第5章人権施策の推進体制等 1市の推進体制 人権問題は多様化、複合化していることから、人権施策の推進にあたっては、各区局・統括本部が基本的な考え方と取組の全体像や方向性を共有したうえで、各分野の専門的見地や当事者等の視点を加味しながら、横断的かつ総合的な視点でそれぞれの施策を点検・検証し、連携して取り組んでいくことが必要です。 このため、全庁的推進組織として「横浜市人権施策推進会議」を設置し、関係部署間で緊密に連携しながら、人権施策を総合的・体系的に推進します。 また、人権問題に取り組む団体・NPO法人、学識経験者に御参加いただく「横浜市人権懇話会」において継続的に意見交換を行い、助言・意見を施策に反映していきます。 ここに、横浜市人権施策基本指針と横浜市、市民・関係団体等のそれぞれの関係を示している図があります。 図の中では、横浜市人権施策推進会議及び各局・統括本部を横浜市としています。 横浜市は、横浜市人権施策基本指針に基づく、施策推進・点検をしています。 横浜市人権施策推進会議では、 指針の策定、修正及び指針に基づく施策の推進等に関する事項について協議しています。 人権施策推進会議には、 指針に基づく人権施策の総合的推進のための協議・調整等を行う幹事会、人権施策の推進に係る課題についての研究、協議、調整を行う第一専門部会、人権施策の実施に係る課題等についての協議、調整を行う第二専門部会が設置されています。 各区局・統括本部では、 分野別の具体的な施策の推進・調整をしています。 また、横浜市人権施策基本指針について、市民・関係団体等から助言・意見をいただいています。 関係団体として、横浜市人権懇話会が設置されています。 横浜市人権懇話会は、人権問題に取り組む団体、学識経験者から構成されています。 指針に基づき、人権尊重を基調とした市政及び人権施策の推進を図るため、人権問題に取り組む市民団体・NPO法人との意見交換の「場」です。 あわせて、横浜市と市民・関係団体等が連携しています。 図の説明は終わりです。 2市民・地域団体・事業者に期待される役割 人権問題は、市民共通の問題であり、その解決のためには、行政だけではなく、市民、地域団体、事業者を含めて社会全体で取り組んでいくことが重要です。市民をはじめとする地域社会の全ての主体が、その意義を理解して活動することにより、人権を尊重しあい、誰もが心豊かで暮らしやすい社会が実現されます。 (1) 市民・地域団体に期待される役割 誰もが自分らしく生きることができる社会の実現には、互いに違いを認め合い、尊重しあう意識が社会にしっかりと根を張る必要があります。 市民・地域団体の皆様が本指針に基づき「一人ひとりの市民が互いに人権を尊重しあい、ともに生きる社会」の実現に向けて、お一人おひとりが人権を自分自身の問題として考え、地域社会全体で主体的に取り組んでいただくことが期待されます。 人権を尊重するという意識を高めるためには、職場や学校をはじめとする様々な社会参加の中で行われる人権研修などへの参加や、差別されている当事者とのコミュニケーションやふれあいを通して、様々な人権問題について考え、正しく御理解いただくことが大切です。 地域でノーマライゼーションを推進していくためには、様々な立場の人々の参画を得て、その意見を聞くことが大切です。地域での生活に課題を抱える人々が参画できる仕組みを工夫して、例えば地域福祉保健計画や防災の取組に障害者などの参加を求めるなど、当事者の意見を反映しながら取り組むことが必要です。 また、地域の中で豊かな人権意識が育まれ、広められることも人権問題の解決に大きな力となります。そのため、地域交流の拠点等を活用し、地域団体等の皆様が、身近な課題や地域の実情に沿ったテーマで、人権に関する啓発・研修などに取り組んでいただくことが期待されます。 そして、お一人おひとりの身近な日常生活の中で見聞きしたり、直面したりする偏見や差別を、御自身の身近な問題として主体的にとらえ、その解決に取り組んでいただくことが期待されます。 そのため、横浜市は、様々な手法を工夫して、市民の皆様が人権について考えていただく機会の提供に努めるなど、市民・地域団体の皆様の自主的な取組を支援します。 (2) 事業者に期待される役割 事業者の皆様も本指針に基づき「一人ひとりの市民が互いに人権を尊重しあい、ともに生きる社会」の実現に向けて、事業者が自ら主体的に人権尊重の取組を進めていただくとともに、地域社会の一員として取組に御協力いただき、社会的な問題解決や地域社会に積極的に関わっていくことが期待されています。 人権尊重の視点を持った企業活動は、誰もが働きやすい職場づくりにつながるだけではなく、顧客サービスや企業イメージの向上も図られ、企業全体の利益につながるものです。 特に就職は、社会生活を営む上で、生活基盤の安定や自己実現を図るという大変大きな意味を持ちます。基本的人権を尊重した機会均等の保障と、その人の適性と能力に基づいた公正な採用選考が行われなければなりません。 また、セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメントは被害者の心身に深い傷を残す人権侵害です。事業者の責務として、働きやすい環境を整えるとともに、職場における相談窓口の設置や研修の実施による理解促進に取り組む必要があります。 特に教職員、医療・福祉関係職員、警察職員、公務員、マスメディア関係者など人権にかかわりの深い特定の職業については、人権教育を重点に取り組むことが求められています。特にマスメディアは、世論の形成に重要な役割を果たす立場にあることから、様々な人権問題に積極的にアプローチし、社会に対する提起と市民の理解促進へ向け、積極的に発信していただくことが期待されています。 そのため、横浜市は事業者を対象とした人権啓発や、事業者が行う人権研修に関する自主的な取組に対してより一層の支援を進めていきます。