第33期横浜市社会教育委員会議 第2回会議録 日時:令和4年3月29日(火)午後1時15分~午後3時00分 開催場所:横浜市庁舎9階  出席者:安藤委員、野口委員、牧野委員、中西委員、副島委員、長尾委員、高木委員、大橋委員、齋木委員、松島委員 欠席者:なし 開催形態:公開(傍聴人0名) 議事: 1本市における取組の方向性の修正案について 2各重点取組について(テーマ議論) ア重点取組1「連携・協働による視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作」 イ重点取組2「インターネットサービス提供体制の強化」 資料【配布資料】 本市における取組の方向性(修正案)(資料1) 各重点取組について(重点取組1・重点取組2)(資料2) 読書バリアフリーに関連する施設や団体について(資料3) 第33期横浜市社会教育委員会議 第1回会議録(資料4) ■議事 【牧野議長】 第1回の会議では、事務局から示されました「読書バリアフリー法に基づく本市における取組の方向性」の案について議論を行いました。 今回は前回の議論を踏まえ事務局が修正した「本市における取組の方向性」についての修正案が出ておりますので、こちらをご確認いただきます。その後、重点取組の1と2に関するテーマ議論を行いたいと思います。まず資料1「本市における取組の方向性の修正案について」、事務局よりご説明をお願いいたします。 【事務局】 「本市における取組の方向性の修正案について」(資料1)説明。 【牧野議長】 ありがとうございました。前回皆さんに議論していただいて、座長としての感想、印象なのですが、最初にこの「アクセシブルな」と言うところでずいぶん皆さんからご意見をいただいて、まずは「アクセシブル」とは一体何なのかという議論をしました。事務局の修正案にあった通り「視覚障害者等が利用しやすい」となりましたが、まず「アクセスできるのか」ということに3段階あったと思うのです。一つ目は「どこにどんな書籍があるのか」という書籍の所在について調べることが難しい、その情報にアクセスしづらい、二つ目は、アクセスできても、書籍等そのものがいろいろな所にあるのかと言うとそうではなくて、なかなか書籍等に行きつけない、そして、三つ目は、行った先で書籍等の内容に触れることができるのかという議論の中で、アクセシブルと言ってもなかなか、実はバリアフルであるという話になったのではないかと思います。 そういう議論の中で、今回の修正案が出されてきたのではないかと私自身は理解をしております。例えば情報の一元管理で、ワンストップサービスで、まずどこへ行けば何があるかがわかるようになっているとか、それからいわゆる物理的に用意するのが難しければ、やはり情報として流していきながら、そこで触れることができるようにしていくということですとか、さらには、すべて自前主義で行政がやるわけではなくて、多様な主体と連携をとりながら、様々にアクセスできるような場所というかネットワークを作っていこうとなっていったらいいですとか、さらにはインターネットを活用していくとかですとか、さらには学校には今GIGA スクール構想がどんどん進んでおりますので、子供たちはタブレットを持っていますから、そんなことも含めて利用促進をしていけないだろうかといった、さらにはいわゆる人材の育成ということ、それは扱う側、製作する側も含めてですけれども人材育成ができないか、さらには広報戦略を考えていけないかということになったのだろうと思います。そういう意味では前回の皆さんのご議論を受けて、今回の修正案が出てきました。後ほど重点取組の中身については改めて皆さんにご議論いただきたいと思いますので、まずはこちらの資料1の取組の方向性について、ご議論いただければと思います。まずはご質問やご意見等ありましたらお出しいただければと思いますがいかがでしょうか。 【齋木委員】 資料1の、(1)基本的な取組の一つ目の項目「視覚障害者等が利用しやすい書籍等、読書支援機器の拡充」というのは、「書籍等」というのが「読書支援機器」の代表的なものとして最初に提示しているように見えるので、ここは「書籍等」の後に「及び」を入れた方がよいと思います。 次に、(1)基本的な取組の二つ目の項目「視覚障害者等が利用しやすい書籍等を必要とする方が利用できる制度整備」については、もっと気軽に使えるようにしたいというのがこの話だと思います。また、それとは別に、「必要とする方が」というのが入ってしまうと、例えば、僕は必要としていないので利用できないのかと思ってしまったので、これは取ってしまってもいいのかなという気がします。何か障害がないと使っちゃだめであるような感じのような印象があると思うのですが、障害がある人のために特別にみたいな感じは出ない方が、障害のある方にとっても、「障害」というほどではないのだけれど少し不便に感じている人にとっても、いいのかなと思うので、これは取ったほうがいいのかなと感じました。 【牧野議長】 ありがとうございます。「視覚障害者等が利用しやすい書籍等を必要とする方が利用できる制度整備」の箇所について、必要としていなければ使ってはいけないとなってしまわないような表現にできないかということなのですが、そのあたりいかがでしょうか。 【松島委員】 誰でも自由に利用できる制度については、とにかく誰でも利用できるようにした方がいい。僕みたいに会議に来ないと、全然読書バリアフリーのようなことは知らない。読書バリアフリーというのであれば、誰もが気軽に図書館に通えて、誰もが安心して図書館を利用できるようになればいいのではないかと思います。 【牧野議長】 ありがとうございます。いかがでしょう、誰もが、自由に使えるようにというお話ですけれども、他の委員の方々、いかがでしょうか。 【野口副議長】 ご意見について全くその通りだと思います。ただその一方で、著作権法37条で複製した資料は、どうしても著作権の制約がかかってしまうので、全く自由に使えるかというとそこは残念ながらハードルがあります。例えばこの基本的な取組の2つ目の表現として、齋木委員がおっしゃったことも踏まえて考えると、「必要とする方が」という所を取るとしても、「自由に」というところまで法的に言えるのかというところが気になるところです。例えば、「視覚障害者等が利用しやすい書籍等を誰もが利用できる制度整備」といったニュアンスであれば、思いをうまく汲み取れる表現なのかなという気がするのですが、いかがでしょうか。 【牧野議長】 今、法的な問題というご指摘もありましたが、いかがでしょう。この著作権法37条というのは、どういう規定なのでしょうか。 【野口副議長】 「視覚障害者等」に該当する方のみが著作権法37条3項で複製した資料を利用できるという著作権上の制約です。最初から出版社が作った資料はどなたでも、まさに自由に利用できるのですが、37条3項で図書館やボランティアグループの方々が複製し製作した資料は、どうしても対象者が限定されるという制約があります。出版されているものと、37条3項で作られたものの両者が「視覚障害者等が利用しやすい書籍等」に包含されているので、「自由に」と入れてしまうと、後々組み立てが難しくなるかなということがあります。 【大橋委員】 今開かれている国会において、議員立法による、「障害者アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案」、正式には「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律案」が成立に向けて動いており、私も法案成立を支持しています。 ではなぜ、読書バリアフリー法があって、「障害者アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法案」を求めなければならないかというと、野口委員が今言われたように読書に関しては著作権法の制約もあり、本以外の情報を入手するにもいろいろなハードルがありますので、障害者が日常生活や災害時などに必要な情報を得られるようにして、情報格差のないようにしたいと私たちは動いています。松島委員の言われることは、障害者の立場としては非常によくわかるのですが、法律が通るかどうかは別として、著作権法37条がありますので、この読書バリアフリーの重点取り組みにおいてなんでも自由に読ませるということをあまり強く打ち出さないほうが良いと思います。 【松島委員】 そういう法律のようなことは分からないし、言ってはいないです。ただ、図書館に行きたくても行けない障害者がたくさんいるのです。図書館がバリアフリーと言ってもバリアがあって行けないので、誰もが安心して行けるようになってほしい。それが一番先で、障害者云々はそれから。図書館に行けない人がたくさんいるということを知ってもらいたい。図書館の中も、自由に動けるようにしてほしい。ただそれだけです。まずはそこから。大橋委員と野口委員が言っているのは、それ以降の話なのです。 【野口副議長】 思いは全く良くわかります。大賛成です。おそらく、今ご発言いただいたことは、基本的な取組だと4点目に挙がっている内容なのかなと思われます。 【牧野議長】 今回、読書バリアフリー法ということで、「読書」という、「読む」という行為から、私たちはアプローチをしていましたが、松島委員からは、その前の話として、まず行けないじゃないかと、又は使いにくいじゃないかと。そうなると視覚障害を持った方以外にも、車椅子に乗っていらっしゃる方や高齢になって杖をついて行かなきゃいけないとか、いろいろな方々も図書館が使いにくく、アクセスできないということも含めて、バリアフリーになっていないではないかということだと思いますので、それは基本的な取組の4つ目の「円滑な図書館利用のための支援の充実」ということに関わるかもしれませんが、ハードの面も含めたアクセスの仕方についても、少し議論をする必要があるだろうというご指摘だと思います。それは、こちらで引き取りながら、議論を重ねたいと考えます。先ほど齋木委員からご指摘のありました、障害者等が利用しやすい書籍ということについて、誰もが自由にということではなく、ただ、必要とする人という限定をかけるのではなく、もう少し広く考える必要があるのではないかという中で、今の議論になっていますけれども、これに関してご意見等ありますでしょうか。 【中西委員】 公の文章に使える言葉なのかどうなのかというのは分かりませんが、私どもは日常的に視覚障害者等という言葉はあまり使わずに「読書困難者」という表現を使っています。どういう人に図書を貸してくれるのですか、といったお問合せがあるのですが、そういう時に視覚障害者等と言う言葉を使うことを今は控えています。読書困難者とはどういうものかというと、例えば高齢で文字が読みにくい方や学習障害がある方、識字障害がある方、入院中の方、そういう方も含めて全員、そういう方にはお貸ししますよというお話をしているところです。以前はいろいろ制限がかかっていたので、視覚障害者等という言葉を使わせていただいていたのですが、今は表現としては読書困難者の方という表現を使ってご案内しています。 【牧野議長】 ありがとうございます。いかがでしょうか、この「視覚障害者等」という表現は読書バリアフリー法から取っているのではないかと思うのですが、事務局いかがですか。 【事務局】 読書バリアフリー法では、「視覚障害者等」の定義は視覚障害の方、発達障害の方、肢体不自由で本を読むのが難しい方を対象としています。例えば高齢者の方や外国人の方で、日本語の書籍を読むのが難しい方も関連してくるのですが、あまり広げすぎてしまうと、逆に取組がぼやけてしまうというところもあります。 他都市の計画などを見ますと、視覚障害者等の対象の方を中心に考えながら、一方で高齢者の方などへの配慮もあわせて考えていく、こうした考え方で計画や方針が出されているところが多い状況です。事務局の案としては、今申し上げたようなことを前提としながら、「視覚障害者等」という表現を使っております。 【中央図書館サービス課】 先ほどの「読書困難者」という言葉ですが、私どもも視覚障害者等ということで、対象の幅を広げるにあたっては、利用案内やチラシなどでは「読書が困難な方」という表現を使って、一般の方にわかりやすい情報の伝達を心掛けております。計画などでは使わないかもしれませんが、市民の方に向けた表現方法ということで、ご提案いただいた表現は積極的に使いたいと思います。 【牧野議長】 ありがとうございます。「視覚障害者等」という、いわゆる専門用語の問題ですが、他の委員の方でお考え等ありますでしょうか。 【齋木委員】 条例なら、「視覚障害者等」の方が定義に沿うということになると思いますし、市民に向けてお話する時には「読書困難者」や「視覚障害者等など読書に困難な人たち」の方が伝わるだろうと思います。また、「視覚障害者等」の定義にどこまで踏み込むかというところがあって、定義をそのままとするならば対象と言葉の選び方で決めればいいと思うのですが、横浜市はもっと広くとらえていくのならば、視覚障害者等という言葉だけで文章を作らない方がいいと思います。そうすると少しメッセージ色が強くなりますね。公にするときに視覚障害者等というものの定義を説明しないと分かりづらいので、「視覚障害者等」のことを、ここでは読書困難者と言う、みたいな感じでイコールにしてしまうという手もある。文字だけ見ると、視覚障害者等と言った時に、四肢に問題があるということを明示しにくいので、その点ではこのままではないほうがいいかなと思います。先ほどの図書館が使う表現にしたほうがいいだろうなと思います。 【中西委員】 中央図書館の表現は、とてもいい言葉だなと思いました。これから使っていきたいと思います。 私のグループの者が中央図書館にうかがったら、こういう本を作っていますという視覚障害者のための取組のご案内などいろいろな貼り紙があり、すごく積極的になってきましたねという話を聞いています。担当者の方にもお世話になってZoomで講習会を行いました。 【副島委員】 小学校の現場の立場からお話させていただきます。教育現場におりますと、潜在的な読書困難者のお子さんがとても多くて、それは何らかの発達障害に関するものです。例えば識字障害、ディスレクシアのお子さんなど、本を実は読めていなくてというお子さんもおります。先ほど視覚障害者等という中には発達障害も含まれるというお話でしたが、やはりそうした発達障害のお子さんへの読書のアプローチは少し違ってくるのです。 多様な発達障害、いろいろな困難を抱えた人ということも含むことになると、まだまだ研究しなければならないというところがあって、すごく難しいところもあると思うのですが、取組として視覚障害者の方への支援の取組が、例えばデイジー図書やサピエ図書館など進んでいると思うのですね。それが先進的にリードしながら、これから先あらゆる読書困難者に対してそれぞれどのようなアプローチが必要なのかということがこれからの取組で、そういう考えが根本にはありますというようなところが共通理解としてできているといいのかなと思いました。 【牧野議長】 ありがとうございます。私も今そのあたりを考えていまして、私自身が専門ではないので、思ったのかもしれませんが、今まではどちらかというと例えば目が見えない、視覚障害である、又は読みにくいということもあって、視覚障害である。だから音声に変えればいいだろうとか、そうすればアクセスできるというわけですが、先ほどおっしゃった、いわゆる発達障害等を持っていて、見えるのだけれども読み取れない、例えばLDやディスレクシアも含めて、そういう子供たちや人たちへの支援をどうするかということになると、新しい教材の開発のあり方や、又は教え方の開発も含めて考えなければいけないという議論になるのではないかと思うのです。そうすると単に、例えば文字のものを音声で取れればバリアフリーになっただろうというとそうではないことになっていくわけです。そこでお聞きしたいのですが、対象を広げていく、例えばもう少し言うと、高齢になってくることも含めて、既存の書籍というものがなかなか扱いにくくなってくる、アクセスしにくくなってくるということも含めて、そういう方々も中に入れて、読書が困難な方々という形でサービスを提供する、対象を広げていくという議論をすると、本来いちばん核になっているべき視覚障害を持った方々、又は十分アクセスができない状態に置かれている方々にとって、何か不利益なことが起こるようになるのか、どちらかというとそちらが忘れられていってしまうようなことがあったりする可能性があるのかどうか。逆により幅広く対象をとったほうがそういう方々もそこに含まれていって、今後様々な形でバリアフリー、ユニバーサルな形の社会を実現していくということにつながるような動き、可能性になっていくのか、つながっていくのかといったことを、そのあたりをご専門とされている方々がいらっしゃるので、お聞きできればと思っているのです。これは、障害という場合でもそうだと思うのです。障害のある方々に対する施策ということで狭くしていったほうがよいのか、それとも、障害はある意味個性なのだという形で社会全般に広げていったほうが、実は障害のある方々もより良くいろいろなサービスの提供を受けたり、また、社会参画を促されたりするのだという議論になるのか。そのあたりをどう判断したらいいのかという戸惑いがあるのです。どなたか、何かご意見いただけないでしょうか。 【安藤委員】 牧野議長がおっしゃった通りで、後者のことだと思うのです。多様性のある人々をすべてインクルーシブにとらえてというのがこれからの流れ、ユニバーサルデザインの流れだと思います。私のように発達障害、特にディスレクシアを専門にしている人間でも、中西委員のおっしゃった、病院にいてその時だけ音声じゃないと本が読めない人がいるということに、今ここでわかったという状況です。そう考えると、際限なく広げるという意味ではなくて、制度的なものと運用的なものを分けて考えれば、もっと運用面でできるのではないかと思うのです。究極の目標は牧野議長がおっしゃった「誰もが」という世界を作ればユニバーサルデザインで、副島委員のおっしゃったように、今学校では外国にルーツのあるお子さんも増えていて、ディスレクシアではないけれども読み書きに困っている。少し脱線しますけど、諸外国では、例えば同じ学校の図書室の半分がスペイン語、半分が英語だったりするところもあるわけです。これが、これからの長期的な目標だとしたら、現在できることは制度的なものは制度的なものである程度枠組みをはめたとしても、運用でできるのではないかと思うのです。一つ例を挙げると、私は第1回のときにディスレクシアの人の声を集めた資料を出しましたが、そこでいろいろな人と話をしながら、ある人が、例えば図書館に行って、レファレンスに行って、そこにちょっとした札があって、「ディスレクシアの人どうぞ」のようなことが書いてあるだけで僕はすごく勇気が出る、と言うのです。それはどういうことかというと、今牧野議長がおっしゃったように、文字が並んでいてもディスレクシアの人は読み取ることができない。そうすると例えばその方がおっしゃったのは、自分は大学を途中で断念せざるを得なかった。どうしてかと言うと、専門書を読む、読んで理解できないのではなくて、入り口のところでシャットアウトされて、どうやって本を探したらいいか、どの辺りにあるのか、そういうことをレファレンスの人がちょっと付き合ってくださるだけでも、僕はすごく助けられたと思うとおっしゃられたことがすごく印象に残っています。ですから、今回示された方向性には「図書館司書や学校司書への研修の充実」と書いてありますけれども、実際にそこにいる司書の方や学校司書の方が、今中西委員のおっしゃったような、様々なタイプの人がいる中でのことをどのくらい理解できているのかという、そういうところで少し運用が充実していくような人材育成や研修が、そこをやっていくことでずいぶんカバーできていく感じがします。 【牧野議長】 ありがとうございます。資料1の議論を固めておくと、重点取組のテーマ議論がしやすいと思っていたのですが、もう少しこの議論を進めて、すでに取組1から4の中身にも少し入るようなご議論も出ていますので、そのこともすくい上げながらもう少し資料1についての議論を続けさせていただいてよろしいでしょうか。 今視覚障害者等というところの、いわゆる文言の扱いというところで議論になっていますが、安藤委員からもお話がありましたが、いわゆる制度設計と言いますか、又は教育委員会としての方向性を出すということについては少し狭く考えておきながら、実際には誰もが、一人ひとりのニーズに応じて、誰一人取り残さないといったことがバリアフリー、又はユニバーサルな考え方の一つでもあるので、運用面でそれを実質化していけるような形のものを少し中に書き込んだらどうかというお話だろうと思いますが、委員の皆さんいかがでしょうか。 【野口副議長】 読書バリアフリー法の限界は何だろうと思うと、何人かの委員からもお話が出ているように、外国にルーツがある方で、日本語を読むということに困難があるといった方々をフォローしていないのです。でも地域の中にはたくさん外国にルーツのある方もお住まいで、読むことへのサポートを、どこがどうカバーしていくのか、もちろん図書館では多文化サービスの取組をされていたりするのですが、トータルに読むことの支援と言いますか、読書のバリアフリーと言う範疇の中でどうとらえなおしていくのか。つまり、個別には取り組まれていることがあるのだけれども、こうした市としての新たな計画に向けての議論を進めるという文脈の中に、そのあたりまで、法律ではそこは入ってないかもしれないけれど、今回入れて、トータルに見ていこうとするのか、やはり法律の範疇で捉えるのかというところなのかなと思いました。外国にルーツのある方もたくさんいらっしゃるという現状を考えた時に、その辺りをどう位置付けていくのかと、考えていくというのは大切なのかなと思います。先ほどご意見で、制度とか法の枠組みと実際の運用というところで、分けて考えるというのが重要ではないかということに、なるほどと思いました。 【齋木委員】 例えば僕が英語の本を読もうと思ったときに読めないというのとは、少し違う感じがするのです。僕が英語の本を読めないので、日本語で読めるようにしてくださいと言ったとしても、それは自分でがんばって読めるようにしてくださいと返されてもいいのですが、日本語で読めるようにならなければいけなくて、覚えようとしているのだけれども、そこで何かうまく回っていないみたいな場合は、ちゃんと考えたほうがいいのかなと思います。たぶん公共図書館は一定の知見やいろいろな取組をされていたりすると思います。どういうふうに困っているかというのは、学校で経験があると思います。そういったことを、何らかの形で共有して、目が見えない方、発達障害の方と、どういったことが同じで、どういったことが違うかみたいなものがこの会議で出てくるといいと思います。それは今日の議論ではなくて、重点取組3や4のテーマ議論で出てくるのかなと思います。 新宿の図書館だと、外国人がとても多いので、プレートを外国語にしていて、外国の方にとってどれを読んだらいいかというのにたどり着くまでの手数がない。ここの棚にあるものの中から読めばいいということでだいぶ絞り込めるということがあるらしいのです。そういった、読み始めるところまでのバリアをなくしていくということならば、このようにしたら、ある程度近づけるのだという知見があれば、できるようになると思うので、例えば司書、司書教諭、学校司書は知っておいてもらえるとよいと思います。 【牧野議長】 ありがとうございます。基本的には読書バリアフリー法の考え方に基づいて、横浜市ではどうするかという議論にしていくということで、文言については「視覚障害者等」が利用しやすい書籍をどう利用するように、またどう利用できるように保障していくのかという観点から、全体を作っていくということでよろしいでしょうか。それを少し抽象的なというか、枠組みを大きくとっておきながら、具体的な運用の形で、例えば今議論になりました外国がルーツの方々の読書の保障をどうするかや、またそれに関する様々な関わりの人材をどう育成するかとか、また図書館の形状をどうするかなど細かなこともありますし、さらには先ほど議論になりました、例えば学校における子供のディスレクシアの問題や発達障害といったことも、当然読書バリアフリー法にも入っているのですが、そうした子供たちに対する対応をどうするかといったことについても、より具体的な形で、運用という面でより拡張性をもてるような形の議論にしておく、ということでよろしいでしょうか。はい、ありがとうございます。 それでは、先ほどの齋木委員からのご指摘で必要とする方が利用できるという言葉から議論が広がったのですが、いかがでしょう、基本的な取組の2つ目のところで、「視覚障害者等が利用しやすい書籍等を誰もが利用できる制度整備」という形にするというご提案がありましたがいかがでしょうか。誰もがという形で、そこには当然必要とする方、またそれを支援する方も入ってくるというような考え方になるかと思うのですが、いかがでしょうか。事務局から何かありますか。 【中央図書館サービス課】 冒頭の、「誰もが」というのは視覚障害者等の方ということで定義づけられた上での文章なので、誰もがというのは問題ないかと思います。 【牧野議長】 「誰も」の解釈というのが、誰もが勝手にという話になってくるといかがでしょうか。 【野口副議長】 注記を入れるのはいかがでしょうか。37条3項の複製物利用の場合は、対象が絞られますが、それ以外の一般に売られている大活字本などはどなたでも自由にお使いいただけますということを、実際に市の計画などに盛り込む際には注記で明記すればいいのではないでしょうか。 【齋木委員】 37条だけじゃないですよ、というのがたぶんちょっと大事で、オーディオブックとか大活字本とかいうのを増やしていきますよというメッセージがあったほうがいいと思うのです。 【大橋委員】 横浜の場合は、点字図書館が市にはないのです。点字図書館に代わるものを作ってくれという要求は出しているのですが、それが社会参加推進センターというのは、これはまた少し違うと思うのです。その辺りの話し合いには当事者団体も参画させてくださいと要望しておきます。中西委員も音訳の委託事業で講師をしていただいていますが、横浜市の委託の費用は、公益社団法人横浜市身体障害者団体連合会に出て、そこから私たちの視覚障害者団体に委託費が降りてきて、音訳や点訳の研修を実施しています。当事者団体としましては隔靴掻痒の感じがして、横浜市では活動拠点がありませんので、仕方ないかなというようなところなのです。ですから、社会参加推進センターを活用するならば、もう一度委託事業の運用面の抜本的な見直しをしていただきたい。 それから、横浜市の場合は横浜市立盲特別支援学校だけでなく、私立の横浜訓盲学院もあり、そこでは盲ろうの児童生徒を結構受け入れていて、盲ろう教育に力をいれています。そういう観点で見ると、議論を聞いていて、盲ろう者、つまり点訳関係の意識が皆さんには薄いだろうなと感じました。先ほどの議論に戻すつもりはないですが、割合広くとらえて運用的にと言ってしまうと、他の方面に意識がいってしまうので、本当に読書バリアフリー法でカバーしないといけない人が落ちてしまう恐れがあります。読書バリアフリー法でカバーできる部分はしっかり押さえて欲しいのです。 【牧野議長】 ありがとうございます。今のご指摘ですが、先ほどの議論にも関わってくると思うのです。対象を広げていくというか、よりバリアフリーにというか、ユニバーサルにと考えて広げていくと、読書バリアフリー法の特に核になるような対象の方々が抜け落ちてしまう、又は忘れられてしまうということがありえないだろうかと。そういう意味でむしろ、今回は読書バリアフリー法の精神をきっちりと受け継ぎながら、まずは横浜市でどうするかと議論して、そしてそれを今後さらに対象者を広げていきながら、社会全体を、バリアフリーな社会にしていくためにはどうしたらいいかという議論につなげられるようにこの枠組みが作れたらと思いますが、いかがでしょうか。 【長尾委員】 平成19年度に盲・聾・養護学校が特別支援学校に変わるというときに、新しい学校名になっても、横浜市盲と言っていただけるように横浜市立「盲」特別支援学校と、「盲」を残しました。 読書バリアフリー法に関しては、法律用語ということで「視覚障害者等」に「視覚障害者」と入れていただいていますので、そこについては視覚障害教育に携わる者として、すごくわかりやすく、見えない、見えにくい方という、文字が見えにくい方ということがとてもわかる文言です。ただ、本校の子供たちの人数はそんなに多くはないのですが、その中でもいろいろな特性を持っているお子さんがいます。見えない、見えにくいだけではなくて、発達障害の方もいれば、難聴、聞こえにくい方もいらっしゃったりしますので、この「等」という中にはいろいろな子供たちが含まれているなと思っております。 読書支援機器の拡充というところが基本的な取組の中にあるのですが、音声や、拡大機器を使って文字を拡大することもあるのですが、もう一つ、点字をやはり読みたいという方のニーズにぜひ対応できるようなお話をしていただけたらと思います。中途視覚障害者は、紙の点字を読むということについて本人の努力も必要で、読めるようにしなければいけないのですが、ピンディスプレイというものを利用できると、より点字に触れるきっかけになるということがあるのです。特にピンディスプレイは読み上げ機能がついていますし、一行ずつ表示がされるので行を読み間違えることがないとか、あとは、紙の点字に比べてピンディスプレイのほうがよりはっきりとした点が出るということで、触読、触ることでは読みやすいということがあります。また、サピエのデータを取得できれば、機器の中にたくさんデータを保存できますので、いろいろな書籍を手元で読めるということがあります。紙媒体ではない点字、ピンディスプレイについてもぜひ話の中に入れていただけたらと思います。また、盲聾の方にとってもピンディスプレイは有効なのではないかと思います。本校には当事者の教員も多くいますので、ピンディスプレイの話を聞きます。ピンディスプレイという言葉もぜひ織り交ぜていただけたらと思います。また、やはり音声で聞けるというのもあるのですが、教育の立場で言いますと、言葉の獲得とか文字の獲得というのは、やはり学校でしっかり教えていかなければいけないなと、盲特別支援学校の教育力をより高めていかなければいけないと言われた感じがします。がんばっていきたいと思います。 【牧野議長】 ありがとうございます。今具体的に、基本的な取組の中の読書支援機器というところで、特にピンディスプレイの重要性のご指摘がありましたが、そのことも含めまして、いかがでしょうか。 最初に基本的な取組というところで、4つ挙がっていますが、文言について皆さんから出たものを入れながらもう一度確認をさせていただければと思います。一つが、「視覚障害者等が利用しやすい書籍等及び読書支援機器の拡充」、これをもし後のほうの重点取組の中に入れるのであれば今のピンディスプレイや、そういう機器の名前をきちんと明記するということかと思いますが、この点はいかがでしょうか、よろしいでしょうか。二つ目に、「視覚障害者等が利用しやすい書籍等を誰もが利用できる制度整備」とするということでよろしいでしょうか。当然ここでは先ほどの議論でありましたように、著作権法第37条で作られた複製本は当然制約がかかるということはどこかに書いておくということになりますが、それが逆に言えば先ほど運用で広げると言いましたけれども、今度は逆に運用で狭めるという議論にもなるかもしれませんので、そこは全体の計画の中で考えていくということでよろしいでしょうか。それから3つ目ですが、「視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作人材育成」ということになっていますが、これはこのままでよろしいでしょうか。それから四つ目として、「円滑な図書館利用のための支援の充実」、これは先ほど松島委員からもありましたように、図書館のアクセスのしにくさというか、なかなかバリアフリーになっていないということも含めて、図書館利用のための支援をきっちりとする、ということになるということですが、よろしいでしょうか。では基本的には、この基本的な取組の方向性としましてはこの4つということで、皆さんのご了承をいただいたという理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。そうしますと、次に重点取組なのですが、資料1の取組で、1、2、3、4が入っておりますが、ここはいかがでしょうか。前回と比べて多様な主体との連携・協働を推進しながら次の重点取組を行うという、「多様な主体との連携・協働」というのが入ったということと、重点取組1で、「連携・協働による視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作」という表記になっていて、「民間業者等と連携した視覚障害者等が利用しやすい書籍等の製作」となっています。ここに例えば、先ほどの点字の議論、又はピンディスプレイもここに、もしかしたら入ってくるというかもしれませんが、そのあたりで少し、皆さんのほうでご意見があればお出しいただければと思います。それから重点取組2として、「インターネットサービス提供体制の強化」ということで、「サピエ図書館や国立国会図書館の利用促進」が挙げられており、更に「GIGAスクールの端末を活用したインターネットサービス利用促進」といったことも挙げられています。それから、重点取組3として、「司書、司書教諭、学校司書等の人材育成」。特に利用促進するための人材育成をしていくということが挙げられています。重点項目4が「効果的な広報・啓発戦略」。この大きな項目についていかがでしょうか。 実はこの間、私の関係のところで情報交換の機会がありまして、特に重点取組2に関わってくると思うのですが、今、いろいろなベンチャー企業で読み上げソフトがいろいろ開発されていて、本人がデイジー書籍を購入、又は買った書籍をPDF化してパソコンに入れてやると読んでくれるというソフトがあるのです。そのようなものは、著作権に関わってくるのでしょうか。個人で利用する場合には問題ないものでしょうか。 【野口副議長】 そうですね。「Your Eyes(ユアアイズ)」というサービスがあったりします。 【齋木委員】 読み上げるだけなら、問題はない。 【大橋委員】 私的使用の範囲であれば問題はないと思います。 【牧野議長】 私のところに難聴の学生がいて、彼女は講義よりはオンラインの方が授業を受けやすいのです。彼女のパソコンにはいわゆる、読み上げではなくて逆のソフトが入っていて、私たちがしゃべったことが文字化して出てくるので。対面の授業だとそれが使えないので、かえって分かりにくい。今年度4月からは彼女はオンラインで受講できるようにしているのですが、そういうこともデジタル化が進んでいけば可能になります。話したことが文字化されるし、文字が音声化されることもできるようになってくるということもありますので、そうしたことももしかしたら企業との連携ということに入ってくる。これは行政がやっていいのかどうかはわかりませんが。 【齋木委員】 例えば、Zoomだとアプリが入っていて、あと、UD(ユーディー)トークがあって、手元にパネルを置いて授業でもそれを置けば、変換してテキスト化してくれるものがあります。全盲の方にうかがった話だと、読みをまだまだ間違える。本当はもっとそこが改善されていてもいいはずなのに、どうも、そんなにお金をたくさん使ってアップデートできる市場規模ではないらしいから、難しいとおっしゃっていました。それをなんとかしようとすると、読みを入れることになって大変、コストが上がる。去年の11月に百科事典を出したのですが、これまでは4年生以上ルビだったのを総ルビにして、デジタル版にそれを読みで入れることができるように、みたいなことはしましたが、それでデータを作る段階できちんとやっておけばよかったのにやっていなくて、今どうしようかとなっているのが数式です。 【牧野議長】 なんでこのようなことを言い始めたのかと言いますと、重点取組2のところで既存のものにアクセスするということは基本に書かれてあると思うのですが、個人が、先ほどのワンストップサービスもそうなのですが、アクセスしにくいという議論がある。逆に個人が自分でそれを手に入れられて、気になる書籍を、個人がそれを楽しむということであれば、どこに行っても利用できる状態を作れるいろいろなサービスが出てきているので、そんなこともこの中に入れ込んだらどうかと思った、ということなのです。 【大橋委員】 誰もが利用できるというところで引っかかるのが、サピエ図書館等の利用とか簡単にお書きになっているけれども、前回も申し上げたようにデジタルディバイドがものすごい。若い方で、情報処理などの数学系の方や、パソコンなど自由に駆使してSEとして企業で働いている人もたくさんいます。ですが私たち高齢者のレベルだと、まず国会図書館にアクセスするのも大変。どんどん便利になっても、それに追いつかない人たちがいる、だからサポートしてほしいということなのです。中央図書館で言いますと、例えば3階に国会図書館に直接アクセスするパソコンが何台も置いてあります。何回か利用していますが、周りの方は静かにアクセスしていて、私はパソコンに強いガイドさんをお願いして、国会図書館の古い明治の資料など読みますので、これを検索してくれ、あれを検索してくれと話していると、周りの人はシーンとしているし、非常に気を遣うのです。先ほどの松島委員のご意見のように、自由に動けるということだけではなくて、図書館サービスにおける障害者の利用を想定した計画がなされていないため、私たちが利用する場合体を縮めて、小さくなって利用しなくちゃならない。そういうところがまずいと感じています。 最後にいつも言っているのですが、横浜市のいろいろな資料などは、インターネットで検索できますが、ほとんどがPDFでテキストは付いていなくて、読めないものがほとんどです。スキルのある人は読めるらしいのですが、私のレベルの使っているソフトでは読めない。そういったものがまだたくさんあるので、ぜひ教育委員会をはじめ、全庁的な取組として、読書バリアフリーをアピールしてほしいです。 【齋木委員】 それはすごく大事なところで、読書の分野ではないかもしれないが、行政情報みたいなものを確実にわかりやすく手に入れられる体制を作る。もう一つは、視覚障害者等が利用しやすい書籍等を製作するというときに、どういうバリエーションがあって、それぞれにどういう特徴があるのかわかると便利なのです。副読本は、比較的権利関係の手続きが簡単で、『わたしたちの横浜』みたいなものは、市民が興味を持っていて、読んだことがある人も多く、障害がある子供たちも読んでほしいものだと思うので、そういったものをバリアフリーにしましたと言えると、すごく成果を感じられると思うのです。いろいろな自治体で、それが波及したら、あれを始めたのは横浜市だみたいなことにもなると思うので、それはぜひやってほしいなと思いました。そういうところから、ホームページのバリアフリーの方法などが、内部でも分かるのではないかと思います。 【中西委員】 横浜市の議会だより音声版(Web版、CD版、デイジー版)は、以前私たちが作っておりました。「暮らしのガイド」や「障害福祉の案内」「介護保険総合案内パンフレット」、「ごみと資源物の分け方・出し方」は横浜市から委託を受けてWeb版をホームページに上げたり、デイジー版を配布したりしております。議会だよりは現在違うグループが読んでいますが、コンスタントにホームページにWeb版を上げています。そういうことをもう少し広げていただければと思います。いろいろな課が情報提供したものは、情報に誰もがアクセスできるという意味では、本来音声版をつくるのが義務なのではないかと思うのです。いろいろな部署で例えば広報課では、神奈川新聞と協働出版している雑誌のデイジー版も作っていらっしゃいますので、そういうことにも少し力を入れていただくと、視覚障害者などの読書困難者の方に情報にアクセスしていただけるのではないかと思います。各課からデイジー版をお願いしますといった依頼は少しずつ増えてはいるのですが、全ての情報ではないので、できればタイムロスのない形で、そういう書類が出たときにすぐに、ご依頼いただけたらと思います。私どもは2週間~2ヶ月位でデイジー版を製作するという仕事をしています。各課で音声版を作っていこうかなと積極的に考えていただければと思います。 【齋木委員】 全部で音声版を作るのが無理なら、せめてhtml(エイチティーエムエル)あるいは、テキストデータ付きPDFを提供するといいと思います。予算や時間もあるので、これが優先で、その次がこれぐらいにしておいてみたいなものができるようになるといいですよね。 【中西委員】 テキストファイルだけでも、ずいぶんと違うはずです。利用者によっては、早く情報が欲しいのでテキストファイル化してくださいという依頼もあります。私どもは一応テキストファイルとテキストデイジー、音声デイジーとマルチメディアデイジーの4つの媒体で、個人のご依頼には提供するようにしています。利用者さんによっては、すぐ読みたいので、とにかく早くテキストでください、あるいは、文芸作品については、人間の声がいいので、時間がかかってもいいので読んでくださいというようなご依頼があって、ニーズによって様々な媒体で対応しています。 【松島委員】 何をバリアフリーと言っているのかわからなくなってきた。というのは、家にいてパソコンで自由にできることをバリアフリーって言っているように思えた。僕たちは、近所の人といっしょに図書館に行って本を読んだりすることで、お互いを知るということも重要で、そういうことをバリアフリーと言っている。バリアをなくすことも重要だけど、それだけじゃ障害者はますます孤立してしまう。インターネットや読書支援機器を充実したら、孤立してしまう危険があるのではないのかなって、わからなくなってしまった。パソコンの操作を一人で自由にできると外に出なくなってしまうから、それは危険だと思う。孤立してしまうのではないか。 【牧野議長】 ありがとうございます。基本的な取組の方向性としては、皆さんにご了解いただきました。それから重点取組のところで出ましたお話は、一つは、様々書かれてはあるのですが、ここにさらに加えて、例えば先ほどお話がありましたように、インターネットを使ってオンラインで、様々な情報にアクセスするときにも、どうしても格差がある、デジタルディバイドがあるので、それは支援してもらえる、付き添ってもらえるような職員というか、人材の配置も含めて、そういうバリアを取り払うような施策といったことが必要ではないかというご指摘ですね。ハード面だけではなくてむしろソフトの面でもやはりバリアを取り除いていくような施策が必要ではないかというご指摘がありましたし、もう一つはさらに齋木委員からも、少しずつ形を作っていく、実績を作りながら、これができたのだから、次はこれ行きましょうといった形での展開が考えられるのではないか。それに対して、中西委員からご自身の団体でやっていることのご紹介もありながら、少しずつ横浜市がある意味では日本の先端的な取組を支えていく中で、横浜市がこんなことやっていますよということをどんどん広げていくということを考えられないかというお話がありました。さらに松島委員からは、インターネットも大事だけれども、ある意味では人間関係、孤立をさせない、しないといったことをどう考えるか、そういうことの中で読書といったものを位置付けていくのが必要ではないかというご指摘があったと思います。そういうことも含めて、重点取組の1から4までの中に、今のご指摘等も組み込むことができるのではないかと思いますので、中身については今後事務局でまた少しお考えいただいて、次回重点取組について皆さんと議論ができればと思います。そういう形でよろしいでしょうか。基本的には今日は、資料1の取組の方向性については、皆さんでご議論いただいて基本的にご了承を得られたという理解でよろしいでしょうか。ありがとうございます。