予算質疑から 令和6年度横浜市予算議案と予算関連議案について、各会派を代表して17人の議員から「予算代表質疑」と「予算関連質疑」が行われました。その中から、24項目を抜粋してお伝えします。 【自民党】10問 ●令和6年度予算案 ●市長と職員のコミュニケーション ●令和6年度の市政運営 ●令和6年度の国際政策 ●子供・子育て支援 ●地域療育センターの拡充策 ●介護人材の確保 ●GREEN×EXPO 2027 ●GREEN×EXPO 2027 ●災害に強いまちづくり 【公明党】4問 ●出産費用助成事業 ●終活支援 ●障害のある方への支援 ●特別支援教育 【立憲党】4問 ●行政手続オンライン化 ●困難を抱える女性への支援 ●地震防災対策 ●中学校給食 【維新会】2問 ●防災対策の新たな取組 ●能登半島地震の発生を受けての震災対策 【共産党】1問 ●市長の社会保障の考え方 【民主フ】1問 ●上瀬谷地区における災害時大規模避難施設としての活用 【太田】1問 ●横浜みどり税の廃止 【井上さ】1問 ●国際園芸博覧会(花博)と上瀬谷開発 政策 行政手続オンライン化 立憲党 (問) デジタルを活用し、誰もが手続きしやすい環境を整備することが必要です。一方で、デジタル化はあくまで手段であり、それ自体が目的となることは望ましくありません。デジタル化推進の先にどのような行政サービス提供の姿を目指しているのか、伺います。デジタル化の真の目的は市民サービスの質の向上にあることを、市役所全体で意識しながら取組を推進するよう要望します。 (答) 手続のオンライン化は、市民の利便性を向上させるとともに、事務処理の効率化を図り、これまで職員が作業に費やしていた時間を短縮する取組です。その上で、現場で生み出された余力を活用して、対面での説明や対応が必要な人へ、きめ細やかで温もりのある行政サービスをお届けしたいと思います。 政策 令和6年度予算案 自民党 (問) 令和6年度は中期計画の折り返しです。子育てや脱炭素をはじめとした様々な目標を達成するため、より積極的に、各施策を力強く推進することが必要です。同時に、財政の健全性維持とも両立させ、将来世代にわたって市が発展していく、持続可能な市政運営が求められています。令和6年度予算案の特徴について伺います。 (答) 中期計画の実現に向けて、「市民の安全・安心」や「子育て世代の実感できるゆとり」「脱炭素化の早期実現」などの五つの視点のもと、データに基づいて企画立案し、必要な取組を推進する予算案としました。また、「創造・転換」による歳出改革や、計画的な市債活用、減債基金の臨時的な活用の縮減にも取り組むなど、財政の持続性も引き続き確保しています。 政策 市長と職員のコミュニケーション 自民党 (問) 市長は「職員と議論を重ねて予算編成をした」と言いますが、市長室に入れる職員が限られている中、多くの職員とコミュニケーションを取ったとは思えません。職員を信頼し、議論した上で予算案を作ったのでしょうか。 (答) 市役所には4万人を超える職員がおり、局・部長級である経営責任職は400人以上、課長は1,000人以上います。彼らの人件費、時間的なコスト、そういったものを効率的に使う一方で、速やかにスピード感を持って、市民目線を持った政策を展開するために、現在、経営責任職とともに熱のこもった議論をしています。決して市長室は閉ざされた空間ではありません。各経営責任職は、その部下として多くの課長、係長、職員をマネジメントしています。職員と議論を重ねて、一体となって市政運営を行っているところです。 政策 困難を抱える女性への支援 立憲党 (問) 困難女性支援法の基本的理念は、女性への福祉だけでなく、人権の尊重を図り、男女平等な社会を実現することです。困難な問題を抱える女性を総合的に支援するためにも、今後策定される第6次横浜市男女共同参画行動計画に、困難女性支援法の基本計画を盛り込むべきです。一人でも多くの人に支援を届けられるように計画が策定されることを期待します。 (答) 男女共同参画の基本理念では、誰もが安全で安心して生き生きと暮らせる社会の実現を掲げていて、困難女性支援法についても方向性は同じです。女性を巡る課題は多様化・複雑化・複合化していることから、総合的に施策を推進すべきと考えますので、第6次計画の中に、困難女性支援法の基本計画を位置付けて策定を進めていきます。 福祉 市長の社会保障の考え方 共産党 (問) 歳を重ねても安心して住み続けられることは、とても大事な施策です。地方自治法第1条では、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることが基本だと定められています。また、税制や財政の役割は、社会保障や教育をはじめ、国民の暮らしを守ること、格差の是正を図ることなどだと考えます。社会保障への市長の考え方について伺います。 (答) 医療、子育て、介護、障害などのいわゆる社会保障は、国の制度を基本に、市民に最も身近な基礎自治体が取り組むべき重要な施策であると認識しています。令和6年度予算案でも、誰もが安心して豊かな暮らしを送ることができるよう、これら社会保障にかかる必要な経費は、直近の動向も踏まえ確保していて、引き続き、基礎自治体としての役割を果たしていきます。 政策 令和6年度の市政運営 自民党 (問) 歴代市長は、都市経営や自治体経営といった視点で市政運営を行ってきました。山中市長も、令和6年度予算案で持続可能な市政運営に向けて、現在の政策局を政策経営局に変えて全庁的な司令塔と位置付け、データに基づく戦略的な都市経営に取り組むと強調しています。市長が考える「経営」とは何でしょうか。 (答) 様々な社会課題に的確に対応し、市民が安心・安全に暮らせるまち、市内外の人にとって魅力的なまちを目指し、都市を持続的に発展させ、価値を高めていくこと、そのために、市民目線、データ活用を重視し、「予算編成・施策立案から執行、決算・評価」の流れの中で、経営資源を効果的に活用し、機動的かつ熱意をもって市政を運営することが「経営」だと考えています。 防災 地震防災対策 立憲党 (問) 能登半島地震では、断水の影響もあって避難生活のさらなる長期化が懸念されます。国と石川県が2次避難所などを開設していますが、様々な事情で避難が進まないと聞きます。29年前の阪神・淡路大震災から変わらない避難所の状況を見て、市でも避難所の生活は厳しいものになるのではと懸念しています。生活環境の改善に向けた対策を講じる必要があると考えます。 (答) これまで、衛生環境の向上や感染症への対応、プライバシー対策を行ってきました。令和6年度は、乳幼児の授乳環境を改善するとともに、能登半島地震で課題となった寒さに対応するため、全拠点のアルミブランケットを一斉更新します。今後、避難所の生活環境も含め、長期的な避難生活への対応について検討していきます。 防災 防災対策の新たな取組 維新会 (問) 東日本大震災の際は停電により電気自動車が使えず、ガソリンスタンドには長蛇の列ができました。複合的なエネルギーで動く車両などを公用車として各区が持つことで、停電時にも車を使うことができます。電気自動車を増やすことは大切だと思いますが、災害時に備え、電気以外のエネルギーで動く車両を各区で保有すべきと考えます。 (答) 単一の燃料やエネルギーに依存しないことは、災害時のリスク管理として大事な視点です。市が導入を進めている次世代自動車は、水素を燃料とする燃料電池車や、電気とガソリンを併用するプラグインハイブリッド車など、電気以外で走行できる車両も対象としています。Zero Carbon Yokohama と災害対応が両立できるよう、今後の車両調達を進めていきます。 防災 上瀬谷地区における災害時大規模避難施設としての活用 民主フ (問) 能登半島地震での仮設住宅の不足や断水の状況を踏まえ、市でも事前検証が必要です。上瀬谷地区では、国際園芸博覧会の開催後、大規模災害時に他の自治体等からの応援を受け入れる広域応援活動拠点を整備するとされています。平坦で広大な土地は防災拠点に適し、近くに浄水場もあり水の確保も容易です。こうした利点を生かし、災害時に被災した市民を受け入れる大規模避難施設の設置も想定し、土地の活用方法を検討すべきです。 (答) 発災直後の人命救助を優先するため、公園が整備される地区では、応援部隊の円滑な受入れ、宿営等に必要なベースキャンプ機能や、物資の拠点機能の整備を想定しています。また、観光・賑わい地区において、帰宅困難者一時滞在施設としての機能等について、検討していきます。 財政 横浜みどり税の廃止 太田 (問) 普通に生活をしていても、納税が大変だと感じる市民が大勢いることを考えてください。横浜みどり税について、創設当時の市長は「5年限りで止める」と言っていましたが、現在も続いています。法律による税ではなく、「みどり税」というものを課税しているのは横浜だけです。横浜みどり税は廃止してほしいと思います。 (答) 現在、市の財政は厳しい状況ですが、緑の取組は社会情勢や財政の状況に左右されずに継続的に取り組んでいく必要があります。その安定的な財源として、横浜みどり税は必要だと考えています。昨年12月に、横浜みどり税の延長が議決された際の附帯意見を踏まえ、財政ビジョン及び行政運営の基本方針に基づく行財政改革を、一層推進していきます。 国際 令和6年度の国際政策 自民党 (問) 第9回アフリカ開発会議(TICAD9)が、令和7年に横浜で開催されます。過去3回の開催経験を踏まえ、開催都市として会議の成功を目指すとともに、市内の経済団体などとも連携して市内経済の活性化につなげてほしいと考えます。市が国際政策を進めていく上でも、TICADを再び開催することの意義は大きいです。TICAD9の横浜開催を通じて目指すものについて伺います。