1 目的
人間の生活環境の変化に伴い、生活をともにしてきた猫達も住みにくい環境への対応をせまられています。また、猫はその習性から自由を拘束し管理することが非常に難しく、糞尿やゴミあさりによる環境汚染をはじめノミなどによる人体への害、器物の破損等周辺地域へ与える影響も大きく、トラブルや苦情のもとになっています。
そこで、このガイドラインを人と猫が共生していくための最低守るべきルールとして、正しい飼い方、接し方、遵守事項などを明確にすることによって、適切飼育や動物愛護への理解を普及し、人と猫とが快適に共生できる街づくりを進めることを目的とします。
今飼育している猫が野良猫化しないようにする一方、現在地域に住みついて人からエサをもらって生活している飼い主のない猫を、地域住民が適切な飼育を行い管理することによって「地域猫」と位置付け、飼育責任の所在が明らかな猫へと移行させていき、その結果として野良猫(飼い主のいない猫)の減少を図ります。
猫の飼育方法によってその扱い方、接し方は大幅に違うため、次の三種類に分類します。
飼い主と居住場所が明確であり、主に特定の人からエサをもらい生活している猫。
特定の飼い主がなく、地域に住みつき人からエサをもらい生活している猫。
このガイドラインに示されている「飼い主の遵守事項(外猫の場合)」に従って、地域で適切に飼育管理された猫。
※ノネコ:飼い主のもとをはなれ野生化し、常時山野にて野生の鳥獣等を捕食し生息している猫。
- 動物の愛護及び管理に関する法律、横浜市動物の愛護及び管理に関する条例、地域の飼育規定等に規定された飼い主の義務を守ること。
- 猫の習性、生理等を十分理解するとともに、飼い主として責任を自覚し、愛情をもって猫を終生、適切に飼育すること。
・猫が動物である事を理解し、人間のように考え違いしないようにしましょう。 - 周辺地域の人々の立場を尊重し、自己満足のため他人に迷惑をかけることのないよう細心の注意を図り飼育するよう心がけること。
・飼い始める時には、家族が一人増えるという意識を持ちましょう。
・自分の心の安らぎのためだけに猫を可愛がると、まわりの人のことが見えなくなりがちです。ご近所の方々は一番近い世の中ですので、猫以外のことでも普通の挨拶が交わせる間柄になっておくよう心がけましょう。 - 猫にまつわる苦情が人間関係にも影響を及ぼすことがあるので、苦情の内容を冷静に分析し、自分の都合や言い分ばかりを主張しないで、より良い対応をするよう心がけましょう。
・猫が嫌いな人やアレルギー等で接することを避ける人がいる旨を理解しましょう。 - 「捨てない。増やさない。いじめない。」ことを守ること。
昼間は寝ていることが多く、夜間活動が活発化します。
メスの発情は、ほぼ決まった時期に数回繰り返します。オスは、独自の発情周期を持ちません。(メスの発情に誘われます)
オスは繩張意識が強く、特にメスの発情期にはオスの活動範囲が広がり、ケンカも増えます
やわらかい土、砂地を好みます。オスの場合、尿のマーキング(スプレー)を行うことが多くあります。
猫の気分がリラックスしたり高揚したりした時、また爪の新陳代謝やマーキング(印づけ)が行われる時に見られる本能的な習性です。
猫は自尊心が強く、気ままで、気まぐれのため飼い主の言いなりにならないものです。神経が繊細で、急な環境の変化、突然の大きな音や騒々しい環境を嫌います。
※(2)(3)(4)は、不妊去勢手術により抑えることが可能です。
- 猫の飼育場所は原則として、室内で飼育するように努めること。
・出入り自由の猫でも、夜は家の中に入れましょう。 - 飼育する猫の数は居住環境を踏まえ、その環境に合った猫の数を見極めて飼育可能な最小限にすること。
・飼い主一世帯で、おおよそ3匹までを目安とすることが望ましい。 - 飼い主占有の場所以外で、猫にエサや水を与えないこと。
- 猫の必要な栄養を考えてエサを与えること。
- 飼い主占有の場所に猫用トイレを設置し、そこで排便をするように子猫の時からしつけを行い、常に排泄物を清掃することによって清潔を保つこと。
・排泄物は健康管理上の目安となるので、良く観察して片付けましょう。
・飼い猫用トイレは容器とその中に敷く物との組み合わせ方がいろいろあるので猫の癖をよく見極めて(最初は何種類か試みて)、猫の成長に合わせた大きさのものを用意しましょう。
・汚物又は汚水を適切に処理し、悪臭又は昆虫等の発生を防止しましょう。 - 抜け毛の処理やケージの清掃等を行う場合は室内で行い、必ず窓を閉めるなどして、毛や埃等の飛散を防止し、必ずゴミとして捨てること。
- 耳や口など体のどこを触られても平気なように、日頃から人間との付き合いを経験させておくこと。
※診療を受ける時も生活の中でも扱いやすくなります。 - 猫の成長に合わせて強度のあるツメとぎ板を用意し、しつけること。
- 繁殖を望まない場合は、不妊去勢手術の利点を十分に理解した上で繁殖制限の措置を行うこと。
・生後5~6か月で発情がくるのでその前に、若しくは乳歯から永久歯に生え変わる時を目処に手術しましょう。
※手術後は、尿の臭いがうすくなる、大きな声で鳴きわめかない、遠出をしなくなる、他の猫とケンカをすること等が減ります。 - 猫の病気及び負傷の予防等、健康及び安全を保持することに努め、異常があった時にはできるだけ早く獣医師に相談すること。
・各種寄生虫や伝染病の予防薬の投与、ワクチン等の接種を受けさせましょう。 - 猫の体が汚れている時には、猫を洗うとか毛をすくなどして清潔を保つこと。ノミが付いている場合は、駆虫薬で駆除すること。
- 首輪を付けて飼い主がいることを明確にし、身元がわかるようにしておくこと。
- 猫による汚損、破損、傷害等苦情が発生した場合は、その責任を負うとともに、誠意を持って解決を図ること。
- ご近所との円満な付き合いができるよう努力すること。
※近所の人の猫に対する反応が変わります。 - 猫の飼育が認められている集合住宅では「飼育者の会」を作り、よりよい飼育の仕方の周知、苦情処理といった窓口としての役割を果たすことが望ましい。
- 引っ越しの際は、真剣に引っ越し先と交渉したり獣医師や福祉保健センター・動物愛護団体等に相談するなどして、飼い続ける努力をすること。
・努力の結果、継続飼育が不可能となった場合は、安楽死処置もやむを得ません。
※猫は新しい場所でも3週間くらいで馴染めます。 - 猫が死亡した場合は、適切な取り扱いを行うこと。
- 外猫の面倒を見ようという人は、できるだけグループや集団で役割分担しながら活動し、代表者を決める等責任の所在を明らかにして、世話をする人が孤立しない様に、周辺住民の理解を求めるよう心がけること。
- エサ場は、周辺住民の一般生活上支障のない場所を決めて、そこの場所以外ではエサを与えないこと。また、エサは決められた時間に食べきれるだけの量を与え、食べ終るのを待ってから回収、清掃を実施し、常に清潔を心がけること。置きエサは、周辺住民の迷惑になるので絶対にやめること。
- エサや水は健康維持を考えて十分配慮すること。
(例)牛乳は、軟便につながることが多いようです。ねり製品ばかりをやらないようにしましょう。 - エサ場周辺の排泄しやすい場所に猫用のトイレ若しくはそれに準ずる物あるいは場所を設置し、そこで排泄するようにしむけ、速やかに始末するように心がけること。
- 猫用トイレ以外の場所のフンも、エサを与えた結果として片付けるように心がけること。
・猫のフンだけに限らず、周辺環境の美化に努めましょう。
・他人の土地のフンについても、連絡通報があれば快く回収、清掃して、周辺住民との円満な付き合いができるよう努力しましょう。 - 庭や近所の立ち木が傷つけられるのを防ぐために、ジュウタンを裏返しにしたものやツメとぎ板になるものを用意するよう心がけること。
- 食物を充分に与えて生ゴミ等を「アサル」ことのないように飼育すること。
- 外猫の面倒を見ようという人は、今以上に頭数が増えないように必ず不妊去勢手術を実施し、ピヤスやイヤーカット等の目印を付けて終生世話をすること。
・不妊去勢手術の利点を十分に理解した上で繁殖制限の措置を行いましょう。 - 手術のために捕まえることが困難な場合は、獣医師、動物愛護団体、福祉保健センター等に問合せて助言を求めること。
- 猫が病気や負傷をしている場合は、獣医師若しくは福祉保健センターと相談し、責任をもって対応すること。
・治癒困難な場合は、安楽死処置もやむを得ません。 - 伝染病や寄生虫等の予防、健康保持のため必要な措置を行うこと。
猫が侵入するのに好ましくない場所(砂場、芝生等)に関しては、侵入防止等の方法を試みること。
(平成11年4月1日から施行)