予算質疑から 令和3年度横浜市予算議案と予算関連議案について、各会派を代表して12人の議員から「予算代表質疑」と「予算関連質疑」が行われました。その中から、24項目を抜粋して掲載します。 【自民党】10問 ●脱炭素化で世界をリードするSDGs未来都市・横浜の挑戦 ●再生可能エネルギーの普及拡大に向けて ●ゼロカーボン ●機動的な組織 ●デジタル化の推進 ●公共施設の保全・更新 ●長期財政課題 ●文化芸術を通じた次世代育成 ●新型コロナウイルス感染症への対応 ●連続立体交差事業の推進 【立民フ】6問 ●社会経済情勢の変化及び将来展望を踏まえた政策立案 ●男女共同参画行動計画 ●風水害時の避難行動と要援護者支援 ●IR(統合型リゾート)事業 ●中学校給食 ●教職員の確保 【公明党】4問 ●地域交通施策 ●食品ロス削減 ●中学校給食 ●GIGAスクール 【共産党】3問 ●大規模事業の見直し ●新型コロナウイルス感染症対策 ●中学校給食 【井上さ】1問 ●IRカジノ計画 環境 脱炭素化で世界をリードするSDGs 未来都市・横浜の挑戦 自民党 (問) 環境と経済の好循環、成長し続ける大都市モデルを、SDGs未来都市・横浜で実現することが、市内経済のみならず、日本経済全体としても重要であると考えます。新たな経済成長につながる脱炭素化を強力に推進すべきと考えますが、いかがですか。 (答) 令和2年10月の菅総理の「脱炭素宣言」以降、国や産業界のグリーン成長に向けた取組が一気に加速しています。この機を逃すことなく、大都市横浜として更なる成長につなげるため、臨海部の産業集積やグローバル企業の研究開発拠点との連携など、オール横浜で、様々な分野の脱炭素イノベーションを創出し、横浜のみならず、日本の経済成長をけん引します。 環境 再生可能エネルギーの普及拡大に向けて 自民党 (問) 自治会館、町内会館などに再エネ設備を導入することによって、市民に対する再エネの見える化が促進されることや、非常時の防災電源として活用することも可能なため、環境・防災の両側面として取り組むべきと考えます。市域全体への再エネ設備の拡大に向けた意気込みについて、うかがいます。 (答) 温暖化対策だけでなく、防災力向上の観点からも、市民の皆様の再エネ設備に対する関心が非常に高まっています。このため、価格低下の効果がある共同購入の呼びかけや、市内事業者による地域の防災力向上に資する再エネ設備の導入に対する補助などにより、拡大を支援していきます。 環境 ゼロカーボン 自民党 (問) 焼却場の建て替えは1000億円近い投資案件です。工場の再整備を契機に横浜市が脱温暖化政策を前進させる良い機会になります。市はゼロカーボン市区町村協議会会長都市として、保土ケ谷工場の再整備を、2050年ゼロカーボン実現のために中核的事業にすべきと思いますが、いかがですか。 (答) この事業は、市民生活に不可欠な基盤施設の更新であるとともに、本市のCO2削減や、国が掲げる「2050カーボンニュートラル」に大きく貢献する、非常に重要な事業です。ごみの焼却から創出される再生可能エネルギーの地産地消の推進など、本市の脱炭素化を先導する中核的な事業として、多角的に検討を進めていきます。あわせて、環境と経済の好循環を促進する視点で取り組むことで、日本のグリーン戦略を強力にけん引します。 政策 社会経済情勢の変化及び将来展望を踏まえた政策立案 立民フ (問) 人口減少、高齢化の進展に伴い、持続可能な形で市民サービスや生活基盤を守るための対応を迫られています。市の財政状況はより厳しくなり、既存の施策からの方向転換が必要であると思います。社会経済情勢の変化を踏まえた、今後の政策課題についてどのように認識しているか、うかがいます。 (答) 例えば、様々な分野での担い手不足、公共施設の老朽化、脱炭素化や多発する自然災害への対応、郊外住宅地の人口減少や高齢化の進行、地域における移動手段の確保、長期的な税収の減少や社会保障経費の増大などの課題を認識しています。これらに加え、新型コロナウイルスの影響による市内経済の悪化やデジタル化への対応、東京に集中してきた人や投資の本市への呼び込みといった、新たな課題が生まれています。今後も社会情勢の変化をしっかりと見極め、対応していきます。 政策 男女共同参画行動計画 立民フ (問) 次期男女共同参画行動計画の令和3年度から5年間は、男女の働き方や暮らし方に関して大きな変革を起こし得る大変重要な5年になると考えています。第5次男女共同参画行動計画の5年間で、どのような都市を目指していくのか、うかがいます。 (答) 新型コロナウイルス感染症は、私たちの社会に様々な影響を与えています。テレワークなど就労の在り方、仕事と生活のバランスに対する意識の変化など、多様性を認める社会の実現につながる動きがでています。また、選択的夫婦別姓制度を巡り、様々な議論も行われました。こうした動きをしっかりと捉えて、市民の皆様やNPO、企業の皆様とともに社会全体の機運醸成につなげ、誰もが多様な生き方を実現できる都市を目指していきます。 交通 地域交通施策 公明党 (問) 多様な輸送資源を導入し、持続可能なものとするためには、既存の交通サービスの成り立ちや歴史的経緯、各種法制度、行政、事業者、利用者の費用負担のあり方など、乗り越えるべきハードルは非常に高いと思います。市域の輸送資源を総動員した地域交通施策の決意について、うかがいます。 (答) 地域交通の根幹となる路線バスだけでなく、地域の多様な輸送資源を総動員した移動サービスの実現に向け、これまでよりも踏み込んだ取組が必要と考えています。横浜の持続的な成長につながる布石となるよう、地域の皆様をはじめ、交通事業者や企業の方々などと連携しながら、全庁一丸となって力強くチャレンジしていきます。 政策 機動的な組織 自民党 (問) 行政が取り組む課題は多岐にわたり、事案によっては民間企業のほうが向いている場合もあり、民間活力をうまく活用すべきです。市も公益性がある事業には公益資本主義の精神を有した民間企業と共に共同事業をすることも検討すべきと考えますが、いかがですか。 (答) 社会課題が複雑化、多様化する中で、公益の増進と企業の成長を同時に達成し、課題を解決していく意義が益々高まっています。市が共同事業を検討する場合、分野の選択や効果とリスクの見極めが必要となりますが、「新しい公共」を担う民間の皆様と連携しながら、課題を克服し、都市の発展に結びつけていきます。 政策 デジタル化の推進 自民党 (問) 菅政権が目指すデジタル化は、先端技術を取り入れて社会全体をデジタル化し、便利で効率的な社会を実現していくものです。この度、デジタル統括本部が司令塔になり、市のデジタル化を強力に推進していくとのことですが、デジタル化の推進に向けた意気込みについて、うかがいます。 (答) 新型コロナウイルスを契機に、国全体でデジタル社会を構築していく中で、市民生活に身近な自治体の役割は非常に重要です。そこで、市では、来年度設置するデジタル統括本部を中心に、国が策定した「デジタル・ガバメント実行計画」を踏まえながら、デジタル化による市民サービスの向上と業務の効率化に、スピード感を持って取り組んでいきます。 政策 大規模事業の見直し 共産党 (問) IR、新たな劇場整備、リニア新幹線の残土を受け入れる新本牧ふ頭建設、グローバル企業の就業者を支援する横浜駅きた西口鶴屋地区再開発ビル、運河を埋め立てての東高島駅北地区土地区画整理事業などの事業は、コロナ禍前の右肩上がりの経済成長を前提にした計画になっています。この点で抜本的な見直しが必要だと思いますが、いかがですか。 (答) 基礎自治体として、福祉、医療、教育、防災など、市民生活に密着した施策を安定的に行っていくには、将来にわたる横浜の成長・発展につながる取組により、市内経済を活性化し、財政基盤を強化していくことも必要です。厳しい財政状況の中でも、市政全体を見渡し、バランス良く施策を進めることが必要であると考えています。 公共施設 公共施設の保全・更新 自民党 (問) 新年度予算案では、新型コロナ禍において税収減が予想される中でも、暮らし・経済対策事業費を積極的に計上していますが、同時に、市民生活を支える公共施設の充実や修繕・更新など、ベースとなる事業も確実に実施する必要があります。コロナ禍にあっても公共施設の着実な保全・更新を進めるべきと考えますが、いかがですか。 (答) インフラや学校・市民利用施設等の公共施設は、安全・安心な市民生活や経済活動を支える重要な基盤です。コロナ禍においてもこの役割をしっかり果たしていくため、引き続き、必要な施設整備や保全・更新を効果的に進めていきます。 財政 長期財政課題 自民党 (問) 市の長期財政推計を見ると、2050年には財政収支のマイナスは2000億円を突破します。2000億円と言えば、令和2年度の予算の政策的な事業費の額と一致します。新規事業も含めて真水で使える予算がないという状況です。将来の厳しい予測に対する見解について、うかがいます。 (答) これまでは、厳しい中でも、基礎自治体としての役割や将来に向けた投資に必要な予算の確保に向けて、緩やかな税収増や計画的な市債活用に加え、基金などの臨時的な財源も活用することで収支を合わせてきました。今後一層厳しさが増す将来を見据えると、持続可能な市政運営を実現するための骨太の財政運営の方針について、検討していく必要があると考えています。