予算質疑から 平成31年度横浜市予算議案と予算関連議案について、15人の議員から「予算代表質疑」と「予算関連質疑」が行われました。その中から、24項目を抜粋して掲載しています。 【自民党】8問 ●平成31年度予算案 ●2019よこはま自民党政策集 ●人口減少社会における持続可能な都市経営 ●女性が働きやすい都市ヨコハマ ●海外からの介護人材の確保 ●鉄道整備 ●中学校昼食の推進 ●学校の木造化の推進 【民権フ】6問 ●児童虐待対策 ●プラスチック対策の進め方 ●災害対策 ●高速鉄道3号線の延伸 ●綱島駅東口地区のまちづくり ●小・中学校施設の建てかえ 【公明党】4問 ●国際平和の推進と共生社会の実現 ●横浜型地域包括ケアシステム ●内港(ないこう)地区の回遊性向上 ●特別支援教育の推進 【共産党】3問 ●予算編成に貫くべき住民福祉の機関という地方自治体の役割 ●保育所待機児童問題の解決 ●中学校給食の実現 【井上さ】2問 ●ハマ弁 ●学校のアスベスト 【神奈ネ】1問 ●外国人の受け入れ環境整備及び外国人人口増加等を踏まえた生活支援体制 財政 平成31年度予算案 自民党 (問) 31年度予算は、人口減少社会の到来・超高齢化社会の進展に向き合いながらも、横浜の活力を将来にわたり生み出していくための重要な予算となります。都市の持続的な発展には経済成長が欠かせません。施政方針演説で林市長は、夢と希望を感じられる横浜を実現する、横浜を生き生きと活躍させると決意を述べました。我々も林市長と同じ思いです。そこで、31年度予算の基本的な考え方について、うかがいます。 (答) ラグビーワールドカップ等の国際的行事、横浜港の世界的なクルーズポートとしての飛躍を大きなチャンスとして生かしていきます。そして、その先を見据え、持続的な成長への確かな道筋をつくる予算としました。あわせて、身近な暮らしの課題にきめ細やかに向き合い、市民生活の安全と安心などを着実に推進し、中期4か年計画の目標達成につなげていきます。 政策 2019よこはま自民党政策集 自民党 (問) 4月の統一地方選挙に向け、新たなマニフェストとなる「2019よこはま自民党 責任と約束」を発表しました。今回は、『「SDGs(※)未来都市」ヨコハマを実現する政策』と副題をつけ、SDGsの先進都市として横浜の取組を議会からさらに加速できないかという視点で60の政策をお示ししました。そこで、「2019よこはま自民党政策集」に対する所感を、うかがいます。 (答) 横浜の将来を見据え、地域の課題解決を目指すための政策発信は、大変意義深いものと考えています。昨年、議会の議決をいただいた中期4か年計画は、まさに「あらゆる施策においてSDGsを意識して取り組む」ことを基本姿勢としています。今回の政策は、SDGs未来都市の実現を大きく後押ししていただくものと受け止めています。 用語解説 SDGs(エスディージーズ) (文中の(※)で表示) 2030年に向けた国際社会全体の行動計画である「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて掲げられた目標。169の関連ターゲットを伴う17のゴールから構成され、「誰一人として取り残さない」ことを基本理念としている。 政策 人口減少社会における持続可能な都市経営 自民党 (問) 市の将来人口推計では、2030年には約366万人に減ることが見込まれ、15歳から64歳までの生産年齢人口の減少により、税収の減少も懸念されます。財政見通しでは、扶助費や医療・介護にかかわる義務的な繰出金などが増加することにより、今後も収支不足が見込まれるため、不断の行財政改革などによる経費縮減、財政確保などを徹底し、施策の選択と集中などに今まで以上に取り組まなければなりません。そこで、持続可能な都市経営にどのように取り組んでいくのか、うかがいます。 (答) まず、企業活動の活性化、市内企業の成長や発展を力強く支援します。文化芸術や観光振興などで、更なる活力を呼び込むことにより、財政基盤を強化させます。さらに、子育て支援、教育、女性、シニア、若者の活躍支援など、横浜の未来を創る、あらゆる人への投資に一層力を入れ、都市の持続的な成長に結び付けていきます。また、在住外国人の活躍も含め、あらゆる人々が共生していく社会を力強く推進していくことも人口減少社会の一助となると思っておりますので、しっかりと取り組んでいきます。 男女共同参画 女性が働きやすい都市ヨコハマ 自民党 (問) ここ数年で女性活躍推進法や働き方改革関連法などの女性の活躍を後押しする動きが進んでいます。女性活躍推進法については、法施行3年目の見直しが進められる中で、中小企業に対しても法改正が見込まれると聞いています。そこで、女性活躍推進法の見直しに向けたさらなる中小企業支援の取組について、うかがいます。 (答) 女性活躍推進法3年目の見直しの中で、事業主行動計画の策定義務の対象を、301人以上から101人以上の企業に拡大することが見込まれています。そのため、新たな取組として、101人以上の中小企業に対して、法改正等の情報提供と、行動計画策定に向けた個別の支援を行います。今後も、より一層女性活躍の取組が推進されるよう、市内中小企業を支援していきます。 税金 予算編成に貫くべき住民福祉の機関という地方自治体の役割 共産党 (問) 家計消費も実質賃金もマイナスであるという結果が出ています。地元の中小企業の社長や商店街、区医師会の先生などに消費税増税について聞いたところ、どの業種の方々からも増税は中止してほしいとの声が寄せられます。市内の中小企業や商店街を応援するためにも、国に対し増税中止を求める考えはないか、うかがいます。 (答) 今後ますます少子高齢化が進む中で、福祉・保健・医療サービスに対するニーズが増大するとともに、子育てや教育にかかる費用への支援が求められています。反動減対策などを実施し、経済への影響を緩和した上で、あらゆる世代の皆様が安心できる社会保障制度へと転換していくために、消費税率の引き上げは必要です。 多文化共生 国際平和の推進と共生社会の実現 公明党 (問) 入管法改正に伴う31年4月からの外国人材の受入拡大を、地域における日本人と外国人とが相互理解を深めていく好機と捉え、多文化共生社会を実現していかなければなりません。開港以来、外国人を受け入れ、成長、発展し続けてきた歴史に裏づけられた、外国人との共生にかかわる市の先駆的な施策は、我が国のナショナルスタンダードになる可能性を有しており、今後、国と連携して取組を進めてもらいたいと考えます。そこで、市の果たすべき役割について、うかがいます。 (答) 横浜市は、全国の市区町村で外国人人口が2番目に多く、長年にわたる外国人支援の経験を有しています。地域における実情やニーズについて、国の制度作りに反映できるよう、国へしっかりと伝えていきます。また、国と連携して、外国人材の受入環境の整備を着実に進め、外国人と地域社会が共に暮らしやすいまちづくりにおいて、全国の取組をリードしていきます。 子育て 児童虐待対策 民権フ (問) 東京都目黒区の5歳女児死亡や千葉県野田市の小4女児死亡のような事件が起きるたびに強く批判されるのが、児童相談所の対応です。市の中央児童相談所を視察しましたが、子供の安全確保を最優先として迅速、適切に対応しなければならず、長時間労働となり、職場としては非常に厳しい環境にあることを実感しました。今年2月の政府の関係閣僚会議では、2019年度に前倒しで児童福祉司(※)を約1,070名増員することを表明しましたが、市児童相談所の31年度の児童福祉司の増員をどのように進めるのか、うかがいます。 (答) 虐待により、かけがえのない子供の命が失われることは、大変痛ましく、残念でなりません。児童虐待対応の最前線を担う児童福祉司の体制を積極的に強化していきます。31年度は、児童福祉法が定める配置基準を5人上回る、21人を増員します。 用語解説 児童福祉司 (文中の(※)で表示) 児童の福祉に関する事務をつかさどる職員。 子育て 保育所待機児童問題の解決 共産党 (問) 待機児童問題を解消するためには3つの視点が必要だと思います。ニーズに合わせた認可園の増設、保育士の抜本的な処遇の改善、現行の保育士の配置基準の引上げ、この3つが伴わなければ待機児童問題を解消することはできません。今までの保留児童(※)数の推移を鑑みて、保育ニーズ見込みの見直しをして、保留児童を減らすような施設整備に取り組むべきだと思いますが、いかがですか。 (答) 保育ニーズの見込みは5年に一度、ニーズ調査に基づき算出しています。保留児童のなかには、横浜保育室や一時保育の利用者など、様々な状況の方がいます。コンシェルジュが、保護者の状況をきめ細かくお聞きし、適切な保育施設をご案内するなど、一人でも多くの方が利用できるようにすることが大切と考えています。 用語解説 保留児童 (文中の(※)で表示) 保育所等に利用申込みをした結果、定員超過等により入所できなかった児童のことをいう。なお、待機児童とは、保留児童のうち、国の「調査要領」に基づき、待機児童に含めないとされている項目(横浜保育室等に入所した児童等)に当てはまる方を除いた児童のことをいう。 福祉 海外からの介護人材の確保 自民党 (問) 市では、昨年ベトナムの各都市と覚書を締結するなど海外からの介護人材の受入れに向けた取組を進めてきましたが、今後、様々な自治体が介護人材の確保に向けた取組を進めれば、限られた人材をめぐりさらに厳しい状況を迎えることになると心配しています。そこで、海外からの介護人材の確保に向けた意気込みについて、うかがいます。 (答) 29年9月に私がベトナムを訪問した際、トップセールスを行い、3都市5大学等との協定締結にいたりました。31年度は、市独自の支援策を充実させ、外国の方が介護職員として活躍できるよう取り組んでいきます。さらに、指定都市市長会のプロジェクトでも、在住外国人への生活支援策の拡充などを国に提言していきます。今後も介護人材の確保をしっかりと進めていきます。 福祉 外国人の受け入れ環境整備及び外国人人口増加等を踏まえた生活支援体制 神奈ネ (問) 介護人材の不足は、その原因が介護職の処遇にあることは明らかです。報酬改善、働きやすさ、仕事そのものの魅力向上は、介護人材の確保には必須です。遅々として進まない国の処遇改善を待つのではなく、積極的な改善策を横浜から打ち出し、変えていくことを提案します。いきなり外国人材に助けを求めるのではなく、自治体の個性を発揮して報酬に切り込んだ処遇改善に当たるべきと考えますが、いかがですか。 (答) 市においては、独自に住居費の補助による処遇の改善に取り組んでいます。これまでも国に対し、介護職員の処遇を改善するように要望してきました。31年10月には国において新たな処遇改善制度が創設され、2,000億円分の介護報酬が引き上げられる見込みです。引き続き、国の制度を基本として処遇改善を進めます。 医療 横浜型地域包括ケアシステム 公明党 (問) 今後ますます進展する超高齢社会において、最後に望む医療やケアの考え方も一層多様化していくものと考えます。しかし、人生の最後の場面では、認知症や病気の進行などによって自分の希望を伝えることのできないことも多くあるのではないかと思います。市でも、医療・ケアについての「もしも手帳(※)」を作成し、今年1月から配布されていますが、「もしも手帳」を作成する意義及び今後の展開について、うかがいます。 (答) 「もしも手帳」を手にしていただくことで、人生の最終段階のことを「自分ごと」として考え、ご家族等と話し合うきっかけになることを意図しました。今後、65歳を迎えられる全ての市民の皆様に配布をするなど、普及・啓発に努めます。元気なうちから人生の最終段階について話し合うことが当たり前となる社会の実現を目指します。 用語解説 もしも手帳 (文中の(※)で表示) 「人生の最終段階」での医療やケアについて、元気なうちから考えるきっかけとなり、家族等の信頼のおける人と話す際の手助けとなることを目的とした啓発ツール。