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第7回「市長と語ろう!」
最終更新日 2024年4月17日
開催概要
≪テーマ≫ 地域の支え合いによる高齢者の見守り
≪日時≫
令和6年3月15日(金曜日) 15:00~
≪会場≫
ベイサイド新山下自治会集会所(中区)
≪対話団体≫
ベイサイド新山下自治会ひとり暮らし高齢者見守り世話人会
≪団体概要≫
ひとり暮らし高齢者が安心した生活を送れるよう、見守り活動を組織的・継続的に行うことで、孤独死の防止、有事の際の早期発見に取り組む。日頃の声掛けや食事会、健康講座の開催などのほか、関係機関と連携した取組にも力を入れている。
ベイサイド新山下概要
全7棟400世帯
人口:約650人
うち70歳以上:216人(男性87人、女性が129人)
※ひとり暮らし:76人(男性24人、女性が52人)
対話概要
※ 文意を損なわない範囲で、重複部分や言い回しなどを整理しています。
市長挨拶
市長
今日は皆様お忙しいところ、お時間をいただきまして誠にありがとうございます。
横浜市の高齢者のひとり暮らし世帯がものすごいスピードで増加してきています。その中でも中区は65歳以上の方のひとり暮らしの割合が高くなってきています。高齢化率が比較的進んでいるのは横浜市の南部の方になりますが、中区も大きく変わらない状況です。中区の人口は約15万人で、人口としては多い区ではないですが、ひとり暮らしの高齢者の方の割合が数字的には高く表れています。そういった状況の中で皆様方が取り組まれていらっしゃることについて、いろいろと教えていただけるとありがたく存じます。今日はよろしくお願いします。
「孤独死の防止」「早期発見の体制づくり」のために発足
参加者
ベイサイド新山下はひとり暮らし高齢者が多く住んでおり、孤独死も度々発生しています。発見もなかなか難しく、2か月半たってから発見されたという事例もありました。
ベイサイド新山下自治会ひとり暮らし高齢者見守り世話人会(以下、「見守り世話人会」)は、令和2年10月に孤独死を無くそうということで、「孤独死の防止」「早期発見の体制づくり」のために発足しました。「孤立しないための交流」「緩やかな見守り」、それから健康・安全に暮らすための講座などを行っています。
メンバーは自治会役員、民生委員、保健活動推進員、老人会の友愛活動員、各棟の棟長、自治会保健厚生部員、食生活等改善推進員(ヘルスメイト)など約20名、協力団体としては新山下地域ケアプラザ、中区社会福祉協議会、中区後見的支援室「らるご」、中区福祉保健課、高齢・障害支援課などがあります。
市長
この方々というのはこういう役割の方がいるべきだということでお声掛けされたのですか?
参加者
民生委員は高齢者を把握していますし、保健活動推進員も民生委員と一緒に活動しています。また老人会の中には友愛活動員制度というのがあって、高齢者の見守りを行っています。ヘルスメイトもちょっとした食生活の助言をしています。中区後見的支援室「らるご」は障害をお持ちの方が将来のことを相談できる組織です。
見守り世話人会が20名と協力団体から1~2名参加してくれており、トータルで24~5名が参加しています。
活動内容は、日頃の関わりの中で気になったことを「見守り活動メモ」に記録して、見える化をしています。実際に孤独死が発生してしまった際は、警察に「一番最後に誰が見かけたか」や「誰と会ったか」といった情報の提供が必要になるので、そういった記録を取っています。
全体会議を3か月に1回程度、見守り世話人会と協力団体で開催しており、情報交換や意見交換、交流会や講座の企画について検討しています。交流会ではひとり暮らし高齢者と見守り世話人会との交流を目的に年4回程度開催し、昼食を兼ねたりしながら顔見知りの関係を築いて、その中で緊急連絡先などの情報を得たりしています。
講習会では、高齢者が健康で安全に生活するために必要な情報について学ぶ講座を開催しています。ヘルスメイトの協力で栄養に関することや、口腔ケア、健康チェック、あるいは詐欺被害防止、時期によっては熱中症、食中毒、インフルエンザのことなども行っています。
集合住宅の鍵は家族しか持っておらず、様子が変だと思っても確認ができないので、承諾を得て鍵を預かり、これでいつでも安否確認ができるようにしています。その結果、預かりを始めてから、不幸が起きても短い時間で発見できるようになっています。
見守り活動を町内会全体でやっていかないといけない
市長
これは最後に見かけられた方がいて、それが記録されて、そのあとこの方が亡くなられているというのは部屋に入らないと分からないと思うのですが、どういったきっかけでお部屋に入るという判断になるのですか。
参加者
一例としては、風呂場の電気が夕方から朝方までつけっぱなしになっていたので、「これはおかしい」ということで、鍵を使って開けました。また、離れた場所に住むご家族から「電話に出ない」という連絡をいただいてということもありました。もし鍵を預かっていなかったら、「どこか旅行へ行ったのかな」とか、「入院しているのかな」と思い、発見まで時間を要してしまったかもしれません。鍵がないと確認もできませんので、預かりは大事なことだと思いました。
今後の課題としては、今は70歳以上のひとり暮らしの方を対象にしていますが、70歳未満のひとり暮らしの方も50人ほどいます。70歳以上という年齢で分けるのではなくて、ひとり暮らしの方全てを見ていく必要があるのではないかと思っています。これからは、「ひとり暮らし高齢者」という年齢による区別をしないで全体を見ていった方がよいのかなと思っています。
また、夫婦暮らしの方たちも含め、交流会や講座に参加していない高齢者にも関心をもってもらいたいと思い、様々な機会を利用して広報しているところです。
高齢者が安心して暮らしていくためには、やはり見守り活動を町内会全体でやっていかないといけないと考えています。そのことをいろんな機会を捉えながら、「みんなで高齢者の見守りをやっていこう」と働きかける必要があると思っています。
見守り世話人会の中で情報共有をしながら状況を把握
市長
本当にありがとうございます。
この見守り世話人会では、鍵を預かるという独自の取組をされていますが、民生委員としてのお立場から見て、この活動が始まって良かったと思うことがあれば教えてください。
参加者
民生委員というのは一人ひとりに担当地区がありますが、私自身がこのベイサイド新山下の住人でもあるので、今は希望して担当をさせていただいています。自分も住んでいますので、わかってはいましたが、前任の方からも「こちらの地区はお年寄りが多くて大変」ということを伺っていました。
長く住んでいますので、大体のことはわかっていたつもりでも、自分が住んでいない棟の方は本当にわからなかったです。担当になり、区役所から75歳以上のひとり暮らしの方の名簿をいただいて「こんなにいるんだ」という状況でした。そういった中で、担当2年目くらいに見守り世話人会が発足しました。
地区の担当になった当初は挨拶に伺っても、反応も薄い感じであったりして、全体の把握が難しい状況でした。ただ、見守り世話人会が発足すると、それぞれの方がどういったことで繋がりを持っているのかということがわかるようになってきましたので、それを伝っていくことで全体の把握ができるようにもなったと思います。
当然、今でも全ての棟をカバーすることは大変ですが、見守り世話人会の中で情報共有をしながら状況を把握することができるので、非常に助かっています。
市長
その言葉を聞いてこの取組の素晴らしさを改めて感じました。やはり民生委員のお立場から見てもそうなんですね。
参加者
高齢者の方が本当に増えてきていて、ひとり暮らしの方の名簿をいただいても、毎回10人くらいずつは増えている状況です。それを一人で抱え込む、見守るというのは、とても大変だなと思いますので、見守り世話人会ができたことで、とてもやりやすくなりました。
早期発見につながった事例
市長
鍵の預かりによる効果を差し支えの無い範囲で教えてください。
参加者
ここの建物は共用の通路から台所やお風呂の電気が見えますので、夕方から翌日の朝になってもお風呂の電気がつけっぱなしで、ブザーを押してみても出てこないということで、鍵を使用して中に入り、発見をしました。
ひとり暮らしの方がいつまでも発見されずにいらっしゃることを防げた事例だったと思います。
市長
ありがとうございます。大変参考になるお話で。皆様の取組によって早期発見につながった事例ですね。
単に「鍵を預かったから大丈夫」という問題ではない
市長
鍵の預かりは相当な信頼関係が必要になると思います。そういった鍵の預かりをしていく上で、工夫されているようなことがあれば教えていただけますか。
参加者
鍵の預かりの話が出る前から、元々一人で生活をしているので、何かあった時に困るという気持ちは持っていました。そういったことから、私自身は鍵を預けること自体には前向きに行うことができました。
ただ、鍵を預けても部屋の場所や建物の造りによっては、なかなか異変に気付いてもらえないこともあるので、スマートフォンのアプリなども活用しながら普段からの繋がりを持つことも大事だと思っています。しかし、必ずしも皆さんがスマートフォンを持っているわけではないので課題はあります。
市長
確かにアプリで繋がるってことによって、異変のサインとすることできると思うのですが、そもそもスマートフォンを持っておられない方もいらっしゃいますからね。
参加者
いろいろと方法も考えていますが非常に難しいと思っています。単に「鍵を預かったから大丈夫」という問題ではないと思っていますので、今後も考えてみようと思っています。
市長
鍵を預けるにあたって、まず信頼関係というのは、やはり同じ棟内だったり、同じベイサイド新山下の中だったりすると自然に生まれやすいものですか。
参加者
迷わず預ける方も、そうでない方も、当然どちらもいると思っています。
参加者
近隣にご家族が住んでいる方もいますので。預けるのは60%くらいです。
「小さなおせっかい」を積み重ね、信頼関係を築いていこう
市長
まず鍵を預かりその上で見守り活動を行っていると思うのですが、見守り活動をされていく上で気を付けていることですとか、どういったことを心がけているかということを教えてください。
参加者
先ほどから市長から「信頼関係」という言葉が何回か出てきていて、私もまず皆様と信頼関係を築きたいということを最初に思いました。幼いころから近所に住んでいる方々に声掛けをすると、今困っていることや、体調のことなどをざっくばらんに話していただけます。ただ、そういった方々以外の方もいらっしゃいますので、どうしたらいいのかと思っていました。でも、結局は同じように声掛けをして「小さなおせっかい」を積み重ね、信頼関係を築いていこうと今は思っています。
市長
やはりお声掛けをするっていうことを意識されて、信頼関係を作っていくことの積み重ねなんでしょうね。
参加者
今まで知り合いでなかった方は敬遠されることもありますが、なるべく見かけたら声を掛けていくようにしています。
市長
やはり、そういった皆様のご尽力でこうした活動が成り立っていることがよくわかりました。即効性のある特効薬はないということですよね。
交流会や食生活にかかわる講習会などいろいろとされているとのことですが、どのように呼び掛けをされていらっしゃいますか。
参加者
個別訪問もありますし、口コミもあります。ポスターや回覧もあります。来ていない方がいらっしゃれば、個別訪問をして「体調が悪くて参加できなかった」などお話を伺い確認しています。
市長
そういったご努力一つ一つの積み重ねということですね。それでまた新たな繋がりができますし、信頼関係もできますもんね。聞けば聞くほど、特効薬のようなものがあるわけではなく、皆様の日々のご尽力の上に成り立っているということがわかりますね。
関わりを続けていくと、だんだん相手の方からも声を掛けていただくように
市長
見守り世話人会の発足が令和2年で、コロナ禍の真っただ中だったと思います。コロナ禍の真っただ中に活動開始されて、このベイサイド新山下の住民の皆様の意識や住民の皆様の関わり方が変わったというようなものは、保健活動推進員として何か実感されていますか。
参加者
最初は声掛けされることを嫌がっていた方も、関わりを続けていくと、だんだん相手の方からも声を掛けていただくようになりました。催しの際などもポスティングだと意思疎通が取りづらいので、できるだけ本人にお会いして、関わりを持つようにしています。
参加者
私はまだここにきて日が浅いので、今は一生懸命先輩方がされていることを覚えて、ついていこうという感じです。
市長
聞けば聞くほど皆様の日々のご尽力の積み重ねだなと思います。皆様の熱意で、地域をよくしていこうという気持ちだけでこういった活動、見守りの活動を成り立たせているということだと思います。
見守りは無理かなと思っていた方々にも、少し光が見えてきた
市長
こういった活動が地域に根差しているといことが素晴らしいなと思う一方で、やはり皆様方のご尽力、ご努力が素晴らしいなと思っています。地域としてのご負担もある分、素晴らしい効果も出ていると思うのですが。地域ケアプラザの立場からこのことについてどのように思われますか。
参加者
見守り世話人会の立ち上げというだけでもすごく大変なことだと思うのですが、日頃の手厚い見守りや声掛けなど、人と人の繋がりを大切にされているので、見守り世話人会の活動がすごく前に進んでいるように思います。鍵の預かりも最初はなかったのですが、必要だということになり始めました。
結果として、他区でも見守りを始めたいという地域があれば、どういうところから取り組めば見守りができるのかというように、会長にお話を聞きたいというような方々も出てきています。自分たちではちょっと見守りは無理かなと思っていた方々にも、少し光が見えてきたというようなところがあると思っています。こちらの地域だけではなく、全国的に見ても孤独死は大きな問題ですが、そのことにどうやって取り組んでいけば良いかということを、示すことができる体制が取れていると思っています。
市長
モデルになりますよね。
ただ、この取組は皆様のご尽力の上に成り立っているもので、すぐに他の地域でもできるかというと、必ずしもそうはいかないのかなと思います。
参加者
今、区内で高齢者が多く住んでいるというマンションの方々が我々の取組を見学しに来たりしています。いろんな町内会などでも、高齢者の見守り、孤独死をどうするかということで、考えていると思います。自分たちの取組が先駆的なんてことは考えていないけれど、口伝いで広まっているのかもしれません。
何も隠したりすることなくお伝えして、取組を広げていけたら良い
市長
この素晴らしい取組、見守り意識を拡大していくことが必要だと思います。見守り活動への関心を更に高めてもらって、他の地域でも横展開できる、そんな素晴らしいことはないと思うのですが、皆様の日々の努力の上に成り立っているので、なかなか特効薬が無いとも思っています。しかし、そういった見守り活動への関心を高めてもらうために、どういう働きかけが必要になると思われていますか。
参加者
地域の代表が集まる会議や民生委員児童委員の会議などがありますので、この第二地区、それから中区、というように発信していけば、よその地区にも広がっていくのではないかと思っています。先ほどお話に出た区内のマンションはこちらとは違うケアプラザの管轄ではありますが、ケアプラザの運営法人は同じなんです。そういったこともあり、ケアプラザ同士が連携しているので、こちらの取組が先方にも伝わり、広がろうとしています。様々な会合で、事例として話をしてもらえれば興味を持ってくださった地域から問い合わせをいただけると思っていますし、そうなれば、何も隠したりすることなくお伝えして、取組を広げていけたら良いと考えています。
そしてやっぱり個人的には、不幸なことがあっても、できるだけ早く発見してあげなきゃいけないという思いがあります。
市長コメント
市長
本日は皆様大変お忙しい中、有意義な時間をいただきまして誠にありがとうございました。様々なお立場の方々がこの活動に参加され、皆様が力をあわせることでチームとなり、こういった見守りの活動が展開されているということを改めて実感しました。
いろいろなところで、地域の絆が薄くなっていると言われる中、その地域の絆を守るために活動していただいている方々、そういった方々のおかげで地域の絆が守られているということをあちこちで申し上げています。
まさに皆様方の活動は地域の絆を守っていただいている活動の代表例だと思っています。ただ、その分、皆様にかかるご負担はとても大きいとも思っています。皆様がお住いの地域のためにやりたいと思っていただいていること、そういった気持ちを我々行政としても大変ありがたく感じております。
コミュニティの高齢化が今後もどんどん進んでいきます。これは横浜のどこの地域でも例外なく進んできます。「見守る側」「見守られる側」にかかわらず、こういった活動に参加していただく方をどのように増やしていくのかが課題であると思いますし、いかにして、皆様方のこういった活動を支え、継続していくか、そういった課題もあるかと思います。市としても、皆様方の活動の重要性を受け止めて、こういった活動をどんどん今後に繋いでいくためにも、市としてできることをきちんと考えていきたいと思います。
本日は本当にありがとうございました。大変勉強になりました。
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