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最終更新日 2020年3月30日
「谷戸」とは、丘陵大地の雨水や湧水等の浸食による開析谷を指し、三方(両側、後背)に丘陵台地部、樹林地を抱え、湿地、湧水、水路、水田等の農耕地、ため池などを構成要素に形成される地形のことです。
「谷戸」という語源を辿ると、次のように言われています。
「静岡以東、主に関東に分布する東言葉で、古い時代に、主として稲作をしていた処の小地名である。だから山中には無いし、広い平坦地にも殆どない。その平坦地から山合いにはいりこんだ土地の名である。」
「神奈川県、ことに横浜市域はヤト地名が多く、収録したものだけでも小字地名でヤト(谷戸・谷)244・ヤ(谷)63、合計307ヶ所となっている。小字地名は集落名であり、樹枝状のまとまりを単位としたものが多い。」「横浜は正にヤト地帯。」
「花鳥風月のまちづくり(2002年3月横浜型エコシティー研究報告書)」山田秀三『関東地名物語』から引用
みなさんの家の近くに「谷戸」の文字がつく地名があるでしょうか。
見つけたらその地形を一度見直してみると新しい発見があるかもしれません。
谷戸の全体のイメージ図
源流域の自然環境
谷戸は湧水があり、洪水被害はなく、開田のための高度な技術も不要(アシ原を切り開き、排水路を造るだけで米作りができた)であり、横浜の水田開発は谷戸田から始まったと考えられています。
昔の横浜に暮らす人々はこの開墾した谷戸田に寄り添い集落を形成し、谷戸の自然や生きものと共に生きてきました。小集落ごとの人々の暮らしと文化の歴史が連綿と続き、人の営みの中で里山特有の環境が作りだされてきました。
まさに、谷戸の作る環境は人と自然の関わりあいによって作られた横浜の原風景といえます。
二月の「初午」、三月の「彼岸」、初夏には「虫送り」・「お盆」・「ホタル狩り」、そして豊年を感謝する神楽や太鼓の「秋祭り」、正月の「どんど焼き」など、現在の市街地でも見られる地域行事につながり、谷戸で暮らす人々の営みが継承されています。
谷戸環境は、『その里で住む人々の心』も伝える地域の歴史・文化として大きな価値があります。
現在でも見ることができる、谷戸でのお祭り(戸塚区)
現在でも見ることができる、谷戸でのお祭り(戸塚区)
谷戸は湧水・湿地、ため池、水路から水田へと水が流れる構造となっています。
湿地や水路、田んぼにはプランクトンやミミズ、カエルや野鳥などが、谷戸の周縁部の樹林は人の手が入り、雑木林へと変わり、陽の光が入ることで多様な草本類が芽生え、様々な植物や小動物などにとっても貴重な生息・生育空間が形成されています。
水と大地は多様な生き物の「ゆりかご」であり、生物多様性の観点からも大変重要なエリアといえます。
下の写真は「川と海の生き物シリーズ9」よこはま谷戸の水辺の生きものたち(横浜市環境科学研究所)から抜粋しています。
谷戸に住む生き物たち
横浜にはかつて3700以上の谷戸があり、まさに谷戸のまちでした。
それが1994年には2467か所と人口増加に伴う宅地造成等、大規模な土地改変が行われた結果、約3分の1が消失しました。
しかし、残された谷戸地形も斜面や谷底面が宅地化されるなどして、樹林地、農地、水辺地などの自然的土地利用が多い谷戸(水田等の農耕地、ため池などを構成要素に形成される地形)は944か所となっています。
土地改変のイメージ図
谷戸とは、丘陵大地の雨水や湧水等の浸食による開析谷を指し、三方(両側、後背)に丘陵台地部、樹林地を抱え、湿地、湧水、水路、水田等の農耕地、ため池などを構成要素に形成される地形のことです。
たとえ小さくても緑の山懐に抱かれ、水が流れる谷戸環境には、夏の真っ青な田んぼ・秋の黄金色に輝く稲穂があり、柿や栗の木が実を結び、畦や水辺には様々な草花や小動物が、雑木林では野鳥がさえずり飛び交っている。私たち人間に安らぎとやさしさ、潤いと人の暮らしの原点を思い起こさせてくれる風景があります。
このように、谷戸環境は農的景観としても大きな価値があります。景観を楽しむのときは、お互いにマナーを守りましょう。谷戸はそこで暮らす人や農業を営む人を初めとし、多くの人が訪れ、利用します。谷戸に見られる山林や農地は、農家の個人所有物です。公共物ではありません。
横浜の代表的な谷戸の位置図
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