概要版 横浜市人権施策基本指針(令和4年3月改訂) 一人ひとりの市民が 互いに人権を尊重しあい ともに生きる社会の実現をめざして 第1章人権施策基本指針の位置づけ 人権とは 人権とは、一人ひとりの尊厳に関わる固有の権利であり、誰もが等しく持っているものです。全ての人が互いの人権を尊重しあうことが、自らの人権が尊重されることにつながります。 指針の位置づけ 本指針は、横浜市のあらゆる施策・事業について、人権尊重の視点をもって推進するための基本姿勢を示すとともに、横浜市における人権施策の取組の全体像を明らかにするものです。 人権を取り巻く状況 近年、企業活動のグローバル化が進む中、企業活動における人権の尊重が注目されています。国連で「ビジネスと人権に関する指導原則」が作られ、企業の人権尊重への責任が示されました。また、SDGsに取り組むうえでも、人権尊重は重要になっています。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の中、感染者、医療従事者やその家族、外国人に対する差別や誹謗中傷など心ない言動が広がりました。また、女性や障害者などへの深刻な影響がありました。 2021年、「多様性と調和」をコンセプトの1つに掲げる東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、これまで以上に人権尊重の理念の実現が求められる契機となりました。 用語解説 ビジネスと人権に関する指導原則 平成23年(2011年)、国連人権理事会において、全会一致で支持された原則。@人権を保護する国家の義務 A人権を尊重する企業の責任 B救済へのアクセスの3つの柱から構成され、企業活動における人権尊重の指針として用いられています。 横浜市の現状〜人権に関する市民意識調査〜 関心のある人権問題(複数回答)についてのグラフがあります。 今回調査の回答率が高い順に、関心のある人権課題の項目が棒グラフで記載されています。 棒グラフは、今回調査(令和2年度)の回答率(回答数は、2301票)と前回調査(平成27年度)の回答率(回答数は、2021票)の2列です。 インターネットによる人権侵害 今回調査 59.0%、前回調査 45.6% 女性の人権 今回調査 51.2%、前回調査 44.2% 障害児・障害者の人権 今回調査 49.6%、前回調査 44.1% 子どもの人権 今回調査 46.6%、前回調査 44.3% 感染症・疾病の患者等の人権 今回調査 44.2%、前回調査 19.6% ※前回調査では「HIV感染者やハンセン病患者・回復者などの人権問題」 高齢者の人権 今回調査 35.9%、前回調査 42.2% 北朝鮮による拉致被害者等の人権 今回調査 33.9%、前回調査 35.5% 犯罪被害者等の人権 今回調査 33.1%、前回調査 35.8% 職業差別 今回調査 32.3%、前回調査 26.4% 性的少数者の人権 今回調査 27.6%、前回調査 15.9% ※前回調査では「いわゆるLGBTなど性的少数者の人権問題」 外国人の人権 今回調査 27.2%、前回調査 16.0% 大規模災害時の避難生活などにおける人権侵害 今回調査 26.4%、前回調査 31.4% 性的搾取等を目的とした人身取引 今回調査 23.9%、前回調査 21.1% 自死(自殺)・自死遺族の人権 今回調査 21.2%、前回調査 17.5% 同和問題(部落差別) 今回調査 19.1%、前回調査 13.9% アイヌ民族の人権 今回調査 17.3%、前回調査 11.8% 刑を終えて出所した人の人権 今回調査 17.1%、前回調査 13.7% ホームレスの人権 今回調査 15.7%、前回調査 13.1% その他 今回調査 1.8%、前回調査 2.3% 特にない 今回調査 5.0%、前回調査 5.2% 不明 今回調査 1.2%、前回調査 3.3% 誰もがなり得る「感染症・疾病」が大幅に増加 コラム 新型コロナウイルス感染症 本意識調査においても、「感染症・疾病の患者等の人権」が、前回調査から大幅に増加し、誰もがなり得る感染症だからこそ、自分ごととして捉え、関心が持たれていることがうかがえます。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、感染者、医療従事者やその家族などに対する心ない言動などが広がりました。また、女性の雇用環境の悪化や、外国にルーツを持つ人々に対する誹謗中傷など、様々な影響がありました。 ここでグラフは終わりです。 このグラフは、令和2年度「人権に関する市民意識調査」結果から抜粋しています。 今の日本は「基本的人権」が尊重されている社会か?についてのグラフがあります。 今回調査(令和2年度)(回答数、2301票)、前回調査(平成27年度)(回答数2021票)の2列です。 今回調査 そう思う 29.0%、どちらとも言えない 52.6%、そう思わない 17.5%、不明 0.9% 前回調査 そう思う 32.0%、どちらとも言えない 49.8%、そう思わない 15.9%、不明 2.4% コラム 偏見や差別の要因 @知識不足からくる誤解や一方的決め付け A異質なものを排除する心理 B異なる価値観の否定 C固定化した観念 これらは、その社会における多数者や優越的な立場にある人々の間で、それが当然であるかのように意識化され、少数者や弱い立場の人々に向けられるために、偏見や差別であると気づきにくくなっています。また、差別的なものの見方や偏見は、往々にして差別される側に問題や原因があるかのごとく考えられがちです。 ここでグラフは終わりです。 このグラフは、令和2年度「人権に関する市民意識調査」結果から抜粋しています。 第2章人権施策推進の考え方 めざす社会像 「一人ひとりの市民が互いに人権を尊重しあい、ともに生きる社会」の実現 人は、それぞれ、身体の大きさや皮膚の色も違えば、言葉、生まれ育った国や場所も異なります。そのような違いをお互いに受け入れ、多様性を認め合い、同じ人間として尊重しあうことが、差別をなくし、人権が尊重された社会に近づく第一歩です。 基本姿勢 1人権尊重を基調とした市政 2差別されている当事者の思いに寄り添う 3市政を担う職員の人権意識の向上 4地域社会全体での取組 取組の視点 1人権問題を自分の問題(自分の意識や価値観に関わる問題)として考える 2差別されている当事者の「思い」に寄り添う 3様々な立場の人々に配慮し、誰一人として取り残さない 4国内外の社会情勢の変化や市民の意見を把握し、的確に対応する 5人権尊重の視点から、あらゆる施策・事業を常に点検・検証する 6人権関係団体・NPO法人などとの協働・連携を推進する 7プライバシー保護と人権擁護とのバランスに配慮する 第3章人権施策推進のための取組 調査・実態把握 人権問題の多くは、見えにくく、気づきにくいことから、周囲の人が認識しづらいことがあります。各種調査や相談・対応事例の検証・蓄積などにより、的確な実態把握に努めます。 研修・教育・啓発の推進 偏見や差別の要因は、その多くが誤った認識や知識の不足などにあるといわれています。市民・職員の人権への理解と意識・感性の向上を目指し、研修・教育・啓発を推進します。 相談支援の充実 全ての人が人権を尊重され、安心して暮らすことのできる社会を実現するには、相談と救済が適切に受けられることが必要です。人権を侵害されている人々への相談対応と権利救済の仕組みの充実を図ります。 多様な主体との協働 人権問題に取り組むうえで、社会全体で取り組むという合意と複数の機関が連携できる体制を構築することが最も重要です。関係機関・団体との協働・連携を一層推進します。 用語解説 人権擁護委員 人権擁護委員法に基づき、法務大臣により委嘱されています。人権尊重の思想を広め、市民の基本的人権が侵害されないよう配慮し、人権を擁護していくため、人権相談、啓発活動など人権に関わる多岐にわたる活動を行っています。 人権施策推進のための取組についての樹形図が入ります。 研修・教育・啓発の推進 研修 ・横浜市職員の人権研修の充実 ・教職員の人権研修の充実 ・事業者などによる人権研修の取組支援 教育 ・子どもの意見の尊重 ・人権教育の推進 ・学校と地域社会が一体となった人権教育の推進 啓発 ・自己啓発やエンパワメントの取組支援 ・啓発手法の工夫 多様な主体との協働 国・県・市町村の関係機関等との連携 関係団体等との協働・連携 ・人権関係団体・NPO法人などとの協働・協力・支援 ・人権擁護委員との連携 第4章様々な人権課題への取組 様々な課題に対して、歴史や特性に十分に配慮し、教育・啓発から相談・支援まで、途切れの無い取組が必要とされています。また、「女性の障害者」など複数の分野の属性を有する当事者が複合的な困難に直面する場合や、「住まいの確保」など、高齢者や障害者、外国人、性的少数者など様々な分野で共通する問題など、人権問題は多様化、複雑化しています。 人権問題を考えるうえでは、当事者の背景にある課題や複合的な困難に対する認識を深めるとともに、課題分野に共通する問題を横断的に捉えていくことも大切です。 女性 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方は変化しつつありますが、依然として根強い性別役割分担意識がうかがえます。男女共同参画社会の実現に向けて、意思決定過程への女性の参画促進や男女共同参画関係の施策の一層の推進を図っていくとともに、性別による役割分担意識を解消していくことが求められています。 性別に関わりなく、個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野に対等に参画できる社会の実現に向けて施策を推進します。 施策の方向性 ・男女共同参画関連調査の実施 ・誰もが働きやすい職場づくりの推進 ・性暴力・性犯罪被害、性差別等の相談支援 ・DV被害者の安全・安心の確保と自立に向けた支援の充実 子ども いじめ、ヤングケアラー、ひきこもり、貧困、虐待など、子どもたちを取り巻く環境は、ますます厳しくなってきており、深刻な社会問題となっています。子どもをひとりの人間として尊重し、社会全体が取り組んでいくことが大切です。 未来を担う子どもたちの人権を尊重し、育んでいく社会の実現に向けて、子どもの育成、児童虐待やいじめなどの防止、家庭や地域活動における啓発活動や青少年の健全育成のための施策を推進します。 施策の方向性 ・全児童生徒及び全教職員を対象としたアンケートによる実態把握 ・子どもの人格と権利を尊重する社会意識の醸成 ・関係機関による若者自立支援にかかる支援体制の充実 ・「横浜市子供を虐待から守る条例」に基づく、未然防止から早期発見・早期対応、再発防止に至る総合的な児童虐待防止施策の推進 用語解説 ヤングケアラー 家族にケアを要する人がいる場合に、本来大人が担うようなケア責任を引き受け、 家事や家族の世話、介護などを日常的に行っている18歳未満の子どものこと。 高齢者 少子高齢化が進行し、人口の4人に1人が65歳以上となる中、虐待や振り込め詐欺等の犯罪が社会問題となっています。高齢者一人ひとりがいきいきと暮らせる社会の実現を目指して、高齢者について理解を深めるとともに、環境づくりを進めることが求められています。最近では、認知症の高齢者に加えて、若年性認知症の方々への理解と支援が必要になっています。 高齢者が安心して暮らせるまちづくりを進めるとともに、高齢者の権利を擁護するなど高齢者の人権を尊重した施策を推進します。 施策の方向性 ・横浜市高齢者実態調査の実施 ・高齢者が安心・安全に暮らすためのバリアフリー化の推進やユニバーサルデザインの普及啓発 ・高齢者虐待の未然防止、早期発見・対応、介護者への支援 ・若年性認知症を含む認知症についての正しい理解と、認知症になっても地域で安心して暮らせる支援体制づくり 障害児・障害者 合理的配慮の実施などを盛り込んだ「障害者差別解消法」に基づいて、障害者の権利実現に向けた取組が進められています。しかし、周囲の理解が足りないことにより、障害者が今なお多くの生きづらさを抱えています。障害の原因は様々ですが、「『障害』は、『障害のある人』にあるのではなく、『社会』の側にこそある」という「社会モデル」の視点を持つことが必要です。 「障害」を社会の側の課題として捉える視点を持ち、障害者の権利を擁護する施策を推進します。 施策の方向性 ・障害者差別に関する相談事例の把握 ・個々の障害特性に応じた、地域社会等での障害理解の促進 ・障害者虐待の未然防止、早期発見・対応・支援 ・様々な分野における政策形成プロセスへの障害当事者の参画 部落差別(同和問題) 教育、就労などの生活課題をはじめ、「身元調べ」を目的とした戸籍等の不正取得、偏見に根ざしたインターネットにおける差別的書き込みや地区の特定などによって、今も当事者が苦しめられています。「部落差別解消推進法」では、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、部落差別は許されないものであるとの認識が示されています。 部落差別(同和問題)に対する正しい理解と認識を深め、偏見と差別意識の解消のための施策を推進します。 施策の方向性 ・人権に関する市民意識調査の実施 ・人権教育における同和問題への取組 ・本人通知制度による本人の権利利益保護及び住民票等の不正取得抑止 ・行政・市民・地域・事業所・団体などの連携による啓発取組 外国人 市民の約35人に1人が外国人となっており、出身地も約160の国・地域と多様化しています。文化や生活習慣の違いや、コミュニケーションの課題等、生活全般に渡る問題を抱えています。また、いわゆるヘイトスピーチが社会問題となっています。これらに対するきめ細やかな取組が求められ、文化、宗教、生活習慣等における多様性に対して理解を深め、これを尊重し、偏見や差別のない環境づくりが必要です。 民族や国籍、文化の違いにかかわらず、同じ横浜市民として、互いを理解し、日本人も外国人もともに地域社会を支える主体となるような活力ある多文化共生社会に向けて施策を推進します。 施策の方向性 ・外国人意識調査の実施 ・外国人児童生徒等への教育支援 ・多言語による広報と情報提供の推進 ・外国人の日常生活をサポートする相談機関の充実及び相談機関に関する情報の収集・提供 感染症・疾病 感染症や疾病にかかっている人の中には、周囲の知識や理解の不十分さなどに起因する偏見や差別によって、家族も含めて苦しんでいる人が少なくありません。新型コロナウイルス感染症が感染拡大する中で、患者等に対するインターネットでの差別的な書き込みなど様々な人権問題が発生しました。感染症・疾病の患者等の人権が尊重されるよう、正しい知識の普及や理解の促進など偏見や差別を解消するための取組を続けていくことが重要です。安心して適切な医療を受けることができ、感染症・疾病にかかっている人々の人権が守られ、安心して日常生活を営むことができる社会に向けて施策を推進します。 施策の方向性 ・横浜市民の医療に関する意識調査の実施 ・インフォームド・コンセントの必要性についての医療従事者に対する啓発 ・HIVや新型インフルエンザ等の感染症や疾病に対する正しい理解の上に立った対応 ・相談機関や医療機関などとの連携・協力 職業差別 様々な職業によって日常生活が維持されていますが、それぞれの職業の意義を正しく理解せず、それに従事している人を低く見たり、忌避したりすることがあります。殺すことを「かわいそう」なことをする行為と思うことや、死を忌避する気持ち等により、食肉を生産すると畜業務や、動物の保護・管理のために行う犬や猫の収容業務、斎場や墓地に関わる業務に従事している人やその家族が、いわれのない差別的な言動に傷つけられています。市民一人ひとりが、偏見や差別の克服に取り組むことが大切です。 それぞれの職業に従事する人々が等しく尊重され、いきいきと働き、生活できるよう施策を推進します。 施策の方向性 ・人権に関する市民意識調査の実施 ・自分自身の思いを点検し、問い直す、職員・教職員への研修・啓発の推進 ・市民への広報・啓発の推進 ・自分自身の課題の解決や可能性の発揮に向けて行う取組(エンパワメント)への支援 ・関連機関からの情報やノウハウの提供などの連携・協力 ホームレス ホームレスの状態にあることが目に見える人の数は減少しているものの、居住が不安定なことからホームレスになるおそれのある人々も多く、社会情勢の変化を捉えながら、支援を行う必要があります。また、襲撃事件や嫌がらせなどが、いまだに発生しています。偏見や排除しようという意識をなくすとともに、個人の責任だけに帰するのではなく、社会全体の課題として捉え、解決していくことが必要です。 ホームレスの基本的人権を尊重し、路上生活からの脱却を支援するとともに、市民の理解を深めるなど、総合的な施策を推進します。 施策の方向性 ・市内各所での巡回相談時の状況把握 ・「広報よこはま」や人権研修などによる啓発 ・各区役所窓口・自立支援施設・巡回相談等、様々な場面における、本人の意向を尊重し、その人権の擁護を第一にした支援 ・「第4期 横浜市ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」に基づいた、関係機関等や民間団体との連携によるホームレス自立支援施策の推進 性的少数者(セクシュアル・マイノリティ) 性的少数者の割合は5〜8%といわれ、学校や職場の仲間、家族として身近に存在しています。社会の関心も高まってきているものの、理解はまだ十分に進んでいないため、差別や偏見を恐れ、悩みや生きづらさを抱えている人が多くいます。SOGIという言葉が示すように、誰にでも性的指向・性自認があり、性のあり方は多様です。性的指向・性自認について、正しく理解し、偏見を解消していくことが必要です。 性的少数者の人々が「自分らしく」いきいきと生活できるよう、偏見や差別、暮らしの中での困難などを解消するための施策を推進します。 施策の方向性 ・人権に関する市民意識調査の実施 ・性的少数者に関しての市民・事業所等への啓発 ・パートナーシップ宣誓制度の運用 ・ノウハウを持つ人権関係団体・NPO法人などとの連携・協力 用語解説 SOGIとは? 性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとった略称。特定の性的指向や性自認の人のみを対象とする表現ではなく、性の多様性を表す言葉のこと。 自死・自死遺族 自殺の背景には、経済・生活問題、健康問題、労働問題、家庭問題など様々な問題が重なっています。多くの方が自殺で亡くなられている現代、誰もが日常生活や業務において、自殺対策の取組の重要性を認識するとともに、自死遺族への適切な対応について理解する必要があります。 誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、「横浜市自殺対策計画」に基づき、関係機関等と連携しながら施策を推進します。 施策の方向性 ・こころの健康に関する市民意識調査(自殺に関する市民意識調査)の実施 ・「ゲートキーパー」の育成 ・専門相談員による電話相談など遺された方への支援の推進 ・地域におけるネットワーク強化 犯罪被害者等 犯罪被害者やその家族、遺族は、犯罪による直接的な被害に加え、精神的にも経済的にも様々な打撃を受け、日常生活上の様々な困難に直面しています。また、周囲の無理解や配慮に欠けた言動により二次被害を受けることがあります。被害者等が平穏な生活を取り戻せるよう支援を行うとともに、被害者等の置かれている現状や心情について市民の理解を促進することが必要です。 犯罪被害者等が地域で安心して生活できるよう、「横浜市犯罪被害者等支援条例」に基づく支援や支援に関わる人材育成、市民向けの啓発事業などの施策を推進します。 施策の方向性 ・「横浜市犯罪被害者相談室」における被害者等の現状把握 ・被害者等への理解を深めるための区局の窓口職員向け研修 ・多機関連携による途切れない支援に向けた支援システムの構築 ・市内関係機関との連携支援体制整備事業 インターネット等による人権侵害 インターネットの普及により利便性が大きく増している一方で、他人の誹謗中傷や侮辱、個人のプライバシーに関する情報の無断掲示や、外国人、障害者等に関する差別的な書き込みなどの人権侵害が社会問題となっています。市民一人ひとりがインターネットの特徴をよく理解するとともに、人権に配慮した利用を心がけることが大切です。また、インターネットを利用する様々な立場の人たちへの配慮を欠き、情報格差が生まれることがあります。情報発信する場合は、誰もが平等に情報を得られるようにする必要があります。インターネットによる適切な情報提供や管理に努めるとともに、市民・事業者等にも様々な機会を通じて啓発を推進します。 施策の方向性 ・県が実施するインターネット上の差別の実態調査結果等による把握 ・インターネットを利用する児童生徒への指導及びその保護者への啓発 ・相談機関や窓口の周知 ・ノウハウを持つ人権関係団体・NPO法人などとの連携・協力 災害に伴う人権問題 避難所生活の中では、プライバシーが守られにくいことのほかに、災害時要援護者や、性的少数者、女性に対する十分な配慮が行き届かないことや、長期化する避難生活のストレスから暴力や虐待などの人権侵害も問題となっています。災害時には、不確かな情報に惑わされない冷静さとともに、「相手の立場に立って考える」「相手の気持ちを想像する」姿勢を忘れないことが大切です。避難生活における安心・安全の確保、女性や災害時要援護者などに配慮した避難支援体制の整備に向けた施策を推進します。 施策の方向性 ・横浜市民の防災・減災の意識、取組に関するアンケート調査の実施 ・災害に備えるための避難所運営訓練等の実施・周知・啓発 ・男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立、男女のニーズの違いや性的少数者への配慮 ・支援のノウハウを持つ人権関係団体・NPO法人などとの連携・協力 その他の課題 先住民族(アイヌ民族)、拉致被害者等、刑を終えて出所した人、人身取引(トラフィッキング)、ハラスメント、生活困窮者、依存症などの人権問題があります。こうした様々な人権問題について、当事者等への支援や、正しい理解を促す啓発に努めていきます。 一人ひとりの人権は、誰にとっても等しくかけがえのないものであり、互いに尊重し合う寛容さが求められます。 第5章人権施策の推進体制等 市の推進体制 全庁的推進組織として「横浜市人権施策推進会議」を設置し、関係部署間で緊密に連携しながら、人権施策を総合的・体系的に推進します。また、「横浜市人権懇話会」において、人権問題に取り組む団体・NPO法人、学識経験者と継続的に意見交換を行い、助言・意見を施策に反映していきます。 市民・地域団体・事業者に期待される役割 人権問題の解決のためには、行政だけではなく、市民・地域団体・事業者を含めて社会全体で取り組んでいくことが重要です。市民をはじめとする地域社会の全ての主体が、その意義を理解して活動することにより、人権を尊重しあい、誰もが心豊かで暮らしやすい社会が実現されます。 横浜市は、市民・地域団体・事業者を対象とした人権啓発や、自主的な取組を支援します。 市民・地域団体に期待される役割 ・職場や学校をはじめ社会の中で行われる人権研修などへの参加 ・差別されている当事者とのコミュニケーションやふれあい 様々な人権問題について考え、正しく理解 日常生活で直面する偏見や差別を、身近な問題として主体的に捉え、その解決に向けた取組 事業者に期待される役割 ・人権尊重の視点を持った企業活動 ・誰もが働きやすい職場づくり ・顧客サービスや企業イメージの向上 ・企業全体の利益 ・社会全体の人権意識の向上 人権相談窓口 毎日の生活の中で、「これは人権上問題ではないだろうか」と感じたり、よく分からなくて困ったりしたことはありませんか。そのような場合、人権相談を御利用ください。(相談は無料で、秘密は固く守られます。) 面接による相談(予約制) ※人権擁護委員が面接で御相談をお受けします。 相談できる曜日・時間・連絡先等 毎週水曜日(祝日・年末年始を除く)13時から16時 連絡先 横浜市市民相談室 電話 045-671-2306 ※1週間前の8時45分から窓口または電話で予約受付。 ※最新の情報は横浜市市民局市民相談室ホームページを御確認ください。 横浜市市民局市民相談室で検索 電話相談 ※人権擁護委員または法務局職員が御相談をお受けします。 ※IP電話からフリーダイヤル・ナビダイヤルへの接続はできません。また、PHSからナビダイヤルへの接続もできません。 相談できる曜日・時間・連絡先等 月曜日〜金曜日(祝日・年末年始を除く) 8時30分から17時15分 みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)0570-003-110 子どもの人権110番(全国共通フリーダイヤル)0120-007-110 女性の人権ホットライン(全国共通ナビダイヤル)0570-070-810 インターネット人権相談受付窓口 24時間受付 https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html 横浜市犯罪被害者相談室 横浜市犯罪被害者相談室では、犯罪被害に遭われた皆様※が直面する様々な問題について、御相談をお受けします。困っていること、悩んでいること、心身の不調等、何でも御相談ください。 ※横浜市にお住まいの方、または市内に在勤・在学の方とその御家族が対象となります。 電話・FAX・メールによる相談 ※横浜市職員(社会福祉職)が御相談をお受けします。 ※必要に応じて、面接相談も行います(予約制)。 相談できる曜日・時間・連絡先等 月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く)9時から17時 横浜市市民局人権課 電話045-671-3117 ファクシミリ045-681-5453 電子メールsh-cvsoudan@city.yokohama.jp 「横浜市人権施策基本指針 改訂版」は、横浜市市民局人権課ホームページから御覧いただけます。 横浜市人権施策基本指針改訂版 令和3年度で検索 編集・発行 横浜市市民局人権課 令和4年(2022年)3月発行 〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10 電話045-671-2718 ファクシミリ045-681-5453 電子メールsh-jinken@city.yokohama.jp