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第十話:まゆ買いのおとらさん

最終更新日 2019年3月7日

「まゆ買いのおとらさん」の民話のイラスト

 瀬谷は、昭和の始めごろまで、たいへんお蚕(かいこ)さんのさかんなところでした。この当時は乗り物はなく、人々はどんな遠い所にも歩いて行きました。まゆ買いの商人は、八王子、町田方面からも瀬谷にやってきました。
 瀬谷のおとらさんも、まゆ買いの一人でした。おとらさんの買うのは「ぐちゃまゆ」といわれる「くずまゆ」です。働き者で明るいおとらさんは、寒い時でもはだしで、せっせとまゆ買いに走りまわっては、くずまゆで地織(じおり)など織ってくらしていました。おとらさんはまゆ買いに行った先ざきで、お茶をよばれながら村人たちと世間ばなしをするのが大好きでした。
こんなおとらさんも、いつとなく足や腰が痛み出してまゆ買いも思うようにできなくなりました。
「なんとかこの痛みが治らないもんかなぁ。」
「この痛みさえとれればなぁ。」
と人々に話していました。すると、一人のもの知りが
「八柵(はっさく)に住む祈とう師の所に行って見てもらったら。」
と教えてくれました。
 おとらさんは、さっそく八柵へ行って見ることにしました。一口に八柵といっても山や峠をいくつも越えて歩いていかなければなりません。おとらさんは真っ暗なうちに家を出て、やっとの思いで八柵にたどり着きました。だが、祈とう師の家はまだ雨戸がしまっていてだれ一人起きていません。庭に入って行くと暗がりのなかで、目玉みたいなものがいくつも光り、こちらをじっとにらみつけ、今にも飛びかかってきそうな様子です。
 おとらさんはびっくり仰天しました。これは大変、狐(きつね)にでも取りつかれてはたまらないと、持って行った手土産を放り出して一目散(いちもくさん)に家にとんで帰ってきてしまいました。
 家に着いてほっとしたおとらさんは、ふと気がつきました。
「ふしぎだ、今まであんなに足腰が痛んで夜もろくにねむることもできなかったのに。」そうです、いつのまにか足も腰も痛みがすっかりとれていたのです。
 おとらさんは、またまゆ買いに出かけるようになり、行った先々で
「八柵の祈とう師はえらいもんだ、どこも見なくて足腰の痛みをなおしてくれたよ。ふしぎなものだ。」
と話すのでした。


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