【表紙】 みんなのよこはま水辺ビジョン~大岡川水系下流域~(素案) 横浜市 【目次】 本編 01_はじめに はじめに P03 水辺ビジョン策定の目的 P04 対象エリア P06 水辺ビジョンと既存計画の関係 P08 02_水辺の特徴 水辺の特徴 P09 コラム:大岡川川の駅運営委員会 P12 コラム:よこはま運河チャレンジ P13 03_水辺ビジョン 水辺ビジョン P14 みんなで連携して取り組むための基本姿勢 P15 目指す水辺の姿 P16 目指す水辺の姿(イメージ鳥瞰図) P23 目指す水辺の姿(イメージ断面図) P24 04_水辺ビジョンの実現に向けて 取組を推進するための体制づくり P26 取組を推進するための制度活用 P28 水辺ビジョンの実現により期待される効果 P29 05_おわりに おわりに P30 資料編 01_水辺の歴史 江戸時代 P32 明治時代~戦前 P32 戦中~戦後 P33 高度経済成長期 P33 02_親水施設 ① 大岡川夢ロード(右岸) P34 ② 大岡川夢ロード(左岸) P35 ③ 横浜日ノ出桟橋 P36 ④ 大岡川桜桟橋 P37 ⑤ ふれあいアクアパーク P38 ⑥ 堀割川いそご桟橋 P39 ⑦ 石川町フェリーチェ桟橋 P40 ⑧ 元町・中華街桟橋(仮称・整備中) P40 【3ページ】 はじめに  横浜の都心臨海部を流れる大岡川、中村川・堀川、堀割川は、江戸時代から明治時代にかけて形作られた人工の河川です。これらの河川は、内海を埋め立てた新田開発から始まり、開港による繁栄、震災や戦災による荒廃、輸送システムの変化による都市構造の転換など、都市がたどった歴史的な変化のなかでその姿や役割を変えながら、今日もまちを流れています。  これらの河川を愛し、楽しみ、育んできた人たちと、この水辺に魅力を感じ新たな風を吹き込んでくれる人たち、みんなで水辺のみらいをつくっていく-その思いをかたちにするために水辺のビジョンをつくります。 写真_エリア内の水辺の魅力を伝える写真 【4ページ】 水辺ビジョン策定の目的  2000年(平成12年)に神奈川県と横浜市は大岡川水系の下流域を対象とした「大岡川河川再生計画」を策定し、「きれいになりつつある水質を活かし沿川地域と一体的に行う地域の歴史・文化・生活と密接に結びついた大岡川の環境の整備と管理」を基本理念に掲げ、主に水辺の施設整備計画を定めました。この計画に基づき、多目的桟橋や親水施設、水辺の遊歩道といった水辺のハード整備が順次進められてきています。さらに、2009年(平成21年)には大岡川河川再生計画の事業等を「かわまちづくり計画」に 位置付け、計画を推進してきました。  水辺のハード整備の進展に伴い、「よこはま運河チャレンジ」などの水辺を舞台にしたイベントや、SUPやカヌーなどの水上アクティビティが盛んに実施されるようになり、新たな水辺の風景として定着してきました。また、多目的桟橋や親水施設の管理・利用調整の実施や、動力船と非動力船が安全に共存するための航行ガイドの策定など、便利で安全な水辺活用のための仕組みやルールづくりも進められてきました。こうした水辺のソフトの取組は、地域や事業者が主体となり行政と連携しながら進められています。  この間、国では、都市再生特別措置法や河川敷地占用許可準則などにおいて、官民連携や規制緩和によって都市再生を促進する制度が整備してきました。  これまでのハード・ソフト両面の蓄積を基に、新たな制度を活用しながら、エリアで一体的に水辺活用の取組を推進し、横浜のこの場所にしかない魅力資源を活かしてエリア全体を活性化させていくために「よこはま水辺ビジョン~大岡川水系下流域~」(以下「水辺ビジョン」という。)を策定します。本ビジョンを通して、連携して活動に取り組む地域・事業者・行政で方向性を共有するとともに、活動を広く発信していきます。 【5ページ】 年表 行政計画 2000 大岡川河川再生計画(県+市) 2009~横浜市地区かわまちづくり計画(市) 2026 水辺ビジョン(市) 水辺の施設整備(ハード) 2004 北仲通地区:大岡川夢ロード完成(県) 2007 黄金町駅周辺地区:大岡川桜桟橋完成(県)周辺道路完成(市) 2010 蒔田公園地区:ふれあいアクアパーク完成(県) 2015 日ノ出町地区:横浜日ノ出桟橋完成(県)周辺道路完成(市) 2020 横浜市役所水辺テラス完成(市) 2022 磯子地区:堀割川いそご桟橋完成(県)ポケットパーク完成(市) 2026 石川町駅周辺地区:石川町フェリーチェ桟橋完成(県)周辺道路完成予定(市)    元町・中華街地区:元町・中華街桟橋(仮称)着工(県) 水辺活用の動き(ソフト) 2007 大岡川川の駅運営委員会設立 2012 Hama Bridge 濱橋会設立/水辺荘設立 2013 横浜SUP倶楽部設立/横浜運河パレード開始(後の運河チャレンジ)/大岡川水上劇場開始/リバークリーン&リバーサイドクリーン開始 2014 大岡川水上劇場開始 2018 横浜SUPマラソン開始 2022~2024 関内・関外地区活性化協議会水辺活用と周辺の賑わいづくりPJ 2024 関内・関外地区水辺活用検討会発足 2025 エリアマネジメント検討部会発足 【6ページ・7ページ】 対象エリア 本ビジョンは、蒔田公園より下流の大岡川、中村川・堀川、堀割川を中心とした範囲を対象エリアとしています。  対象エリアは、歴史的な成立経緯や市民の生活に根差したローカルな魅力が特徴で、沿川には、野毛、吉田町、日ノ出町、黄金町、石川町、元町、中華街など、開港期から戦後にかけて成立した多様な文化を育んできた個性豊かな商業地があり、その周辺には都市型の住宅地が広がっています。  また、大岡川や中村川・堀川が流れ込む港湾エリアには、横浜を代表する観光スポットや商業・エンタメ施設が集積しており、桟橋も複数立地しています。対象エリアの水辺活用の取組を進めるうえでは、こうした港湾エリアの水辺の拠点としっかり連携していくことが重要です。  さらに、羽田空港や富津、三浦半島などの遠方の拠点との交流も進めていきます。 図_対象エリア図 北仲通地区:大岡川夢ロード(2004年完成) ・親水テラス ・階段護岸 ・船舶接岸設備 ・ベンチ 写真_大岡川夢ロード 日ノ出町地区:横浜日ノ出桟橋(2015年完成) ・浮桟橋 ・広場スペース ・ベンチ 写真_横浜日ノ出桟橋 黄金町駅周辺地区:大岡川桜桟橋(2007年完成) ・固定桟橋 写真_大岡川桜桟橋 蒔田公園地区:ふれあいアクアパーク(2010年完成) ・階段護岸 ・広場スペース 写真_ふれあいアクアパーク 磯子地区:堀割川いそご桟橋(2022年完成) ・浮桟橋 ・階段護岸 ・広場スペース 写真_堀割川いそご桟橋 石川町駅周辺地区:石川町フェリーチェ桟橋(2026年完成) 写真_石川町フェリーチェ桟橋 元町・中華街地区:元町・中華街桟橋(仮称)(2026年着工) 写真_元町・中華街桟橋(仮称) 【8ページ】 水辺ビジョンと既存計画の関係 大岡川河川再生計画(2000年)神奈川県+横浜市 ・施設や環境づくり(ハード整備)が中心の計画 ・この計画に基づき、北仲通地区(大岡川夢ロード)、黄金町駅周辺地区(大岡川桜桟橋)、蒔田公園地区(ふれあいアクアパーク)、 日ノ出町地区(横浜日ノ出桟橋)、磯子地区(堀割川いそご桟橋)などの水辺の拠点を整備 横浜市地区かわまちづくり計画(2009年~)横浜市 ・地域の魅力向上に向けた取組を推進するための計画 ・横浜市が河川管理者である神奈川県と連携して作成 ・河川管理者からのソフト施策・ハード施策両面の支援を受けられる 水辺ビジョン(2026年~)横浜市 ・これまで積み重ねてきた水辺のハード・ソフト両面の成果を前提として、水辺の取組を次の段階に押し上げていくために、目指す水辺の姿を描くビジョン ・水辺ビジョンを通して、水辺の取組に携わるみんな(地域、事業者、行政など)で目指す方向性を共有し、水辺の取組を推進するとともに広く発信していく 【9ページ・10ページ・11ページ】 水辺の特徴 河川と海の関係  大岡川下流域と海の間には、堰や水門がないため、船舶が自由に往来することが可能ですが、対象エリアは感潮域にあり、潮位によって橋の桁下のクリアランスや水深が変化するため、航行できる船舶のサイズに制約があります。干満差は最大で2mほどです。 写真_内港から川へと向かうクルーズ(新港橋付近) 河川の形状  大岡川は蒔田公園付近で、みなとみらいエリアへ流れる大岡川と山下埠頭付近へ流れる中村川・堀川に分岐してそれぞれが東京湾へと注いでいます。また、堀割川は久良岐橋・池下橋付近で中村川から分岐し根岸湾へと注いでいます。そのため海から川を通って再び海へと出る周遊航路が可能となっています。 写真_大岡川と中村川の分岐点(蒔田公園付近) 河川の構造  大岡川や中村川、堀川は堀込構造となっており、大部分が垂直なコンクリート護岸で覆われています。まちから水面への視界が遮られないため、身近に川を感じることができる一方で、実際に水に触れられる距離まで近づくことが難しい構造になっています。   堀割川は、大岡川等と同様の堀込構造ですが、関東大震災の復興事業でつくられた石積護岸が残されています。水面と護岸の高低差が比較的小さいという特徴があります。 図_堀込構造の河川の断面概略図 水質  大岡川水系の水質は、高度経済成長期の急激な都市化によって悪化しましたが、その後の下水道整備の進展にともない、現在では大幅に改善しています。現在でも、地域による清掃や水質調査などの地道な活動が継続しています。 治水安全性  1981年(昭和56年)に大岡川上流域と日野川からの洪水を全量カットし根岸湾に流す大岡川分水路が完成してからは、分水路より下流で大きな水害は発生していません。さらに、昨今は、気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化等を踏まえ、神奈川県と横浜市が一体となって、ハード・ソフト両面の防災対策である「大岡川水系流域治水プロジェクト」を推進しています。 写真_大岡川分水路(屛風ケ浦橋から上流方向を見る) 高速道路の高架  中村川・堀川は、その上空を首都高速神奈川3号狩場線がほぼ全川に渡り縦断しています。そのため、河川と周辺地域との視覚的・空間的つながりが損なわれたり、日当たりが悪く暗いなど、デメリットもありますが、反対に、比較的雨の影響を受けずに水面を活用できるなどメリットもあります。 写真_高速道路が架かる堀川(元町・中華街桟橋(仮称)予定地付近から下流方向を見る) 貴重な歴史資産  震災復興橋や階段護岸、クレーンやビットなど、横浜の運河の歴史を伝える遺構が水辺のそこかしこに残っており、まちを特徴づける重要な要素になっています。 写真_震災復興橋の一つである長者橋(1928年(昭和2年)竣工) 活発な市民活動  1980年代、大岡川の分水路整備やプロムナード整備が進む中、川に着目した市民活動が始動しました。1982年(昭和57 年)に都市河川の再生・復権を目指して発足した「よこはまかわを考える会」は、「見る・学ぶ・遊ぶ・知らせる」をモットー に、市民自らが運営を担いながら、「横浜縦断カヌーフェスティバル」や「大岡川のハグロトンボ調査」、「舟で櫓こぎ体験」 など、川を楽しみながら再生を考える活動を展開していきました。  1990年代には「ゆめはま2010プラン」( 横浜市)が、2000年代になると「大岡川河川再生計画」(神奈川県・横浜市)が策定され、プロムナードや桟橋の整備が進みます。2007年(平成19年)に地域の要望を受けて「大岡川桜桟橋」が設置されると、町内会や商店会等で構成される「大岡川川の駅運営委員会」がその日常管理と利用調整を担いました。  2000年代以降、「横浜シーフレンズ」や「HamaBridge濱橋会」、「水辺荘」、「横浜SUP倶楽部」、「夢ロードデッキサポーターズ」などの団体が次々と設立され、水辺の活動がより活発に展開されるようになりました。  2013年(平成25年)には、地域団体や船舶事業者、行政が実行委員会を結成して「運河パレード」を開始しました。その後、「運河パレード」は地域連携を拡充させ「運河チャレンジ」へと発展していきました。  現在では、石川町や元町・中華街で進められている桟橋整備に伴い、地元商店街組織等による活用の検討が進められています。 年表_水辺の市民活動 1970「大岡川分水路」整備開始(-1981) 1980「大岡川プロムナード」整備開始 1981「京都のかわを見る会」設立(「よこはまかわを考える会」の前身組織) 1982「よこはまかわを考える会」 設立/「大岡川夕涼みの会」開催/「横浜縦断カヌーフェスティバル」開始 1983「大岡川クリーンフェスティバル」 開始 1987「横浜市カヌー協会」 設立 1992 横浜縦断カヌーフェスティバル「横浜まちなみ景観賞」受賞 1993「大岡川桜まつり」 開始 1993「ゆめはま2010プラン長期ビジョン」 1994「ゆめはま2010プラン基本計画」 1997「かながわ新総合計画21」 2000「大岡川河川再生計画」 2005「バイバイ作戦」実施 2005「大岡川沿いの接岸施設(現大岡桜桟橋)の設置要望」提出 2005「堀割川魅力づくり実行委員会」設立 2006「南区さくらボランティアの会」設立 2007「大岡川桜桟橋」 整備 2007「川の駅運営委員会」 設立 2008「大岡川水系河川整備基本方針」 2008「ふれあいアクアパーク」 完成 2008「横浜シーフレンズ」設立 2008「大岡川アートプロジェクト」開始 2009「横浜市地区かわまちづくり計画」策定 2012「HamaBridge濱橋会」「, 水辺荘」「, 関内・関外地区活性化協議会」設立 2013「横浜運河パレード」開始 2013「横浜SUP倶楽部」「, 大岡川リバークリーン倶楽部」設立 2014「大岡川水上劇場」開始 2015「横浜新市庁舎デザインコンセプトブック」作成 2015「横浜日ノ出桟橋」完成 2015「川の駅運営委員会」一般社団法人化 2015「大岡川安全航行ガイド」策定 2020「関内・関外地区活性化ビジョン」策定 2020 横浜市役所新市庁舎開庁 【12ページ】 コラム:大岡川川の駅運営委員会~市民の手による地域再生~ 川の駅から広がるまちづくり  「大岡川桜桟橋」や「横浜日ノ出桟橋」などの親水施設を中心に、地域の水辺空間を活用したまちづくりを推進しているのが、一般社団法人大岡川川の駅運営委員会です。桟橋の日常管理や利用調整をはじめとして、地域の環境保全、防災活動、イベント運営などにも取り組んでいます。 地域から生まれた運営委員会  2007年(平成19年)3月の大岡川桜桟橋の竣工に先立ち、神奈川県(旧)横浜治水事務所の承認を受け、施設の維持管理や利用調整を行う組織として地域市民により設立されました。2015年(平成27年)5月の「横浜日ノ出桟橋」の竣工を契機として、同年7月に地域団体・企業・個人が参加する会員制の団体として、一般社団法人大岡川川の駅運営委員会が正式に 発足しました。この流れは、行政と地域が協働して水辺空間を活用するモデルケースとして、横浜の都市再生の一端を担っています。 広がる活動  大岡川川の駅運営委員会では、地域団体や事業者などと連携しながら、以下のような活動を展開しています。 ①河川清掃や水質改善など川の環境改善に向けた取組 ②船を使った物資輸送や炊き出しなどの防災の取組 ③運河チャレンジはじめとする地域イベントの実施・協力 ④「大岡川安全航行ガイド」の策定と周知 大岡川安全航行ガイド シーカヤックやSUPなどの非動力船の航行が活発化するのにともない、非動力船と動力船が安全に共存していくための環境づくりが求められるようになりました。そこで、大岡川川の駅運営委員会が中心となり、実証実験の実施や関係行政機関や関係団体、利用者の意見集約を経て、2015年(平成27年)、親水施設の利用者の自主的な取り決めである「大岡川安全航行ガイド」を作成しました。 写真_水上バイクによる引き波実験 写真_普及啓発活動 図_横浜日ノ出桟橋や大岡川桜桟橋の付近に掲げられている注意喚起の横断幕 【13ページ】 コラム:よこはま運河チャレンジ~水上交通で水辺と周辺のまちの魅力をつなぐ~ 運河チャレンジとは  「よこはま運河チャレンジ」は、横浜の関内・関外地区とベイエリア等を水上交通でつなぎ、港や河川、周辺のまちなどの魅力、歴史・文化を広く発信していくことを目的に、よこはま都心部水上交通実行委員会(地域団体や企業、行政で構成)が実施している実証的な取組です。 運河パレードから運河チャレンジへ  この取組は、2013年(平成25年)に実施された「横浜運河パレード」からスタートしており、当初は船団が運河と海をぐるりと一周するパレードをメインとして、水辺の拠点の周辺のまちで食の市や音楽ライブ等を開催していました。やがて、新たな桟橋設置やその活用の可能性を幅広く探求する「運河チャレンジ」へと発展していきました。 多彩なコンテンツ  運河チャレンジには、食の市や音楽ライブといったコンテンツの他にも、消防による水難救助訓練や、運河の環境教育、水上&陸上の清掃活動、運河の歴史を伝える伝承サインをめぐるスタンプラリー等の多彩なコンテンツが盛り込まれています。 仮設桟橋の設置  運河チャレンジでは、これまで、桟橋整備が見込まれる地点(石川町や元町・中華街など)に仮設桟橋を設置し、実際に乗客を乗せたクルーズを実証することで、実際の桟橋整備の足がかりをつくってきました。これらのクルーズは、水上から普段とは異なる視点で街を眺められる体験として好評を博しました。 写真_運河チャレンジ実施状況 【14ページ】 水辺ビジョン ビジョン:水辺からまちを豊かに 港町横浜の発展を支えてきた河川は、時代とともに役割を変えながら、今もなお、都市部に残る貴重な水辺空間として、まちの骨格であり続けています。 この歴史ある水辺空間の魅力を磨き上げ、新たな価値を創出することで、まちに潤いと賑わいを広げ、エリア全体の活性化につなげていきます。 目指す水辺の姿 癒し・・・自然が息づく心やすらぐ水辺 まち・・・まちにいながら川を感じられる水辺 体験・・・水上で心躍る体験ができる水辺 舟運・・・船に乗ることが身近な水辺 催し・・・週末にでかけたくなる水辺 防災・・・災害時に役立つ水辺 →エリア全体の活性化へ 【15ページ】 みんなで取り組むための基本姿勢 01 多様な主体の参加機会を創出する(ウェルカム) 立場や背景を超えて、「やりたい」と思うことに挑戦できる環境づくりに努め、対話を通じて協働する姿勢を大切にします。 02 まちの歴史と個性を尊重する(ローカリティ) 地域に根ざした歴史を尊重し、それぞれのエリアが持つ固有の魅力を活かしながら、水辺のまちづくりを進めます。 03 チャレンジ精神を大切にする(チャレンジ) 柔軟な発想と挑戦する姿勢を大切にし、実践から得られた学びを活かしながら、取組を着実に前進させていきます。 04 訪れる人や利用する人の目線を大切にする(ユーザー視点) ユーザーが楽しむこと、ワクワクすること、癒されることなどを目指して取り組んでいきます。 05 自然環境を守り、癒しの空間としての水辺を大切にする(環境・リトリート) 水質浄化や清掃活動などを通じて、都市の中の貴重な自然を守り、地域の人々に親しまれるうるおいある癒しの空間を育んでいきます。 06誰もが安全・安心に過ごせる水辺を守る(セーフティー) 安全ルールの策定・共有、マナーの醸成等を図り、安全・安心を第一に取組を進めます。 【16ページ】 目指す水辺の姿「癒し」 自然が息づく心やすらぐ水辺 都市部でありながら、自然を感じつつ散策や休憩などの心やすらぐ時間を過ごせる水辺。 川を渡る風や潮の満ち引き、水生生物、桜をはじめとする川沿いの草木など、四季折々の自然にふれながら、やすらぎと潤いを感じることができる環境を育てます。 実現に受けた取組 ・水辺環境の維持・向上 水辺の清掃活動・緑化活動や河川環境の調査等に取り組むことで、水辺環境の維持・向上に努め、親しみを持てる美しい環境を守ります。 ・水辺の居場所づくり 水辺のプロムナードやベンチ等のファニチャーを整備するなど、水辺で心地よく過ごせる環境を整えます。水辺と道路や公園などの公共空間を一体的に活用した憩いの場づくりに取り組みます。 【17ページ】 目指す水辺の姿「まち」 まちにいながら川を感じられる水辺 川面に映る光や川風を感じたり、ライトアップされた橋を眺めながら、カフェやレストランなどの沿川の施設で楽しいひとときを過ごせる水辺。 人々の営みがまちから水辺へと広がることで、新たな社会的・文化的価値を持つ水辺空間がかたちづくられます。 実現に向けた取組 ・水辺を感じられるまちづくり 川を望めるテラス席のあるレストランのような、水辺に顔を向けた建物を誘導するためのルールづくりに取り組むなど、水辺を感じられるまちづくりを進めていきます。 ・新たな水辺活用の働きかけ 沿川の土地・建物の所有者等に対し、水辺活用への協力を積極的に働きかけていくとともに、水辺ビジョンに沿った事業等を企図する事業者等を支援していきます。 ・まちに意識される水辺の空間づくり 沿川の植栽や囲障の設えを工夫しまちから川への開放的な眺望を確保したり、橋や護岸をライトアップするなど、まちに意識される水辺の空間づくりに取り組みます。 【18ページ】 目指す水辺の姿「体験」 水上で心躍る体験ができる水辺 SUPやカヌーなどのアクティビティをはじめ、水とふれあえる心躍る体験ができる水辺。 多彩なまちの表情を楽しみながら、水との一体感を味わえる、横浜のこの場所ならではの体験の機会を広げていきます。 実現に向けた取組 ・水上体験メニューの充実 SUPやカヌーなどの水上アクティビティを、日常的に親しめる機会や多くの人が集うイベントとして展開していきます。また、歴史や桜、街並みといった地域の魅力と組み合わせるなど、このエリアならではの水上体験メニューを充実させていきます。 ・環境活動との連動 SUPやカヌーなどの水上アクティビティを楽しみながら川の清掃やエコツアー等に参加できる機会を増やしていくことで、地域の川への愛着を育んでいきます。 ・親水施設等を活用するための仕組み・ルールづくり エリア全体の親水施設共通の予約・利用調整システム等の仕組みをつくるなど、手続きを簡素化することで、水上アクティビティを楽しむ団体やユーザーが親水施設等を利用する際の利便性の向上を図ります。 ・河川の安全航行ルールの維持・改善 みんなが安全に気持ちよく水辺を利用できるよう、動力船と非動力船が共存するための安全航行ルールの維持・改善や、親水施設の利用ルールづくりを行うとともに、それらのルールの普及啓発にも取り組んでいきます。 ・水辺の拠点の環境づくり 水上アクティビティのユーザーが気軽に立ち寄れる飲食・休憩施設の整備など、水上アクティビティを日常的に楽しむための環境づくりに取り組んでいきます。 【19ページ】 目指す水辺の姿「舟運」 船に乗ることが身近な水辺 観光や移動などで気軽に川で船に乗ることができ、移動そのものを楽しめる環境が身近にある水辺。 人と人、まちとまちの交流を広げ、エリア全体の活性化に貢献します。 さらに、港湾エリアへとつながる航路の開拓や、羽田や三浦、富津など遠方の拠点との交流も広げていきます。 実現に向けた取組 ・乗船機会の拡充 ゆったりと水辺を楽しみながら移動するのはもちろん、地域ならではの自然や景観、文化を活かしたコンテンツと組み合わせるなど、乗船体験を充実させるとともに、新たな航路を開拓するなど、乗船機会の拡充を図ります。 ・回遊性向上に向けた取組 水上交通と陸上の公共交通やシェアモビリティを組み合わせるなど、水辺へのアクセスを強化するとともに、水上と陸上を合わせた回遊性の向上を図ります。 ・親水施設等を活用するための仕組み・ルールづくり エリア全体の親水施設共通の予約・利用調整システム等の仕組みをつくるなど、手続きを簡素化することで、船舶事業者等が親水施設等を活用する際の利便性向上を図ります。 ・河川の安全航行ルールの維持・改善 みんなが安全に気持ちよく水辺を利用できるよう、動力船と非動力船が共存するための安全航行ルールの維持・改善や、親水施設の利用ルールづくりを行うとともに、それらのルールの普及啓発にも取り組んでいきます。 ・水辺の拠点の環境づくり 親水施設を舟運の船着場として利用しやすくするために、乗船客の待合所やチケット販売等の機能の充実を図っていきます。 【20ページ】 目指す水辺の姿「催し」 週末にでかけたくなる水辺 四季を通じて、オープンカフェやマルシェ、アートイベントなど、まちの個性を映す多彩な催しが開かれ、わざわざ足を運びたくなる水辺。 人々が集まり、つながり、交流することで、水辺に活気が生まれ、まちの魅力が高まっていきます。 実現に向けた取組 ・公共空間活用のサポート 道路や公園などの公共空間と水辺を一体的に活用したイベント等によるにぎわいづくりを推進していくために、水辺でイベントを開きたい人が相談できる窓口を設置し、手続き支援等を行っていきます。 ・親水施設等を活用するための仕組み・ルールづくり エリア全体の親水施設で共通の予約・利用調整システム等の仕組みをつくるなど、手続きを簡素化することで、イベント等の実施者が親水施設等を活用する際の利便性向上を図ります。 ・水上交通を活用した地域イベントの連携 離れた場所で開催されている地域のイベント同士を水上交通で結ぶなど、水辺を介した回遊性を高めていくことで、エリア全体の活性化を図ります。 【21ページ】 目指す水辺の姿 「 防災」 災害時に役立つ水辺 災害時に、地域の防災拠点としての役割を果たす水辺。 各水辺の拠点は、船舶による物資輸送や炊き出しなど、災害時に地域で活用することが想定されています。 日頃から防災訓練やイベントを通じて水辺の拠点を活用し、地域の防災力を高めておくことが重要です。 ・水辺の拠点整備 河川再生計画とかわまちづくり計画に基づき災害時の防災拠点としても利用できるように配慮した施設の整備に取り組んでいきます。 ・地域防災力の向上 水辺の拠点での炊き出しや水上輸送訓練、防災イベント等で地域防災力を高めると共に、エリア内外の水辺の拠点や桟橋、病院等と連携し、災害時の協力体制を構築します。 【22ページ】 目指す水辺の姿 目指す水辺の姿を、効果的・持続的に実現していくために、情報発信・プロモーションや次世代の育成に取り組んでいきます。 ・情報発信・プロモーション次世代の育成 水辺に関わる仲間や、興味を持ってくれる人を増やしていくために、エリア内の水辺活用の取組について、一体的で魅力的な情報発信を行い、認知度の向上を図ります。また、戦略的なプロモーションにより、関心層へ的確にアプローチすることで、新規の事業者やユーザーを呼び込みます。 ・次世代の育成 将来にわたって、活動を継続していくために、教育機関との連携などを通じ、地域の子どもたちに水辺に関心を持ってもらうための普及・啓発活動を行います。また、若者が主体的に水辺活用の取組に参加できる機会やしくみをつくっていきます。 【23ページ】 目指す水辺の姿(イメージ鳥観図) 図:イメージ鳥観図 図中の言葉 川を望むカフェ・・・水辺を眺めながら一服 SUPヨガ・・・朝活でリフレッシュ ハンモック・・・水辺でリラックス 定期船・・・船で快適通勤 Eボート・・・身近な川の環境学習 周遊クルーズ・・・街の魅力を再発見 炊き出し訓練・・・みんなで災害に備える ナイトシアター・・・水辺の特別な体験 物資輸送訓練・・・みんなで災害に備える マルシェ・・・新たな出会いにワクワク 水辺のテラス・・・心地よい時間を過ごす 水辺のレストラン・・・食事を楽しみながら水辺を満喫 水辺のイベント・・・水辺を感じながら楽しいひと時 歴史ツアーガイド・・・街の歴史を知る ストリートファニチャー・・・散歩途中に一休み SUPスクール・・・仲間で体験を共有 撮影スポット・・・水辺の写真をみんなにシェア 水辺の遊具・・・家族で楽しい体験 【24ページ】 目指す水辺の姿(イメージ断面図) 図:イメージ断面図 図中の言葉 水上アクティビティ・地域コミュニティ拠点 川沿いの木陰でゆっくりできる空間 水上アクテビティや舟運の発着点としての桟橋 川からまちまで一体となったイベント 川を望めるテラス 「公園と水辺を使った子ども向けイベントを一緒にやってみない?」 「カヤックに初挑戦!」 「子どものSUP教室もやっているね!」 「川沿いにオープンしたドックカフェに行ってみようか!」 「次の便まで散歩しようかな」 「風が心地いいなぁ~」 「コーヒーを買って川沿いのベンチで一休みしよう!」 「テラスで読書は気持ち良いな~」 「この後、船で隣町のマルシェに行ってみない?」 【25ページ】 目指す水辺の姿(イメージ断面図) 図:イメージ断面図 図中の言葉 川風を感じられる憩いの庭 水辺と緑を楽しむ散歩道 雨でも楽しめる水上アクティビティ 夜の水辺を楽しむ高架下を活用したイベント 水辺を楽しめるテラス 「涼しいな~」 「水面の反射が綺麗!」 「川沿いを散歩してみようか!」 「この橋、クラシカルだね!」 「水が透き通っているね!」 「イルミネーションが素敵!」 「夜の水辺もいいな~!」 「桟橋からクルーズ船が出ているらしいよ!」 「水辺でカンパイ!」 【26ページ】 取組を推進するための体制づくり 対象エリア全体の水辺をマネジメントする組織(水辺のエリアマネジメント組織)を新たに立ち上げ、各水辺の拠点の運営組織と一体的に、水辺ビジョンの実現に向けた取組を推進していきます。 水辺のエリアマネジメント組織  対象エリアの全体最適を図りながら、エリア内の水辺活用の活性化に取り組む組織。親水施設等の利用受付や一体的な広報などを行い、各「水辺の拠点の運営組織」と役割を分担し、協力体制を組みながら運営していきます。   まずは各水辺の拠点をつなげる組織としてスタートし、資金や人材を確保する手法を検討しながら活動を広げ、持続可能な体制を目指します。 水辺の拠点の運営組織  親水施設等を管理・運営しながら、拠点ごとの特性を活かした水辺活用に取り組む組織。  親水施設等の管理・運営に係る業務は極力「水辺のエリアマネジメント組織」に一元化し、省力化と効率化を図ります。組織が未成熟な拠点は、水辺のエリアマネジメント組織が直接、管理・運営や活用に関与することを想定しています。 図_水辺のエリアマネジメント組織のマネジメント範囲及び水辺の拠点の運営組織の活動範囲イメージ 【27ページ】 取組を推進するための体制づくり 協働で進める水辺ビジョン 水辺ビジョン実現に向けた取組は、地域、事業者、行政それぞれができることを持ち寄り、連携しながら進めていきます。 「水辺のエリアマネジメント組織」は、それらをつなぐハブとして、中心的な役割を果たしていくことを期待されています。 水辺のエリアマネジメント組織 ・親水施設の管理・運営 ・親水施設の利用調整(ワンストップ窓口) ・エリア全体の水辺活用の情報発信、PR、プロモーション ・エリア全体の水辺活用の企画・実施 ・新規参入者の発掘・誘致・支援 ・収益事業検討 ・利用施設※等の整備と維持管理 地域(水辺の拠点の運営組織、まちづくり団体等) ・水辺を活用した取組の企画・実施 ・水辺の拠点の管理・運営 ・水辺環境の維持・向上 事業者(営利活動を行う企業等) ・水辺を活用した事業の企画・実施 ・地域貢献活動 ・利用施設※等の整備と維持管理 基礎自治体(横浜市) ・行政計画の策定 ・利用施設※等の整備と維持管理 ・地域や事業者が規制緩和等により ・公共空間活用に参入するスキームの設計と実施 ・新規参入者の発掘・誘致・支援 河川管理者(神奈川県) ・行政計画の策定 ・河川(河川管理施設を含む)の整備と維持管理 ・水辺環境の維持・向上 ・河川空間オープン化の支援 ※利用施設・・・「かわまちづくり」支援制度において、河川を利活用するために市町村や民間事業者などが整備するとされている施設。(例:遊歩道、オープンカフェ、照明など) 【28ページ】 取組を推進するための制度活用 水辺ビジョンの実現に向けた取組を推進していくために、民間事業者等による公共空間活用を可能にする制度等を活用していきます。 公共空間活用制度 ・河川敷地占用許可準則特例占用【河川空間のオープン化】 河川区域内で民間事業者等が広場・イベント施設・オープンカフェ等を設置・管理できる制度。最長10年間の占用が認められ、民間活力を活かした河川空間の柔軟な利活用が可能となる。(根拠法:河川法) ・歩行者利便増進道路制度【ほこみち】 道路区域内で民間事業者等がベンチ・オープンカフェ・キッチンカー等を設置・管理できる制度。通常占用期間は5年までだが、公募により占用者を選定することで最長20年まで認められる。民間活力を導入して、道路を歩行者中心の空間として活用することが できる。(根拠法:道路法) ・設置管理許可制度 都市公園内で民間事業者等が飲食店・売店・休憩施設などの公園施設を設置・管理できる制度。事業期間は最長10年で、公園管理者が自ら設け、又は管理することが不適当又は困難であると認められるものについて民間活力を導入できる。さらに事業期間が最長20年まで認められる公募設置管理制度(Park-PFI)も創設されている。(根拠法:都市公園法) ・滞在快適性等向上公園施設設置管理協定制度【都市公園リノベーション協定制度】 滞在快適性等向上区域(まちなかウォーカブル区域)内の都市公園において、一体型滞在快適性等向上事業の実施主体又は都市再生推進法人が、公園管理者との協定に基づき、飲食店・売店・休憩施設などを設置・管理できる制度。特例の内容はPark-PFIと同様。(根拠法:都市再生特別措置法) 団体指定制度 ・都市再生推進法人 市町村が指定するまちづくりの担い手法人。河川・道路・公園などの占用特例を横断的に活用できる。公的信用力の向上、都市再生整備計画などへの提案権、国や民間からの補助・支援の獲得、まちづくり協定への参加、市町村からの情報提供や助言などメリットがあり、地域のまちづくりを円滑かつ強力に推進することが可能となる。(根拠法:都市再生特別措置法) ・河川協力団体 河川管理者と連携し、河川の維持管理・清掃・環境保全等を行う団体。指定を受けると活動に必要な占用許可の手続きが簡素化されるなどのメリットがあり、地域の実情に応じた柔軟な河川管理が可能となる。(根拠法:河川法) ・道路協力団体 道路管理者に協力して、道路の維持管理や、道路の通行者若しくは利用者の利便の増進に資する施設の設置などを行うことができる団体。指定を受けると、道路管理に還元することを前提とした道路空間を活用した広告や購買施設などの収益活動が可能となる。(根拠法:道路法) 【29ページ】 水辺ビジョンの実現により期待される効果 水辺ビジョンの実現に向けた取組を推進し、このエリアならではの魅力を磨き上げ、水辺空間の価値を広く発信していくことで、環境・社会・文化・経済のそれぞれに良い影響をもたらしていきます。 期待される効果 ・環境 水辺と触れ合う機会の増加 清掃活動の持続・活性化 緑化活動の持続・活性化 河川環境の研究・教育の活性化 など ・社会 地域コミュニティの活性化  地域防災力の向上 地域イベントの活発化 住民満足度の向上 など ・文化 歴史的建造物の保存・活用 文化イベントの活発化 情報発信の活発化 など ・経済 新規参入事業者の増加 空き店舗の減少 観光・交流人口の増加 商業売上の増加 地価・賃料の上昇 など →エリア全体の活性化 【30ページ】 おわりに 本ビジョンの策定にあたり、地域と事業者と行政が参加する「関内・関外地区水辺活用検討会」にて、意見をもらいながら検討を進めてきました。今後、水辺ビジョンに基づく取組を進めていくにあたっては、 「関内・関外地区水辺活用検討会」のメンバーを中心とした協議会を新たに立ち上げ、水辺ビジョンに紐づく取組の進捗状況等を踏まえながら、必要に応じて水辺ビジョンの見直しを行っていきます。また、地域の活動状況に応じて地域ごとのビジョンを作成するなど、さらなる展開も検討していきます。  さらに、本ビジョンは大岡川下流域を対象としていますが、目指す水辺の姿を実現していくことで、他のエリアへ水辺活用の展開が広がっていくことを期待します。 【31ページ】 資料編表紙 【32ページ・33ページ】 水辺の歴史 ・江戸時代 新田開発~開港  かつて関内・関外エリアは、元町付近から北西へ延びた砂州によって東京湾と区分された入海で、周辺には半農半漁の集落が点在していました。  江戸時代に入り、幕府によって新田開発が奨励されるようになると、江戸の木材・石材商であった吉田勘兵衛が、この入海の干拓事業に乗り出します。11年の歳月をかけ、1667年(寛文7年)に完成したこの新田開発によって、大岡川や中村川が形作られました。  1859年(安政6年)に横浜が開港すると、吉田新田の沖合は埋め立てられ、開港場が開かれます。開港の翌年には外国人居留地を 隔てる目的で堀川が開削され、中村川の流れがそのまま直線的に海へと注ぐ現在の川の形が生まれました。 図_東海道五十三次之内 神名川宿台ヨリ十五景見渡御行列之図 富士山の手前に野毛浦、横浜村などが描かれている (横浜市立図書館デジタルアーカイブより) ・明治時代~戦前 港湾都市誕生、震災による焼失と再生  1870年(明治3年)には、横浜港と根岸湾を結ぶ舟運経路の確保と吉田新田内の沼地の埋め立てを目的として、堀割川の開削が 始まり、難工事の末1874年(明治7年)に完成しました。  横浜港が国際物流港として発展するのにともない、関内・関外エリアで都市化が急速に進み、大岡川や中村川などは港に直結する 舟運の経路として利用されるようになります。川沿いには染物、製茶、材木・紙器、焼物等の交易関連産業が集積し、80を超える 階段護岸(雁木)が作られ、多くの物資が川を行き交いました。  1923年(大正12年)に関東大震災が発生すると、河川は護岸の崩落や落橋に見舞われ、壊滅的な被害を受けました。その後、護岸の復旧や橋の架け替えがなされ、昭和初期までに復興整備が達成されました。この時に架けられた震災復興橋は現存するものも多く、当時の姿を今に伝えています。 写真_明治7年に開削された堀割川と、明治10年代に架橋された瀧之橋(現:八幡橋) ・戦中~戦後 戦災と接収  太平洋戦争末期の1945年(昭和20年)5月29日、米軍による空襲により、関内・関外エリアはほぼ全域が焼失し、関東大震災 から20年余りで、まちは再び灰燼に帰すこととなりました。  終戦とともに日本に進駐した連合国軍は、港湾施設や横浜の中心部を広範囲に渡り接収しました。これにより、横浜の都市機能は 機能不全に陥り、戦災からの復興が立ち遅れることとなります。  接収は徐々に解除されていきましたが、かつて活況を呈した河川物流が元の姿に戻ることはありませんでした。 写真_接収中の日ノ出町周辺の風景(東ケ丘から関内方向を見る) ・高度経済成長期 成長と停滞  高度経済成長期(1955年頃~)に入ると、大岡川上流部では急激な人口流入による都市化が進み、下水道整備の遅れなどによる河川の汚染問題が表出しました。不法係留船の問題なども加わり、まちと河川(水辺)の関係は次第に希薄になっていきました。  1970年代に入りコンテナによる物流が主流になると、艀を使った物流は激減し、河川利用も減少していきました。一部は埋め立てられ、地下鉄や高速道路、公園へと姿を変えました。さらに、中村川・堀川では、首都高速道路の高架が設置されて川沿いの 歩道が廃止されるなど、まちと河川(水辺)の距離は広がっていきました。  一方、戦後も大きな水害に見舞われた大岡川では、大岡川分水路が10年の歳月をかけ1981年(昭和56年)に完成し、抜本的な治水対策がなされました。 写真_戦後の艀水上生活船の様子(駐留米軍のお土産用に発行された写真) 撮影年代は昭和20年代と推定 【34ページ】 親水施設①大岡川夢ロード(右岸) アクセス:JR桜木町駅より徒歩3分、みなとみらい線馬車道駅1C出口より徒歩1分 沿革: 2004年 神奈川県による大岡川夢ロードの整備完了 2014年~大岡川夢ロードデッキサポーターズによる清掃活動開始 2020年 後背地において市庁舎および水辺テラスの整備完了 2024年 横浜市と京浜急行電鉄による水辺空間活用の社会実験「ヨコハマMIZBEフェス@大岡川夢ロード」実施 整備施設:ボードデッキ 階段護岸 ベンチ 接岸:動力船 × 非動力船 ○(※現行の運用ルールに基づく接岸の可否) 特徴: みなとみらいの景色を望める絶好のロケーション ベンチが設置されており、日常的な水辺の居場所がある 運河の歴史を伝える明治期の土木遺構が複数ある 縁台やベンチ等の滞留空間や電源設備などが整備されている市庁舎の水辺テラスと一体的な空間を構成している 毎月、大岡川夢ロードデッキサポーターズによる清掃活動が実施されている 河川区域と港湾区域(水域)の重複区域に立地している 活用ニーズ: 至便の立地やロケーションを活かしたイベントやオープンカフェなどによる賑わい創出 市庁舎低層部や水辺テラスとの一体的な活用 写真_大岡川夢ロード(右岸)の様子 【35ページ】 親水施設②大岡川夢ロード(左岸) アクセス:JR桜木町駅より徒歩2分、みなとみらい線馬車道駅1C出口より徒歩2分 沿革:2004年 神奈川県による大岡川夢ロードの整備完了 整備施設:ボードデッキ 船舶接岸設備 ベンチ 接岸:動力船○ 非動力船×(※現行の運用ルールに基づく接岸の可否) 特徴: みなとみらいの景色や対岸の水辺テラスを望める絶好のロケーション ベンチが設置されており、日常的な水辺の居場所がある 毎月、大岡川夢ロードデッキサポーターズによる清掃活動が実施されている 河川区域と港湾区域(水域)の重複区域に立地している 活用ニーズ: 屋形船乗船場としての活用 周辺敷地の活用 写真_大岡川夢ロード(左岸)の様子 【36ページ】 親水施設③横浜日ノ出桟橋 アクセス:京急日ノ出町駅より徒歩2分 沿革: 2014年 神奈川県による横浜日ノ出桟橋の整備および横浜市による周辺道路の整備完了 2014年 日ノ出町駅前商店会による※1「大岡川水上劇場」開始 2015年 後背地において市街地再開発事業による商業・住宅・福祉施設の複合ビル「日ノ出サクアス」オープン 2015年 大岡川川の駅運営委員会による日常管理および利用調整開始 2020年 初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会による地域連携防災訓練(河川を利用した水上物資輸送訓練等)開始 整備施設:浮桟橋 広場スペース(バリアフリー) ベンチ 接岸:動力船 ○ 非動力船 ×(※現行の運用ルールに基づく接岸の可否) 特徴: 後背地の「日ノ出町駅前市街地再開発事業」と連携した整備 大岡川川の駅運営委員会による日常管理と利用調整 後背地の道路と一体的なイベント活用 活用ニーズ: 水上交通の拠点化 日ノ出町や野毛と連携した活用 黄金町のエリアマネジメント活動と連携した活用 緊急時の物資輸送や炊き出しの拠点としての活用 ※1 その後、野毛地区振興事業組合及び野毛地区街づくり会(日ノ出町駅前活性化推進委員会)が加わりました 写真_横浜日ノ出桟橋の様子 【37ページ】 親水施設④大岡川桜桟橋 アクセス:京急日ノ出町駅より徒歩4分 京急黄金町駅より徒歩7分 沿革: 2007年 神奈川県による大岡川桜桟橋の整備完了 2007年 大岡川川の駅運営委員会による日常管理および利用調整開始 2008年 後背地において京浜急行電鉄による日ノ出スタジオオープン 2012年 後背地において水辺荘の活動拠点オープン 2013年 後背地において横浜SUP倶楽部の活動拠点オープン 整備施設:固定桟橋 接岸:動力船 × 非動力船 ○(※現行の運用ルールに基づく接岸の可否) 特徴: 大岡川川の駅運営委員会による日常管理と利用調整 日常的に水上アクティビティの拠点として利用されている 道路と一体でイベント活用 野毛山を水源とする湧水あり 活用ニーズ: 水上アクテビティの拠点としての活用 黄金町のエリアマネジメント活動と連携した活用 写真_大岡川桜桟橋の様子 【38ページ】 親水施設⑤ふれあいアクアパーク アクセス:京急南太田駅より徒歩5分 市営地下鉄吉野町駅より徒歩7分 沿革: 2009年 神奈川県によるふれあいアクアパーク整備完了 2009年 大岡川アートプロジェクト実行委員会による「大岡川光のぷろむなぁど」開始 2023年 大岡川川の駅運営委員会による利用調整開始 2024年 よこはま運河チャレンジにて仮設桟橋設置の実証実験を実施 2025年 横浜市とまいたエコサロンの会による水辺活用の実証実験「まいた公園水辺日和」を実施 2025年 よこはま運河チャレンジにて仮設桟橋設置の実証実験を実施 整備施設:階段護岸 広場スペース(バリアフリー) 接岸:動力船 × 非動力船 ○(※現行の運用ルールに基づく接岸の可否) 特徴: 芝生広場や大型遊具を有する蒔田公園と一体となった水辺空間 環境活動拠点の建物(横浜市みどり環境局所管)が隣接 河川区域と公園区域の重複区域 活用ニーズ: 蒔田公園との一体的な活用 地域活動団体や環境活動団体と連携した活用 動力船桟橋の整備 写真_ふれあいアクアパークの様子 【39ページ】 親水施設⑥堀割川いそご桟橋 アクセス:JR根岸駅より徒歩14分 沿革: 2022年 神奈川県による堀割川いそご桟橋の整備完了 2022年 大岡川川の駅運営委員会による利用調整開始 2024年 磯子区による堀割川の魅力づくりイベント開始 整備施設:浮桟橋 階段護岸 広場スペース(バリアフリー) 接岸:動力船 ○ 非動力船 ○(※現行の運用ルールに基づく接岸の可否) 特徴: 堀割川の水面に近づける唯一のポイント 後背地にポケットパークあり 一部が河川区域と港湾区域(水域)の重複区域に立地している 活用ニーズ: 船舶・SUP・カヌー等の河川利用のレクリエーション拠点 水上交通による大岡川、中村川との回遊性向上 緊急時の物資輸送拠点としての活用 写真_堀割川いそご桟橋の様子 【40ページ】 親水施設⑦石川町フェリーチェ桟橋 アクセス:JR石川町駅より徒歩1分 沿革: 2012年 地元商店街組織による活用検討開始 2019年~2021年 年1回開催のよこはま運河チャレンジにて仮設桟橋設置の実証実験を実施 2026年 神奈川県による石川町フェリーチェ桟橋の整備完了 2026年 横浜市による周辺道路の整備完了予定 整備施設:浮桟橋(バリアフリー) 広場スペース(バリアフリー) 接岸:動力船 ○ 非動力船 ○(※想定している運用ルール) 特徴:JR石川町駅から徒歩1分の至便の立地 活用ニーズ: 水上交通の拠点化 石川町と連携した活用(イベント実施等) 地元のコミュニティカフェとの連携 緊急時の物資輸送拠点としての活用 写真_石川町フェリーチェ桟橋 親水施設⑧元町・中華街桟橋(仮称・整備中) アクセス:みなとみらい線元町・中華街駅より徒歩1分 沿革: 2022年~2025年 年1回開催のよこはま運河チャレンジにて仮設桟橋設置の実証実験を実施 2024年 地元まちづくり組織による活用検討開始 2026年 神奈川県による整備着工 整備施設:浮桟橋(バリアフリー) 接岸:動力船 ○ 非動力船 ○(※想定している運用ルール) 特徴: 元町・中華街駅から徒歩1分の至便の立地 河川区域と港湾区域(水域)の重複区域に立地予定 活用ニーズ: 水上交通の拠点化 緊急時の物資輸送拠点としての活用 図:完成予想パース