よこはま彩発見
2025年10月号

雪化粧した冬のため池の姿をご覧ください。雪に覆われた木々が、凍った水面にそっと寄り添っています。白銀の景色が訪れる人の心にやさしく語りかけます。
春の芽吹き、夏の緑、秋の実り、そして冬の静けさー。四季折々の表情が、訪れるたびに新たな発見と癒やしを与えてくれます。

「寺家ふるさと村」は、1983年に「横浜ふるさと村」として指定されたことをきっかけに誕生しました。当時は全国的に宅地開発が活発化しており、寺家ふるさと村近辺にもその波が押し寄せていました。
しかし、農業景観や農業資源の保全、そして市民の皆さんに自然豊かな空間を提供するため、地元有志の協力で、農作業体験ができる温室や森の散策路、テニスコート、釣り堀など、多彩な施設が整備されました。

時を経て、水田や雑木林が広がる里山の風景は、今もなお人々の心を癒し、農村の原風景を伝える貴重な地域として親しまれています。
ちなみに、横浜市内にはもう一か所「舞岡ふるさと村」もあり、こちらも寺家ふるさと村と同様に、古き良き田園風景が残されています。都市にありながら、ふるさとに出会える—そんな特別な場所が、横浜にはあるのです。

寺家ふるさと村へお越しになる皆さんに、少しお願いがあります。
この場所は、魅力あふれる特別な場所であると同時に、地域の方々の生活の場でもあります。だからこそ、懐かしさの中にも生き生きとした田園風景が残っています。水路は農家さんの大切な仕事場であり、道路は住民の方々の生活道路です。散策の際は、車は四季の家の駐車場にとめていただき、道から外れて田畑等に立ち入らないようにお願いします。
また、ここでの貴重な生態系を守るため、動植物の持ち帰りや持ち込みはしないでくださいね。訪れる皆さん一人ひとりの思いやりが、この美しいふるさと村を未来へとつなげていく力になります。

寺家ふるさと村の総合案内所「四季の家」では、寺家ふるさと村の魅力紹介やガイドマップの配布をしており、初めての方でも安心して散策を楽しむことができます。
館内には、寺家の自然と農の営みを身近に感じられる、動植物の標本展示や歴史ある農機具の紹介コーナーもあります。不定期ではありますが、地元農産物の直売も行っています。
また、地域に根づく伝統や自然とふれあえるさまざまな体験の機会も用意しています。たとえば、寺家の暮らしを今に伝えるみそ造り教室や、生き物や植物とふれあう自然観察会など、子どもから大人まで楽しめるプログラムを開催しています。

年に４回開催される「JIKEマルシェ」は、地域の魅力を未来へとつなぐ人気イベントとなっています。地元産の新鮮な農作物や加工品が並び、自然と人とのつながりを感じられる、あたたかなひとときです。
2025年の開催は残すところあと２回。10月28日(火)と12月2日(火)を予定していますので、季節の恵みと出会いに、ぜひ足を運んでみてください。

寺家ふるさと村には、心がほどけるような穏やかな時間が流れています。自然と共に生きるこの里山の風景を、ご自身の目で確かめに来てみてください。そして、心豊かなひとときをお過ごしいただきたいと思います。

≫寺家ふるさと村四季の家　公式ウェブサイト