第二次横浜市民読書活動推進計画【概要】 1頁 1 趣 旨 「横浜市民の読書活動の推進に関する条例」(以下「条例」)に基づき、 「第二次横浜市民読書活動推進計画(令和元年度〜5年度)」(以下「本計画」)を策定します。 本計画は、平成26年3月策定の「横浜市民読書活動推進計画(H26〜H30)」の取組の成果と課題や、学校図書館法の改正、情報通信技術(ICT)の普及・多様化など読書環境を取り巻く諸情勢の変化、 また、令和元年6月28日に公布、施行された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」の趣旨を踏まえ、今後の施策の方向性と取組を示すものとして策定します。 2 読書活動推進の意義 条例では、読書活動を「言葉を学び、感性を磨き、表現力、創造力等を高め、又は豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につける上で大切なもの」としており、 本市は「乳幼児期から高齢期まで市民一人一人が豊かな文字・活字文化の恵沢を享受することができる環境を整備するよう全力を挙げなくてはならない」としています。 また、第31 期横浜市社会教育委員会議からは「本を読み、その体験を語り合う場はいわゆる『地域の居場所』『人と人との交流の場』 として大きな可能性があり、このような場をさらに充実させていくことが地域のコミュニティづくりに寄与する」との提言がなされました。 読書には、個々の知識が得られるだけでなく、体系的な知識が得られることや、自らが体験していないことも疑似体験ができること、また、本を介して人と人がつながり、新たな活動が行われるといった効果があります。 市民一人ひとりの心豊かな生活及び活力ある社会の実現に資するため、横浜市及び関係者は、本計画に記載した読書活動を推進する取組を実施するとともに、 本計画が、読書活動推進に取り組む市民の皆さまの共通認識となるよう取り組んでまいります。 「読書活動」とは、本計画における「読書活動」は、人文科学、社会科学、自然科学などあらゆる分野の書籍に加え、新聞や雑誌等を読むこと、何かを調べるために書籍を読むこと、電子書籍等のICTを活用した資料など紙媒体以外で読むこと、視覚障害者等が録音図書やデイジー図書を聞くことも含みます。 3 位置づけ 「子どもの読書活動の推進に関する法律」第4条及び「横浜市民の読書活動の推進に関する条例」第3条に基づく「施策」として策定します。 4 推進体制 区役所・図書館・学校は、第一次読書計画で築かれた連携基盤を生かし、引き続き地域全体で読書活動を推進します。 教育委員会は、全市的な広報活動、読書活動の普及啓発イベント等への民間事業者等の協力を働き掛けるなど全市的な読書活動を推進します。 5 計画期間 令和元年度からおおむね5年間(令和5年度まで)。 ※写真を4枚掲載しています。 一番上の写真は、学校司書の学校図書館での活動峯小学校(保土ケ谷区) 二番目の上の写真は、親子で読書に親しんでいる様子 三番目の写真は、地域子育て支援拠点 にこてらす(瀬谷区)での読み聞かせ 四番目の写真は、移動図書館 みなとみらいステーション(西区) 2頁 6 第二次読書計画に基づく主な取組 ?全市的な取組 【主な取組】 ・展示会等を活用した民間事業者への連携の働きかけ(新規) 図書館総合展など読書活動に関する展示会等に出展し、書店や出版社など読書活動に関心を持つ民間事業者との連携に向けて、第二次読書計画の取組をアピールします。 ・全市イベント「横浜市読書活動推進ネットワークフォーラム」の拡大(拡充) 各区との連携開催や会場規模等の拡充などイベントの充実・拡大に取り組みます。 ◎重点項目1子どもの発達段階に応じた読書活動の推進 目標は、子どもの読書習慣の定着 成果指標は、@小中学校の学校図書館の利活用の促進(a 来館者数(平均値)、b 貸出冊数(平均値)、c 学校図書館が好きと答えた児童生徒の割合) A1日のうち読書を「している」と回答した小中学生の割合 @小中学校の学校図書館の利活用の促進(a 来館者数(平均値)、b 貸出冊数(平均値)、c 学校図書館が好きと答えた児童生徒の割合)の当初値及び目標値について a来館者数(平均値)は当初値が11,350人に対して、目標値が11,500人 b貸出冊数(平均値)は当初値が7,565冊に対して、目標値が7,600冊 c学校図書館が好きと答えた児童生徒の割合は当初値が70.6%に対して、目標値が72.0% A1日のうち読書を「している」と回答した小中学生の割合 小学生の当初値が70.5%に対して目標値が71.0% 中学生の当初値が54.9%に対して目標値が55.0% 【主な取組】 ・司書教諭、学校司書等が連携した読書活動の推進と学校図書館の活用による授業改善(新規) 新学習指導要領を踏まえた「学校図書館教育指導計画作成の手引」の改定や、先進事例の共有により学校図書館を活用した授業づくりを推進します。 ・学校図書館の機能強化を目指した司書教諭、学校司書のスキル向上(新規) 市立図書館と連携し、学校司書個々の経験やニーズに合わせた研修・支援を行い、人材育成に取り組みます。 ・学校図書館の相互利活用の検討と市立図書館蔵書の活用支援(新規) 子どもたちが必要な時に読みたい本を手に取れる環境づくりの一環として、学校図書館同士の蔵書活用の検討や、市立図書館と学校間の運搬を支援するなど、蔵書活用による学校図書館の充実に取り組みます。 ・乳幼児期から学齢期までの子どもの読書習慣定着のための取組の拡大(拡充) 乳幼児健診等の場での読み聞かせや保護者向け講座等を拡充します。子どもたちが地区センター等の身近な場所で読書に親しめるよう、図書館、読書関連施設等の取組の充実や、各施設間の連携を図ります。 ・大学及び私立等学校との連携に向けた関係構築(新規) 大学及び私立等学校に対して、読書活動イベントの周知・参加など関係構築に向けた働きかけを行います。 コラム1 学校司書配置による効果 平成25年度から小中学校への学校司書の配置が開始され、平成28年度には全校配置を達成しました。 学校司書の配置により、学校図書館の来館者数や貸出冊数が大幅に増加するなど、配置の効果が現れています。 小中学校1校あたりの学校図書館年間平均貸出冊数は、平成24年度は、4,056冊、平成25年度は、4,832冊、平成26年度は、6,433冊、平成27年度は、5,753冊、平成28年度は、6,354冊、平成29年度は、7,239冊、平成30年度7,565冊と増加しています。 こうした中、平成29年度以降毎年、横浜市の小中学校が「子供の読書活動優秀実践校」として文部科学大臣よりコンスタントに表彰されています。 過去三年間の「子供の読書活動優秀実践校」については、平成29年度は、栄区の飯島中学校、栄区の西本郷中学校、平成30年度は、鶴見区の駒岡小学校、都筑区の川和中学校、平成31年度は、青葉区の榎が丘小学校、青葉区のすすき野中学校です。 写真は、学校司書と教諭が連携し、全校で行ったペア読書の様子 青葉区の榎が丘小学校 3頁 重点項目2成人の読書活動の推進と担い手の拡大 目標は、「成人の読書活動の推進」と「読書活動推進の担い手の拡大」です。 「成人の読書活動の推進」の成果指標は、図書館における貸出冊数(広域相互利用による他都市での横浜市民への貸出も含む)で、 当初値は1,096万冊で目標値は1,100万冊です。 「読書活動推進の担い手の拡大」の成果指標は、読み聞かせ、朗読等ボランティアの活動者延べ人数(a 図書館と連携した事業の延べ人数・b 市民利用施設※2の1館あたりの平均人数)で、 a 図書館と連携した事業の延べ人数の当初値は4,072人で、目標値は4,200人 b 市民利用施設の1館あたりの平均人数の当初値は、26.6人/館で、目標値は30.1人/館です。 ここでいう「市民利用施設」とは、地区センター、コミュニティハウス、社会教育コーナー、地域子育て支援拠点、地域ケアプラザです。 【主な取組】 ・読み聞かせ、朗読等ボランティア活動の場や機会の情報提供(新規) 各区市民活動・生涯学習支援センター等を通じて、ボランティアに活動場所や機会の情報提供を行います。 ・市立図書館100 周年を契機とした様々な読書活動の推進に向けた取組の充実(拡充) ・担い手の拡大のための、レベル別講座や、乳幼児向け等対象別講座の充実(拡充) 読み聞かせボランティア等のスキルや、乳幼児・小学生向けなど対象別の講座などを充実させます。 重点項目3読書活動の拠点の強化と連携 目標は、地域や学校との連携による図書活用の推進です。 成果指標は、図書館でのグループ貸出、学校向け貸出の合計冊数で、 当初値は95,404 冊で、目標値が99,000冊です。 【主な取組】 ・地域の情報拠点としての図書館機能の強化(新規・拡充) 司書の専門性や読書活動推進におけるコーディネート力の向上を図るため、体系的な研修を実施します。 中央図書館は、専門書等の幅広い資料を収集し、市民の皆様の課題解決をサポートする機能を強化します。 図書取次サービスや移動図書館等の拡充に取り組みます。 また広域相互利用について残る近隣市と協議を進めます。 ・ICT を活用した取組(新規) 新たにマルチメディアデイジー規格の資料の提供を開始します。電子書籍導入については、他都市や業界の動向を注視しながら検討します。 郷土資料等のデジタル化を進めるとともに、デジタルアーカイブの機能向上に取り組みます。 「マルチメディアデイジー」とは、音声とともに文字や画像が表示されるデジタル図書のことです。 ・図書館における、視覚障害者等が利用しやすい資料・サービスの種類及び量的拡充(新規) 録音図書や、読み上げに対応した電子書籍、様々なICT を活用した資料等の収集や、わかりやすい利用案内、インターネットを活用した情報発信など、視覚障害者等が利用しやすい資料・サービスを拡充します。 ・図書館と読書関連施設等との連携と市民協働の推進に向けた、情報の把握と共有(拡充) 市民利用施設との連絡会等を開催し、情報共有と協力関係を深めます。 ・グループ貸出、学校向け貸出の需要に応えるための本の充実(拡充) グループ貸出などで需要の高い定番絵本、知識の本、母語で書かれた子ども向けの図書を充実させます。 読書関連施設や学校に対し、蔵書を通じた支援や、選書に関する情報の提供を行います。 コラム2 外国籍・外国につながる児童生徒の読書への支援 図書館では、平成29 年度から外国籍・外国につながる児童生徒の日本語能力向上の一助として、教科書掲載作品、日本の名作を中心に母語で書かれた図書を、学校あてに貸し出しました。 日本語と母語で書かれた図書を比較して読むことにより、理解は進みますが、日本に慣れていない子どもたちは自分たちだけで図書館には行きづらいので学校に貸し出したものです。 実施校からは、子どもが母語で読みながら楽しんでいる姿が見られた、母語の図書は学校では購入しづらいので助かっているなど好評です。 写真は、『花さき山』(斎藤隆介/作 滝平?郎/絵 岩崎書店)とその中国語版(上海?化出版社)です。 重点項目4区の地域性に応じた読書活動の推進 目標は、区の地域性に応じた読書活動の推進です。 成果指標は、区の活動目標の推進で、目標値は引き続き推進です。 【主な取組】 ・区の活動目標に基づく読書活動(拡充) 区の特性に応じたテーマに関する蔵書コーナーの新設や、民間事業者等との連携事業など、先駆的な読書活動推進の取組を行う区を支援します。 4頁 コラム3 寄贈本やサポーターズ寄附金による図書館資料の充実について 図書館では、寄贈本や寄附金を、図書館資料の充実のために活用しています。個人、企業・団体から寄贈していただいた本のうち、毎年5万冊程度を資料として活用しています。 さらに、平成30 年度から開始した横浜サポーターズ寄附金「図書館を応援したい!」では、107万6千円ものご寄附をいただきました。(令和元年6月末現在) この一部を活用して、横浜市立図書館18館の「初めて出会う絵本コーナー」の本を320冊購入しました。 図書館における寄贈冊数の推移は、 平成26年度は、一般書48,509冊、児童書6,565冊、合計55,074冊。 平成27年度は、一般書51,394冊、児童書6,815冊、合計58,209冊。 平成28年度は、一般書50,140冊、児童書7,561冊、合計57,701冊。 平成29年度は、一般書43,764冊、児童書5,298冊、合計49,062冊。 平成30年度は、一般書48,994冊、児童書6,555冊、合計55,549冊。 写真は、サポーターズ寄附金により購入した絵本です。 コラム4 広域相互利用について 市立図書館は、平成30年4月までに隣接5市(川崎市・鎌倉市・藤沢市・大和市・横須賀市)と 図書館の相互利用を開始しました。 これにより、隣接5市の図書館で、横浜市民が直接本を借りることができるようになりました。 平成30年度までに、横浜市民が他市の図書館で借りた図書の冊数は、延べ約104万冊、登録者数は累計で2万人を超えました。 残る隣接市とは引き続き協議を行います。 コラム5 障害がある方へのサービスについて 図書館では、誰もが読書に親しみ、読書の楽しみを享受できるよう様々なサービスを実施しています。 視覚に障害のある方に対しては、点字・録音図書及び大活字本の貸出し、サピエ図書館を活用した図書の貸出しを行っています。 さらに、音訳者が希望の図書や雑誌を読み上げる対面朗読サービスの提供や、録音図書再生機の整備、拡大読書器の設置にも取り組んでいます。 中央図書館では、音訳者の技術向上や、利用者からのリクエストを踏まえた録音図書の製作にも積極的に取り組んでいます。 製作した図書は、視覚障害のある利用者に貸し出すとともにサピエ図書館を通じて全国にも貸し出しています。 心身に障害があり、図書館への来館が困難な方に対しては、図書や雑誌の配送貸出サービスも実施しています。 今後は、マルチメディアデイジー規格の資料の受入など、ICTを活用して、視覚による表現の認識が難しい方も読書により親しめるような環境づくりを進めます。 「サピエ図書館」とは、全国の公共図書館等が加盟し、活字を読むことが困難な方々に数十万タイトルの点字・音声データなどを提供するウェブサービス。 社会福祉法人日本点字図書館がシステムを管理し、NPO 法人全国視覚障害者情報提供施設協会が運営を行っています。 発行:令和元年12月 編集:横浜市教育委員会事務局生涯学習文化財課 〒231-0017 横浜市中区港町1-1 TEL:045-671-3282 FAX:045-224-5863 横浜市生涯学習ホームページ「はまなび」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kyodo-manabi/shogaigakushu/gakusyu.html