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有害大気汚染物質

最終更新日 2019年10月9日

1 有害大気汚染物質とは...

「有害大気汚染物質」(HAPs = Hazardous Air Pollutants)とは、大気汚染防止法 第2条第13項では、「継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがある物質で大気の汚染の原因となるもの」と定義されており、既に大気汚染防止法で規制対象となっている硫黄酸化物や塩素などの「ばい煙」と、石綿などの「特定粉じん」は除外されます。
ただし、大気汚染防止法では、有害大気汚染物質の具体的な物質名は明示されていません。
その具体的な物質名については、1996年10月18日の中央環境審議会の答申(今後の有害大気汚染物質対策のあり方について(第二次答申))において、「有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質」として234物質が示されました。

2 優先取組物質

また、これら234物質のうちで、健康リスクがある程度高いと考えられる22物質が、「優先取組物質」として選定されました。
その後、「有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質」及び「優先取組物質」の見直しが行われ、2010年10月15日の中央環境審議会の第九次答申により、「有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質」として248物質、「優先取組物質」として23物質が選定されました。

3 指定物質

大気汚染防止法 附則第9項では、「有害大気汚染物質のうち人の健康に係る被害を防止するためその排出又は飛散を早急に抑制しなければならないもの」を「指定物質」と定義し、ベンゼントリクロロエチレンテトラクロロエチレンの3物質を指定しました。
その後、追加されたダイオキシン類は、ダイオキシン類対策特別措置法の制定に伴い除外されました。

4 環境基準

指定物質であるベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンのほかに、 ジクロロメタンとダイオキシン類の計5物質について、 環境基準が設定されています。

5 指針値

(1) まず、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀、ニッケル化合物の4物質について、2003年7月31日の中央環境審議会の第七次答申に基づき、環境中の有害大気汚染物質による健康リスクの低減を図るための指針となる数値(指針値)が設定されました。
(2) 次いで、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエンの3物質について、2006年11月8日の中央環境審議会の第八次答申に基づき、指針値が設定されました。
(3) ヒ素及び無機ヒ素化合物について、2010年10月15日の中央環境審議会の第九次答申に基づき指針値が設定されました。
(4) マンガン及び無機マンガン化合物について、2014年4月30日の中央環境審議会の第十次答申に基づき指針値が設定されました。
したがって、現在では次表に示す9物質について指針値が設定されています。

指針値
物質名指針値(年平均値)中央環境審議会の答申
アクリロニトリル2µg/m3 以下第七次答申
塩化ビニルモノマー10µg/m3 以下
水銀0.04µg-Hg/m3 以下
ニッケル化合物0.025µg-Ni/m3 以下
クロロホルム18µg/m3 以下第八次答申
1,2-ジクロロエタン1.6µg/m3 以下
1,3-ブタジエン2.5µg/m3 以下
ヒ素及び無機ヒ素化合物6ng-As/m3 以下第九次答申
マンガン及び無機マンガン化合物0.14µg-Mn/m3 以下第十次答申

6 リスクレベル

有害大気汚染物質の中には、発がん性などが疑われる物質も含まれており、一生涯にわたるような長い期間の健康影響を考慮する必要があります。
これらの物質は、たとえごく微量であってもがんを発生させる可能性が否定できず、「閾値」(その曝露量以下では影響が起こらないとされる値)が存在しません。
このため、有害大気汚染物質については、二酸化硫黄(SO2)などこれまでに環境基準が設定されてきた物質のように、閾値に基づいて環境基準を設定することができません。
そこで、有害大気汚染物質の環境基準を設定する際に考慮すべきリスクレベルについては、中央環境審議会第二次答申では、閾値のない物質については、「生涯リスクレベル 10-5 を当面の目標に、有害大気汚染物質対策に着手していくことが適当」と結論されました。

生涯リスクレベル 10-5 とは...
人が一生涯を通じてその濃度に曝露され続けた場合、曝露されなかった場合に比べ 10-5(10万分の1)の割合で、即ち10万人につき1人の割合で、がんにより死亡する人が増加するという意味です。

別表1 有害大気汚染物質に該当する可能性のある物質(248物質)
別表2 優先取組物質(23物質)

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