次第 第33期横浜市社会教育委員会議 第1回 日時:令和3年11月5日(金)午前10時から正午まで 場所:横浜市庁舎18階 なみき18・19 次第 1教育長あいさつ 2委員紹介…資料1 3社会教育委員関係法令について…資料2 4正副議長の選出 5議事 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)」に基づく本市取組の方向性について…資料3・4 (1)「本市の現状」について…資料5 ・視覚障害者等の読書環境の整備状況 ・読書バリアフリー法「基本理念」の関連取組 (2)「本市の今後の方向性」について…資料6 ・読書バリアフリー法「基本理念」についての検討 ・本市における取組の方向性(案) 【配布資料】 第33期横浜市社会教育委員名簿…資料1                横浜市社会教育委員関係法令等…資料2                第33期社会教育委員会議について…資料3 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律概要…資料4 「本市の現状」について…資料5 「本市の今後の方向性」について…資料6 p1 資料1 第33期横浜市社会教育委員名簿 1社会教育委員 任期令和3年9月15日から令和5年9月14日 委員の方を、氏名(敬称略)、役職名、選出区分の順番で記載しています。 安藤壽子(あんどうひさこ)、元お茶の水女子大学学校教育研究部教授、学識経験者 野口武悟(のぐちたけのり)、専修大学文学部教授、学識経験者 牧野篤(まきのあつし)、東京大学大学院教育学研究科教授、中央教育審議会生涯学習分科会委員、学識経験者 中西孝子(なかにしたかこ)、特定非営利活動法人デイジー横浜理事、社会教育関係者 副島江理子(そえじまえりこ)、横浜市立緑園東小学校校長、学校教育関係者 長尾一(ながおはじめ)、横浜市立盲特別支援学校校長、学校教育関係者 高木一江(たかぎかずえ)、横浜市中部地域療育センター所長、家庭教育関係者 大橋由昌(おおはしよしまさ)、横浜市視覚障害者福祉協会副会長、教育委員会が必要と認める者 齋木小太郎(さいきこたろう)、株式会社ポプラ社こどもの学びグループこどもの学び研究所主席研究員、教育委員会が必要と認める者 松島雅樹(まつしままさき)、横浜市脳性マヒ者協会事務局長、教育委員会が必要と認める者 2事務局  職員の氏名を、氏名、役職名の順番で記載しています。 渡邊孝之(わたなべたかゆき)、教育委員会事務局生涯学習担当部長 宮田純一(みやたじゅんいち)、教育委員会事務局生涯学習文化財課長 平中文朗(ひらなかふみお)、教育委員会事務局生涯学習文化財課生涯学習係長 神谷知栄(かみやちえ)、教育委員会事務局生涯学習文化財課担当 鈴木薫(すずきかおる)、教育委員会事務局生涯学習文化財課担当 中江華菜(なかえかな)、教育委員会事務局生涯学習文化財課担当 3関係部署 健康福祉局障害施策推進課、健康福祉局障害自立支援課 こども青少年局障害児福祉保健課 教育委員会事務局小中学校企画課、教育委員会事務局特別支援教育課、教育委員会事務局中央図書館企画運営課、教育委員会事務局中央図書館サービス課 p2 資料2 横浜市社会教育委員関係法令等 ・社会教育法(関連部分抜粋) ・横浜市社会教育委員条例 ・横浜市社会教育委員会議規則 p3 社会教育法(社会教育委員の関連部分抜粋) (昭和24年6月10日法律第207号) (最終改正:令和元年5月24日法律第11号) (市町村の教育委員会の事務) 第5条市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、次の事務を行う。 二社会教育委員の委嘱に関すること。 (審議会等への諮問) 第13条国又は地方公共団体が社会教育関係団体に対し補助金を交付しようとする場合には、あらかじめ、国にあつては文部科学大臣が審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。第五十一条第三項において同じ。)で政令で定めるものの、地方公共団体にあつては教育委員会が社会教育委員の会議(社会教育委員が置かれていない場合には、条例で定めるところにより社会教育に係る補助金の交付に関する事項を調査審議する審議会その他の合議制の機関)の意見を聴いて行わなければならない。 (社会教育委員の設置) 第15条都道府県及び市町村に社会教育委員を置くことができる。 2社会教育委員は、教育委員会が委嘱する。 (社会教育委員の職務) 第17条社会教育委員は、社会教育に関し教育委員会に助言するため、次の職務を行う。 一社会教育に関する諸計画を立案すること。 二定時又は臨時に会議を開き、教育委員会の諮問に応じ、これに対して、意見を述べること。 三前二号の職務を行うために必要な研究調査を行うこと。 2社会教育委員は、教育委員会の会議に出席して社会教育に関し意見を述べることができる。 3市町村の社会教育委員は、当該市町村の教育委員会から委嘱を受けた青少年教育に関する特定の事項について、社会教育関係団体、社会教育指導者その他関係者に対し、助言と指導を与えることができる。 (社会教育委員の委嘱の基準等) 第18条社会教育委員の委嘱の基準、定数及び任期その他社会教育委員に関し必要な事項は、当該地方公共団体の条例で定める。この場合において、社会教育委員の委嘱の基準については、文部科学省令で定める基準を参酌するものとする。 p4 横浜市社会教育委員条例 (制定昭和25年8月4日条例30号) (最終改正平成25年12月25日条例第90号) (設置) 第1条社会教育法(昭和24年法律第207号)第15条の規定に基き、本市に社会教育委員(以下委員という。)を置く。 (委嘱の基準) 第2条委員は、次に掲げる者のうちから教育委員会が委嘱する。 (1)学校教育及び社会教育の関係者 (2)家庭教育の向上に資する活動を行う者 (3)学識経験のある者 (4)前3号に掲げる者のほか、教育委員会が必要と認める者 (委員の定数) 第3条委員の定数は10人とする。 (任期その他) 第4条委員の任期は2年とする。但し、1回に限り重任を妨げない。 2補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。 3教育委員会は、特別の事情があるときは、任期中でも委員を解嘱することができる。 (費用弁償) 第5条委員が職務のため市外に出張したときは、費用弁償として旅費を支給する。 2前項の旅費は、横浜市旅費条例(昭和23年10月横浜市条例第73号)中2号の者に支給する額により、同条例を準用して支給する。 3委員が職務を行うために必要な研究調査及びその他の費用は、予算の範囲内においてこれを弁償する。 (委任) 第6条この条例施行に関し必要な事項は、教育委員会が定める。 p5 横浜市社会教育委員会議規則 制定(昭和25年8月4日教育委員会規則第6号) 最終改正(平成15年10月15日 教育委員会規則第16号) (目的) 第1条横浜市社会教育委員(以下「委員」という。)の会議(以下会議という。)については、この規則の定めるところによる。 (議長及び副議長) 第2条会議に、議長及び副議長それぞれ一人を置く。 2議長及び副議長は、委員の互選により定める。 3議長及び副議長の任期は、委員の任期とする。 4副議長は、議長を補佐し、議長に事故があるとき、又は議長が欠けたときは、その職務を行う。 (会議) 第3条会議は、必要に応じ議長が招集し、これを主宰する。 2会議は、委員の過半数が出席しなければ開くことができない。 3議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは議長の決するところによる。 (関係者の出席) 第4条議長は、議案その他に関し必要あるときは、関係者の出席を求めて、その意見又は説明を聴くことができる。 第5条 教育委員会事務局職員は、会議に出席して、意見を述べることができる。 (庶務) 第6条会議に必要な庶務は、教育委員会事務局において行う。 (委任) 第7条この規則に定めるもののほか、必要な事項は、教育長が別にこれを定める。 p6 資料3 第33期社会教育委員会議について 1テーマ選定の背景 ・読書は、教育や就労を支える重要な活動であり、障害の有無にかかわらず全ての人が読書することのできる環境を整備していく必要があります。 ・こうした背景を踏まえて令和元年に施行された「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(以下、「読書バリアフリー法」)」では、第8条に「地方公共団体における視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を定めるよう努めなければならない」とされています。【資料4「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律概要」参照】  また、同法第8条第2項において、「地方公共団体は、計画を定めようとするときは、あらかじめ、視覚障害者等その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとすること」とされていることから、社会教育委員会議を意見を反映させる場としたいと考えています。 ・読書バリアフリー法に基づく本市取組の方向性について、専門的な知見を有する社 会教育委員から提言をいただき、その提言を踏まえて「第三次横浜市民読書活動推進計画」(令和5年度策定予定、計画期間:令和6年度から10年度)の策定において、本市の読書バリアフリーに関する取組方針を盛り込んでまいります。 2計画策定に向けたスケジュール(予定) 令和3年7月第1回庁内検討会議(注釈「庁内検討会議」とは、読書バリアフリー法に関係する市役所内の部署が、既存の取組の確認や施策の検討を行う会議) 令和3年9月第2回庁内検討会議 令和3年11月第1回社会教育委員会議 令和4年3月第2回社会教育委員会議 令和4年6月第3回社会教育委員会議 令和4年7月第3回庁内検討会議 令和4年9月第4回社会教育委員会議(提言議論) 令和4年10月第4回庁内検討会議 令和4年11月第5回社会教育委員会議(提言議論) 令和4年12月教育委員会 一般報告(提言公表) 令和5年9月市会(第三次横浜市民読書活動推進計画 素案報告) 令和5年10月市民意見募集(第三次横浜市民読書活動推進計画 素案) 令和6年3月市会(第三次横浜市民読書活動推進計画 原案報告)、第三次横浜市民読書活動推進計画 策定 p7 資料4 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(読書バリアフリー法)概要 目的(1条) 視覚障害者等(=視覚障害、発達障害、肢体不自由等の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者)の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進 障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与 基本理念(3条) ・アクセシブルな電子書籍等(デイジー図書・音声読上げ対応の電子書籍・オーディオブック等)が視覚障害者等の利便性の向上に著しく資することに鑑み、その普及が図られるとともに、視覚障害者等の需要を踏まえ、引き続き、アクセシブルな書籍(点字図書・拡大図書等)が提供されること ・アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上が図られること ・視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮がなされること 国・地方公共団体の責務(4条・5条) ・国は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定・実施 ・地方公共団体は、国との連携を図りつつ、地域の実情を踏まえ、施策を策定・実施 基本的施策(9条~17条) ①視覚障害者等の図書館利用に係る体制整備等(9条) ・アクセシブルな書籍・電子書籍等の充実 ・円滑な利用のための支援の充実 ・点字図書館における取組の促進 など ②インターネットを利用したサービス提供体制の強化(10条) ・アクセシブルな書籍・電子書籍等の利用のための全国的ネットワーク(サピエ図書館を想定)の運営への支援 ・関係者間の連携強化 など ③特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援(11条) ・製作基準の作成等の質の向上のための取組への支援 ※特定書籍・特定電子書籍等:著作権法37条により製作されるアクセシブルな書籍・電子書籍等 ・出版者から製作者に対するテキストデータ等の提供促進のための環境整備への支援 など アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進等(12条) ・技術の進歩を適切に反映した規格等の普及の促進 ・著作権者と出版者との契約に関する情報提供 ・出版者から書籍購入者に対するテキストデータ等の提供促進のための環境整備に関する検討への支援 など ⑤外国からのアクセシブルな電子書籍等の入手のための環境整備(13条) ・相談体制の整備 など ⑥端末機器等・これに関する情報の入手支援(14条) ⑦情報通信技術の習得支援(15条) ・講習会・巡回指導の実施の推進 など ⑧アクセシブルな電子書籍等・端末機器等に係る先端的技術等の研究開発の推進等(16条) ⑨製作人材・図書館サービス人材の育成等(17条) ※地方公共団体は、③のテキストデータ等の提供促進部分・④・⑤・⑧を除き、国と同様に施策を講ずる。 文部科学大臣・厚生労働大臣が定める基本計画で具体化(7条)、地方公共団体は計画策定の努力義務(8条)、政府に対し、施策の実施に必要な財政上の措置等を義務付け(6条) 協議の場等(18条) 文部科学省、厚生労働省、経済産業省、総務省等の関係行政機関の職員、国会図書館、公立図書館、大学等の図書館、学校図書館、点字図書館、上記②のネットワークの運営者、特定書籍・特定電子書籍等の製作者、出版者、視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設ける等 施行期日:公布の日 P8 資料5 本市の現状について 1 視覚障害者等の読書環境の整備状況 (1) アクセシブルな書籍等   市立図書館では、中央図書館を中心に、点字図書(注釈1)や拡大図書(注釈2)、触る絵本(注釈3)、LLブック(注釈4)、などのアクセシブルな書籍や、音声デイジー(注釈5)、マルチメディアデイジー(注釈6)などのアクセシブルな電子書籍等を整備しています。特色ある取組としては、中央図書館において図書館協力者(注釈7)による音声デイジーの製作を行っているほか、令和3年度から、障害者作業所と連携し、テキストデイジー(注釈8)を試行的に製作しています。  学校図書館では、盲特別支援学校において、点字図書、拡大図書、触る絵本、音声デイジー、マルチメディアデイジー等、幼児・児童・生徒の障害特性に応じた様々な種類の書籍を整備しています。その他の学校では、アクセシブルな書籍等を必要とする児童、生徒の在籍状況に応じて、整備が行われています。 (注釈等の解説) ・「アクセシブルな書籍等」…アクセシブルな書籍とアクセシブルな電子書籍等の総称。 ・「アクセシブルな書籍」には次の資料がある。 「点字図書」(注釈1)…凸点を組み合わせて文字体系とした点字で記された図書。 「拡大図書」(注釈2)…弱視者や高齢者などが読みやすいよう、文字や図版を拡大して複製した図書。 「触る絵本」(注釈3)…さまざまな材料を用いて盛り上がった形の挿絵を作成し、それを貼り付けるなどして、手で触って分かるようにした絵本。 「LLブック」(注釈4)…やさしい言葉で分かりやすく書かれた本。ピクトグラム(注釈9)や写真・図を使って理解を助ける。 ・「アクセシブルな電子書籍等」には次の資料がある。 「音声デイジー」(注釈5)…図書や雑誌の内容を録音して音声にしたもの。図や写真の説明も入っている。目次やページ情報が収録されているので、本をめくるように読むことができる。音声の速さも変えることが可能。デイジーを再生するためには、専用の再生機器を用いるか、PCにソフトウェアをインストールする、タブレット等で再生アプリをダウンロードするなどして利用する。 「マルチメディアデイジー」(注釈6)…文字や画像をハイライトしながら、その部分の音声と一緒に読むことができる。パソコンやタブレットなどを使って再生する。文字の大きさや背景の色も変えることができる。視覚障害者、ディスレクシア、本を持ちページをめくれない上肢障害がある人に有効な図書とされる。 「テキストデイジー」(注釈8)…テキストデータ(文字)に見出し情報やページ情報等の文書構造を付加したもの。音声合成機能で読み上げさせる。 「音声読み上げ対応の電子書籍」 (注釈7)「図書館協力者」原則図書館に個人登録し、対面朗読または点訳・音訳等の資料製作を行い、活動に対して相応の対価が支払われる者。無償のボランティアはこれに含まれない。 (注釈9)「ピクトグラム」単語の意味を分かりやすい絵で表現した記号のこと。 P9 (2) 読書支援機器  市立図書館では、中央図書館を中心に、拡大読書器(注釈10)やリーディングトラッカー(注釈11)、デイジー図書の再生機器などの読書支援機器が整備されています。令和4年度には市内の全区の図書館にデイジー図書の再生機器を整備する予定です。  学校図書館では、盲特別支援学校において、拡大読書器や書見台(注釈12)、デイジー図書の再生機器などの様々な読書支援機器を整備しています。その他の学校では、読書支援機器を必要とする児童、生徒の在籍状況に応じて、整備が行われています。  健康福祉局では、障害福祉サービス(日常生活用具給付等事業(注釈13)として、アクセシブルな電子書籍等を再生するための再生機器や拡大読書器等の読書支援機器を、視覚障害者(等級の要件あり)を対象に給付しています。   (注釈の解説) (注釈10)「拡大読書器」文字を拡大表示させる機器。白黒反転、拡大率の変更等の機能がついている。 (注釈11)「リーディングトラッカー」読書補助具の一つで、読みたい特定の行に集中して読めるように、両隣の行の文字を隠して読み進めることができる機器のこと。視覚障害(視野狭窄や黄斑変性)、ディスレクシアのある人に有効なツールとされている。 (注釈12)「書見台」資料が読みやすくなるよう、資料を机に対して一定の角度に固定できるようにした台。目を近づけず、身体に優しい姿勢で長時間読書ができる。 (注釈13)「日常生活用具給付等事業」重度の障害がある方に、日常生活を円滑に過ごすために必要な用具を給付する事業。 P10 2 読書バリアフリー法「基本理念」の関連取組 (1) アクセシブルな書籍等の充実に向けた取組 ア アクセシブルな書籍等の製作人材育成  市立図書館では、対面朗読(注釈14)や音声デイジーの製作を担う図書館協力者に対し、研修を行ってスキル向上を図っています。  健康福祉局では、「点訳・音訳奉仕員養成事業」を実施しています。養成された点訳者・音訳者は、各区の社会福祉協議会等を拠点として、書籍や手紙等を点訳、音訳するなどのプライベートサービスを主に実施するボランティアとして活動しています。 イ インターネットサービスの活用  インターネット上の電子図書館の「サピエ図書館(注釈15)」や「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス(注釈16)」(以下、「国会図書館」)は、アクセシブルな電子書籍等を視覚障害者等が無料で利用できます。  市立図書館では、視覚障害者を対象に、サピエ図書館や国会図書館のアクセシブルな電子書籍等の郵送貸出や、サピエ図書館の個人登録の窓口となっています。現在はサピエ図書館や国会図書館のアクセシブルな電子書籍等の貸出の対象を「視覚障害者」としていますが、今後、発達障害や上肢障害の障害者等にも対象を広げる方向で検討をすすめています。  盲特別支援学校でも、サピエ図書館や国立国会図書館のアクセシブルな電子書籍等を幼児・児童・生徒へ提供しています。 (注釈の解説) (注釈14)「対面朗読」視覚障害者等に対して、朗読者が本を直接読み上げること。 (注釈15)「サピエ図書館」インターネット上の電子図書館。30万タイトル以上の録音・点字・電子図書を、パソコン・スマートフォン・専用機器を使って、読んだり聴いたりできる。録音・点字図書の貸出を依頼することもできる。国立国会図書館のデータも、一部を除いてサピエ図書館で利用できる。視覚障害者等、活字による読書に困難がある方が利用するために個人登録する場合は無料。図書館、学校等団体・施設が、利用する場合は年間4万円の利用料がかかる。 (注釈16)「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービス」国立国会図書館や全国の公共図書館や大学図書館などが製作した約3万点のデイジー・テキストデータ・点字データなどを、無料で、インターネットを経由して利用できる。 p11 (2) 視覚障害者等の障害の種類、程度に応じた配慮につながる取組 ア 円滑な利用のための支援、障害者サービスの状況  市立図書館では、対面朗読が市内の全区の図書館で実施され、令和3年3月からオンラインによる対面朗読を実施しています。またデイジー図書の再生機器の操作サポートの相談を受け付けています。さらに、令和3年度中にレファレンスサービスで回答した資料について、読み上げ可能な「プレーンテキスト(注釈17)」での提供を開始する予定です。  学校図書館では、盲特別支援学校において、対面朗読や幼児・児童・生徒の特性に配慮した照明の調整など様々な取組を行っています。その他の学校図書館では、ユニバーサルデザインやピクトグラムを使用した表示を掲示している学校図書館もあります。 イ 図書館サービス人材育成  市立図書館では、司書職員向けに、障害者サービスの理解や、デイジー図書の再生機器の操作に関する研修を実施しています。  学校図書館では、各校に配置される学校司書(注釈18)向けに特別支援教育に関する研修を実施しています。 (注釈の解説) (注釈17)「プレーンテキスト」文字コードだけで構成された文書データ。 (注釈18)「学校司書」 学校図書館法第6条で定められた専ら学校図書館の職務に従事する職員。横浜市では、平成28年度に小学校、中学校、義務教育学校、特別支援学校の全校に学校司書が配置されている。 p12 資料5別紙 本市の現状について(要約版) 1 視覚障害者等の読書環境の整備状況 (1)アクセシブルな書籍等 市立図書館:中央図書館を中心に様々な種類のアクセシブルな書籍等を整備。特色ある取組として、音声デイジーの製作を行っているほか、令和3年度から障害者作業所と連携しテキストデイジーを試行的に製作。 学校図書館:盲特別支援学校では、幼児・児童・生徒の障害特性に応じた様々な種類のアクセシブルな書籍等を整備。その他の学校では、アクセシブルな書籍等を必要とする児童、生徒の在籍状況に応じて整備。 (2)読書支援機器 市立図書館:中央図書館を中心に、拡大読書器やデイジー図書の再生機器等の読書支援機器を整備。令和4年度には、市内の全区の図書館にデイジー図書の再生機器を整備予定。 学校図書館:盲特別支援学校では、幼児・児童・生徒の障害特性に応じた様々な種類の読書支援機器を整備。その他の学校では、読書支援機器を必要とする児童、生徒の在籍状況に応じて整備。 健康福祉局:障害福祉サービス(日常生活用具給付等事業)として、アクセシブルな電子書籍等を再生するための再生機器等を、視覚障害者(等級の要件あり)を対象に給付。 2 読書バリアフリー法「基本理念」の関連取組 (1)アクセシブルな書籍等の充実に向けた取組 ア アクセシブルな書籍等の製作人材育成 市立図書館:対面朗読や音声デイジーの製作を担う図書館協力者に対するスキル向上のための研修を実施。 健康福祉局:「点訳・音訳奉仕員養成事業」を実施。養成者は、各区の社会福祉協議会等を拠点として、書籍や手紙等を点訳・音訳するプライベートサービスを主に実施するボランティアとして活動。 イ インターネットサービスの提供 市立図書館:サピエ図書館や国会図書館のアクセシブルな電子書籍等の郵送貸出や、サピエ図書館の個人登録の窓口になっている。 現在はサピエ図書館や国会図書館のアクセシブルな電子書籍等の貸出等の対象を「視覚障害者」としているが、今後、発達障害や上肢障害の障害者等にも対象を広げる方向で検討している。 学校図書館:盲特別支援学校において、サピエ図書館、国会図書館のアクセシブルな電子書籍等を幼児・児童・生徒へ提供。 (2)視覚障害者等の障害の種類、程度に応じた配慮につながる取組 ア 円滑な利用のための支援、障害者サービスの状況 市立図書館:対面朗読が市内の全区の図書館で実施され、令和3年3月からオンラインによる対面朗読を実施。 デイジー図書の再生機器の操作サポートやレファレンスで回答した資料について、読み上げ可能なプレーンテキストで提供開始予定。 学校図書館:盲特別支援学校では、対面朗読や幼児・児童・生徒の特性に配慮した照明の調整等を実施。その他の学校では、ユニバーサルデザインやピクトグラムを使用した表示を掲示している学校図書館もある。 イ 図書館サービスの人材育成 市立図書館:司書職員向けに、障害者サービスの理解、デイジー図書の再生機器の操作に関する研修を実施。 学校図書館:学校司書向けに特別支援教育に関する研修を実施。 p13 資料6 本市の今後の方向性について 1 読書バリアフリー法「基本理念」についての検討 (1) アクセシブルな書籍等の充実 ア アクセシブルな書籍等の製作人材の確保 ・アクセシブルな書籍等の製作は、主に図書館等が養成した図書館協力者やボランティアが担っており、担い手の高齢化などの課題があり、製作人材の確保が必要です。 ・製作人材の確保にあたっては、ボランティアのみに頼ることなく、様々な方策の検討が求められています。 イ インターネットサービスのさらなる活用 ・「サピエ図書館」や「国立国会図書館」は、全国で製作されたアクセシブルな電子書籍等が集約され、視覚に障害のある方等は無料で利用できます。(サピエ:約30万タイトル、国会図書館:約3万タイトル) ・アクセシブルな書籍等の購入、製作に取り組むとともに、人口規模の大きい横浜市においては「サピエ図書館」や「国立国会図書館」の利用を促進することが有効です。  (2) 視覚障害者等の障害の種類・程度に応じた配慮 ア 司書、司書教諭・学校司書等の育成 ・図書館司書や司書教諭・学校司書が、障害特性に応じた支援を行うためには、障害特性や障害者サービスの内容を理解し、支援方法を習得することが重要です。 ・特に発達障害などの見えにくい障害のある方については、個人の障害特性に応じて支援方法が異なるため、支援者の理解を深める必要があります。 イ アクセシブルな電子書籍等の活用 ・アクセシブルな電子書籍等は、文字の拡大、背景の色の変更、音声読み上げ機能など、一つの書籍で障害の種類・程度に応じた読書をすることが可能なため(資料6別紙参照)、障害の種類・程度に応じた配慮を行う上で有効です。 ・アクセシブルな書籍等の活用推進には、サピエ図書館などのインターネットサービスの活用が効果的です。 ウ 読書バリアフリーに関する制度や知識の普及啓発 ・読書バリアフリーに関連する制度やサービスなどの各種支援について、必要とする人に的確に届くような周知・啓発が必要です。 ・特に、発達障害など見えにくい障害のある方に情報が行き渡るよう配慮が必要です。 p14 2 本市における取組の方向性(案) (1) 基本的な取組 ・アクセシブルな書籍等、読書支援機器の拡充 ・アクセシブルな書籍等を必要とする方が利用できる制度整備 (2) 重点取組 「重点取組1」アクセシブルな書籍等の製作人材の確保 若者や障害者等の製作参画促進(大学、障害者施設等との連携) 「重点取組2」インターネットサービス提供体制の強化 ア インターネットサービス「サピエ図書館」や「国立国会図書館」の視覚障害者等の利用を促進 イ GIGAスクール(注釈19)端末を利用して児童・生徒がデイジー図書を活用できるよう体制を整備 「重点取組3」司書、司書教諭・学校司書等の人材育成 障害特性に応じた支援が行えるよう、図書館や学校における研修を実施 「重点取組4」効果的な広報戦略 ア 各種支援情報を集約して見える化 イ 当事者のみならず、支援者や児童生徒、保護者を含めて幅広く広報を実施 (注釈19)「GIGAスクール」 文部科学省が「児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させる」GIGAスクール構想を提唱。横浜市では、令和2年9月に「横浜市におけるGIGAスクール構想」を策定し、令和3年3月に、市立学校(小学校・中学校・特別支援学校(小・中学部))に在籍する児童生徒及び教員に約27万台の端末の納入が完了した。 p15 資料6別紙 主なアクセシブルな書籍等対応表 主なアクセシブルな書籍等の種類別に、どの障害のある方に有効な書籍であるかについて記載しています。 ※墨字の資料では「有効」なものを「○」、「一部有効」を「△」であらわしています。 1アクセシブルな書籍 (1)点字図書は視覚障害者の一部の方に有効 (2)拡大図書は視覚障害者の一部の方、発達障害者(識字)の一部の方、知的障害者の一部の方に有効 (3)触る絵本は視覚障害者の一部の方、発達障害者(識字)の一部の方、知的障害者の一部の方に有効 (4)LLブックは視覚障害者の一部の方、上肢障害者の一部の方、発達障害(識字)の方に有効、知的障害の方に有効 2アクセシブルな電子書籍等 (1)音声読み上げ対応の電子書籍は視覚障害者、上肢障害者、発達障害者に有効、知的障害者の一部の方に有効 (2)デイジー図書は視覚障害者、上肢障害者、発達障害者に有効、知的障害者の一部の方に有効 (3)オーディオブックは視覚障害者、上肢障害者、発達障害者に有効、知的障害者の一部の方に有効 (4)テキストデータは視覚障害者、上肢障害者、発達障害者に有効、知的障害者の一部の方に有効 (5)点字データは視覚障害者、上肢障害者、発達障害者に有効、知的障害者の一部の方に有効 参考資料 『多様なニーズによりそう学校図書館 特別支援学校の合理的配慮を例に』(少年写真新聞社) 『図書館利用に障害がある人々へのサービス上巻』(日本図書館協会)