明、小森谷 克己、佐久間 幹雄、佐藤 忠栄、佐々木 恭治、中尾 鐵雄、瀬戸口 亮輔

答申にあたって

平成23年5月12日、当協議会は泉区長より「地域における防災対策の推進策等」について、諮問を受けました。

さきの阪神・淡路大震災では、6,300名を越える命が奪われ、負傷者は4万人を超え、建物被害も約20万棟にのぼる被害が発生しました。この震災を契機に国民の防災、安全に関する意識も一段と高まりを見せ、災害への備えも強化されていましたが、平成23(2011)年3月11日、午後2時46分に発生した日本三陸沖を震源とするマグネチュ-ド9.0、震度7の東北地方太平洋沖地震は、14~15メ-トルほどの大津波が押し寄せ、阪神・淡路大震災の数十倍と言われる甚大な被害が発生しました。7月5日現在、死者15,534名、行方不明者7,092名の方々が被災しています。また、駿河湾を震源とする東海地震の発生率は、政府の地震調査委員会によると今後、30年以内に87パ-セントとされ、都市型大地震の発生も現実的なものとなっています。

このたびの東日本大震災を目の当たりにし、自身の身に置き換えて心配している今日においては、今回の諮問のテ-マは、まさに喫緊の課題です。万全と思われる体制を整えても限界はあります。例えば、行政職員の数を3倍、5倍にしたとしても災害発生直後の対応は範囲が限られます。警察官にしても消防職員にしても、自衛隊職員にしても、それぞれの役割を担い日々の業務を行っておりますので、広範囲にわたり大震災が発生した場合は、その地域の住民が自分達のことは自分達で守る防災体制を築き、体制強化を図ることが何よりも大切です。防災の基本となるのは、災害に対するひとり一人の備えと地域における支え合いの仕組みです。当協議会では、二つの分科会を設け、少人数で議論を行い、全体として改めて取りまとめる方法をとることで、多角的な検討を行いました。

地域における防災対策の基本は、地震などの発生の備えと発生後の初動体制をどのようにしていくのか、その心構えと対策が大きなポイントとなります。それぞれの課題の現状分析にあたっては、地域協議会委員による生活実感及び防災拠点に関するアンケ-トの結果を基礎にとりまとめています。このたび、諮問に関する検討の結果がまとまりましたので、答申いたします。

泉区民が安全で安心できる暮らしの実現に向けて、本答申にご配慮いただき、泉区のさらなる発展にあたられますよう希望いたします。

泉区地域協議会会長 佐久間 幹雄

1. 地域における防災対策の推進に向けた現状と課題について

(1) 地域防災訓練への参加者拡大

現在、市内には区民ひとり一人に身近な市立小・中学校(453校)が地域防災拠点(震災時避難場所)として指定されており、地域防災拠点運営委員会を中心とする防災訓練が実施されています。
しかしながら、区内全体を見ると参加者は固定化傾向にあり、訓練プログラムもマンネリ化が見受けられます。また、泉区地域防災計画の見直しの一環として実施した地域防災拠点運営委員会委員長などに対する防災に関するアンケ-ト結果を見ると、防災訓練は、毎年、ほぼ1回以上実施されており、参加者数については、28名中15名が200名以上の区民が参加していると回答しています。

≪防災に関するアンケ-ト結果≫

  • アンケート実施時期:平成23年5月
  • 回答依頼者:地域防災拠点運営委員会会長及び連合会長(36名)
  • 回答者数:28名、回収率:78%

≪防災に関するアンケ-ト結果:防災訓練実施回数及び参加者数≫

(1)地域防災拠点の訓練回数

  • 毎年2回以上 11名
  • 年1回 16名
  • 2~3回 1名
  • 5年間、未実施 0名

(2)防災訓練の参加者数

  • 200名以上 15名
  • 100名以上 9名
  • 50名程度 4名

≪防災に関するアンケ-ト結果:防災訓練参加者募集方法≫

  • 参加自由回覧式 18名 
  • 動員式 11名
  • 子ども及び障害者を意識した動員 3名

(2) 地域防災拠点の迅速な開設

発災時に拠点を迅速に開設することにより、安否確認や避難者名簿の作成が早期にでき、スムーズな対応へとつながります。
その結果、被害を少しでも減らし、地域住民の不安を早期に解消することが可能となります。
また、防災に関するアンケートでの、「東日本大震災規模の地震が横浜に発生したときの体制」に関する質問に対して、回答者の70%以上が、家庭・泉区のいずれについても「不安」と答えています。

≪防災に関するアンケ-ト結果・東日本大地震と同等の地震が横浜に発生したとき、その体制は≫

  • 泉区内 (十分)1名 (ややできている)4名 (やや不安)13名 (大変不安)9名
  • 家庭 (十分)2名 (ややできている)6名 (やや不安)11名 (大変不安)9名

≪防災に関するアンケ-ト自由記述:備蓄庫関係について≫

  • 備蓄庫の収容能力に限界があるため、不足が生じた場合の補充方法についても再確認が必要である。
  • 乳幼児や障害者などへの必需品や薬品についても備蓄が必要である。
  • 備蓄庫の設置個所を1階に移動すべき。災害発生時に活用ができない。

≪防災に関するアンケ-ト自由記述:防災拠点のエリアについて≫

  • 学校区と地域防災拠点のエリアに一部整合性がなく、地震発生時は子どもと家族の避難場所が異なるため再検討が必要である。

(3)災害時要援護者対策の見直し・点検

平成21年度に当協議会では「災害時に要援護者を地域で支えあう仕組みの必要性など」について諮問を受け、区長に答申しました。
その結果、各地区で要援護者及び地域支援者の名簿作成への取り組みが開始されましたが、その取り組みには大きな地域間格差が見受けられます。

≪防災に関するアンケ-ト結果:要援護者対策≫

  • マニュアルはできている 6名
  • 要援護者の名簿作成が進んでいる 14名
  • 進んでいない 7名

≪防災に関するアンケ-ト自由記述:災害時における主な安否確認方法について≫

  • すべての住民を対象に名簿を整理すべきであるが、個人情報であることを踏まえると、安否確認は隣近所に尽きる。
  • 自治会町内会未加入者の安否確認は困難な状況である。地域としても加入促進に努めるが、行政の一層の支援が必要である。
  • 自治会町内会班長が安否確認を行い、一時避難場所へ報告する。
  • 自治会町内会長と民生委員が要支援者・地域支援者に関する情報を共有化するようにしている。

(4)節電対策

今回の地震では、発災直後に予想を遙かに超える津波によって、東京電力管轄福島第一原子力発電所などが崩壊したことにより、計画停電が実施され、大きな不便を強いられました。
地震発生直後は、送電線などが倒壊・崩壊し、電力供給がストップする可能性があり、継続的・安定的な電力供給の重要性について、改めて再認識が必要です。
現在、国民のライフスタイルの見直しも含め、国を挙げての節電対策に取り組んでいるところですが、7月~9月のピーク時の電力消費予測については、予断を許さない状況にあります。

2.地域における防災対策の推進に向けた基本的な考え方

現行の防災対策には、前述したような課題を抱えており、防災に関するアンケートでも様々な意見などが出されています。これらの意見などを踏まえて、当地域協議会では、次の4点を防災対策に対する基本的な考え方に据え、以下に述べるように「3.地域・家庭で取り組む防災対策の推進策」、「4.地域における防災対策を推進するにあたって行政に求めること」の2つの視点と、大規模停電などの二次的な被害などをできるだけ防止する観点から、「節電対策」に向けた考え方を含めて答申を取りまとめました。

  1. 発災時には「自助」「共助」の意識と仕組みが大切であり、そのためには、まず、地域住民一人ひとりでできること、地域組織ができることを着実に実施していくことが大切です。
  2. 防災関係の組織のみならず、地域活動団体が広く連携し、地域総ぐるみで推進するとともに、向こう三軒両隣的な最も身近な地域のつながりや単位自治会・町内会ごとの取り組みを充実・強化する必要があります。
  3. 地域ごとに特徴があるため、画一的・一律的ではなく、各地域の実情に応じた方策を創意・工夫するとともに、一方では各地域間での情報交換を密にしていく必要があります。
  4. 行政には、発災時の地域住民による対応がスムーズにいくよう、平常時か十分な支援を行うよう期待します。また、災害からの復旧・復興が一日も早く成し遂げられるよう、「公助」としての一層の対応を求めます。

3.地域・家庭で取り組む防災対策の推進策

地域活動組織及び各家庭では、以下の防災対策を一層推進する必要があります。

(1) 防災訓練への参加者拡大のために

  • 地域と学校が連携して、次代を担う小・中学生及び保護者である現役世代の積極的な参加を呼びかけることが考えられます。小・中学生の地域活動へのきっかけづくりや、中学生による区民力の発揮の可能性、更には保護者の学校や自治会町内会活動への参加の拡大が期待されます。
  • 発災時、誰もが対応できるよう現役世代の人たちはもちろんのこと、女性や高齢者にも役割を担えるよう、新たな地域防災拠点運営手引書の作成が求められています。
  • マンネリ化傾向にある訓練内容の質的向上を図るため、発災時の状況を具体的に想定し、訓練内容の見直しを進める必要があります。

ア 住民自ら訓練の問題点や改善点を話し合う機会を設け、避難者の受け入れから名簿確認、更に学校教室等への誘導までを訓練項目として取り入れ、以後の訓練に反映させていく必要があります。
イ 避難者名簿の作成や社会福祉施設・病院などと連携した総合的な訓練を企画・実施する必要があります。

  • 一時避難場所を中心にした訓練を進める必要があります。

ア 一時避難場所を明確にするため、案内表示と広報を徹底させる必要があります。
イ 一時避難場所の役割を明確化し、それに即した訓練を行うことが求められています。

(2) 地域防災拠点の迅速な開設に向けて・地域防災拠点の運営を充実・強化させる必要があります。
ア 防災ライセンスリ-ダ-を各拠点に複数名育成して活用し、地域防災運営委員への教育や講習会を充実することが考えられます。
イ 地域防災拠点運営委員には様々な世代や分野の人が加入し、自治会・町内会の役員の任期にとらわれず、できるだけ長期間に亘って従事することが望ましいと考えられます。

  • 地域防災拠点運営委員会とその他の地域活動団体との連携を強化する必要があります。

ア 自治会・町内会による防災拠点の支援体制との連携を充実させるとともに他の地域防災拠点から学び合う機会をつくることが大切です。
イ 地域防災拠点や自治会・町内会の備蓄物資を充実し、住民に広く周知する必要があります。

(3) 災害時要援護者対策の見直し・点検

  • 要援護者名簿の作成等、要援護者の特定に一層の努力をしていく必要があります。

ア 要援護者名簿の整備状況の地域差を是正する必要があります。
イ 黄色いリボン運動など、助けてほしい人が自らの意思を表明する仕組みの構築を検討する必要があります。
ウ 敬老の日の催し等、地域行事を活用し、災害時要援護者の把握に努めることが考えられます。

要援護者名簿を発災時に活用できるよう体制の強化が望まれます。
複数のリーダーが情報を共有できる体制づくりが必要です。

さらなる支援者の確保に努める必要があります。

ア 支援の役割を限定して募集するなどの工夫により、支援者の増員を図ることが考えられます。
イ 要援護者が、近隣に居住する縁者や知人を支援者として推薦できる方法の導入なども考えられます。
ウ リヤカーなど要援護者を搬送する道具類を充実させる必要があります。

  • 要援護者の名簿に掲載されている人だけに限定しない、さらなる災害弱者対策を検討することが重要です。

ア 社会福祉施設及び避難所における災害弱者の受け入れ方法を検討する必要があります。

(4) 家庭での対策

災害時には、自分の身は自分で守る「自助」の考えを基本に、各家庭ではより一層防災意識を高め、防災対策を進めることが極めて重要です。

  • 家具などの転倒・倒壊防止策を講じておくことが必要不可欠です。
  • 家庭での防災備蓄を再確認し、新たな必要物品を点検し、充実・強化させることが重要です。
  • 家族との連絡方法を再確認しておくことが大切です。

4. 地域における防災対策を推進するにあたって行政に求めること

協働のパートナーとして、また「公助」としての防災対策の推進者である行政に対して次のことを求めます。

(1) 避難場所の収容人数を増やすための方策

  • 現在設置されている避難場所(地域防災拠点)では、避難者を十分に収容しきれない可能性があります。現行の仕組みでの避難可能人数等を明らかにし、必要があれば避難場所を増やすよう要望します。

(2) 地域防災拠点エリアの適正化

  • 現在設定されているよりも近い地域防災拠点が存在する地区、親子が別々の場所に避難することになる地区など、エリアの見直しが必要と思われる地域防災拠点がありますので、エリアの適正化を検討するよう要望します。

(3) 地域防災拠点間の連携システムの構築

  • より近い地域防災拠点や通勤途中の避難など、想定地区外からの避難者が発生することが予想されます。そこで、地域防災拠点相互の連絡網や情報交換のルールなどを定めるとともに、いずれの拠点においても使用できる共通の「避難者カード」を検討するよう要望します。

(4) 災害時要援護者名簿作成のための多様な方式の採用

  • 要援護者名簿作成については、現在泉区では、手上げ方式を採用していますが、地域だけでは災害時要援護者の把握には限界があります。そこで、行政が保有する高齢者や障害者の方々の情報も必要であるため、同意方式(行政が保有する名簿を基に、要支援者に支援が必要か同意を取る方式)などを併用するよう要望します。

(5) 行政側の援護体制と地域防災拠点との関係づくり

  • 行政の援護班がどのような援護活動を行うのか、分からない部分があります。各地域で実際に援護活動を行う行政の援護班と地域側との話し合いの機会など、顔の見える関係づくりが必要です。そのため今後は、区役所全体で要援護者対策に取り組むよう要望します。

(6) 地域防災拠点の機能および防災備蓄内容の充実

  • 地域では現行地域防災拠点の備蓄品の充足度等に不安を抱いています。備蓄内容の一層の充実に力を注ぐよう要望します。

(7) 新たな被害想定の一般住民への情報提供

  • 東日本大震災を受けて、国や県などでは新たな被害想定の検討を開始したと聞いています。泉区ではどの程度の被害が想定されるのか、新たな想定に基づき防災計画を見直し、広く住民に情報提供するよう要望します。

5. 節電のために

節電意識を一層高めるよう、地域からもアピールすることが大切です。
節電は十分理解しているものの、健康等を考慮すると冷房の力が必要不可欠であると多くの人が戸惑っている今日ですが、消費電力の削減に向けて、家庭では子どもからお年寄りまで節電意識をどう高めていくかが重要です。
また、地域の人間関係の希薄化が問題となっている現状にあって、節電対策を近所づきあいを復活させるきっかけづくりにも生かすことも期待できます。

(1)夏休みに、小・中学生からの「我が家の節電対策」と題する作文を募集する方法が考えられます。
(2)夏祭りには、家庭の電気を消して、家族こぞって参加し、また、隣近所でもホ-ムパ-ティ等を開き、数家族が集まって時間を過ごすよう呼びかけることも節電につながります。
(3)地域として節電PRに取り組む一方、節電による体調不良を発生させないことも重要です。

また、国や電力会社等から様々な節電対策が打ち出されていますが、各家庭でも、改めて可能な限り、小さなことでも節電対策を実行する必要があります。

(1)コンセントからプラグを抜き、待機電力を減らします。
(2)蛍光灯を間引きします。
(3)白熱球をLED電球に変更します。
(4)室温28℃を目安に、エアコンの温度を調節します。
(5)トイレの電熱便座の使用を控えます。
(6)多くの電気を使う電気ポット、テレビ、電子レンジ等は、昼間(ピーク時)の使用は避け、なるべく夜間に使用します。
(7)扇風機とエアコンを併用して冷房効果を高めます。
(8)ゴーヤ等による緑のカーテンを設置します。

問合せ先

区政推進課地域力推進担当 (3階307番)
電話:045-800-2333
FAX:045-800-2505

このページへのお問合せ

泉区総務部区政推進課

電話:045-800-2337

電話:045-800-2337

ファクス:045-800-2506

メールアドレス:iz-kusei@city.yokohama.jp

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