横浜市地球温暖化対策実行計画改定素案 令和4年9月 横浜市 第1章 第1章 背景・目的 1 計画改定の趣旨  本計画は、本市が温室効果ガスの排出の抑制等を行うための施策に関する事項を定めるもので、2011(平成23)年3月に策定し、2014(平成26)年3月及び2018(平成30)年に改定を行いました。  その後も、気候変動が影響していると考えられる異常気象が世界各地で見られ、日本においても豪雨災害や猛暑などかつて経験したことのないような気候の変化に直面しています。人間の活動による地球温暖化の進行に伴い、例えば、集中豪雨による浸水や猛暑による熱中症のリスクが一層高まることが予想されています。さらに、気候変動の影響は長期に渡って継続し、生物多様性の損失に大きな影響を与えます。私たちの暮らしを支える健全な生態系を保全し、豊かな水や緑のある環境を守ることからも、「パリ協定」の掲げる2℃目標、1.5℃に抑える努力目標に向けて、世界全体が協力して気候変動対策を進める必要があります。  欧州をはじめとした国々が2050年カーボンニュートラルを表明する中、日本も2020(令和2)年10月に2050年カーボンニュートラル宣言を行い、その後、国の2030年度の温室効果ガス排出量の削減目標が、従前の2013年度比26%削減から46%削減へ引き上げられました。  本市は、前回2018(平成30)年計画の改定において、2050年までの脱炭素化「Zero Carbon Yokohama」の実現を掲げました。そして、2021(令和3)年6月には、地球温暖化対策の推進並びに市内経済の循環及び持続可能な発展を図ることなどを目的とした横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例(以下、「脱炭素条例」という。)が施行され、2022(令和4)年2月に「令和4年度の市政運営の基本方針」において、国の目標を上回る2030年度削減目標50%削減を掲げました。  このような、国の削減目標の引き上げ等の国内外の動向や、本市のこれまでの動向などを踏まえ、本市の新たな2030年度温室効果ガス排出削減目標を掲げるとともに、その達成や2050年の脱炭素化の実現に向けた取組を一層推進するため、「横浜市地球温暖化対策実行計画(以下「実行計画」という。)」の改定を行います。    2 計画の位置付けと関連計画  (1) 計画の位置付け  本計画は、地球温暖化対策の推進に関する法律(以下、「地球温暖化対策推進法」という。)第21条第3項の温室効果ガスの排出量の削減等のための措置に関する計画(「地方公共団体実行計画(区域施策編)」)、気候変動適応法第12条の「地域気候変動適応計画」であり、脱炭素条例第7条に基づく、脱炭素社会の形成の推進に関する基本的な計画となります。  (2) 計画期間  計画期間は2022年度から2030年度までとします。  (3) 関連計画  本計画は、本市の環境基本計画である「横浜市環境管理計画」の分野別計画にあたり、横浜市中期計画と連動、他の分野別計画との連携を図りながら、生物多様性の保全を含め環境への配慮も踏まえた地球温暖化対策を推進します。    3 地球温暖化の現状と国内外の動向 (1) 地球温暖化の現状  地球温暖化は、人間の活動により排出された温室効果ガスが、熱を多く吸収することで気温が上昇する現象をいいます。産業革命以降、化石燃料の大量消費により温室効果ガスが大量排出され、大気中の二酸化炭素(以下、「CO2」という。)濃度が増加しています。  2021(令和3)年8月に公表された、気候変動に関する政府間パネル(以下、「IPCC」という。)第6次評価報告書第1作業部会報告書では、「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことについて疑う余地がない」と初めて断定されました。  21世紀の終盤における世界平均地上気温は、厳しい地球温暖化対策を取らなかった場合(SSP5-8.5シナリオ)に3.3〜5.7℃(平均約4.4℃)上昇すると予測されています。   2021年は、6月に米国本土の月平均気温が1895年以降で最も高くなったほか、米国やカナダで多数の大規模な山火事が発生するなどの災害が発生しました。日本でも、夏季に真夏日や猛暑日の日数が増加するという影響が表れています。 (2) 横浜市の気温・豪雨の経年変化及び将来予測 ・気温の経年変化及び将来予測  横浜市の年平均気温の経年変化には上昇傾向が表れており、100年あたり1.9℃上昇しています(統計期間:1897〜2018年)。また、真夏日と熱帯夜の日数が増加傾向である一方、冬日の日数には減少傾向がみられ、地球温暖化の影響のほか、都市化によるヒートアイランド現象の影響も表れていると考えられます。  将来の見通しとしては、現在と比較して将来気候(2075〜2095年)では平均気温が約4℃上昇すると予測されており、猛暑日が約40日増加すると予測されています。 ・豪雨の経年変化及び将来予測  横浜地方気象台で観測された年降水量の経年変化には変化傾向が確認できない一方で、神奈川県内平均による1時間降水量50mm以上の発生回数は将来気候において増加すると予測されています。 (3) 国外の主な動向  2015(平成27)年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、2020(令和2)年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みである「パリ協定」が採択されました。「パリ協定」は、先進国・途上国の区別なく、地球の平均気温の上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分下方に抑える(2℃目標)とともに、1.5℃に抑える(1.5℃目標)努力を追求することなどを掲げています。  2018(平成30)年にIPCCより公表された「1.5℃特別報告書」では、気温上昇が2℃の場合と1.5℃の場合とでは生態系や人類への影響に明確な差異があることが報告されています。そして、将来の平均気温上昇が1.5℃を大きく超えないためには、世界全体の人為起源のCO2の排出量が2030年までに2010年比で約45%減少し、2050年前後に「正味ゼロ」に達する必要があることが示されました。この報告を契機に、2050年から今世紀後半にかけてカーボンニュートラルを達成するという目標が世界各国で掲げられるようになりました。  2021(令和3)年に英国で開催されたCOP26で「グラスゴー気候合意」が決定され、「パリ協定」締結時に努力目標とされていた1.5℃目標の達成のための努力を継続することが合意されました。 (4) 国内の主な動向  国は、地球温暖化対策推進法に基づき、2016(平成28)年5月に「地球温暖化対策計画」を閣議決定し、温室効果ガス排出量を2030年度に26%減(2013年度比)、2050年に80%削減するという目標のもと、地球温暖化対策を進めてきました。  そして、2020(令和2)年10月、国は2050年カーボンニュートラル宣言を行い、2021(令和3)年4月には温室効果ガス排出削減目標を2030年度に46%減(2013年度比)へ引き上げることを表明しました。  これらを踏まえ、地球温暖化への対応において成長が期待される重点分野の今後の取組を明記した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(2020(令和2)年12月)」や、地域の成長戦略を示すことで脱炭素先行地域を創出し、そのモデルを全国に伝播させるという道筋を示した「地域脱炭素ロードマップ(2021(令和3)年6月)」が策定されました。  また、2021(令和3)年10月には、「地球温暖化対策計画」、「第6次エネルギー基本計画」、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」、「気候変動適応計画」が閣議決定され、2030年度の温室効果ガス削減目標46%減に向けた緩和策と適応策、エネルギー政策についての新たな方針が掲げられました。  環境省は、2022(令和4)年5月の地球温暖化対策推進法の改正において、株式会社脱炭素化支援機構を設立することを決定しました。脱炭素事業に意欲的に取り組む民間事業者等を支援するために財政投融資を活用することを目的としたものであり、新たなビジネスモデルの構築を通じて数兆円規模の脱炭素投資の誘発を目指しています。  経済産業省は、2022(令和4)年2月に、野心的な炭素削減目標を掲げる企業群が、排出量削減に向けた投資を行いつつ、目標の達成に向けた自主的な排出量の取引を行う枠組みである「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」を公表し、440社が賛同を表明しました。今後、GXリーグの本格稼働に向けた議論が行われ、2023(令和5)年度にGXリーグが本格稼働される予定です。 (5) 経済界の主な動向  一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)は、2020(令和2)年12月に「2050年カーボンニュートラル(Society 5.0 with Carbon Neutral)実現に向けて −経済界の決意とアクション−」という行動計画を公表し、2050年カーボンニュートラル実現のために、政府とともに不退転の決意で取り組むことを表明しています。  ファイナンスの面では、G20の要請を受けて設立された気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures: TCFD)が、2017(平成29)年6月に「TCFD提言」を公表しました。TCFD提言では、気候変動関連の4つの項目(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)の情報を開示することを企業等に対して推奨しています。  このような非財務情報を金融機関や投資家に開示することで、企業へのESG(Environment / Social / Governance)投資の促進が期待され、2022(令和4)年5月現在、世界全体で約3,400の企業・機関(うち日本では878の企業・機関)がTCFDに対して賛同を示しています。  このような企業の取り組みを評価するイニシアティブが増えてきており、Science Based Targets (SBT)では、「パリ協定」が求める1.5℃目標と科学的に整合した温室効果ガス排出削減目標を掲げる企業を認定しています。2022年(令和4)年3月末時点で、世界で1,267社(うち日本企業は173社)がSBTの認定を受けています。  SBT認定を取得している日本企業で、主要サプライヤーにSBTと整合した削減目標の設定を求めるなど、サプライヤーに排出量削減を求める企業が増加しており、大企業だけでなく、サプライチェーン全体での脱炭素化の動きが加速しています。また、事業者自らの排出量だけでなく、事業活動に関するサプライチェーン全体での排出量の削減が重要視されてきており、Scope 3排出量の算定・削減に関する取組も進んでいます。上述したTCFD提言、CDP、SBTのようなイニシアティブでも、Scope 3排出量を含むサプライチェーン排出量の把握と削減が要求されています。 (6) 横浜市の主な動向  本市では、2011(平成23)年に地球温暖化対策推進法に基づき、実行計画を策定、2018(平成30)年の改定において、2050年までの脱炭素化「Zero Carbon Yokohama」を掲げました。  2020(令和2)年12月から2021(令和3)年6月に開催された「国・地方脱炭素実現会議」に構成員として参加、第一回会議において脱炭素化に意欲的な市町村の声を取りまとめて提案することを表明し、2021(令和3)年2月、2050年二酸化炭素排出実質ゼロを表明している全国の市区町村に呼びかけ、「ゼロカーボン市区町村協議会(会長:横浜市)」を設立し、国への提言などの取組を行っています。  2021(令和3)年6月に、脱炭素条例が施行されました。本条例は地球温暖化対策の推進及び市内経済の循環及び持続可能な発展をもって、市民の健康で文化的な生活の持続的な確保に寄与することを目的としており、市・市民・事業者の責務を定めたほか、再生可能エネルギーに関すること、関連産業の支援、研究開発の促進、建築物の再エネ導入等の促進、環境学習の促進及び知識の普及啓発について、措置を講ずるものとしています。  2022(令和4)年4月に、環境省が公募した第1回「脱炭素先行地域」へ本市と一般社団法人横浜みなとみらい21が共同提案した、「みなとみらい21地区」が選定されました。参画施設を中心とした地域の皆様とともに、2030年度までに「民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロ」などの実現を目指すもので、電力の脱炭素化、省エネ・エネルギーマネジメントなどの取組に公民連携で挑戦しています。 4 本市の基本情報 (1) 人口  本市は、基礎自治体として最大の人口約378万人(2021(令和3)年)、世帯数は約177万世帯(2021(令和3)年)となっています。  日本の人口は世界に先駆けて「人口減少・超高齢齢社会」を迎えており、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されています。また、団塊の世代の人々が全て75歳以上となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推計されるなど、諸外国と比較しても、少子高齢化の動きは進行しています。  そのような中で、これまで増加傾向にあった本市の人口も、昨年1年間で4千人以上減少し、戦後初のマイナスとなるなど、人口減少の兆しが見え始めています。横浜市将来人口推計(2017年度)に2020年国勢調査数値を簡易に反映した見通しにおいても、人口のピークは2021年の3,779,510人と推計されるなど、本市は今後、本格的な人口減少社会に突入していくことが見込まれます。 (2) 地勢及び土地に関する基礎情報  本市の地形は、丘陵地、台地・段丘、低地及び埋立地に分けられます。丘陵地は本市中央部よりやや西寄りに分布し、本市を南北に縦断しています。さらに、この丘陵地の東西に下末吉台地、相模原台地があるとともに、台地や丘陵地を刻む河川の谷底低地と沿岸部の海岸低地とがあります。海岸部には埋立地が造成され、海岸線はほとんどが人工的な地形に改変されています。この起伏に富んだ丘陵地や河川などにより、広域的に連続した水・緑環境を有しています。   表 1ー1横浜市の基礎情報 土地利用に関する基礎情報 総面積(2021年)約438 km2 市街化区域(2021年)約338 km2 人口・世帯に関する基礎情報 人口(2021年)約378万人 世帯数(2021年)約177万世帯 人口増加率(2015〜20年)0.28% 世帯当たり人員(2021年)2.14人 産業に関する基礎情報 市内総生産(2019年)約14.5兆円 事業所数 (2019年)約15.6万 業務床面積(2020年)約37万m2 製造品出荷額(2020年)約3.93兆円 (3) 地域特性 本市の概ねの地域特性は次のように分けられます。 ・ 都心部(横浜都心、新横浜都心) 高次の業務、商業、文化、観光、交流などの機能が集積した、魅力と活気あふれる拠点地区です。 ・ 臨海部 工業地、内港地域、港湾物流地域から構成されています。工業・港湾機能・物流の拠点となっています。 ・都心・臨海周辺部 都心及び臨海部の周辺に位置しており、市街地をのぞむ丘や海をのぞむ丘といった緑がある一方で、都心へのアクセス性が良いことから住戸密度が高い地域となっています。 ・ 郊外部(北部方面、西部方面、南部方面) 駅周辺に生活拠点、商業・業務地、産業・流通業務地や郊外住宅地等が集積している地域で、特に北部方面では人口増加が進んでいる傾向にあります。また、本市の水・緑環境の重要な拠点である「緑の10大拠点」を中心としたまとまりのある緑豊かなまちづくりも進められています。 本市は、臨海部を中心として、エネルギー関連産業や製造業、グローバル企業の研究開発拠点が集積しており、イノベーションを創出するポテンシャルを有しています。 5 市域の温室効果ガス排出量・エネルギー消費量 (1) 市域の温室効果ガス排出量  2020(令和2)年度の本市域からの温室効果ガス総排出量(速報値)は前年度比で7.4%減の1,648万トン-CO2となり、2013年度をピークに7年連続で減少しました。また、温室効果ガス排出削減目標の基準年である2013年度比で24%減少しています。  温室効果ガスの種類別では、二酸化炭素(CO2)の排出量が最も多く、排出量全体の約98%、1,609万トン-CO2となっています。   本市の2020(令和2)年度のCO2排出量のうち、家庭部門からの排出が約3割を占め、国の部門別の排出構成比と比較すると、本市では家庭部門及びエネルギー転換部門の排出の割合が大きくなっています。  2020(令和2)年度のエネルギー起源CO2排出量は、前年度比7.4%減、2013年度比25%減となり、家庭部門以外は前年度から減少しましたが、家庭部門においては、約10%増加しました。  2020(令和2)年度は国と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響による増減が本市の各部門でみられます。家庭部門での増加の要因として、在宅時間の増加等が考えられ、産業部門での減少の要因として、経済活動の停滞等が考えられます。 (2) 市域のエネルギー消費量  本市における2020(令和2)年度のエネルギー消費量は204 PJ となり、前年度比7.9%減、2013年度比では20%減となりました。特に、産業部門やエネルギー転換部門で前年度からの減少幅が大きくなった一方で、家庭部門のエネルギー消費量は増加しました。また、家庭部門のエネルギー消費量が最も大きく、次いでエネルギー転換部門、運輸部門の順となっています。  エネルギー種別では、石油系燃料のエネルギー消費量が最も大きく、次いで電力、都市ガスの順となっています。 (3) 各部門におけるエネルギー種別のCO2排出量・エネルギー消費量の特徴 2020(令和2)年度の各部門のエネルギー種別のCO2排出量・エネルギー消費量は、次のとおりです。 6 前計画の進捗状況  前実行計画では、「ZeroCarbonYokohama」の実現に向け、8つの基本方針ごとに計画の進捗の目安となる管理指標を設定しました。  業務床面積あたりの排出量や地球温暖化対策計画書及び報告書提出数をはじめ、5つの実績が目安を上回った一方、市内の再生可能エネルギー設備導入量や新築住宅のうち省エネに配慮した住宅の割合などの実績が目安に届いておらず、今後の取組の一層の推進が必要となります。   表 1ー2 前実行計画における管理指標と実績 基本方針 管理指標 目安・実績 1 市民力と企業協働による取組促進 @本市と連携して地球温暖化対策を進める企業・市民等の団体数 【目安】 2020年度:480団体 【実績】 2020年度:481団体 2021年度:580団体 2 最先端のスマートシティの実現 A実証成果を活用したエネルギー連携拠点件数 【目安】 2020年度:60か所 【実績】 2020年度:64か所 2021年度:81か所 3 環境と経済の好循環 B業務床面積あたりの排出量 【目安】 2020年度:94 kg-CO2/m2・年 2030年度:84 kg-CO2/m2・年 【実績】 2020年度:83kg-CO2/m2・年 4 都市間連携と国際発信 C国際会議等への参加回数 【目安】 2020年度:6回/年 【実績】 2020年度:6回/年 2021年度:7回/年 5 徹底した省エネ D新築住宅のうち、省エネに配慮した住宅の割合 【目安】 2020年度:50% 2030年度:100% 【実績】 2020年度:45% E地球温暖化対策計画書及び報告書提出数 【目安】 2020年度:330件 【実績】 2020年度:343件/年 2021年度:326件/年 Fクリーンエネルギー自動車の普及割合(うち次世代自動車普及台数) 【目安】 2020年度:20% (9,000台) 2030年度:40% 【実績】 2020年度:18% (7,741台) 6 持続可能なまちづくり G新たな試行的取組数 【目安】 2020年度:16件 【実績】 2020年度:15件 2021年度:21件 Hごみと資源の総量 【目安】 2025年度:115万t 【実績】 2020年度:120万t 2021年度:117.8万t 7 最大限の再エネ導入と水素社会の実現 I市内の再生可能エネルギー設備導入量 【目安】 2020年度:43万kW 2030年度:59万kW 【実績】 2020年度:29万kW J市内に供給される電力の排出係数 【目安】 2030年度:0.37kg-CO2/kWh K水素ステーション整備数 【目安】 2020年度:10か所 【実績】 2020年度:6か所 2021年度:7か所 8 適応策の強化 L緑地保全制度による指定面積 【目安】 2020年度:1,114ha 【実績】 2020年度:982ha(2009年度〜) 7 前計画の進捗を踏まえた計画改定の考え方 改定にあたっては、本市の目指す姿「Zero Carbon Yokohama」を継承しつつ、以下の課題や都市の将来像を象徴的に示す新たな2030年度温室効果ガス排出削減目標(50%削減(2013年度比))を踏まえ、2050年度脱炭素社会の実現を加速的に進めるため、次の考え方に整理しました。 (1) 改定にあたって踏まえた課題 ・ 市内の再生可能エネルギー設備導入量や新築住宅のうち省エネに配慮した住宅の割合など、温室効果ガスの削減に寄与する管理指標の実績が2020年の目安に届かず、今後更なる対策が必要となること ・ 脱炭素条例の目的や、経済産業省が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」などで言及されているように、これまで負担とされていた温暖化対策を、企業の成長の原動力とすることが求められていること ・ 本市の温室効果ガス排出量の特徴である家庭部門の排出割合が高いことを踏まえ、市民が脱炭素型のライフスタイルで快適に過ごせるよう、新たな対策が必要なこと ・ 市内中小企業が企業経営や活動に脱炭素の要素を取り入れていくことで、世界的なサプライチェーン全体の脱炭素化への移行を円滑に進めていくこと (2) 改定に向けた考え方 ・ 前実行計画で示した目指す姿「Zero Carbon Yokohama」や横浜の将来像を踏襲しながら、脱炭素条例の趣旨を踏まえ、2050年の横浜の将来像を再定義します。 ・ 2050年の脱炭素社会の実現を見据えながら、2030年度温室効果ガス50%削減(2013年度比)に向けて、基本方針を再設定するとともに、特に、市内経済の循環・持続可能な発展や市民・事業者の行動変容に資する取組を「重点取組」とします。 ・ 2030年度目標の達成に向けて、現在の技術等を最大限に活用することや、2050年に向けて、新たなイノベーションを創出することを見据えた、中長期的な対策を位置付けます。 ・ 今改定に合わせて、関連する計画(横浜市再生可能エネルギー活用戦略等)を本計画に統合します。 第2章 基本的考え方 1 脱炭素社会の実現に向けた「2050年の横浜の将来像」  本市は、2018(平成30)年10月に実行計画の改定を行い、2050年までの脱炭素化「Zero Carbon Yokohama」の実現を掲げ、目指す姿(ゴール)とするとともに5つの横浜の将来像を示し、市民や事業者の皆様と共有してきました。  2050年カーボンニュートラル宣言以降、脱炭素に対する関心が一層高まっており、社会情勢は大きな変革期を迎えています。サプライチェーン全体を脱炭素化するため、参加企業に脱炭素経営を求めることや、Z世代と呼ばれる若い世代が将来への不安から高い関心を持ち、SNS等を活用して呼びかけるなど、日常生活や企業活動に大きなうねりをもたらしています。  また、気候変動の影響は気候危機と呼ばれ、100年に一度の災害級の大雨を頻繁に降らせるなど、道路や河川などの都市インフラの保全や防災・減災の考え方にも大きな影響を及ぼしているといえます。  このような変化に対応し、2050年の脱炭素社会の実現という目標に挑戦し、達成するためにも、明確なビジョンを市民・事業者の皆様と共有し、その実現に必要となる技術・経済社会システム、ライフスタイルの変革に向けて一丸となって進む必要があります。  そのため、本計画の改定にあたって、あらためて、脱炭素社会の実現に向けた「2050年の横浜の将来像」を見直し、「Zero Carbon Yokohama 〜2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを達成し、持続可能な大都市を実現する〜」とするとともに、目指すまちの姿を、「脱炭素が暮らしや地域に浸透しているまち」、「脱炭素を原動力として市内経済が循環し、持続可能な発展をつづけるまち」、「脱炭素と、気候変動の影響に適応しているまち」の3つのまちの姿としました。 2 目指すまちの姿 3つの目指すまちの姿について、2050年に実現したイメージをそれぞれ示します。 (1) 脱炭素が暮らしや地域に浸透しているまち  日常的な暮らしや行動において、脱炭素化に貢献する脱炭素ライフスタイルを実践しながら、快適に過ごすことができるまちの形成を目指します。  <実現したイメージ> ・すべての世代が気候変動対策の重要性を認識し、使用機器や行動における省エネ対策や再生可能エネルギーの利用、脱炭素化に資する製品・サービスの利用など、自然と脱炭素に配慮した行動をとる脱炭素型のライフスタイルが定着しています。 ・最高レベルの断熱・気密性能を備えたZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)等の「省エネ性能のより高い住宅」や、環境に優しいエネルギーの選択が一般的となり、健康で快適かつ温室効果ガスの発生を抑制した生活を送っています。 ・リデュース・リユース・リサイクルの3Rの取組に加え、環境に優しい商品の選択が日常的となり、資源消費の最小化・循環的な利用により、資源を有効利用し、廃棄物の発生を抑止しています。 ・地域活動に多くの市民が参加し、脱炭素の取組の実施に加え、緑の保全や創造が図られるなど風の道にもなる水と緑のネットワークが形成され、暑熱環境も緩和されています。 ・ 気候変動の影響による災害の激甚化に対し、市民・事業者・市等の主体が連携し、自助・共助・公助の取組で被害を回避・軽減しています。 (2) 脱炭素を原動力として市内経済が発展しつづけるまち  市内企業が世界的なサプライチェーンの脱炭素化に対応するとともに、脱炭素を原動力とする脱炭素経営が実践されることで、環境と経済が好循環しているまちの形成を目指します。  <実現したイメージ> ・ 市内企業が脱炭素経済への移行を円滑・着実に進め、脱炭素を原動力とした「環境と経済の好循環」が図られています。 ・ 市内企業の脱炭素経営が当たり前となり、国内外の脱炭素サプライチェーンに参画しています。 ・ 新技術の開発、脱炭素イノベーションの創出により、世界的な競争力を高めています。 ・ 脱炭素の分野での国際協力が進み、国際的なプレゼンスを高めるとともに、市内企業が海外インフラビジネスに参画しています。 ・ 企業において、持続可能な形で資源を利用する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」の考え方が浸透し、事業活動の持続可能性を高めています。 (3) 脱炭素と、気候変動の影響に対応しているまち  省エネやヒートアイランド現象の緩和に対応するまちづくりの実践や次世代自動車等への置き換え等により脱炭素に対応するとともに、気候変動の影響に適応し、レジリエンスが強化された都市基盤整備が進んだまちの形成を目指します。  <実現したイメージ> ・ 建築物の省エネ対策やヒートアイランド現象の緩和に対応するまちづくりが実践されているとともに、再生可能エネルギー由来等の電気や熱等の自立分散型エネルギーの面的利用が進み、脱炭素と一体となったまちづくりが進んでいます。 ・ EV(電気自動車)充電設備や水素ステーションといったインフラの整備も進むことで、自動車の大半がEVやFCV(燃料電池自動車)等の次世代自動車に置き換わっています。また、環境にやさしい交通ネットワークの整備が進み、多様な交通手段の充実により、誰もが気軽に移動できるまちづくりが進んでいます。 ・ 廃棄物等の様々な資源が新たなエネルギーとして再利用・有効活用されるなど、循環型の都市構造が進んでいます。 ・ 気候変動の影響に対応した強靱な都市基盤整備や、グリーンインフラを活用したまちづくりが進むことで、自然環境の保全とレジリエンス強化が実現しています。 3 各主体の役割 本計画では、市域を対象として、市民、事業者、市の各主体が相互に連携・協働し、各種取組を推進します。 (1) 市民の役割  市民は、気候変動に関する理解を深め、日常生活において、省エネ行動の推進や再エネ等の導入に取り組むなど、脱炭素ライフスタイルへの転換に積極的に努めることが期待されます。  また、本市では多くの自治会・町内会やNPO等の市民団体の皆様に温暖化対策に取り組んでいただいており、各団体が各主体と連携しながら、脱炭素化に向けた取組を行うことが期待されます。  気候変動への適応の観点では、市民は行政等が提供する防災情報や熱中症等の情報を収集し、自らの生命・財産を守るための「自助」の行動につなげるとともに、地域のつながりを生かした「共助」の取組を進めることが期待されます。 (2) 事業者の役割  事業者は、脱炭素化に向けたサプライチェーンマネジメントの変化や脱炭素経営への理解を深めるため、職場での環境教育をより推進するとともに、事業活動を行うにあたっては、自主性及び創造性を発揮し、温室効果ガスの排出削減に努めることが期待されます。省エネの推進や再エネ等の導入に加え、商品・エネルギー・サービスの提供では、ライフサイクルを通じた環境負荷の低減を図ることも期待されます。  また、大学・研究機関などとの連携による技術開発・実証・普及展開や、金融機関によるESG投資の拡大など、世界的な潮流に沿った対応が重要です。  気候変動への適応の観点では、事業者は災害時における被害軽減や事業継続計画(BCP)の策定等を推進するとともに、将来の気候変動の影響を見据え、事業リスクの評価や適応策の検討・実施を行うことが期待されます。 (3) 市の役割  本市は、社会情勢等を踏まえた上で国・県・関係自治体、事業者、市民等との連携を図りながら、脱炭素社会の実現に向けた総合的かつ計画的な対策を推進し、計画の進捗管理を行います。また、本市は、気候変動に関する情報を市民や事業者に幅広く、わかりやすく発信するとともに、普及啓発・環境教育を推進し、取組の促進等を図ります。さらに、本市は、自らの事務事業や施設において、省エネの徹底や再エネ導入等に率先して取り組みます。  気候変動への適応の観点では、気候変動に関する情報収集やモニタリング等のソフト面や、インフラの整備等のハード面での対策を行うとともに、市民や事業者への情報発信や、市内事業者の技術・情報等の活用を推進します。 第3章 温室効果ガス削減目標 1 対象とする温室効果ガス 本計画において対象とする温室効果ガスは次のとおりとします。   表 3ー1 対象とする温室効果ガス一覧 種類 地球温暖化係数 主な排出源 二酸化炭素(CO2)1 燃料の燃焼 メタン(CH4)25 農業、廃棄物、燃料の燃焼など 一酸化二窒素(N2O)298 農業、廃棄物、燃料の燃焼など ハイドロフルオロカーボン(HFCs)HFC-134a:1,430など 冷媒、発泡など パーフルオロカーボン(PFCs)PFC-14:7,390など 半導体・液晶製造など 六フッ化硫黄(SF6)22,800 電気絶縁ガス使用機器など 三フッ化窒素(NF3)17,200 半導体・液晶製造など 2 温室効果ガス排出削減目標 本市域からの2030年度の温室効果ガス排出削減目標として、「2013年度比50%削減」を目指します。また、2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを目指します。 表 3ー2 温室効果ガス排出削減目標 目標年度(目標年) 基準年度【温室効果ガス排出量】 温室効果ガス排出削減目標【温室効果ガス排出目標量】 2030年度 2013年度【2,159万t-CO2】 -50%【1,079万t-CO2】 2050年 ー 温室効果ガス排出実質ゼロ 3 2030年度の部門別削減目安 (1) 現状趨勢ケースや2030年度トレンドケース等の考え方  部門別削減目安や削減見込量の試算にあたり、考え方の基本となる「現状趨勢(すうせい)ケース」、「2030年度トレンドケース」、「50%削減ケース」は次のとおりとなります。 項目  考え方 現状趨勢ケース 現状の地球温暖化対策を維持した場合の排出量となり、人口等の活動量の増減等により排出量が増減します。 2030年度トレンドケース これまでと同様のペースで温暖化対策を実施することで、過去の排出量の減少傾向が2030年度まで継続した場合の排出量になります。 50%削減ケース 必要な対策を実施し、2030年度50%削減を達成した場合の排出量になります。 なお、本計画策定時における温室効果ガス排出量実績値の最新年度は2020(令和2)年度となりますが、当該年度の実績値には、例年にない新型コロナウイルス感染症の影響が見られるため、本章の「(2) 現状趨勢ケースにおける排出量の推計」や「(3) 2030年度トレンドケースの考え方を用いた部門別削減目安の設定」では、2019(令和元)年度までの実績値を用いて試算します。 (2) 現状趨勢ケースにおける排出量の推計  2030年度及び2050年を対象として、2019(令和元)年度の実績値を用い、2020(令和2)年度以降に追加的な対策を実施しない場合を仮定して、現状趨勢ケースにおける排出量の将来推計を行います。   表 3ー3 現状趨勢ケースの推計方法 部門・ガス種類 推計方法・主な考え方 二酸化炭素(CO2) 家庭部門 横浜市将来人口推計の結果(中位推計)と排出量の推移が比例すると仮定して推計 業務部門 2019年度の排出量で据え置き 産業部門 2019年度の排出量で据え置き エネルギー転換部門 排出量の5年の移動平均を用いて推計 運輸部門 自動車・鉄道からの排出量については、横浜市将来人口推計の結果(中位推計)と比例すると仮定して推計。船舶については2019年度の排出量で据え置き 廃棄物部門 一般廃棄物に関する排出量は、横浜市将来人口推計の結果(中位推計)と比例すると仮定して推計。産業廃棄物に関する排出量は2019年度の排出量で据え置き その他6ガス CH4・N2O・HFCs・PFCs・SF6・NF3 排出量の5年の移動平均を用いて推計    推計の結果、現状趨勢ケースにおける温室効果ガス排出全体量の推計値は、2030年度に1,759万トン-CO2、2050年度に1,691万トン-CO2と見込まれます。   表 3ー4 現状趨勢ケースの推計結果 部門・種類 2013年度(万トン-CO2) 2030年度推計値 温室効果ガス排出量(万トン-CO2) 2013年度比削減率 2050年推計値 温室効果ガス排出量(万トン-CO2) 2013年度比削減率 家庭部門 501 421 -16% 385 -23% 業務部門 487 336 -31% 336 -31% 産業部門 245 179 -27% 179 -27% エネルギー転換部門 451 390 -13% 390 -13% 運輸部門 390 348 -11% 320 -18% 廃棄物部門 53 47 -10% 45 -14% その他6ガス 33 36 -8% 36 -8% 合計 2,159 1,759 -19% 1,691 -22% (3) 2030年度トレンドケースの考え方を用いた部門別削減目安の設定  2030年度の部門別削減目安については、以下の1から3の考え方により設定しています。 1 2030年度50%削減時の排出量は1,079万トンであるのに対して、トレンドケースでの排出量推計値は、1,236万トン(-43%減)と見込まれ、その差は157万トン 1 157万トンは、家庭・エネルギー転換・運輸の3部門 に対して、2013年度の排出量で按分し配分 1 なお、廃棄物部門及びその他6ガスの見込量については、国の削減率及び市の事務事業に基づく目標値から設定  以上の考え方により、各部門の削減目安(排出量・2013年度比削減率)は、表 3-5において50%削減時のとおりとなります。   表 3ー5 2030年度部門別温室効果ガス排出削減目安 (単位:万トン-CO2) 部門・種類  2013年度排出量 2019年度排出量 2030年度 トレンドケース排出量(2013年度比) 配分量 50%削減時排出量(目安)(2013年度比) (参考)国の削減率(目安)(2013年度比) 家庭部門 501 431 284(-43%) -58 226(-55%) -66% 業務部門 487 336 164(-66%) − 164(-66%) -51% 産業部門 245 182 115(-53%) − 115(-53%) -38% エネルギー転換部門 451 385 302(-33%) -51 251(-44%) -47% 運輸部門 390 356 312(-20%) -48 264(-32%) -35% 廃棄物部門※ 53 48 (33)(-36%) − 33(-36%) -15% その他6ガス※ 33 40 (25)(-25%) − 25(-25%) -27% 合計 2,159 1,779 1,236(-43%) -157 1,079(-50%) -46% ※廃棄物部門、その他6ガスのトレンドケース排出量は、他の分野と異なり、本市の事務事業における削減量や国の削減目安を用いて試算しており、他の部門と異なる。 4 2030年度排出量(現状趨勢ケース)から50%削減に必要な削減見込量  2020年度から2030年度にかけての対策による削減見込量、すなわち、現状趨勢ケースにおける2030年度の排出量推計値から、50%削減に必要な削減見込量は全体で681万トン-CO2であり、各部門の削減見込量は次のとおりです。   表 3ー6 家庭部門における削減見込量 部門 省エネ/再エネ等 対策名 2030年度時点の考え方 削減見込量 家庭部門 省エネ 新築/既存住宅の省エネ化(断熱性能向上、LED照明・高効率給湯器・省エネ家電の普及等) 省エネ行動(エネルギーマネジメント、ライフスタイル転換等)の実施 新築住宅でのZEH基準が標準 LED照明の普及率 100% 等 50万トン 再エネ等 住宅における太陽光発電設備の普及 太陽光発電設備導入量 45万kW(2020年度:14 万kW※) 11万トン 再エネ100%電気への切替 再エネ100%電気切替世帯数 全世帯の1割(約17万世帯)(2020年度:ほぼ0%) 27万トン 電力のCO2排出係数の改善 電力のCO2排出係数 0.25 kg-CO2/kWh(2020年度:約0.45 kg-CO2/kWh) 108万トン 合計 195万トン 10kW未満のFIT認定分等導入量から算出 表 3ー7 業務部門における削減見込量 部門 省エネ/再エネ等 対策名 2030年度時点の考え方 削減見込量 業務部門 省エネ 商業施設、事業所等における省エネ対策の実施(断熱性能向上、LED照明・省エネ機器導入、エネルギーマネジメント等) 約2%/年の省エネ 102万トン 再エネ等 商業施設、事業所等における太陽光発電設備の普及 太陽光発電設備導入量 6.0万kW(2020年度:2.9 万kW) 1.4万トン 再エネ100%電気への切替 再エネ100%電気切替事業者数 全事業者の1割(2020年度:ほぼ0%)14万トン 電力のCO2排出係数の改善 電力のCO2排出係数 0.25 kg-CO2/kWh(2020年度:約0.45 kg-CO2/kWh) 55万トン 合計 172万トン 10kW以上のFIT認定分等導入量から算出(業務・産業部門で等分とする) 表 3ー8 産業部門における削減見込量 部門 省エネ/再エネ等 対策名 2030年度時点の考え方 削減見込量 産業部門 省エネ 工場等における省エネ対策の実施(LED照明・高効率設備導入、エネルギーマネジメント等) 約1%/年の省エネ 27万トン 再エネ等 工場等における太陽光発電設備の普及 太陽光発電設備導入量 6.0万kW(2020年度:2.9 万kW) 1.5万トン 電力のCO2排出係数の改善 電力のCO2排出係数 0.25 kg-CO2/kWh(2020年度:約0.45 kg-CO2/kWh) 35万トン 合計 64万トン 10kW以上のFIT認定分等導入量から算出(業務・産業部門で等分とする) 表 3ー9 エネルギー転換部門における削減見込量 部門 省エネ/再エネ等 対策名 2030年度時点の考え方 削減見込量 エネルギー転換部門 省エネ 省エネ対策の実施 省エネ対策の実施 135万トン 再エネ等 電力のCO2排出係数の改善 電力のCO2排出係数 0.25 kg-CO2/kWh(2020年度:約0.45 kg-CO2/kWh) 4.4万トン 合計 140万トン 表 3ー10 運輸部門における削減見込量 部門 省エネ/再エネ等 対策名 2030年度時点の考え方 削減見込量 運輸部門 省エネ 電動車の普及 自転車・公共交通等の利用促進 省エネ対策の実施(自動車分野における省エネ行動(エコドライブ等)の実施、鉄道・船舶における排出削減対策の実施) 電動車割合 55%(2020年度:約18%) 等 68万トン 再エネ等 電力のCO2排出係数の改善 電力のCO2排出係数 0.25 kg-CO2/kWh(2020年度:0.45 kg-CO2/kWh) 16万トン 合計 84万トン 表 3ー11 廃棄物部門における削減見込量 部門 省エネ/再エネ等 対策名 2030年度時点の考え方 削減見込量 廃棄物部門 − プラスチック等のごみ焼却量の削減 焼却工場で焼却されるプラスチックの量:約6.1万トン/年(2013年度:約12万トン/年) 等 14万トン 合計 14万トン 表 3ー12 その他6ガスにおける削減見込量 種類 省エネ/再エネ等 対策名 2030年度時点の考え方 削減見込量 その他6ガス − 排出削減対策の実施(燃料の燃焼に伴う排出削減等) 省エネ対策の実施、低排出機器への更新等による排出抑制の実施 等 11万トン 合計 11万トン 5 2030年度エネルギー消費量の削減目標  2030年度トレンドケースにおけるエネルギー消費量や、50%削減に向けた各部門での削減対策により、2030年度50%削減時のエネルギー消費量の試算値は表 3-13のとおりです。  本市域における省エネによる削減を把握するため、前実行計画と同様に2030年度のエネルギー消費量の削減目標を設定し、2013年度比で34%削減(168 PJ)に引き上げます。  なお、部門別の削減率は排出量と同様に目安とします。   表 3ー13 エネルギー消費量の実績・目標(単位:PJ)      部門・種類 実績 2013年度 2019年度 2030年度目標 消費量 2013年度比削減率 家庭部門 54.5 49.8 40 -27% 業務部門 45.6 37.2 29 -37% 産業部門 26.8 22.3 20 -26% エネルギー転換部門 72.5 62.2 41 -43% 運輸部門 54.6 49.8 39 -29% 廃棄物部門 − − − − その他6ガス − − − − 合計 254 221 168 -34% 部門別の消費量及び2013年度比削減率は目安とする 6 再生可能エネルギー導入目標  2030年度目標の達成に向けて、本市域内での再生可能エネルギーの地産地消を推進し、再生可能エネルギー設備導入量として、2030年度に69万kWを目指します。   表 3ー14 再生可能エネルギー設備導入量の実績・目標(単位:kW)     再生可能エネルギーの種類 実績 2013年度 2020年度 2030年度目標 太陽光発電 8.8万 19.4万 57万 風力発電 0.4万 0.2万 0.2万 小水力発電 0.1万 0.1万 0.1万 バイオマス発電(廃棄物発電・汚泥消化ガス発電) 9.4万 9.6万 11万 合計 19万 29万 69万 再生可能エネルギー種類別の設備導入量は目安とする 第4章 対策 1 基本方針と重点取組  「2050年の横浜の将来像「Zero Carbon Yokohama 〜2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを達成し、持続可能な大都市を実現する〜」を、市民・事業者・行政等が全ての力を総動員し、実現するために、2030年度をターゲットとした基本方針を定めるとともに、全体をけん引するリーディングプロジェクトとして「重点取組」を新たに設定します。 (1) 基本方針 2030年度をターゲットとし、脱炭素や気候変動への適応に関して、今後進めていく対策を幅広い分野で取りまとめるため、7つの基本方針を定めます。 (2) 重点取組 2050年までの脱炭素化の実現も見据えながら、基本方針に紐づく対策の中から、特に2030年度の温室効果ガス50%削減に向けて、市内経済の循環・持続可能な発展、市民・事業者の行動変容に資する取組を選び、再構築した取組を、全体をけん引するリーディングプロジェクトとして「重点取組」に設定します。   2 2030年度の取組イメージ  2030年度の目標達成に向けて、住宅・建築物や産業・経済、交通・インフラ等の各分野において、取組を推進することとし、各分野の取組イメージを示します。 3 基本方針ごとの対策 (1) 基本方針1 環境と経済の好循環の創出  温暖化対策を経済成長の制約やコストと考える時代は終わり、2050年までの脱炭素化の実現や2030年度の温室効果ガス削減目標の達成に向けた取組を経済の成長機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に資する経済社会システム全体の変革を行うGX(グリーントランスフォーメーション)の考え方が重要となります。 温暖化対策を市内経済の循環・持続可能な発展につなげるため、横浜のポテンシャルを活かしながら、脱炭素を原動力とした環境と経済の好循環の創出を進めます。 対策 1 国や産業界と連携した横浜臨海部における脱炭素イノベーションの創出・カーボンニュートラルポートの形成 2 中小企業による脱炭素経営への取組に向けた支援の充実 3 脱炭素ライフスタイルの実践と環境と経済の好循環・企業活動の持続的な成長を目指すサーキュラーエコノミーの構築 4 脱炭素に関する企業の誘致・集積の強化 5 スマート農業等による先進的かつ持続可能な都市農業の推進 指標 項目 基準値 目標値 脱炭素化への取組を実施した事業者の割合 23%(令和3年度) 40%(令和12年度) 業務床面積あたりの排出量 90kg-CO2/u年(令和3年度) 44kg-CO2/u年(令和12年度) 臨海部におけるCO2排出量 742.3万t-CO2(令和元年度) 480万t-CO2(令和12年度) サーキュラーエコノミーの構築 ー 推進 対策 具体的な取組例 1 国や産業界と連携した横浜臨海部における脱炭素イノベーションの創出・カーボンニュートラルポートの形成(重点取組1) ・国や産業界等と連携した臨海部における脱炭素イノベーション創出 ・新たな経済成長の担い手となるスタートアップ・起業家の成長支援 ・DX・脱炭素を活用した先進プロジェクトの展開 ・カーボンニュートラルポート形成の推進 ・民間事業者や川崎市等と連携した水素・アンモニア・合成メタン等のサプライチェーン構築の推進 ・水素等の次世代エネルギー活用の促進 ・ CO2を吸収する「ブルーカーボン」としての機能を担う藻場・浅場の形成 2 中小企業による脱炭素経営への取組に向けた支援の充実(重点取組2) ・SDGs・脱炭素経営の基礎的支援、グリーン分野への事業転換の促進 ・民間金融機関等と連携した脱炭素・SDGsの取組推進 ・脱炭素化に資する生産設備等の導入促進 ・脱炭素関連の融資制度の実施 ・中小企業向け脱炭素関連イニシアティブ取得の推進 ・商店街のハード整備・SDGs推進への支援 3 脱炭素ライフスタイルの実践と環境と経済の好循環・企業活動の持続的な成長を目指すサーキュラーエコノミーの構築(重点取組4) ・脱炭素化の実現に向けた、脱炭素ライフスタイルの実践と経済と環境の好循環・企業活動の持続的な成長を目指すサーキュラーエコノミー構築を連携させた取組の公民連携による推進 4 脱炭素に関する企業の誘致・集積の強化(重点取組1) ・脱炭素分野における企業誘致・投資促進 5 スマート農業等による先進的かつ持続可能な都市農業の推進 ・ICTを活用したスマート農業等の推進 ・化石燃料の使用量削減に資する農業用施設の省エネルギー化の推進 (2)基本方針2 脱炭素化と一体となったまちづくりの推進  都心部や郊外部において、様々な関係者が自然的・社会的な地域特性を踏まえた将来像を構築、共有し、再エネ導入等による地域課題の解決を図りながら、脱炭素化と一体となったまちづくりを進めるとともに、国際園芸博覧会を契機とし、新たな持続可能な都市モデルの創出に向けた取組を進めます。  また、市民・事業者・行政が協議し、鉄道やバスなど、公共交通機関の利用促進、自転車活用の推進、モビリティマネジメントの取組等を進め、過度にマイカーに依存しないライフスタイルへの転換を目指します。 対策 1 「みなとみらい21地区」脱炭素先行地域の取組推進 2 国際園芸博覧会における持続可能な都市モデルの創出、そのレガシーを生かした上瀬谷のまちづくりの推進 3 モデル地区の創出などの地域における脱炭素化とまちづくりの一体的な推進 4 米軍施設の返還等、大規模土地利用転換に伴う脱炭素なまちづくりの推進 5 道路・鉄道ネットワークの整備、公共交通の利用促進・低炭素化 6 シェアサイクル等自転車利用の促進 7 地域交通の維持・低炭素化   指標 項目 基準値 目標値 脱炭素先行地域での電力消費に伴うCO2排出量 − 実質ゼロ(令和12年度) 郊外部における脱炭素化モデル事業の実施 − 展開(令和12年度) 国際園芸博覧会における持続可能な都市モデルの創出 − モデル創出(令和9年) 自転車通行空間の整備延長 86km(累計) 103km(累計) 令和4年度に3地区でのモデル事業実施を想定 対策 具体的な取組例 1 「みなとみらい21地区」脱炭素先行地域の取組推進(重点取組3) 「みなとみらい21地区」の脱炭素先行地域の取組を通じた都市型脱炭素モデルの創出 2 国際園芸博覧会における持続可能な都市モデルの創出、そのレガシーを生かした上瀬谷のまちづくりの推進(重点取組3) ・世界最先端の技術を導入した脱炭素モデルの創出 ・ グリーンインフラを活かしたまちづくりモデルの創出 ・2027年国際園芸博覧会のレガシーを生かした郊外部のまちづくりの推進 3 モデル地区の創出などの地域の脱炭素化とまちづくりの一体的な推進 (重点取組3) ・郊外部における脱炭素化モデル事業の実施 ・新たな開発への先進的な設備や再エネの導入促進による環境に優しいまちの実現 ・大規模土地利用転換の機会を活用した再エネ導入等による脱炭素化の推進 ・郊外住宅地における再エネを活用したまちづくりの推進 4 米軍施設の返還等、大規模土地利用転換に伴う脱炭素なまちづくりの推進(重点取組3) ・米軍施設の跡地利用に伴う脱炭素化の推進 5 道路・鉄道ネットワークの整備、公共交通の利用促進・低炭素化 ・道路・鉄道ネットワークの整備によるシームレスな交通の推進 ・公共交通の利用促進・低炭素化の促進 ・環境に優しい燃料の利用促進 6 シェアサイクル等自転車利用の促進 ・シェアサイクル等の利用促進 ・自転車利用環境の整備促進 7 地域交通の維持・低炭素化 ・新たなバスサービスなど、地域のニーズに沿った移動手段の確保に向けた取組の推進 ・過度なマイカー利用から、環境負荷が少ない公共交通等への転換を促すモビリティマネジメントによる低炭素化の促進 (3)基本方針3 徹底した省エネ・再生可能エネルギーの普及・拡大  エネルギー消費量を削減するため、2030年度の新築住宅のZEH基準への適合義務化等を見据えた住宅の断熱性能の向上や高効率機器・省エネ効果の高い家電の導入、次世代自動車等の普及拡大、EV充電器・水素ステーション等インフラ設備の設置等を推進します。また、大都市の特性に合わせた再エネの地産地消の推進や再エネ100%電気への切替、再エネポテンシャルの豊富な地域との広域連携を進め、再生可能エネルギーの普及・拡大を目指します。 対策 1 省エネ性能のより高い住宅・建築物の普及促進 2 次世代自動車等の普及及びインフラ整備 3 計画書制度等を活用した大規模排出事業者の脱炭素化促進 4 エネルギーマネジメント・自立分散型ネットワーク構築の推進 5 再生可能エネルギー電気への切替促進 6 太陽光発電等の再生可能エネルギーの地産地消の推進 7 再生可能エネルギーに関する広域連携の推進   指標 項目 基準値 目標値 新築住宅における省エネ性能の高い住宅の普及戸数※ 62,212戸(令和3年度) 198,000戸(令和12年度までの累計) 次世代自動車(EV、PHV、FCV)及びハイブリッド自動車の普及割合 18%(令和2年度) 55%(令和12年度) 本市が実施する取組による再エネ切替者数(世帯・事業所) 828件(令和3年度までの累計) 10,000件(令和12年度までの累計) ※令和8年度以降は、省エネ基準の適合義務化により、すべての新築住宅が省エネ性能の高い住宅になります。 対策 具体的な取組例 1 省エネ性能のより高い住宅・建築物の普及促進(重点取組4) ・「(仮称)よこはま健康・省エネ住宅推進コンソーシアム」の設立 ・「省エネ性能のより高い住宅」の設計・施工等に関する技術講習会の実施、事業者の登録・公表制度の検討 ・「よこはま省エネルギー住宅アカデミー」の実施など、多様な主体との連携による普及啓発の推進 ・省エネ性能等の高い住宅の可視化の検討 ・再エネの設置促進策の検討 ・都市計画税の減額措置 ・ CASBEE横浜などの運用による省エネ性能の高い建築物の普及促進 2 次世代自動車等の普及及びインフラ整備 ・次世代自動車等の普及促進 ・電動車社会の実現を目指したEV充電インフラの普及促進・水素ステーションの整備促進 3 計画書制度等を活用した大規模排出事業者の脱炭素化促進 ・地球温暖化対策計画書制度等を通じた市内事業者の脱炭素化促進 4 エネルギーマネジメント・  自立分散型ネットワーク構築の推進 ・レジリエンスの向上にも資するエネルギーマネジメント・自立分散型エネルギー設備(燃料電池システム等)の導入の推進 5 再生可能エネルギー電気への切替推進(重点取組4) ・焼却工場の再エネ(環境価値)の活用による地産地消の推進 ・他自治体等との連携による共同購入スキーム等を活用した家庭・業務部門における再エネ電気への切替促進  6 太陽光発電等の再生可能エネルギーの地産地消の推進(重点取組4) ・他自治体等との連携による共同購入スキーム等を活用した太陽光発電設備・蓄電池の導入促進  ・民間事業者等へのPPA(パワーパーチェスアグリメント)の活用による太陽光発電設備の導入促進 ・一定規模以上の新築建築物を対象とし、再エネ導入促進を目的とした制度の運用 7 再生可能エネルギーに関する広域連携の推進(重点取組4) ・地域循環共生圏の構築に資する再生可能エネルギーに関する広域連携の推進 (4)基本方針4 市民・事業者の行動変容の促進  2030年度温室効果ガス50%削減に向けて、市民・事業者が自分ごととして温暖化対策に取り組むことが不可欠です。そこで、脱炭素の重要性の浸透や意識醸成を図り、市・市民・事業者が一丸となって2050年脱炭素社会の実現を目指すため、多様な主体と連携し、あらゆる機会での普及啓発や、多様な世代への環境学習を実施し、脱炭素ライフサイクルへの行動変容を促します。  さらに、横浜市一般廃棄物処理基本計画等に基づき、ごみの分別の徹底に加えてリデュースの推進や、食品ロス対策、プラスチック対策等、収集から運搬、処分のあらゆる段階において、削減対策を推進します。 対策 1 多様な主体と連携した普及啓発 2 脱炭素ライフスタイルイノベーション等による市民の行動変容の浸透 3 市内教育機関等と連携した次世代を担う子どもたちへの環境教育の充実 4 環境教育や普及啓発を担う次代の担い手育成 5 プラスチックごみ、食品ロス削減対策の充実による循環型社会の形成 指標 項目 基準値 目標値 脱炭素に向けて行動する市民の割合 57.5%(令和3年度) 71%(令和12年度) 焼却工場でのプラスチックの焼却量 10.1万t(令和2年度) 6.1万t(令和12年度) 対策 具体的な取組例 1 多様な主体と連携した普及啓発 (重点取組4) ・企業・市民活動団体・大学等の多様な主体との連携を通じた脱炭素やSDGs達成に向けた行動変容の推進 ・地球温暖化対策推進法に基づく地域協議会による普及啓発の展開 2 脱炭素ライフスタイルイノベーション等による市民の行動変容の浸透 (重点取組4) ・グリーン×デジタルによる脱炭素ライフスタイルイノベーション等による市民の行動変容の推進 ・デジタル技術を活用した情報発信の展開 ・脱炭素化の実現に向けた、脱炭素ライフスタイルの実践と、環境と経済の好循環・企業活動の持続的な成長を目指すサーキュラーエコノミー構築を連携させた取組の公民連携による推進 ・脱炭素ライフスタイルキャンペーンの展開 3 市内教育機関等と連携した次世代を担う子どもたちへの環境教育の充実(重点取組4) ・市内小中学校の総合的な学習の時間等での環境教育の推進 ・次世代を担う子どもたちの意識醸成を目的とした民間事業者等と連携した学習コンテンツの作成 4 環境教育や普及啓発を担う新たな担い手育成(重点取組4) ・大学・企業・市民活動団体と連携した新たな担い手育成の推進 5 プラスチックごみ、食品ロス削減対策の充実による循環型社会の形成 ・プラスチック資源循環法に基づくプラスチックごみ対策の推進 ・国際機関や企業等と連携した食品ロス削減、プラスチックごみ削減等に向けた啓発の実施 ・エシカル消費の普及・啓発 ・資源の最大限の利活用や消費の最小化、廃棄物の発生抑止によるサーキュラーエコノミーの構築を目指す市民・企業に促す普及啓発 (5) 基本方針5 世界共通の課題である脱炭素化への貢献 温暖化対策を市内経済の循環・持続可能な発展につなげるために、国際技術協力や海外インフラビジネスの推進による市内企業の参画が重要となります。 本市が脱炭素に関連する国際会議等や国際的にプレゼンスの高い都市ネットワークに参加し、知見の共有や横浜の取組を世界に発信することで、国内外から多くの人や企業を惹きつけるとともに、世界的な評価の確立を図ります。 また、温暖化対策における都市の役割が高まる中、国内都市・地域ネットワークはますます重要になってきており、国や全国のゼロカーボンシティとの連携を強化し、地域発の脱炭素ドミノの創出を進め、脱炭素化に貢献します。 対策 1 海外諸都市への技術協力・海外インフラビジネスの推進 2 脱炭素に関連する国際会議の開催、国際的都市ネットワークとの連携の強化・情報発信によるプレゼンス向上3 国や国内のゼロカーボンシティとの連携強化・情報発信   指標 項目 基準値 目標値 国際会議等への参加回数 7回(令和3年度) 7回(令和12年度) 対策 具体的な取組例 1 海外諸都市への技術協力・海外インフラビジネスの推進 ・Y-PORT事業による海外諸都市への国際技術協力の推進 ・市内企業の海外インフラビジネス展開の支援 ・上下水道、廃棄物等の各分野におけるアジア・アフリカ等の諸都市への国際技術協力の推進 2 脱炭素に関連する国際会議の開催、国際的都市ネットワークとの連携の強化・情報発信によるプレゼンス向上 ・アジア・スマートシティ会議の開催 ・国際会議やワークショップ等における本市の先進的な取組の発信 ・アジア諸都市や欧州地域と連携した取組の推進 3 国や国内のゼロカーボンシティとの連携強化・情報発信 ・九都県市首脳会議環境問題対策委員会での連携した取組の推進 ・ゼロカーボン市区町村協議会等のネットワークを活用した国内都市との連携による温暖化対策の推進 ・指定都市自然エネルギー協議会との連携の推進 ・山梨県道志村等との連携 (6)基本方針6 市役所の率先行動 横浜市役所は市域の温室効果ガス排出量のうち約5%を占める、市内最?級の排出事業者でもあり、市民・事業者への率先垂範の観点から、横浜市役所の事務及び事業に伴う温室効果ガス排出量の?層の削減に取り組む必要があります。  「横浜市地球温暖化対策実行計画(市役所編)」における2030年の温室効果ガス削減目標である2013年度比50%削減を目指し、全庁一丸となって取組を進めます。 対策 1 公共建築物の新築・改修等における対策 2 再生可能エネルギーの導入拡大 3 自動車等における温室効果ガス削減対策の推進 4 エネルギーマネジメント等による運用対策の徹底 5 主要事業の特性を活かした取組の推進 指標 項目 基準値 目標値 市役所における温室効果ガスの排出量(市役所編の削減目標50%削減) 86万t-CO2(令和2年度)  46万t-CO2(令和12年度) 太陽光発電設備の導入割合 310施設(導入施設数)(令和2年度) 設置可能な公共施設の約50%(令和12年度) 公共施設のLED化率 34%(令和2年度) 100%(令和12年度) 一般公用車における次世代自動車割合 28%(令和2年度) 100%(令和12年度) 対策 具体的な取組例 1 公共建築物の新築・改修等における対策(重点取組5) ・市有施設のLED等高効率照明の導入 ・環境性能の高い施設の整備 ・ESCO事業等による省エネ改修の実施 ・公共建築物における木材利用の促進 2 再生可能エネルギーの導入拡大(重点取組4・5) ・PPA等による公共施設への再エネ設備の更なる導入 ・再エネ設備等の適切な維持管理の実施 ・使用する電力のグリーン化促進 3 自動車等における温室効果ガス削減対策の推進(重点取組5) ・一般公用車における次世代自動車等の原則導入 ・相乗り利用、より燃費の良い自動車の優先使用など、公用車の効率的利用 4 エネルギーマネジメント等による運用対策の徹底(重点取組5) ・全庁一丸となったエネルギーマネジメントの更なる推進 ・VPPやDR等のエネルギー利活用技術の推進 ・「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づく管理標準を活用した施設の適切な運用 ・運用改善や省エネ対策の徹底による施設管理の実施 ・フロン類使用機器の排出抑制の推進 ・全職員が取り組む省エネ行動やワークライフバランス等の推進 5 主要事業の特性を活かした取組の推進(重点取組5) ・一般廃棄物処理事業における取組推進(プラスチックをはじめとしたごみの削減、環境にやさしいエネルギーの地産地消の推進等) ・下水道事業における取組推進(最新技術を導入した汚泥焼却炉更新、設備の更新時における機器の高効率化等) ・水道事業における取組推進(自然エネルギーを活用した自然流下系施設(浄水場等)の優先的整備等) ・高速鉄道事業における取組推進(新型車両の導入等) ・自動車事業における取組推進(環境に配慮した車両の導入等) ・教育事業における取組推進(学校施設建替え時等の環境配慮等) ・病院事業における取組推進(エネルギーサービスプロバイダー事業者と協力した省エネ化の推進等) (7)(基本方針7)気候変動の影響への適応 気候変動の影響による災害の激甚化・頻発化、気温上昇等に適応するため、「農業・自然環境分野」、「風水害・土砂災害等分野」、「熱中症・感染症等分野」、「産業・経済活動分野」の4つの分野に整理し、それぞれの分野において、水循環等の自然環境の保全と自然を基盤とした解決策(NbS:Nature-based Solutions)、浸水対策や地域防災力の向上等、関連計画に基づいた対策等を進め、気候変動への適応とレジリエンス向上を進めます。 対策 1 農業・自然環境分野の適応策の推進 2 風水害・土砂災害等分野の適応策の推進 3 熱中症・感染症等分野の適応策の推進 4 産業・経済活動分野の適応策の推進 指標 項目 基準値 目標値 大雨に対する流域の安全度の向上 (河川)河川護岸整備率※1(下水道)整備対象地区の対策完了率※2 河川90%、下水85%(令和3年度末) 河川91%、下水88%(令和7年度末) グリーンインフラの導入件数※3 9箇所/年(令和3年度) 10箇所/年(令和7年度) 緑地保全制度の新規指定面積※4 31.9ha/年(令和3年度) 60.0ha/年 ※1 抜本的な治水対策を必要とする計画28河川(時間降雨量約50mm)の河川護岸整備率 ※2 浸水被害を受けた地区のうち目標整備水準(時間降雨量約50mm、約60mm)の整備対象地区 ※3 公共施設再整備等における保水・浸透機能等の導入件数 ※4 横浜みどりアップ計画[2019-2023]と連動 対策 具体的な取組例 1 農業・自然環境分野の適応策の推進 ・グリーンインフラを生かした水循環の再生 ・農地のグリーンインフラとしての機能の活用促進 ・農家等への経済的支援 ・水環境のモニタリング ・地下水採取による地盤沈下対策 ・生態系のモニタリング ・まとまりのある樹林地の保全・活用 ・良好な水環境・水循環の創出に向けた取組の推進 ・多様な生き物を育む場づくり ・豊かな海づくりの推進 ・CO2を吸収する「ブルーカーボン」としての機能を担う藻場・浅場の形成 2 風水害・土砂災害等分野の適応策の推進 ・河川改修や下水道施設の整備等の氾濫をできるだけ防ぐための対策の推進 ・グリーンインフラの活用等の浸水被害を減少させるまちづくりの推進 ・ハザードマップや防災アプリ等を活用した、適切な避難行動につなげるための情報発信 ・マンションの防災力向上制度の認定制度等の活用による防災組織体制の充実 ・崖地等の対策 ・海岸保全施設の整備 ・河川水位・潮位等のモニタリング 3 熱中症・感染症等分野の適応策の推進 ・熱中症対策の普及啓発・注意喚起 ・感染症の拡大防止対策・注意喚起 ・気象・大気汚染のモニタリング ・都市環境気候図等の活用による暑熱環境に配慮したまちづくりの推進 ・省エネルギー等による排熱の抑制 ・地表面の改良や風の道の確保の推進 ・ヒートアイランド対策に関する情報発信 ・都市の暑さ対策調査・研究 4 産業・経済活動分野の適応策の推進 ・河川改修や下水道施設の整備等の氾濫をできるだけ防ぐための対策の推進(再掲) ・グリーンインフラの活用等の浸水被害を減少させるまちづくりの推進(再掲) ・省エネルギー等による排熱の抑制(再掲) ・地表面の改良や風の道の確保の推進(再掲) 4 重点取組 (1)(重点取組1)横浜臨海部脱炭素イノベーションの創出 2050年脱炭素社会の実現に向けては、中長期的な視点を持って新たな技術革新を創出する必要があります。 本市は、臨海部を中心にエネルギー関連産業、製造業、物流等の日本経済を支える産業が集積しており、2050年脱炭素化の実現に向けて必要なイノベーションのポテンシャルを有しているエリアでもあります。エネルギーの一大消費地でもある本市が、このようなポテンシャルを活かし、国や立地企業等と連携して重点的にイノベーションの創出に取り組むことで、国内外の脱炭素化や経済の持続可能な発展につなげることが重要です。 取組の方向性 臨海部を中心とする本市のポテンシャルを活かし、水素・アンモニア・合成メタン等について、立地企業等の様々な主体と連携し、新たな脱炭素イノベーション創出に向けた取組を推進するとともに、集積する臨海部産業との連携等による、カーボンニュートラルポートの形成を推進します。 具体的な対策例 ・カーボンニュートラルポート形成の推進 ・民間事業者や川崎市等と連携した水素・アンモニア・合成メタン等のサプライチェーン構築の推進 ・水素等の次世代エネルギー活用の促進 ・脱炭素分野における企業誘致・投資促進 指標(再掲) 項目 基準値 目標値  臨海部におけるCO2排出量 742.3万t-CO2(令和元年度) 480万t-CO2(令和12年度) (2)(重点取組2) 脱炭素経営支援の充実 社会的な要請により、サプライチェーン全体に脱炭素化が求められることで、取引や融資先選定の条件になることが想定されており、温室効果ガス削減と市内経済の循環・持続可能な発展のために、市内企業が脱炭素経営に取り組み、サプライチェーンへの参加や取引機会の増大につなげることが重要です。そのため、脱炭素経営に向けた支援を充実する取組を重点的に行い、環境と経済の好循環を図る必要があります。   取組の方向性 省エネをはじめとする脱炭素化の取組、成長にもつながる循環経済への移行や持続可能な発展に向けた市内中小企業の脱炭素経営への移行を民間金融機関等と連携し、支援策の充実を進めます。   具体的な対策例 ・SDGs・脱炭素経営の基礎的支援、グリーン分野への事業転換の促進(相談対応、コンサルティング、セミナー開催、助成制度等) ・民間金融機関等と連携した脱炭素・SDGsの取組推進(コンサルティング及び融資の充実)   指標(再掲) 項目 基準値 目標値 脱炭素化への取組を実施した事業者の割合 23%(令和3年度) 40%(令和12年度) (3)(重点取組3) 脱炭素に対応したまちづくり  1都心部のまちづくり 環境省は今後の5年間を集中期間として、少なくとも100か所の脱炭素先行地域を指定し、地域から脱炭素ドミノを起こすことで脱炭素社会の実現を進めるものとしています。 都心部は、大規模施設が集中するなどエネルギー消費が多く、地域内の再エネポテンシャルが低いという課題があります。このようなエネルギーの大消費地である都心部をモデルとして、先行して脱炭素化を目指すことにより、2030年度市域の50%削減に大きく寄与します。このような取組を通して、他のエリアにも脱炭素化の流れを波及させることが必要です。   取組の方向性 脱炭素先行地域「みなとみらい21地区」において、参画施設とともに2030年までに電力消費に伴うCO2排出量「実質ゼロ」の達成を目指し、大都市における脱炭素化モデルを構築します。 具体的な対策例 ・ 「みなとみらい21地区」の脱炭素先行地域の取組を通じた都市型脱炭素モデルの創出 ・電力の脱炭素化 先行地域内の施設屋上や、市内公共施設の未利用スペースへの太陽光発電設備の設置や、再エネポテンシャルの高い地方自治体との広域連携などによる再エネ電力の供給など  ・地域冷暖房における熱の低・脱炭素化 エリア内にある日本最大規模の地域冷暖房における熱の低・脱炭素化として、既存プラントの熱源の更新・増強及びエネルギー使用効率の高い最新機器の導入など ・省エネ・エネルギーマネジメント 徹底した省エネや地域一体となったエネルギーマネジメントによる電力需給調整力の創出など ・資源循環の推進・行動変容 飲食店等で発生する食品廃棄物やペットボトルの削減・活用による廃棄物の資源循環を拡大 市民・事業者一人ひとりの脱炭素化への行動変容を促すイベント等の実施 指標(再掲) 項目 基準値 目標値 脱炭素先行地域での電力消費に伴うCO2排出量 − 実質ゼロ(令和12年度) (4)(重点取組3)脱炭素に対応したまちづくり  2郊外部のまちづくり 本市郊外部においては、地域交通や買物支援の必要性など、市民生活における課題が顕在化しているとともに、大規模な土地利用転換を踏まえた地域活性化が必要とされています。 二酸化炭素排出量のうち家庭部門が約3割を占めるという本市の特徴を踏まえ、郊外部において、脱炭素化と地域課題の解決・賑わいづくりを一体的に推進する新たなモデル事業に重点的に取り組み、脱炭素の取組を市民生活レベルに拡大することが必要です。 取組の方向性 国際園芸博覧会における持続可能な都市モデルの創出や、そのレガシーを上瀬谷のまちづくりに活用するとともに、郊外部を中心に「脱炭素化」と「地域課題の解決・賑わいづくり」を一体的に推進する新たなモデル事業の展開により、脱炭素社会を目指したまちづくりを推進します。 具体的な対策例 ・国際園芸博覧会における持続可能な都市モデルの創出 ・国際園芸博覧会のレガシーを生かした上瀬谷のまちづくりの推進 ・郊外部における脱炭素化モデル事業の実施 再生可能エネルギーの地産地消による脱炭素化と、地域課題の解決や賑わいづくりを一体的に推進 指標(再掲) 項目 基準値 目標値 郊外部における脱炭素化モデル事業の実施 −※ 展開(令和12年度) 国際園芸博覧会における持続可能な都市モデルの創出 − モデル創出(令和9年) ※令和4年度に3地区でのモデル事業実施を想定 (5)(重点取組4)脱炭素ライフスタイルの浸透 本市の温室効果ガス排出量の約3割を家庭部門が占めており、また、日本のライフスタイル温室効果ガス排出量を消費ベースで見ると、全体の6割が家計(各世帯の行動)によるものという報告もあることから、脱炭素社会の実現には、市民一人ひとりの日常的な行動を脱炭素ライフスタイルへ転換していくことが必要です。 また、市民意識調査や脱炭素化・SDGsに関する意識調査などの結果から、これまでの普及啓発や社会的情勢により、温暖化への関心が高まっており、省エネを中心に、徐々にその成果は表れていますが、より一層の促進が必要です。 そこで、これまでの取組を振り返りながら、特に、関心のある層の行動変容に向けて、脱炭素×暮らし(衣・食・住・働く)×楽しむ×デジタル×サステナブル×経済性を組み合わせるなど、新たなコンテンツの開発や手法について検討し、検証から実装へと展開していくことが重要です。 <参考> 1 消費ベースでのライフサイクル温室効果ガスの割合  2 市民 市政への要望 地球温暖化への対策     H28:13.4%(10位圏外)→R3:23.5%(5位)  (令和3年度横浜市民意識調査) 事業者 8割を超える事業者が、脱炭素化の必要性を認識(令和3年度脱炭素化・SDGsに関する意識調査) 3対象とする層の考え方 関心が低い層から関心層(環境意識が高く、温暖化対策の必要性を十分に認識している市民)に引き上げていくための普及啓発を継続しながら、関心層から行動層への移行を促進することが重要です。 (6)(重点取組4) 脱炭素ライフスタイルの浸透 1住宅の省エネ性能向上 令和3年10月に閣議決定された、新たな「エネルギー基本計画」及び「地球温暖化対策計画」において、「2050年に住宅のストック平均でZEH基準の水準の省エネルギー性能が確保されていること」などが、国の取組方針として位置づけられました。 また、国では、この方針の実現に向けた今後の具体的な対応として、新築住宅の省エネ基準適合義務化による底上げとあわせて、ZEH基準を上回る高い省エネ性能への誘導を図ることとしています。 そこで、本市ではZEH基準を上回る「省エネ性能のより高い住宅」の普及促進を図ることで、市域における家庭部門の温室効果ガスの排出抑制をより一層進める必要があります。 取組の方向性 ・健康・快適、経済性、防災性などのメリットを市民に分かりやすく伝え、あらゆる住宅の断熱化・省エネ化の促進及び再生可能エネルギーの導入を進めます。 ・市内の設計・施工者の技術力向上の支援により、市内経済の活性化につなげます。 具体的な対策例 ・「(仮称)よこはま健康・省エネ住宅推進コンソーシアム」の設立 ・「省エネ性能のより高い住宅」の設計・施工等に関する技術講習会の実施、事業者の登録・公表制度の検討 ・「よこはま省エネルギー住宅アカデミー」の実施など、多様な主体との連携による普及啓発の推進 ・省エネ性能等の高い住宅の可視化の検討 ・再エネの設置促進策の検討 ・都市計画税の減額措置 指標(再掲) 項目 基準値 目標値 新築住宅における省エネ性能の高い住宅の普及戸数 62,212戸(令和3年度) 198,000戸(令和12年度までの累計) (7)(重点取組4) 脱炭素ライフスタイルの浸透 2再エネの導入 市域内の再エネの創出ポテンシャルは2050年の電力の推計消費量に対し約1割程度と試算されています。市域で使用する電力を再エネ主体へ転換するためには市域外からの再エネ供給が不可欠であり、広域連携による再エネ導入を進めるとともに、市域への更なる再エネの導入拡大を図るため、企業や他自治体と連携した取組を重点的に進める必要があります。 取組の方向性 ・九都県市で連携した再エネ電気共同購入キャンペーン、神奈川県と連携した太陽光発電設備・蓄電池の共同購入等、他自治体との連携による再エネ導入を推進します。 ・2030年度までの設置可能な公共施設の約50%への太陽光発電設備導入、焼却工場の環境価値の活用など、市役所が率先して再エネ拡大を進めます。 具体的な対策例 ・地域循環共生圏の構築に資する再生可能エネルギーに関する広域連携の推進 ・PPA等による公共施設への再エネ設備の更なる導入 ・他自治体等との連携による共同購入スキーム等を活用した家庭・業務部門における再エネ電気への切替促進 ・他自治体等との連携による共同購入スキーム等を活用した太陽光発電設備・蓄電池の導入促進 ・焼却工場の再エネ(環境価値)の活用による地産地消の推進   指標(再掲) 項目 基準値 目標値 本市が実施する取組による再エネ切替者数(世帯・事業所) 828件(令和3年度までの累計) 10,000件(令和12年度までの累計) (8)重点取組4 脱炭素ライフスタイルの浸透  3脱炭素ライフスタイル実践・サーキュラーエコノミー構築の連携した取組 大量生産・大量消費等を前提とした従来型の社会経済システム(リニアエコノミー)から、原料投入・資源消費の最小化を図りつつ付加価値の最大化を目指す経済システム(サーキュラーエコノミー)への移行が重要です。 サーキュラーエコノミーへの移行は、消費を中心とした市民生活にも根差しており、脱炭素ライフスタイルの実践と同じ方向を目指した取組といえます。そこで、市民生活における脱炭素ライフスタイルの実践に向けた取組とサーキュラーエコノミーの構築をあわせた取組を重点的に取り組むことにより、より効果的な行動変容の促進につながると考えています。 取組の方向性 脱炭素化の実現に向け、脱炭素ライフスタイルの実践と、環境と経済の好循環・企業活動の持続的な成長を目指すサーキュラーエコノミー構築を連携させた取組を、公民連携により推進します。 具体的な対策例 ・ サーキュラーエコノミー等に資する魅力的な脱炭素ライフスタイルについて、先駆的で持続可能なビジネスモデル・地域モデルを創出して、その浸透を図る公民連携事業の実施 指標(再掲) 項目 基準値 目標値 サーキュラーエコノミーの構築 ー 推進 (9)重点取組4 脱炭素ライフスタイルの浸透  4脱炭素ライフスタイルキャンペーンの展開 これまでの取組や社会情勢によって、脱炭素への関心は高まりを見せ、省エネ行動に取り組む市民は増加していますが、太陽光パネル等の再エネ導入や再エネへの切替といった、よりCO2削減効果の高い行動には必ずしも結び付いていません。 家庭部門の排出量削減に向けて、キャンペーンの展開等によって、市民によるCO2削減効果の高い消費行動を一層促進していく必要があります。 取組の方向性 既存の取組から、効果的な取組を選択し強化して実施するとともに、これまでの取組の分析を踏まえながら、効果的なキャンペーン実施に向けた検討し実践します。 具体的な対策例 ・太陽光パネル設置は、節電・電気代節約効果・CO2排出削減効果が高く、家庭に対するメリットは大きいため、より一層の再エネ導入を呼びかけ(例:神奈川県や九都県市等の自治体間連携の取組との連携を強化) ・これまでの取組の分析を行い、太陽光パネル等の再エネ導入や再エネへの切替といった消費行動を一層促進していくためのインセンティブ等について検証 ・検証結果を踏まえたキャンペーンの実施 指標(再掲) 項目 基準値 目標値 本市が実施する取組による再エネ切替者数(世帯・事業所) 828件(令和3年度までの累計) 10,000件(令和12年度までの累計) (10) 重点取組5 市役所の率先行動 市内最大級の温室効果ガス排出事業者(市域の約5%を排出)であり、市民や事業者に温暖化対策を呼びかけている本市が、市民・事業者の模範となるべく、「横浜市地球温暖化対策実行計画(市役所編)」で掲げる2030年度50%削減を目指し、重点的に取組を進めていく必要があります。 取組の方向性 地球温暖化対策実行計画(市役所編)の削減目標の達成に向けて、公共建築物の新築・改修等における対策、再生可能エネルギーの導入拡大、公用車における温室効果ガス削減対策、運用対策の徹底等の率先した取組を推進します。 具体的な対策例 ・公共建築物の新築・改修等における対策(市有施設のLED等高効率照明の導入等) ・再生可能エネルギーの導入拡大(PPA等による公共施設への再エネ設備の更なる導入(再掲)等) ・自動車等における温室効果ガス削減対策の推進(一般公用車における次世代自動車等の原則導入等) ・エネルギーマネジメント等による運用対策の徹底(省エネ行動の実践、デジタル化の推進等) ・主要事業の特性を活かした取組の推進 指標(再掲) 項目 基準値 目標値 市役所における温室効果ガスの排出量(市役所編の削減目標50%削減) 86万t-CO2(令和2年度) 46万t-CO2(令和12年度) 太陽光発電設備の導入割合 310施設(導入施設数)(令和2年度) 設置可能な公共施設の約50%(令和12年度) 公共施設のLED化率 34%(令和2年度) 100%(令和12年度) 一般公用車における次世代自動車割合 28%(令和2年度) 100%(令和12年度) 第5章 推進体制及び進捗管理 1 計画の推進体制 2030年度温室効果ガス50%削減、2050年脱炭素化「Zero Carbon Yokohama」の実現に向けて、全庁一丸となって取組を推進し、あわせて、市民・事業者・教育研究機関・市民団体・行政の各主体が相互に協働・連携し、対策を推進します。 (1) 市役所の推進体制 本市では、全庁的な地球温暖化対策の取組を強力に推進するため、「温暖化対策統括本部」を、市長の直近下位の組織として2011(平成23)年度から設置しています。市役所の推進体制として、温暖化対策統括本部が総合調整を行い、全庁的な地球温暖化対策を実施します。 目標達成に向けて、庁内が一体となり、取組を強力に推進する必要があることから、2023(令和5)年度より、これまでの副市長をトップとする温暖化対策区局長等連絡会議から、市長をトップとする庁内体制に再構築します。あわせて、必要に応じた副市長をトップとする部会の設置や区局横断的なワーキンググループ等の設置による実務レベルでの対策立案や推進を図ります。 これにより、各区局統括本部が取り組むべき方針や対策、事業等についての庁内横断的な検討・調整の一層の強化を図ります。また、様々な機会を通じて、区・局・統括本部全体で情報を共有し、国や県、関係自治体等とも連携しながら、取組を推進します。 (2) 様々な主体との連携体制 市民・事業者との連携体制として、地球温暖化対策推進協議会や地球温暖化対策事業者協議会等の枠組みを活用し、連携した取組を推進します。また、先進的な脱炭素化に向けた技術や知見、取組の共有、普及啓発などを目的に、ヨコハマ・エコ・スクール(YES)、横浜スマートビジネス協議会(YSBA)等の様々なネットワークも活用し、地球温暖化対策に取り組みます。 2 計画の進捗管理 計画の実効性を担保し、着実な推進を図るため、PDCAサイクルの一連の流れに沿って取組の状況等を定期的に点検・把握し、評価を行い、計画及び取組の適切な見直しを継続的に行います。 まず、Plan(計画)として、取組状況の進捗管理結果をもとに、今後の取組や予算措置を検討します。予算については、国の補助事業の最大限の活用など、戦略的・総合的な予算編成を行い、対策を推進します。また、計画の進捗状況や地球温暖化対策を取り巻く国内外の状況等を踏まえ、適宜計画の見直し等を行います。 次に、Do(実施)では、実行計画に掲げた対策の着実な推進と、市民・事業者等の様々な主体と連携した取組の推進により、計画目標の達成を目指します。 さらに、Check(点検・評価)として、温室効果ガス排出量の削減目標等の達成状況を把握するため、市域の温室効果ガス排出量等を毎年度、定量的に把握・公表します。また、本計画の各対策の進捗状況を確認し、毎年度、報告書を取りまとめて公表するとともに、脱炭素条例に基づく市会への報告や、環境創造審議会への報告を行います。 最後に、Action(見直し)では、温室効果ガスの排出状況や計画の進捗状況等より、今後さらに推進するべき対策や改善するべき点等を整理し、次年度以降の取組等に反映します。 参考資料 ○横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例 令和3年6月8日 条例第37号 横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例をここに公布する。   横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例  近年の自然災害の多発に見られるように、地球温暖化による影響は横浜市においても重大な懸念事項である。温室効果ガスの排出量が甚大である大都市としての責任を果たすため、横浜市は、事業者及び市民とともに2050年までの脱炭素社会の実現に向け全力で取り組まなければならない。  脱炭素社会の実現は、現在及び将来の市民にとって重要な要素であり、その実現のために、産学官の連携と市民の理解及び協力は必要不可欠である。脱炭素社会の形成の推進に当たっては、経済を縮小させることなく、関連する産業を新たな成長産業として発展させることを目指す。特に、横浜発の技術によって日本はもとより世界の脱炭素化に貢献するため、横浜市は、新たな技術革新のプラットフォームとして積極的に役割を果たし、ゼロカーボンシティとしての存在感を示すべきである。  ここに、誰一人取り残されることのない社会の実現のためにも、次世代に対して責任を全うするとともに、地球温暖化対策の推進並びに市内経済の循環及び持続可能な発展を図り、脱炭素社会の形成を推進するため、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、横浜市(以下「市」という。)における脱炭素社会の形成の推進に関し、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、脱炭素社会の形成の推進に関する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進することにより、地球温暖化対策の推進並びに市内経済の循環及び持続可能な発展を図り、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の持続的な確保に寄与することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 脱炭素社会 人の活動に伴って発生する温室効果ガス(法第2条第3項に規定する物質をいう。以下同じ。)の排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。 (2) 再生可能エネルギー 横浜市生活環境の保全等に関する条例(平成14年12月横浜市条例第58号)第146条の2に規定する再生可能エネルギーをいう。 (3) 再生可能エネルギー等 再生可能エネルギー及び革新的なエネルギー高度利用技術(再生可能エネルギーの供給、エネルギー効率の飛躍的向上及びエネルギー源の多様化に資する新技術をいう。以下同じ。)により生産されたエネルギーをいう。 (4) 再生可能エネルギー等の導入等 次に掲げる事項をいう。  ア 再生可能エネルギー等を導入すること。  イ 革新的なエネルギー高度利用技術を導入すること。  ウ エネルギーの使用の節約及び効率化、エネルギーの電化並びに電気の需要の平準化を図ること。 (5) 脱炭素化 脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、市域の自然的社会的条件に応じて市域における社会経済活動その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化を行うことをいう。 (市の責務) 第3条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。 2 市は、前項に規定する施策の策定及び実施に当たっては、国、他の地方公共団体、大学その他の研究機関、事業者、市民並びに事業者及び市民の組織する民間の団体と緊密な連携を図るよう努めなければならない。 3 市は、市が所有する施設の建設及び維持管理、市が所有する施設で利用する電力及びエネルギーの調達その他事業の実施に当たっては、自ら率先して再生可能エネルギー等の導入等の推進に努めなければならない。 4 前項に定めるもののほか、市は、施策を実施するに当たっては、脱炭素化に配慮するものとする。 (事業者の責務) 第4条 事業者は、その事業活動を行うにあたっては、自主性及び創造性を発揮し、脱炭素社会の形成の推進に積極的に努めなければならない。 2 事業者は、市が実施する脱炭素社会の形成の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。 (市民の責務) 第5条 市民は、その日常生活において、再生可能エネルギー等の導入等その他の脱炭素社会の形成の推進に積極的に努めなければならない。 2 市民は、市が実施する脱炭素社会の形成の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。 (施策の基本方針) 第6条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、脱炭素社会の形成の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。 (1) 脱炭素社会の形成の推進に関連する産業の育成及び集積並びに人材の育成に努め、脱炭素社会の形成の推進を通じた市内経済の循環及び持続可能な発展を図ること。 (2) 地域の特性及び技術開発の動向に応じた再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。 (3) 事業者の業態に応じた再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。 (4) 市民の多様な生活様式に応じた再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。 (5) 防災に関する機能の向上その他の地域課題の解決に資することを目的とした再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。 (基本計画) 第7条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、脱炭素社会の形成の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。 2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。 (1) 再生可能エネルギー等の導入等の促進に関する総合的かつ中長期的な目標及び基本的な施策 (2) 脱炭素社会の形成の推進に関連する産業の育成及び集積その他の市内経済の循環及び持続可能な発展に資する基本的な施策 (3) 前2号に掲げるもののほか、脱炭素社会の形成の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項 3 市は、基本計画を策定するに当たっては、事業者、市民及びこれらの者の組織する民間の団体の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。 4 市は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。 5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。 (再生可能エネルギー等の地産地消の促進) 第8条 市は、再生可能エネルギー等の地産地消(市域内で生産された再生可能エネルギー等を市域内で消費することをいう。)の促進を図るため、市域内で生産された再生可能エネルギー等を市域内で有効活用する事業活動を支援するための措置を講ずるものとする。 (再生可能エネルギー等を通じた連携の推進) 第9条 市は、再生可能エネルギー等を通じた他の地方公共団体との連携により市及び他の地方公共団体相互の振興を図るため、市域外で生産された再生可能エネルギー等の市域内への導入を拡大するための措置を講ずるものとする。 (再生可能エネルギー等の需要拡大) 第10条 市は、再生可能エネルギー等の需要を喚起するため、再生可能エネルギー等を利用する事業者及び市民を支援するための措置を講ずるものとする。 (建築物の再生可能エネルギー等の導入等の取組の促進) 第11条 市は、建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。)の新築及び改修に当たり再生可能エネルギー等の導入等、エネルギー消費性能(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年法律第53号)第2条第2号に規定するエネルギー消費性能をいう。)の向上その他の脱炭素社会の形成の推進に資する取組を促進するため、税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。 (関連産業の支援) 第12条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関連する産業の育成及び集積による市内経済の循環及び持続可能な発展を図るため、当該関連する産業の事業者が行う脱炭素社会の形成の推進に資する事業活動を支援するための措置を講ずるものとする。 (研究開発の促進等) 第13条 市は、脱炭素社会の形成の推進に資する技術の向上を図るため、事業者及び大学その他の研究機関と連携し、研究開発を促進し、及びその成果を普及するための措置を講ずるものとする。 (実施状況の公表) 第14条 市長は、毎年度、脱炭素社会の形成の推進に関する施策の実施状況について、市会に報告するとともに、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。 (学習の促進及び知識の普及啓発等) 第15条 市は、事業者及び市民が脱炭素社会の形成の推進に向けた再生可能エネルギー等の導入等の必要性について理解を深めるため、脱炭素社会の形成の推進に関する学習の促進及び知識の普及啓発を行うものとする。 2 市は、温室効果ガスの排出量の埋め合わせ(排出の量の削減が困難な温室効果ガスの排出量の全部又は一部に相当する量の温室効果ガスを、他の場所で森林の整備及び保全並びに再生可能エネルギー等の導入等を行うことにより削減し、又は吸収することをいう。)を促進するため、事業者及び市民への情報の提供その他の措置を講ずるものとする。 (体制の整備等) 第16条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関する施策を実施するために必要な体制の整備及び財政上の措置を講ずるものとする。 (委任) 第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。    附則  この条例は、公布の日から施行する。     ○気候変動適応策について 適応策の分野と項目については、国の気候変動適応計画等を踏まえ、国が影響評価を行った7つの分野と各項目に沿い、本市事業等と照らし合わせて、本市に影響のある項目を選定しています。 また、市民・事業者により分かりやすいものとするため、選定された分野・項目を本市で4つの分野(農業・自然環境、風水害・土砂災害等、熱中症・感染症等、産業・経済活動)に整理しました。 1)影響評価の方法 本市は「横浜市気候変動適応方針」の中で、国が影響評価を行った7つの分野と各項目に沿い、本市への影響を選定し、評価しています。 評価にあたっては、現在及び将来予測される気候変動の影響を、「重大性」、「緊急性」、「確信度」の3つについて、小項目の単位ごとに、それぞれ次の観点から評価しています。   ・重大性は「社会」、「経済」、「環境」の3つの観点で評価 ・緊急性は「影響の発現時期」、「適応の着手・重要な意思決定が必要な時期」の2つの観点で評価 ・確信度は「証拠の種類、量、質、整合性」、「見解の一致度」の2つの観点で評価   また、本市への影響の評価にあたっては、国の影響評価のほか、神奈川県が「神奈川県地球温暖化対策計画」(2016(平成28)年10月改定)において示した神奈川県の影響評価等も参考にしています。 2)本市への影響 ア 1 農業・自然環境 本市は大都市でありながら、市民生活の身近な場所に樹林地や農地、公園、せせらぎ、水辺など、変化に富んだ豊かな水・緑環境を有しており、豊かな自然生態系を育み、本市の魅力にも大きく関係してきます。 農業においては、農業生産額は県内でトップクラスであり、大消費地と多様な農業が共存しています。 農業への影響としては、気温の上昇により、農産物の各品目で品質の低下や育成障害、畜産物の生産低下の影響が懸念されています。また、豪雨等の増加による土壌流出など、農業生産基盤への影響も長期的には懸念されています。 水環境への影響としては、水温上昇により、河川の水質の悪化や、東京湾での赤潮の発生件数の増加等、水質の悪化につながることも懸念されています。 生態系への影響としては、気温や水温の上昇により、南方系の生物が分布を拡大するなど、生物の生息・生育適地が変化したり、外来種が定着する可能性が高まることが考えられます。また、花の開花時期、渡り鳥の飛来時期といった生物季節の変化が大きくなることも考えられます。 イ 2 風水害・土砂災害等 本市の地形は、丘陵地、台地と、多くの河川により刻まれた谷底低地と沿岸部の低地からなります。臨海部の低地に市街地が密集するとともに、郊外部の丘陵地で宅地開発が進展し、本来の遊水・保水機能が失われたこと等によりこれまでも多くの浸水被害が発生しています。 このため、河川事業と下水道事業が連携し、総合的な治水対策を推進してきました。この結果、治水安全度は大きく向上し、過去には浸水が起こっていたような豪雨時にも浸水を最小限にとどめるなど、大きな効果をあげています。 しかし、近年の集中豪雨の発生頻度の増加や、巨大台風の襲来など、気候変動の影響と考えられる自然現象が発生しており、今後も増加傾向が予測されていることから、河川の氾濫や都市型大水害などの甚大な被害を引き起こす懸念があります。 本市には8つの流域があり、本市内の流域人口は鶴見川流域が約130万人、境川流域が約26万人、柏尾川流域が約53万人、帷子川流域が約53万人、大岡川流域が約43万人、宮川流域と侍従川流域が約9万人、入江川・滝の川流域が約20万人を擁しています 。また、その他の沿岸域に約40万人の人口があり、それぞれ、風水害による影響が異なります。 沿岸域については、日本沿岸の海面水位は、1980年代以降、上昇傾向(+1.1mm/年)が見られ、将来的には、温室効果ガスの排出を抑えた場合でも一定の海面上昇は免れないことが予測されています 。そのため、中長期的な海面水位の上昇や、強い台風の増加等による高潮・高波の発生により、浸水の危険や港湾施設への影響等が懸念されます。 がけ地においては、集中豪雨等による土砂災害の発生が懸念されます。 さらにこのような自然災害は、水道や交通等の都市インフラ、ライフラインにも影響を及ぼす恐れがあります。   ウ 3 熱中症・感染症等 熱中症や感染症は生命に直結するため、そのリスクは重大です。 毎年、夏季の高温による熱中症搬送者が発生しており、今後も気温の上昇や高齢者の増加などにより、熱中症のほか、熱ストレスによる死亡リスクが増加するなどの影響が懸念されています。 また、気温や水温が上昇すると、細菌類の急激な繁殖による食中毒や感染症のリスクの増大、また、感染症を媒介する蚊の生息域の拡大により、国内で発生していない感染症の発生の可能性などが懸念されます。 その他、気温の上昇により大気汚染物質の生成が促進されるため、高温期の長期化により光化学スモッグ等が高濃度化することも懸念されます。   エ 4  産業・経済活動 猛暑日の増加により、空調設備の使用が増大するなど、気候変動の影響に伴いエネルギー需給に影響を及ぼす可能性があります。大規模な停電が広範囲に起こるような状況が万一発生すると市民生活や経済活動にも大きな影響を及ぼします。 製造業への影響については、平均気温の上昇が事業者の生産・販売過程等に影響を及ぼす可能性があります。また、集中豪雨等の極端現象の増加による浸水等により、生産設備等に直接的・物理的な被害を与えることも示唆されています。 金融・保険への影響については、大型の台風による大規模な自然災害により、企業の生産活動が長期に渡り低迷する事例や巨額な保険金の支払が発生する事例なども増えており、今後更に影響が大きくなることも想定されます。 また、観光業への影響については、天候不順による観光客の減少が懸念されます。 一方、今後、適応分野への投資が増加することにより、新たなビジネスが生まれてくることも考えられます。 (3)国の分野に沿った本市の気候変動の主な影響一覧 分野 大項目 小項目 国の影響評価 重大性 緊急性 確信度 本市の影響現在の影響(■)、将来予測される影響(▲) 本市における対策 農業 農業 水稲 ◎ ◎ ◎ ■▲品質低下(白未熟粒、一等米比率低下など) 1 農業・自然環境分野の適応策の推進 野菜 ― △ △ ■▲高温障害による品質低下 ▲作型の見直し、品種及び栽培技術開発の必要性 果樹 ◎ ◎ ◎ ■▲高温による生育障害(ブドウ着色不良など) ■▲生育の早期化と春の急な低温による霜害リスクの増大 畜産 ◎ △ △ ■▲生産性の低下 病害虫・雑草 ◎ ◎ ◎ ■▲生育適温が高い病害虫の発生 農業生産基盤 ◎ ◎ △ ▲豪雨等による農地や農業用施設の被害 水環境・水資源 水環境 河川 ◇ □ □ ▲水温上昇に伴う溶存酸素の低下、水質の悪化 沿岸域及び閉鎖的水域 ◇ △ □ ■▲東京湾の赤潮発生、底層溶存酸素の低下 水資源 水供給(地表水) ◎ ◎ △ ▲渇水リスクの増大 自然生態系 陸域生態系 自然林・二次林 ◎ △ ◎ ▲分布適域の移動や拡大・縮小 1 農業・自然環境分野の適応策の推進 里地・里山生態系 ◇ △ □ ▲ライフサイクル(発生時期等)の変化 ▲南方系生物の出現 野生鳥獣の影響 ◎ ◎ ― ■▲鳥類渡り時季の変化時季 ▲ライフサイクル(発生時期等)の変化 ▲南方系生物の出現 淡水生態系 河川 ◎ △ □ ▲ライフサイクル(発生時期等)の変化 ■▲南方系生物の出現 沿岸生態系 温帯・亜寒帯 ◎ ◎ △ ▲ライフサイクル(発生時期等)の変化 ■▲南方系生物の出現 海洋生態系 ◎ △ □ ▲ライフサイクル(発生時期等)の変化 ■▲南方系生物の出現 生物季節 ◇ ◎ ◎ ▲ライフサイクル(発生時期・開花時期等)の変化 分布・個体群の変動 在来種の生態系への影響に対する評価 ◎ ◎ ◎ ▲分布域の変化、ライフサイクル(発生時期等)の変化 自然災害・沿岸域 河川 洪水 ◎ ◎ ◎ ■▲大雨事象発生頻度が経年的に増加傾向 2 風水害・土砂災害等分野の適応策の推進 内水 ◎ ◎ △ ■▲大雨事象発生頻度が経年的に増加傾向 沿岸 海面上昇 ◎ △ ◎ ■▲海面水位の上昇 高潮・高波 ◎ ◎ ◎ ▲高潮・高波リスクの増大 ▲港湾及び漁港防波堤等への被害 山地 土石流・地すべり等 ◎ ◎ △ ▲集中豪雨等により、土砂災害等の発生 その他 強風等 ◎ △ △ ▲強い台風の増加 健康 暑熱 死亡リスク ◎ ◎ ◎ ■▲気温上昇による超過死亡の増加 3 熱中症・感染症等分野における適応策の推進 熱中症 ◎ ◎ ◎ ▲熱中症搬送者数の増加 感染症 水系・食品媒介性感染症 ― ― □ ▲水系・食品媒介性感染症のリスクの増大 ▲食中毒・消化器感染症の増加 節足動物媒介性感染症 ◎ △ △ ▲蚊媒介感染症の発生の可能性 ▲国内で発生していない感染症発生の可能性 その他の感染症 ― ― ― ▲季節性の変化や発生リスクの変化 ▲予期しない感染症の発生 その他 温暖化と大気汚染の複合影響に対する評価 ― ― △ ■▲高温期の長期化による光化学スモッグやPM2.5の高濃度化 産業・経済活動 製造業 ◇ □ □ ▲平均気温の変化や集中豪雨等により企業活動に影響を及ぼす懸念 4 産業推進・経済活動分野の適応策の推進 エネルギー エネルギー需給 ◇ □ △ ▲気温上昇によるエネルギー消費への影響 金融・保険 ◎ △ △ ▲気候変動に起因した災害が発生した場合、市内中小企業で災害復旧にかかる資金ニーズが生じる可能性 観光業 レジャー ◎ △ ◎ ■▲天候不順による観光客の減少 国民生活・都市生活 都市インフラ、ライフライン等 水道、交通等 ◎ ◎ □ ■▲短時間強雨や渇水の増加、強い台風の増加等によるインフラ・ライフライン等への影響 2 風水害・土砂災害等分野の適応策の推進 その他 暑熱による生活への影響 ◎ ◎ ◎ ▲熱中症リスクの増大 3 熱中症・感染症等分野の適応策の推進 ※国の影響評価の凡例 重大性◎:特に大きい ◇:「特に大きい」とはいえない  −:現状では評価できない 緊急性◎:高い    △:中程度    □:低い    −:現状では評価できない 確信度◎:高い    △:中程度    □:低い    −:現状では評価できない ○地球温暖化対策等に関する国内外と本市の主な動向 和暦 西暦 世の中の主なできごと◎横浜市の出来事は● 国際的な動向 国内の動向 横浜市の動向 平成4 1992 ◎バブル経済崩壊 ◎環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)にてアジェンダ21採択 5月 気候変動枠組条約の採択 平成5 1993 ◎ J リーグ開幕 ●八景島開設 ●横浜ランドマークタワー完成  8月 地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドラインの公表  12月 横浜市エネルギービジョンの策定 平成6 1994 ●環境中のアスベスト濃度測定開始 ●ヒートアイランド研究に着手  3月 気候変動枠組条約の発効 平成7 1995 ◎阪神淡路大震災 IPCCによる第2次評価報告書(SAR)の公表 平成8 1996 平成9 1997 ●横浜国際総合競技場竣工 ●経団連環境自主行動計画策定 ●ダイアモンド・グレース号事件(東京湾タンカー油流出事故)  12月 京都議定書の採択  12月 地球温暖化対策推進本部の設置 平成10 1998 ◎長野冬季オリンピック  6月 地球温暖化対策推進大綱の策定 10月 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)の制定・実行計画の策定義務 平成11 1999 ●横浜動物園ズーラシア開園 ●横浜市繁殖センター開所 平成12 2000 ◎沖縄サミット開催 ◎白川英樹がノーベル化学賞受賞 平成13 2001 ◎野依良治がノーベル化学賞受賞 ●横浜トリエンナーレ2001開催(以降3年に一度開催) IPCCによる第3次評価報告書(TAR)の公表  12月 横浜市地球温暖化対策地域推進計画の策定 平成14 2002 ◎小柴昌俊がノーベル物理学賞受賞 ◎田中耕一がノーベル化学賞受賞 ●サッカーワールドカップ横浜で開催 ●赤レンガ倉庫オープン  3月 地球温暖化対策推進大綱の改訂 6月 温対法の改正 ・京都議定書の実施のための改正(施行は京都議定書の効力発生から) 平成15 2003 6月 地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドライン(第2版)の公表  3月 横浜市役所地球温暖化防止実行計画の策定 平成16 2004 ●みなとみらい線開通 平成17 2005 ◎愛知万博「愛・地球博」開催 ●第25回全国豊かな海づくり大会を横浜で開催  2月 京都議定書の発効  4月 京都議定書目標達成計画の策定 平成18 2006 7月 京都議定書目標達成計画の一部改訂  11月 横浜市地球温暖化対策地域推進計画の改訂 平成19 2007 IPCCによる第4次評価報告書(AR4)の公表  3月 地球温暖化対策地域推進計画策定ガイドライン(第3版)の公表  3月 横浜市役所地球温暖化防止実行計画の改訂 平成20 2008 ◎小林誠、益川敏英、南部陽一郎がそれぞれノーベル物理学賞受賞 ◎下村脩がノーベル化学賞受賞  京都議定書第1約束期間の開始  3月 京都議定書目標達成計画の全部改訂 6月 温対法の改正  ・地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定義務  3月 よこはま地域エネルギービジョンの策定 7月 環境モデル都市に選定 平成21 2009 ●第20回全国「みどりの愛護」のつどいを横浜で開催 ●開国博Y150開催 ◎エコポイントでグリーン家電の買い替え促進  6月 温室効果ガス削減目標を公表(2020年までに2005年度比15%減) 6月 地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアルの公表 9月 温室効果ガス削減目標を公表(2020年までに1990年度比25%減)  3月 横浜市脱温暖化行動方針(CO-DO30)の策定 平成22 2010 ●◎小惑星探査機「はやぶさ」帰還 ●第18回APEC首脳会議を横浜で開催 ◎鈴木章、根岸英一がそれぞれノーベル化学賞受賞 平成23 2011 ◎東日本大震災、福島第一原子力発電所事故  3月 横浜市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の策定 3月 横浜市地球温暖化対策実行計画(事務事業編)の策定 12月 環境未来都市に選定 平成24 2012 ◎金環日食の観測 ◎東京スカイツリーがオープン ◎山中伸弥がノーベル生理学・医学賞受賞 ●ダンス・ダンス・ダンス@ヨコハマ2012開催  京都議定書第1約束期間の終了 平成25 2013 ●横浜音祭り2013開催 ◎伊豆大島台風被害  京都議定書第2約束期間の開始(〜2020まで、日本は不参加) IPCCによる第5次評価報告書(AR5)の公表(〜2014)  3月 当面の地球温暖化対策の方針の地球温暖化対策推進本部決定 ・COP19までに25%削減目標をゼロベースで見直す 5月 温対法の改正 ・温室効果ガスに三フッ化窒素を追加(施行:2015年4月) ・政府における地球温暖化対策計画の策定 11月 新たな温室効果ガス削減目標を設定 ・現時点での目標として2020年度に2005年度比で3.8%減 平成26 2014 ◎消費税5%から8%に増税 ◎天野浩、赤崎勇、中村修二がノーベル物理学賞受賞 ●台風18号によるがけ崩れ、浸水被害  3月 IPCC第38回総会を横浜市で日本初開催  3月 横浜市地球温暖化対策実行計画の改定 3月 横浜市地球温暖化対策実行計画(市役所編)の策定 平成27 2015 ◎外国人観光客が激増 ●市内初の市民参加型フルマラソン「横浜マラソン」開催 ●旧上瀬谷通信施設の返還 ●ズーラシア全エリア開園 9月 国連サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択 12月 気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で新たな国際枠組である「パリ協定」が採択 7月 「長期エネルギー需給見通し」の決定 ・「日本の約束草案」の決定 ・2030年度に2013年度比で26%削減 11月 「気候変動の影響への適応計画」の閣議決定 3月 横浜市エネルギーアクションプラン策定 平成28 2016 ◎マイナンバー制度利用開始 ●平成27年国勢調査により、横浜市の人口が過去最多の372万人に 11月 「パリ協定」が発効 4月 電力の小売全面自由化 5月 「地球温暖化対策計画」の閣議決定 ・地球温暖化対策推進法の改正 11月 「パリ協定」の締結の決定 12月 「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」の決定 6月 横浜市水と緑の基本計画改定 平成29 2017 ◎プレミアムフライデースタート ◎九州北部豪雨 ●『横浜北線』、『南本牧はま道路』が開通 6月 米国のトランプ大統領が「パリ協定」からの離脱を宣言 3月 「長期低炭素ビジョン」の公表 4月 「長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書」の公表 ・再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)法の改正 ・都市ガスの小売全面自由化 6月 2017年度版環境白書閣議決定 6月 横浜市気候変動適応方針策定 平成30 2018 ◎日本に在留する外国人が総人口の2%(過去最多) ●暑い夏(横浜でも熱帯夜が51日、熱中症救急搬送人員1711人と過去最多) IPCCによる「1.5℃特別報告書」の公表 12月 国連気候変動枠組条約締約国会議(COP24)で、パリ協定の実施指針を採択 4月 第五次環境基本計画の策定 6月 第四次循環型社会形成推進基本計画の策定 ・気候変動適応法公布 7月 第五次エネルギー基本計画閣議決定 11月 気候変動適応計画の策定 12月 改正省エネ法施行 6月 SDGs未来都市に選定 10月 横浜市SDGs未来都市計画策定 ・横浜市地球温暖化対策実行計画の改定 11月 横浜市環境管理計画改定 令和元 2019 ◎元号が「令和」に改元 ◎消費税が8%から10%に増税 ◎吉野彰がノーベル化学賞受賞 ●横浜でラグビーワールドカップ2019開催 ●相鉄・JR直通線が開業 ●「ガーデンネックレス横浜」の取組が第1回ガーデンツーリズム登録制度に登録 ●2027年国際園芸博覧会の開催申請が承認 11月 米国パリ協定からの離脱を正式に国連へ通告 6月 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略を閣議決定 令和2 2020 ◎新型コロナウイルス感染症猛威、初の緊急事態宣言 ◎東京2020オリンピック・パラリンピックが1年延期に ●横浜市役所の新市庁舎が完成 ●横浜北西線が開通 1月 革新的環境イノベーション戦略の策定 6月 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定 10月 首相が2050年の脱炭素化を宣言 12月 国・地方脱炭素実現会議発足 5月 横浜市再生可能エネルギー活用戦略を策定 令和3 2021 ◎新型コロナウイルスワクチン接種開始 ◎東京オリンピック・パラリンピック開催 2月 米国がパリ協定に正式復帰 4月 気候変動サミット開催 11月 国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、パリ協定の実施指針等重要事項をまとめたパリルールブック完成 ・IPCC第6次評価報告書(自然科学的根拠、影響・適応・脆弱性)公表 6月 地域脱炭素ロードマップの決定 10月 地球温暖化対策計画改訂閣議決定 ・第六次エネルギー基本計画閣議決定 ・気候変動適応計画閣議決定 2月 ゼロカーボン市区町村協議会を設立 6月 横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例施行 ※人名の敬称略 ※年表は「年」ごとで掲載 ○地球温暖化対策実行計画の改定の経緯 実行計画の改定にあたっては、市会、庁内での議論や環境創造審議会委員の意見等を踏まえて行いました。改定の経緯は次のとおりです。 2020(令和2)年 6月 国が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定 2020(令和2)年10月 国が2050年の脱炭素化を宣言 2020(令和2)年12月 国により「国・地方脱炭素実現会議」発足 2021(令和3)年 6月 国が「地域脱炭素ロードマップ」を決定 「横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例」施行 2021(令和3)年10月 国が「地球温暖化対策計画」「第六次エネルギー基本計画」「気候変動適応計画」を改訂 2021(令和3)年11月 横浜市環境創造審議会に、実行計画の改定について報告 2022(令和4)年9月から10月 改定素案についてパブリックコメントを実施 ○用語集 あ行 エネルギーミックス 発電における火力(石炭、石油、天然ガス)、水力、原子力、再生可能エネルギーのバランスのこと。CO2排出量、コスト、安定供給など各電源の特徴を考慮した最適な組み合わせが模索されている。 温室効果ガス 太陽の光は、地球の大気を通過し、地表面を暖める。暖まった地表面は、熱を赤外線として宇宙空間へ放射するが、大気がその熱の一部を吸収する。これは、大気中に熱(赤外線)を吸収する性質を持つガスが存在するためである。このような性質を持つガスを「温室効果ガス(Greenhouse Gas)」と呼ぶ。大気中の温室効果ガスが増えると、温室効果が強くなり、より地表付近の気温が上がり、地球温暖化につながる。現在排出量の算定対象となっているのは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)の7つのガス。 か行 カーボンニュートラル 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡(ニュートラル、中立)させることで、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、植林、森林管理などによる「吸収量」を差し引いて、合計を実質的にゼロにすること。 カーボンニュートラルポート 国際物流の結節点かつ産業拠点となる港湾において、水素・燃料アンモニア等の大量・安定・安価な輸入や貯蔵等を可能とする受入環境の整備や、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する臨海部産業との連携等を通じて温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指すもの。 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD) 金融安定理事会(FSB)により設置されたタスクフォースで、企業が気候変動のリスク・機会を認識し経営戦略に織り込むことを推奨している。 気候変動 気温および気象パターンの長期的な変化のこと。これらの変化は太陽周期の変化によるものなど自然現象の場合もあるが、1800年代以降は主に化石燃料(石炭、石油、ガスなど)の燃焼などの人間活動が気候変動を引き起こしている。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC) 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change))とは、人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された政府間機関。 気候変動枠組条約締約国会議(COP) 気候変動枠組条約における最高意思決定機関。全ての条約締約国が参加し、条約の実施に関するレビューや各種決定を行う。年に1回開催される。 グラスゴー気候合意 2021年のCOP26で採択された合意。2015年に採択された「パリ協定」に基づき、世界中での温室効果ガスの排出の削減、気候変動の影響にどう対応していくか(適応)、開発途上国の気候変動対策を支援するためのお金(資金)、などの重要な論点がまとめられた。特に重要なメッセージとして、パリ協定の1.5℃目標の達成に向けて、今世紀半ばのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)と、その重要な経過点となる2030年に向けて、野心的な対策を各国に求めることが盛り込まれた。 固定価格買取制度(FIT) 再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度。電力会社が買い取る費用の一部を消費者から賦課金という形で集め、コストの高い再生可能エネルギーの導入を支えている。 さ行 サプライチェーン 製品が消費者に届くまでの原料調達、製造、輸送等の一連の流れのこと。 循環経済(サーキュラーエコノミー) 従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの。 自立分散型エネルギー エネルギー消費地の近くに分散配置された、比較的小規模な発電設備から供給されるエネルギーの総称であり、従来の大規模・集中型エネルギーに対する相対的な概念。具体的には、太陽光発電等の再生可能エネルギー、燃料電池等のコジェネレーションシステム、蓄電池等の蓄エネルギー機器等が含まれる。 水素発電・アンモニア発電 水素やアンモニアを燃料とした発電方式。燃焼時にCO2が排出されないとして注目されている。 スマートシティ ICT 等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の高度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を行い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域。 スマート農業 ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のこと。 た行 脱炭素社会 カーボンニュートラルを実現した社会のこと。 脱炭素先行地域 2050年カーボンニュートラルに向けて、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、我が国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域で、「実行の脱炭素ドミノ」のモデルとなる。 地域循環共生圏 各地域が美しい自然景観等の地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方のこと。 地球温暖化対策計画 地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画で、2016年5月13日に閣議決定され、2021年10月22日に改訂された。2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)という新たな2030年度目標の裏付けとなる対策・施策を記載して新目標実現への道筋を描いている。 地球温暖化対策計画書制度 横浜市内で一定規模以上の温室効果ガスを排出する事業者(地球温暖化対策事業者)に対して、地球温暖化対策計画の作成・公表、実施状況の報告を求める制度のこと。 適応 現実の気候または予想される気候及びその影響に対する調整の過程。人間システムにおいて、適応は害を和らげ 若しくは回避し、または有益な機会を活かそうとする。一部の自然システムにおいては、人間の介入は予想される気候やその影響に対する調整を促進する可能性がある。 電気自動車(EV) ガソリンエンジンを搭載せず、電気駆動のモーターで動く自動車。走行中に二酸化炭素や排気ガスを出さないため、地球温暖化対策や大気汚染防止につながるとともに、走行中の騒音が少ないなどのメリットがあり、ガソリンやディーゼル車から電気自動車に移行する「EVシフト」と呼ばれる世界的な動きがある。 な行 燃料電池自動車(FCV) 燃料電池において水素と酸素の化学反応をさせて発電した電気を動力源とし、電気駆動のモーターで動く自動車。走行中に二酸化炭素や排気ガスを出さないため、地球温暖化対策や大気汚染防止につながるとともに、走行中の騒音が少ないなどのメリットがある。 は行 パリ協定 2015年にパリで開催されたCOP21で採択され、2016年に発効した協定。京都議定書に代わる2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みで、歴史上はじめて全ての国が参加する公平な合意である。 ヒートアイランド現象 都市域において、人工物の増加、地表面のコンクリートやアスファルトによる被覆の増加、それに伴う自然的な土地の減少、さらに冷暖房などの人工排熱の増加により地表面の熱収支バランスが変化し、都心域の気温が郊外に比べて高くなる現象。この現象は、都市及びその周辺の地上気温分布において、等温線が都市部を中心として島状に市街地を取り巻いている状態により把握することができるため、ヒートアイランド(熱の島)といわれる。 ブルカーボン 海洋に生息する生物(プランクトン、海藻・海草、塩水性の湿原の植物など)によって吸収・捕捉される炭素。2009 年の国連環境計画(UNEP)の報告書で命名された。 ま行 メタネーション 二酸化炭素と水素の反応により、都市ガスの主成分のメタンを生成する技術。 や行 ヨコハマ・エコ・スクール(YES) 市民団体・事業者・大学・行政等が実施する温暖化対策やエコライフスタイルなど環境に関連する講座やイベント等の「学びの場」を支援し、「Zero Carbon Yokohama」を全市的ムーブメントに広げていく市民参加型プロジェクトのこと。 ヨコハマSDGsデザインセンター 横浜市と民間事業者が共同で設立・運営する組織で、SDGsの達成に向けて、市内外の多様な主体が持つニーズとシーズをつなぎ合わせ、横浜における環境・経済・社会的課題を解決するための中間支援組織。 横浜スマートビジネス協議会(YSBA) YSCP(横浜スマートシティプロジェクト)実証実験の知見を活かし、発展させ、変化するエネルギー関連サービスにも柔軟に対応し、市域の脱炭素化を実現することを目指すとともに、これまで培った技術やシステムの国内外への展開を図ることを目的とした協議会。 ら行 レジリエンス 防災分野や環境分野における、想定外の事態に対し社会や組織が機能を速やかに回復する強靭さを意味する概念。 AからZ CCUS 「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略で、二酸化炭素の回収・利用・貯留技術。 DR(Demand Response) 需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、そのエネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させること。需要制御のパターンによって、需要を減らす(抑制する)「下げDR」、需要を増やす(創出する)「上げDR」の二つに区分される。 DX デジタルと変革を掛け合わせた造語。デジタル技術を用いて、それまで実現できなかった新たなサービスや価値を創り出し、社会やサービスを変革すること。 ESG投資 従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のこと。気候変動などに対する長期的なリスクマネジメントなどが評価対象となる。 GX(グリーントランスフォーメーション) 国が提唱する、経済成長と環境保護を両立させ、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という、カーボンニュートラルにいち早く移行するために必要な経済社会システム全体の変革をいう。 MaaS(マースMobility as a Service) 地域住民や旅行者一人ひとりのトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する。 PDCA 「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Act(改善)」のサイクルにより業務等の改善を目指す仕組み。 PPA(Power Purchase Agreement) 設備設置事業者(PPA事業者)が施設に太陽光発電設備を設置し、施設側は設備で発電した電気を購入する契約のこと。屋根貸し自家消費型モデルや第三者所有モデルとも呼ばれており、施設側は設備を所有しないため、初期費用の負担や設備の維持管理をすることなく、再生可能エネルギーの電気を使用することができる。 RE100 企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際イニシアティブのこと。 Science Based Targets (SBT) パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年〜15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと。 SDGs(Sustainable Development Goals) 2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。 VPP(Virtual Power Plant) ビルや家庭などが有するエネルギーリソース(蓄電池や発電設備、デマンドレスポンスなど)を、高度なエネルギーマネジメント技術により遠隔・統合制御し、あたかも一つの発電所(仮想発電所:バーチャルパワープラント)のように機能させることで、電力の需給調整に活用する取組のこと。VPP により、二酸化炭素削減、発電コスト削減、系統安定化コスト低減、エネルギー自給率向上(化石燃料依存度低減)など、様々な効果が期待されている。 ZEB(Net Zero Energy Building) 先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物。 ZEH(Net Zero Energy House) 外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。 Zero Carbon Yokohama 横浜市が掲げている「2050年までの温室効果ガス実質排出ゼロ(脱炭素化)」という温暖化対策の目指す姿(ゴール)を表す言葉。