魔の池の竜神
最終更新日 2019年1月21日
ここで紹介している内容は、現在とは異なる場合がありますのでご注意ください。
49.魔の池の竜神(西戸部町3丁目280の10付近)
いつ頃からかは定かでないが、ひそかに「魔の池」と呼ばれた大きな池が大正9(1920)年まであった。鬱蒼たる木立の間に満々と水をたたえた不気味さが、さまざまな怖い伝説を生んだ。
この池の主は白い蛇で、年老いて竜に変化(へんげ)したと云われるが、大正9年9月30日、大嵐の夜半にこの池が決潰し19人もの犠牲者が出る大惨事となり、それを機に埋め立てられた。
その竜神を祀ったのがこの小さな祠だが、妙行尼という女行者がずっと堂守をしてきた。後にこれも尼さんが引き継いだが、いつの間にか姿を消した。今は池とは名ばかりの水溜まりを抱くように、こわれかけた鳥居の奥に建っているのが痛ましい。
文・絵 長谷川 泰(西区文化協会 騎虎の会主宰)